虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    19/03/01(金)01:26:23 No.572886287

    【前回までのあらすじ】 星川リリィ(12)はどこにでもいるごく普通の可愛い学生さん 近所に住む大好きなピアノ教室の先生である巽幸太郎や 大学生のゆうぎりお姉ちゃんと平穏な日々を過ごしていた だがそんなある日佐賀から世界征服を企む悪の組織フランシュシュの怪人と遭遇し 大好きな人達を守りたい気持ちと可愛さが最高潮に達した時 リリィはマジカル☆パティシエファイターへと変身し佐賀の平和を守るのだ。 とある夜、連れ立って帰路についていた巽とゆうぎり 良い雰囲気になっていた二人の元へと贅肉獣ときのこさんが同時に襲撃してきた リリィではなく自分達を狙ってきた事で警戒を強め 連携を取りながら敵を倒していく。が、一瞬の隙を突かれ 肉の香りによって気を失ったゆうぎりを人質にラブ・ザ・ミートが巽に降伏を迫り 巽もまた、ノスタルジックエリンギの胞子により自由を奪われ 敵の手に落ちてしまうのだった…

    1 19/03/01(金)01:26:36 No.572886318

    ラブ・ザ・ミートは肉が好きである 理由を聞かれる事もあったが、そんなものは正直ナンセンスだと思っていた 覚醒し、欲していたのは肉だ。それ以上でもそれ以下でもない 後付する事で味が落ちる訳ではないが そもそも、それならば細かい事は考えずに美味しく調理する方法を考えればいい 煮て良し、焼いて良し、蒸して良し、揚げて良し 下拵えというのは何事も大事な事だ 無辜の民を苦しめるのは好きではない だから適当に、配下の贅肉獣達を使って騒ぎを大きくする そうすればきっとあいつは来るだろう。ほっておけるような奴ではない 「やめろっ!ラブ・ザ・ミート!」 …噂をすれば、だ 「来たのね、マジカル☆パティシエファイター」 小さな身体に意志を乗せ。マジカル重機で贅肉獣を吹き飛ばしながら フランシュシュの宿敵。星川リリィがラブ・ザ・ミートを指差していた

    2 19/03/01(金)01:26:46 No.572886356

    「何だ。案外元気そうじゃないの、マジ☆パテ」 「じゃあ…やっぱり二人を攫ったのはお前達だったのか…!」 「そういう事。まったく…なんなのあいつら。パティシエファイターでも無いでしょうに」 「どうして…狙うならリリィを狙えばいいじゃない!」 「私もそう思うけど上からの命令でね。だから今回は…最初から飛ばしていくわ」 ラブ・ザ・ミートの髪についた花がくるくると回ると同時 彼女の足元からアスファルトを伝い、花が勢い良くリリィへと迫っていく 「早い…!」 リリィはかつて倒したフランシュシュ幹部、ダーティブロンドの事を思い出していた スピードを主体とする彼女のバイクでの特攻にも引けを取らない速度… もしこの接近を許せば以前のように足の自由を奪われる事だろう 「マジカル☆クレーン!」 「何っ…!?」 が、リリィの姿が一瞬で空中へと掻き消えると佐賀の空に見えなくなった 消える前、彼女の背中にワイヤーが見えていた

    3 19/03/01(金)01:26:56 No.572886388

    恐らくは予めクレーンを召喚しておき猛スピードで吊り上げたのだろう ならば、次に来るのは… 「マジカル☆ボーリング!」 「うおっ…ととぉ!」 上空から飛来した岩盤をも貫く幾条ものロッドの間をラブ・ザ・ミートが抜けてゆく 市街地を駆け抜けるとやはり目的の物が見つかった あくまでリリィは実際に浮遊ができている訳ではない クレーン車で吊り上げられているだけなら、それを破壊してしまえばいいのだ 「ふん!」 足元から伸びた花がクレーン車の下まで潜り込むと、内部から侵食していく やがて全てが花びらへと変貌し、巨大重機はばさり、と一気に四散した。 「さあ、今度はあんた自身が落ちてくるのね、マジ☆パテ!」 「まだまだ…マジカル☆ロードローラーッ!」 「ちぃっ!」 落下の瞬間を狙うつもりだったラブ・ザ・ミートの前に今度はロードローラーが姿を見せた

    4 19/03/01(金)01:27:06 No.572886424

    が、これも回避する。リリィの方は自らが呼び出した ロードローラーの勢いで落下の衝撃を相殺したものの それだけでは足りなかったのか、重機に身体をぶつけ、更にアスファルトへと身体を叩き付けられた 「か…はっ!ぐ…」 しかしそれでもよろよろと身を起こし、そしてラブ・ザ・ミートを睨みつける 「…粘るのね、マジカル☆パティシエファイター」 ただの子供だとは思えないこの執念は、勇気は果たしてどこから出てくるのか 「リリィ、こんな所でめそめそしてられないから」 「そう」 今度は足元からではなく、直接花びらを鋭い刃へと変えてリリィへと飛ばす だがこれを召喚した重機の陰に隠れリリィの方もやり過ごした 正直、ラブ・ザ・ミートはリリィの事が嫌いではない 理由は分からない。そもそも、肉の事以外に関心を持つ事自体が稀なのだ 初めて出会った時に喧嘩をしたからだろうか? 若しくはリリィが柔らかそうで、その肉を食んで見たいと思っているからだろうか?

    5 19/03/01(金)01:27:20 No.572886468

    「私も負けてらんないのよ。大首領が…まあ、うちのボスなんだけど 肉の代金を、経費で落としてくれないって言い出したから 私にとって肉が無い人生なんて、殆ど死んでるようなもんなのよ」 「リリィだってそうだよ。にぃにやゆぎりんがいなくなっちゃうなんて、考えたくない… でも、だから愛ちゃんが、友達が言ってた事を思い出したんだ」 ぴく、とラブ・ザ・ミートの身体が一瞬だけ揺れる 「お肉だって!生のままじゃ食べれない!焼いてみなくちゃ分からない! だから!お前達にやられたんじゃなく…攫われただけなのなら!リリィはその可能性に賭ける!」 「いいわ。来なさいよマジカル☆パティシエファイター! Tボーンステーキみたいに骨のある、歯ごたえのある奴は嫌いじゃないわ!」 「食らえっ!必殺…ローカリー☆パーカッション☆ボーリング!」 「なっ…!?」 リリィの声と共に、飛来する花の縦にしていた重機すら貫きながら再びロッドが飛来する しかし先程の物とは明らかに貫通力が違っていた。おそらくはより硬い基岩を掘削する為の物なのであろう 流石にこれをまともに食らうのは不味い。そうラブ・ザ・ミートが思った時だった

    6 19/03/01(金)01:27:34 No.572886508

    この通りには見覚えがあった かつて…そう、かつてリリィを伴い一緒に入った焼肉屋のある通りだ 位置的には丁度ラブ・ザ・ミートの背後がその場所だ でも…と彼女は考える そもそも、フランシュシュの怪人である彼女が佐賀の町に配慮する必要は無い むしろ破壊する側だ ただ、あの店はランチタイムの肉の種類が大きかった おじさんも気前良く、お嬢ちゃんは本当美味しそうに肉を食うばいと笑っていた 当たり前。誰かに言われる筋合いなんかないの これはサービスだなんてワカメスープまで出してくれちゃって 肉に合うから試してみろ?確かに悪くなかった。そういえば今日もここに来る前話をした 試してみたいコースがあるから、ちょっと感想を聞かせて欲しいとかそんな事を言っていたっけ 私は、ただ肉が食べられたらそれでいいのに 「あああああああああっ!」 ラブ・ザ・ミートが雄叫びを上げる。自らの身体の内部に花を巡らせる

    7 19/03/01(金)01:27:44 No.572886538

    更にはアスファルトの、更に地中の奥深くにまで根を張った 一瞬だ。ボーリングの形状から見て弾くのは無理だろう 「ぐっ…お」 ずん、と胸元から腹部にかけてをロッドが貫き、口内に熱い物が込み上げる だが、このままいかせない。あのお店にはこのボーリングはいかせない 尚を自らを貫こうとする回転を己の肉と、花を流し込み相殺する ああ …ああ ミンチは嫌いじゃないけれど、どうせならパテにしてハンバーグにしないとダメだ ケチャップ。そういえばあいつは、リリィはケチャップが好きらしい 花とか描いたら喜ぶだろうか。怒るだろうか… ロッドの動きは他愛の無い事を考えているうちに止まっていた いずれにせよ、大した時間が経っていた訳ではないのだろう 光の粒子となりロッドと、そして穴の開いたリリィの前の重機が光の粒子となり消えてゆく 消えた先には信じられないという顔をした、マジカル☆パティシエファイターの姿

    8 19/03/01(金)01:28:52 No.572886730

    「ラブ・ザ・ミート…なんで…?」 「知らない。けど、後ろのお店ね、スタンプカード溜まりそうだったから…」 「何言って…」 ぱらり、と ラブ・ザ・ミートの髪の毛から花が落ちる 一つ、二つ…沢山。今や彼女の身体自体が徐々に花と化し、崩れつつあった 「あんたは別に知らなくていいの。それより…あの二人は無事よ」 「本当!?」 「今は、って話。何。すぐに再会できるわ。ただしそこからどうなるかは知らないけど」 精々頑張んなさい、と呟いて項垂れる。お腹が空いた。何せ穴が空いているのだから当然だろう きっと今なら最高記録に挑戦する事ができる気がする ノスタルジックエリンギは呆れるだろうか。彼女もたまには肉を食べるべきなのに お肉。どこがいいかな。たまには何かに集中したい…ええと…考えがまとまらない そうだ!漸く部位を決めた瞬間。フランシュシュ怪人ラブ・ザ・ミートは完全に崩壊し、消滅した。 つづく

    9 19/03/01(金)01:32:19 No.572887270

    ラブ・ザ・ミート… お前もまた強敵(とも)だった…

    10 19/03/01(金)01:35:13 No.572887709

    >とある夜、連れ立って帰路についていた巽とゆうぎり >良い雰囲気になっていた二人の元へと贅肉獣ときのこさんが同時に襲撃してきた ここんところを詳しくしなんし!

    11 19/03/01(金)01:35:45 No.572887778

    骨太のドラマしやがって…

    12 19/03/01(金)01:37:17 No.572888004

    まさかゾンビの怪文書でバトル展開あるとは思わないじゃん…

    13 19/03/01(金)01:38:22 No.572888165

    え?でもどこにもゾンビなんていませんよ?

    14 19/03/01(金)01:41:22 No.572888652

    マジパだからな…

    15 19/03/01(金)01:42:15 No.572888776

    読ませる文章だ…

    16 19/03/01(金)01:43:43 No.572888996

    巽とゆぎりんが攫われた 愛ちゃんもずっとお店に来ていない

    17 19/03/01(金)01:44:34 No.572889107

    これ結構おつらい話なのでは

    18 19/03/01(金)01:48:07 No.572889598

    水野ように優しく 花のように激しく

    19 19/03/01(金)01:48:46 No.572889681

    多分マジパ中この辺りが一番リリィのメンタル危ない時期だ そこにノスタルジックエリンギの幻覚か 優しいお兄ちゃんお姉ちゃんの容赦無い攻撃がスゥーっと効いてこれは…

    20 19/03/01(金)01:49:05 No.572889732

    再生怪人枠でまた会えそうな肉

    21 19/03/01(金)01:49:34 No.572889801

    >再生怪人枠でまた会えそうな肉 視聴者から妙に人気の出そうな肉

    22 19/03/01(金)01:50:02 No.572889872

    >多分マジパ中この辺りが一番リリィのメンタル危ない時期だ >そこにノスタルジックエリンギの幻覚か >優しいお兄ちゃんお姉ちゃんの容赦無い攻撃がスゥーっと効いてこれは… 嘔吐シーンが期待できますね!

    23 19/03/01(金)01:52:47 No.572890250

    胞子の霧の中幻覚に苛まれるけど聞こえてくるピアノの音が巽のものとは違うことに気付いてそこから反撃が…

    24 19/03/01(金)01:54:07 No.572890427

    >再生怪人枠でまた会えそうな肉 ラブ・ザ・ミートはもっと肉が好きだった! ダーティブロンドだってもっと早かった! ノスタルジックエリンギもずっときのこだったよ! だからこんな、魂の無い怪人を量産しても無駄だッ!大首領ブロッサム!

    25 19/03/01(金)01:54:54 No.572890516

    >ノスタルジックエリンギもずっときのこだったよ! もっとこう。。。ないんですか。。。?

    26 19/03/01(金)01:55:32 No.572890609

    そやんかことはわかっとるとよ 私持っとらんから

    27 19/03/01(金)02:05:49 No.572891978

    いいよね結局最終話まで最初のライバルが言った一言がずっと心の支えや成長の助けになるの