ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/04/28(日)11:35:07 No.587016839
「花魁、舞いんす」 ゆうぎりは扇を構えると徐々に回転の速度を速めやがてふわり、と足が地面から離れた 島原では良く見られた花魁コプターである 「姐さん!」 珍しく洋装に身を包み髪を下ろした姿を見たサキは驚愕した これみよがしなやーらしかおでかけスタイルの先にあるのは恐らくデートである 逃さん…貴様だけは。そんな七英雄じみた胸中のまま洋館へと引き返す 無論よそ行きの服に着替える為だったが、玄関で白い帽子を携えた巽とすれ違った 「おいゆうぎり。忘れ物だ」 「風で飛ばされるといけんし幸太郎はんが持っていて下さんし」 花魁は首を傾げた。廓独楽など見慣れたはずの幸太郎が何故かいつまでもこちらを見上げている ハッと気付いた花魁は赤面し、たなびくスカートをさっと押えた 「えっち!」「わっちじゃろ」「すけべ!」「そうじゃのう」「…ばか!」 やいのやいの言いながら上昇する花魁に結わえられた紐により巽もまた佐賀の空へと昇っていく ~空から佐賀を見てみよう「GW編①」~
1 19/04/28(日)11:42:18 No.587018139
また昼間から飛びよんな
2 19/04/28(日)11:45:07 No.587018637
サキちゃんいっつも置いてかれるな
3 19/04/28(日)11:45:23 No.587018684
たつみはさぁ…
4 19/04/28(日)11:48:07 No.587019172
ヴァヴァヴァヴァヴォヴォヴィー ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴィアー ヴァヴァヴァヴァヴェヴォッヴァヴェヴェヴァ ヴァーヴァーヴァー ヴィヴァヴォヴァイヴェイー ヴィアヴェアヴァヴァヴェヴェーヴェーヴァーヴォヴォヴヴェアヴェー ヴァヴァヴァイヴォヴォウヴェエアヴェヴェエ ヴァヴァヴェヴァヴァヴェヴァヴァヴェ ヴァイヴァヴァヴァヴェヴェ ヴェヴェウヴェウヴァヴェヴェヴェヴァヴァー ヴァヴァヴァヴァウヴェヴェ ヴァヴァヴェヴェイヴェヴェヴェヴォウヴァヴェー ヴァーヴァーin the sky ヴァーヴァーin the sky ヴァーヴァー ヴェアヴェアヴァヴァヴァー ヴァヴァヴァヴァヴァヴェ ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァー (歌:山田たえ)
5 19/04/28(日)11:49:08 No.587019366
何でin the skyだけ言えるんだよ!?
6 19/04/28(日)11:50:45 No.587019658
伝説の山田たえならそんくらいできるじゃろがい
7 19/04/28(日)11:52:28 No.587019943
また飛んでる…
8 19/04/28(日)11:54:18 No.587020280
「しかし今日は随分と飛ぶな…速度も速い」 「折角の機会と思いんしたので少し遠出をしてみようかと思いんした」 加速する花魁コプターの下、景色を眺める巽の視界から福島が消えた処だった 既に二人は唐津市を飛び出し伊万里市上空へと入っている 「あっ…あの、幸太郎はん?」 「なんじゃい」 「上を見てはいけんせんよ!前見てなんし前!もしくは下!」 「注文の多い花魁じゃのう…」 「いや、その。寒くは無いでありんすか」 「…大丈夫だ。心配するな…今日はこれだけ晴れとるし暑い位じゃい」 「そ、でありんすか」 ほっと胸を撫で下ろしているのだろう。毎度強引に連れていく癖に律儀な事だ 大雑把なようでその実配慮ができているのはゆうぎりのやーらしか所である 「だから上を見るんじゃありんせん!えっち!」 「ちっ…気付きおったか」
9 19/04/28(日)11:54:29 No.587020313
やがて二人は伊万里川を北上していくと 伊万里の関所と呼ばれる地を通過し山間のとある町へと降り立っていた 石畳、そして立ち並ぶ煙突とレンガ作りの建物… 「なるほど。今日の目当ては窯元か」 「あい。まあ、伊万里市へ入った時点で幸太郎はんもお気づきでありんしょ?」 「まあな…」 17世紀以降、有田周辺で焼かれた陶磁器の積み出し港として栄えたのが伊万里だが 1675年に有田から伊万里市大川内山に鍋島藩窯が移され 今も鍋島藩窯坂沿いには30数軒の窯元が並び現代の伊万里焼に受け継いでいるのだ 「ここの楽しみ方としては好きな窯元をまず見つける事だが… ゆうぎり。なんぞ見たい陶磁器なんかはあるのか?」 「ええと…」 ああ、やっぱりこん人はちょっとした誤解をしていると花魁は苦笑する 巽が一番、散策が二番なのだが今だこの男は気付いていないらしい 真面目にアドバイスする気のこの顔を見るのもまあ、楽しみではあるのだが
10 19/04/28(日)11:58:33 No.587021033
「では、茶器なんぞ作っている処が良いでありんす」 「おう。ついでに甘酒を入れる器なんかも見繕っていくか…」 女性が窯主をやっとる窯元がこの先にあるんじゃい、と呟くと ぽすり抱えたままにしていた白い帽子を花魁に被せその手を取りながら巽が歩き出す ゆうぎりは帽子のつばで少しだけ目元を隠した 確かに日差しは強いのだが、ゾンビィは死体であるものの吸血鬼とは違う 日差しは苦ではない。だが、今の潤んだ瞳を巽に見られる訳にはいかなかった。 「…この坂の、どの辺りが件の窯元でありんすか?」 「いや?すぐそこじゃい」 「あ、さいで…」 「なんじゃい…歩かないで良いならそこしょげこむ処じゃないだろうが」 出来る事ならこの坂がどこまでも伸びていてくれれば良いのに そんな取り止めも無い事を考えながら花魁はふとある事に気がついた すぐ側であるのなら、何故この田舎大根はわっちの手をわざわざ取ったのか…? 答えに思い当たり再び花魁は帽子を深く、深く被る事にした。
11 19/04/28(日)12:03:00 No.587021929
花魁コプターシリーズ大好き
12 19/04/28(日)12:05:55 No.587022505
どんだけパンツ見たいんだよたつみ!
13 19/04/28(日)12:06:09 No.587022549
スケベ過ぎる…
14 19/04/28(日)12:06:10 No.587022553
陶咲花(とうしょうか)と呼ばれる窯元は巽の講釈したように 伝統の中に、女性独自の思考で新風を吹き込み、手作りの器を手懸ける窯元である ほあーだのふぁーだの感心をし、陶磁器を眺める花魁の傍らで 巽はといえば店員に話を聞きながら洋館に残してきたフランシュシュの為に茶器を購入する 「けっこうな品でありんすが…これで甘酒を飲んで良いものやら」 「いやそこで気後れするんかい」 「何か、勿体無い時とかありんせん?」 「なーにを言うとるんじゃい花魁が。物は使うもんじゃろが 確かに、見る楽しみ方もある。だがそれだけではないだろう。使ってこそ、だ」 「あいどるも、歌ってこそ、躍ってこそ、でありんすからね」 「…そういう事だ」 「花魁を、幸太郎はんは『使おう』とは思わないでありんすか?」 それは、本来のという意味であったのだが… 「いやさっきもお前舞ったばっかりじゃろがい」 案の定の答えが返ってきた。もっとも今夜にでもと言われようものなら奇声を上げるのは花魁の方なのだが…
15 19/04/28(日)12:07:03 No.587022722
おぼこっち!
16 19/04/28(日)12:12:18 No.587023720
藩窯時代関所によって閉ざし、秘法を守った大川内山に相応しく この地には関所がそのまま再現されている 関所を通過し陶工橋を渡ると出迎えてくれるのが 「日本の音風景100選」にも選ばれている通称めおとしの塔だ 「あれ…風も無いのに澄んだ音がしているでありんすね」 ゆうぎりの言う通り風鈴ふうに飾られた焼物が心地の良い音を立ててくれた 「なんでもセンサーが反応し、IC回路の機能が働いて音を出しとるらしい」 「えぇ…はいてく、でありんすが…」 若干雅とはかけ離れた単語が出てきた事で花魁が苦笑する が、音そのものはけして悪いものではないのだ 鍋島藩窯時代から焼き物を叩いてその音色で選別していた『めおとし』の技 それを再現したのが現代技術なら かつて伝説の花魁と呼ばれた彼女を現世に呼び戻したのもまた、今を生きる隣の男の技なのだ そして、当時には無かったものを花魁に教えたのもまた…この隣の男でもある 「…幸太郎はん」「ん?どうした。めおとしみたいな良い声を出しおって」
17 19/04/28(日)12:14:55 No.587024236
「あれ。見てみなんし。ツバメ、ツバメでありんすよ」 「おう…もう平成も終わるが、四月も終わるんじゃのう…」 近くの軒下にはツバメが飛び交い、そして巣を作ろうとしていた やがてこの地で生まれた雛鳥は成長し、遠い地へと旅立っていくのだろう ふと巽はフランシュシュの事を考えた。あいつらも そして今は隣でツバメを見上げるこのやーらしか花魁もまた… 「…帰るか」「あい」 だが、それは必然である 季節は巡るものなのだから。 ~空から佐賀を見てみよう「GW編①」~ 終わり
18 19/04/28(日)12:17:45 No.587024831
やーらしかなコンビだな!
19 19/04/28(日)12:18:02 No.587024895
ずるかー!
20 19/04/28(日)12:21:45 No.587025705
コプターのわっちは初心初心の初心でありんすね
21 19/04/28(日)12:22:16 No.587025811
こいつら今回徹頭徹尾いちゃついてるだけじゃねーか!
22 19/04/28(日)12:23:01 No.587025967
ずっとイチャイチャしとる
23 19/04/28(日)12:23:29 No.587026072
何でそんなにパンツ見たいので?
24 19/04/28(日)12:23:39 No.587026108
>ほあーだのふぁーだの感心をし、陶磁器を眺める花魁の傍らで やーらしか花魁だな!
25 19/04/28(日)12:23:41 No.587026119
他所行きを着て館を飛び出したサキが遠くに見える花魁コプターを目掛けチャリで爆走するも見失い 爆走によりクタクタになった余所行きをしょんぼりと畳む姿にさくらがやや怒やんすしたのはまた別の話
26 19/04/28(日)12:25:03 No.587026411
やーらしか女のパンツを見たくない男がおったらそいつはホモじゃい
27 19/04/28(日)12:25:44 No.587026569
さくらは優しいな
28 19/04/28(日)12:25:46 No.587026577
幸太郎さんホモじゃないと…?
29 19/04/28(日)12:29:40 No.587027385
さくらは…ママ!
30 19/04/28(日)12:30:15 No.587027508
佐賀の知識がまた一つ増えた…