ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/03/31(日)04:07:17 No.580173743
「もう時効だから言うけどな、ゆうぎりを身請けしたのは俺なんだよ」 「はは…昔の記憶って知らないうちに美化されるとこありますよね」 「たかが百年前のことだろうが。それにそこまで耄碌しちゃいねえ」 それはバーNewJofukuにて近況報告の最中のこと ゾンビィたちの活躍に気を良くしたマスターはゾンビィ伍号の過去を語り始めた 「まあ身請けって言うのは言葉のあやだけどな ゆうぎりが過去に処刑されることになったのは本当だが、実際はそうはならなかった 身分を隠して平穏な余生を送れるよう俺が処刑前に匿ったのさ」 「それはおかしいでしょう。じゃあゾンビィ伍号をやってるあいつは」 「妹らしいぞ。『本物の』ゆうぎりの話じゃあな」 マスター曰く、ゆうぎり…本物のゆうぎりには自分によく似た妹が居たらしい 彼女が処刑の直前に逃げおおせたのも、その追手が一向に現れなかったのも、また自分の身分がバレることが無かったのも 全て彼女の妹が逃げた姉を想い、姉のふりをして処刑され世間に『ゆうぎり』の死を演じたからであった
1 19/03/31(日)04:07:34 No.580173763
「あいつはよく言ってたよ。妹は自分に似ていい女だったが、いい女すぎた 色町の女としてあの時代を生き抜くには情が深すぎた…ってな」 「そう……かもしれませんね」 花魁という地位にまで上り詰めた彼女が他のゾンビィと対等な立場で接しているのは処世術の一環だと思っていた 生き馬の目を抜くような狡猾さの片鱗も見せないのだって、必要がないからか隠しているだけだと思っていた あの柔和な笑顔の奥に油断ならぬものがあると警戒していた自分を幸太郎は少しだけ恥じた 「妹を甦らせたと知ってゆうぎりがどう思うかは俺には分からねえ ただお前があいつの情の深さに付け込んで手を出すようなことがだけはあっちゃいけねえと思ってな」 「出さないって言ってるでしょう」 「どうだか。まあゆうぎりはそういう女なんだ、もう少し打ち解けてやれ」 「どっちなんですか!?」 「分からんやつだな……よし、じゃあ帰ったらこう言ってやれ」 その夜。幸太郎はゆうぎりに「姉は息災だったそうだぞ」と伝えたところ、彼女に涙が枯れるまで泣かれ、そのことでサキに詰られ、さくらと愛と純子とリリィにも白い目で見られたという
2 19/03/31(日)05:52:36 No.580179291
わっちに妹属性が…!