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19/03/31(日)18:36:12 もうす... のスレッド詳細

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19/03/31(日)18:36:12 No.580319241

もうすぐさくらの誕生日。当の本人もやっぱりソワソワしてて あいつから相談をされたりもしたけれど、実の所私はそんなに心配はしていない だって、あいつさくらの事も皆の事も…私の事も。ちゃんと大事にしてくれてるから そう思いながら私は髪の毛を弄りながらそっとヘアピンに触る 私の髪についてる花の中に混ざってる、あいつからの誕生日プレゼント 小さな箱から出てきたそれは全然高そうに見えなかったし もうちょっと良いモン無いの?って気持ちもあったから 「ふーん。いいんじゃない?ありがと」 なんて素っ気無い返事をしちゃったけど、内心結構嬉しかった だって、頭の花と同じ形なんだもん 誕生日会が終わって、お風呂に入って、鏡の前でそっと付けてみたら 一瞬どれがあいつのくれたのか分からなくなって、びっくりしちゃった だから何だか自分の一部になってるみたいだとか あいつが常に一緒に居るみたいでウザいとか、色んな気持ちがこうワーッ!って襲ってきて 鏡に映った血色の悪い私は何だか凄く嬉しそうに笑っていて、また驚いた

1 19/03/31(日)18:36:26 No.580319301

それから。それからはずっとヘアピンと一緒だった だって外す必要なんて殆ど無いし。精々お風呂に入っている時位 何となく寝る前と起きた後には感触を確かめるのが習慣になってて イライラした時や、上手く行かない事が会った時にも何となく触ってたし あいつの帰りが遅い時なんかも何となく弄ってた 触りながら、あいつが言ってきた事を思い出す時だって一緒 ひねくれた事を言う時も そしてそう何度もじゃないけれど、褒めてくれた事、思い出す時も 触ってるとなんだか元気が出た。 「あ…れ…」 だからなのかな? 貧血の時みたいに頭がクラクラして、視界がぐにゃって歪む気がする 「いやー!今日も楽しかったばい!」 「うん!ねえ愛ちゃんも…愛ちゃん!?」 「あ、愛ちゃんどうしたの!?顔真っ青だよ…!?」

2 19/03/31(日)18:36:38 No.580319351

「ね、どうしよ、さくら…リーダー…皆。ヘアピンが、無いの…無いよぉ…」 それはきっとスタッフの人達からすれば奇妙な光景だったに違いない ライブを終え引っ込んでいったご当地アイドルが戻ってきたかと思えば 床に這い蹲り何かを探し始めたのだから… 「おいお前ら!撤収作業の邪魔じゃろがーい!一体なーにをしとるんじゃ」 「あっ…う…」 言葉が出て来ない。なんでだろ、こういう時いつもなら食ってかかれるのに 何よりこっちを見られたくなくて、床の方に目を落とした 「あのね幸太郎さん。愛ちゃんが…」 ああ、聞きたくなくてもさくらが全部説明しちゃう ずんずんって、あいつの足音がして、名前を呼ばれた 「なんじゃい愛お前せーーっかくわしが…」 ――なんじゃい愛お前せーーっかくわしがプレゼントしたもんもう無くしたんかいこんぼけぇ! とでもきっと言おうと思ってたんだと思う。それに、言われても当然だし…

3 19/03/31(日)18:36:48 No.580319400

「……ごめんなさい……」 「いちいち謝るな。こいつで涙を拭け。スタッフの人達には俺から説明する いいか、愛。もう撤収作業が始まる。俺達は、その邪魔はできない。分かるか?」 「うん……」 「それに、激しい動きになるのに外さんかったお前にも非がある。それも分かるな?」 「うん……」 「……もういいから泣くな。行くぞ」 「うん……」 結局私はあいつに渡されたハンカチで顔を覆いながらよろよろその場を後にするしかできなかった サイアク。本当にその一言に尽きた 打ち上げする頃には調子は戻ってたけど何だか皆気遣ってくるし 結局ヘアピンは見つからなくて、あいつは何度もライブ会場と、スタッフの人達に電話をしてた そんな晩、部屋に呼び出されたもんだから私はお説教を覚悟してあいつの部屋に入った

4 19/03/31(日)18:36:58 No.580319444

「…ね、来たわよ。私」 「おう……」 内心の後ろめたさと、罪悪感と、泣きそうになる涙をぐっと堪えながら部屋に入ると まあ座れ、とベッドに促され、そしておもむろに手を出せと言われてしまった 「ほれ」 「…え?」 暖かな手と、固い感触にあいつの手が離れるとそこには見慣れた そして今日一日探し回っていた花形のヘアピンが乗っかっていた 「こ…これ!どうしたの!?見つかったの!?」 「いや。流石に見つからんかった…そもライブ会場で落としたとは限らんじゃろがい だから、改めて作っとっただけだ」 「作ったって…あんたが?」 「あぁ?お前の花とピッタシ同じデザインのモンがそこらで見つかる訳無いだろうが 前にプレゼントした時余ってた材料が残っとったから、急ごしらえなのは勘弁しろよ」 「…っ! うん…!うん…!」

5 19/03/31(日)18:37:11 No.580319496

目元をしきりに拭いながら、早速ヘアピンをいつもの位置につけてみる 「ね、ね?どう?ちゃんと出来てる?」「おう。違和感も無いな…というか」 「…どうしたの?」 「いや。つけ取るかどうか分からん位だからな プレゼントしたはいいが、気に入って貰えとるかどうかずっと心配しとったんで… 正直、お前が無くした!って大騒ぎした時はむしろ驚いたわい。良かった」 「何言ってんのよ…」やだ、可愛い 「だからいいか。もう失くすなよ」 「うん。ごめん…ううん。ありがとう、幸太郎…」 「なら今度は気をつけろ。そう何度も作ってはやらんからな!」 「うん!」 ありがとう。優しい。嬉しい。嬉しい! 「…大好き」「おうおう。そんなに気に入って貰えたら前のヘアピンも成仏するじゃろ」 出てくるかもしれないでしょ、とやっといつもの調子で笑う事ができた もう失くさないから。あんたがくれた物も、あんたのせいで湧き出てきた、この暖かな気持ちも…。

6 19/03/31(日)18:37:54 No.580319666

>「なんじゃい愛お前せーーっかくわしがプレゼントしたもんもう無くしたんかいこんぼけぇ!」って半分くらい言いかけた所で愛ちゃんがうるうるのうるになってるの気づいて死ぬほど焦っでヘアピン探す幸太郎ください これがわっちの精一杯…

7 19/03/31(日)18:39:56 No.580320141

仕事が早すぎる…

8 19/03/31(日)18:41:02 No.580320422

はいお前超かわいい

9 19/03/31(日)18:41:36 No.580320544

>「…大好き」「おうおう。そんなに気に入って貰えたら前のヘアピンも成仏するじゃろ」 待て待て待て待たんね!!

10 19/03/31(日)18:41:48 No.580320599

尊かー!!!!!

11 19/03/31(日)18:42:10 No.580320683

パーフェクトでありんす…

12 19/03/31(日)18:42:33 No.580320774

こういうのでいいけんこういうので…

13 19/03/31(日)18:42:38 No.580320793

鈍太郎はんッッ!!

14 19/03/31(日)18:44:01 No.580321110

こいつドサクサに紛れて告白しよったぞ

15 19/03/31(日)18:44:35 No.580321236

違う花びらも咲かせなんし!!!

16 19/03/31(日)18:45:11 No.580321384

手作りとかポイント高すぎる……

17 19/03/31(日)18:47:00 No.580321813

daisuki…

18 19/03/31(日)18:47:12 No.580321863

あーいけんよこれはいけんて 目が焼けてちょっと幸太郎さんサングラス貸してください

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