ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/03/13(水)21:45:56 No.575978841
ご当主様とお姉ちゃんの結婚式が終わった。 二人からは列席して欲しいと言われたが、私は頑なに断り給仕として参加した。 花嫁姿のお姉ちゃんは綺麗だった。ご当主様も幸せそうに微笑んでいた。 誰もいない深夜のバーラウンジで、私は独りシェイカーを振っていた。 いつもなら振り払える雑念が、今日は頭の中をぐるぐるしている。 どうして。どうして。零れ落ちる涙を拭いもせず、カクテルを一気に呷った。 そんな時だった。ラウンジのドアが開き、見知った顔が入ってくる。 「よう、気配がしたから来てみたんだが・・・あー、タイミング悪かった?」 街を仕切るマフィアの1人、燕青だ。結婚式にも参列していた。 なんでもないです、と返すと、彼がいつも頼むカクテルを作る。 不思議と、彼と話していると心が落ち着いていくのを感じた。 「悩みかい?吐き出してしまえばスッキリするもんだ。話してみなよ。」 気乗りはしなかったが、普段おちゃらけた態度が多い彼の真剣な目を見て、私は話し始めた。
1 19/03/13(水)21:46:16 No.575978933
「なるほどなぁ。そっか。・・・辛かったな。」 途中から泣き崩れてまともに話が進まなくなっても、彼は真摯に話を聞いてくれた。 涙は止まらないが、頭を撫でられていると少しずつ嗚咽が収まってくる。 「恋は盲目とは言うものの、ダメなご当主様だねぇ。 俺だったら、こんな可愛い娘が無防備だったら絶対放っておかないけど。」 可愛い?私が?慣れない言葉に頬が熱くなっていくのを感じる。 「どうだい?その悲しみも何もかも、俺が包み込んでやろうか?」 顎を引かれ、燕青の顔が近づいてくる。そのまま私は目を閉じて・・・ それからひと月ほど経った頃だったかナァ。彼女の妊娠が発覚したのは。 まさかお姉さんより早く妊娠するとは、流石のアラフィフもびっくりだったヨ。 それまでは若干ぎこちなくなっていた姉妹の関係も修復したし、大団円ってやつかナ。 以上が君のご両親の始まりの話だ。 さあ、部屋に戻りたまえ。良い子はもう寝る時間だからネ!