虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 19/04/19(金)10:07:36 No.584770908

「そうは言ってもなあ…誘ってきたのはスズカの方だぞ？」 「だとしても断らなきゃダメですよ！ そういうの、あんまりよくはないんでしょう？」 「…まあな」 生徒と教員という関係上、色恋沙汰は避けなければならない。スターウマ娘ともなれば尚更のことだ。 それでも前例はあるし、トレーナーはスズカを憎からず思っている。スズカは、語るまでもない。 しかしながら、トレーナーはスズカほどの熱情を持っていない。 というのも彼は、走るウマ娘としてのスズカに心底惚れ込んでいるのであって、それ以外の彼女に対しては、走っている時の彼女ほどに強い感情を向けられないというのが実情である。 ただし、その気がまったくないというわけではないから、デートの誘いには乗ってしまうのだ。 スペはなんとなく、トレーナーがスズカに抱いている感情の仔細を察していた。 彼女にとってはさぞ面白くない話だろう。 スペのスズカに対する感情は、恐らくトレーナーのそれよりも強い。 なのにスズカはスペではなく、トレーナーを相手にしたがっているのだから。 ──スズカさんのいけず。 スペがそう思ってしまうのは、無理からぬことなのだ。

2 19/04/19(金)10:07:51 No.584770938

そう、スズカがトレーナーとデートをした日は、 「スズカさん！ 今度の休み、二人でどこかにお出かけしませんか？」 スペがスズカを誘ってデートしたかった日と、同じだった。 だが結果はどうだ。スズカは申し訳なさそうに誘いを断り、恋敵を選んだではないか。 「ごめんねスペちゃん。その日はもう別の予定があって…また今度ね？」 面白くない。 「その、悪いなスペ。お前からスズカと過ごす時間を奪っちまって」 ああ、面白くない。なして私は蚊帳の外なのかとスペは思う。 そして、このままで終われるものか、負けてしまうなんて冗談じゃないと奮起した結果。 「あの、トレーナーさん」 「ん？」 「次の休日、今度は私とデートしませんか？」 「…んん！？」 「その、今後の参考にしたいんですよ！ トレーナーさんがデートの時、どんな振る舞いをしているのかを」 それはきっと、トレーナーやスズカへの意趣返しだった。

3 19/04/19(金)10:08:07 No.584770963

「おはようございます！」 「…その、なんだ。似合ってるじゃないか」 大人びた雰囲気をつくりたい。スペがそう思って履いたロングスカートは、存外に好感触だった。 普段の、色気といったものとは無縁の振る舞いをしているからこそ、そのギャップがよく効いている。 「…ありがとうございます！」 「スペ、俺は男だし…年だって離れている。お前やスズカとはまた感性が違うし、やっぱり参考にはならんと思うぞ？」 「そう言いつつも付き合ってはくれるんですよね？」 「なにせ可愛い教え子の頼みだからな」 「お世辞はもういいですってば…あっ、もう！」 不意に頭を撫でられたスペは少しだけ怒るが、すぐに安らぎが勝ったのか嬉しそうな顔をする。 「はは、まだまだ子供だな」 「…こんなことされたって私、ほだされたりしませんからね」 「おおう、そう怖い顔するなって。どうどう」 スペは凄んでみせようとするが、却って年相応に可愛らしくなるばかりだ。

4 19/04/19(金)10:08:35 No.584771016

それからしばらくデートは続いた。 だがデートといっても、恋人らしいことをしながら過ごしていたわけではない。 「トレーナーさん！ あのクレープ、美味しそうです！」 「はあ…またかスペ。さっきから食ってばっかじゃねえか」 「だって私、まだ子供ですし…大の男であるトレーナーさんに奢ってもらうのは、アリなんじゃないですか？」 「おいおい…」 「それに私達が活躍しているお陰で、結構いい給料を貰っていると聞きましたよ？」 「まあ、それは間違っちゃいないんだが。だがお前らに奢りすぎてたらそうもいかなくなるぞ」 「あ…確か旅館へ行った時は、2ヶ月分のお給料がかかったんでしたっけ。スズカさんから聞きました」 「知っているなら話が早い。よく食べるのはいいが、息の入れ方くらいは覚えとけよ？」 「うーん…考えておきますね！」 「おいっ！」 そもそもこのデートは、スズカへの仕返し。 自分をフッてトレーナーとデートをしたスズカに、スペは初めて仄暗い感情を抱いた。 だから。

5 19/04/19(金)10:09:00 No.584771065

「ねえ、トレーナーさん」 スペはトレーナーへと手を差し出す。 「…しょうがねえなあ」 トレーナーは仕方なさそうにスペの手を握る。 「あ、嫌そうな顔してる」 「してねえって！ ただまあ、お前ら二人には困ったもんだなって」 「お前ら二人…あ、まさかスズカさんとも」 「そうだ。アイツ、本当に我儘でなあ」 スズカのマイペースぶりはスピカ全員が知るところだ。しかし、彼女がここまでになれる相手はそうそういない。 自分は彼女にそこまで望んでもらえるのだろうか。そう思った所で、スペはふと気づいた。 スペがスズカに甘えたいように、スズカもまた誰かに甘えたいのだと。 そしてスズカが甘えたい相手は、どこかスズカに甘えたがってそうなスペではなく、トレーナーであると。 「トレーナーさん…スズカさんに甘えてもらえるようになるには、どうしたらいいんでしょうか？」 「そうだな…まずは手のかからない子になるのがいいと思うぞ」 心底からの言葉だった。そういうトレーナーも、東条ハナには甘えっぱなしなのだが。

6 19/04/19(金)10:09:32 [sage] No.584771130

「…なんだか難しいです」 スペも人の世話を焼けないわけではないが、どちらかと言えば世話を焼かれる方だ。 だからトレーナーにも甘えてばかりなのだ。 「無理すんな。子供のうちは、子供らしくしてろ。大人になったら嫌でも出来なくなることだ」 「…はい」 「それに俺にとっちゃ、お前らスピカのメンバーは全員子供だ。それくらい年の差がある」 仕方のないことかもしれない。だがスペは、それをなんだか嫌だと感じた。 どうしてかは分からない。ただ、子ども扱いされることに苛立ちを募らせている。 「私だって、もうしばらくすれば大人です」 「そういうことが言いたいんじゃねえんだが…そうか、遅めの反抗期ってやつだな？」 「違いますから！ それに私、もう一人前のウマ娘なんですよ？」 「そう言ってるうちは、やっぱり子供だよ。でもまあいつかは大人になったお前を見たいもんだな」 やはり、面白くない。 スペはこの、もやもやした感情を持て余しながらも、トレーナーの願いに応えたいと思ったのだった。

7 19/04/19(金)10:12:49 No.584771533

大作だ

8 19/04/19(金)10:17:29 No.584772000

みんなに頼られるお姉さんが甘えられる相手いいよね

9 19/04/19(金)10:27:39 No.584773081

スズカさんはスペだけじゃなくてスピカの皆や他にも尊敬されまくり

10 19/04/19(金)10:28:41 No.584773189

怪我したあとのトレーニングでもすごい人だかりできてたしね…

11 19/04/19(金)10:30:08 No.584773359

グラスワンダーするのはダメよスペちゃん。

12 19/04/19(金)10:36:18 No.584773971

トレーナーさんは全力で走るアイツらが好きでこれからもずっと見ていたいと言っていた…走るウマ娘たちを

13 19/04/19(金)10:43:56 No.584774762

スズカさんにとってはどこかに行っていなくなってしまった自分を見つけてくれた人…

14 19/04/19(金)10:51:52 No.584775620

ホントアスリートとしてのウマ娘ばかりあの人は

15 19/04/19(金)10:57:00 No.584776240

そのうちトレーナーさんとスズカさんどちらに嫉妬しているのかわからなくなるんだ

16 19/04/19(金)11:07:12 No.584777474

スペちゃん？

17 19/04/19(金)11:17:45 No.584778747

トレーナーさんは痴漢するぐらい私のことが好きなのでそうなってもおかしくありませんよ！

18 19/04/19(金)11:19:51 No.584779012

スペェ…

19 19/04/19(金)11:25:37 No.584779761

ドロドロしてきたわね！

20 19/04/19(金)11:31:26 No.584780499

トレーナーさんに女を感じさせられる女性は現れるか

21 19/04/19(金)11:37:05 No.584781222

巫女装束を着たスズカさんなら…

22 19/04/19(金)11:39:05 No.584781464

やはり巫女パワーか

23 19/04/19(金)11:40:58 No.584781688

巫女衣装…巫女衣装…(ｸﾞﾙｸﾞﾙ

24 19/04/19(金)11:45:29 No.584782250

巫女服スズカさんが屈んだときに胸元からおっぱいが見えたりしたら いくらトレーナーさんでもうまだっちしちゃうよ多分

25 19/04/19(金)11:46:09 No.584782319

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