虹裏img歴史資料館

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19/02/28(木)19:27:45 【前回... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1551349665386.jpg 19/02/28(木)19:27:45 No.572785843

【前回までのあらすじ】 星川リリィ(12)はどこにでもいるごく普通の可愛い学生さん 近所に住む大好きなピアノ教室の先生である巽幸太郎や 大学生のゆうぎりお姉ちゃんと平穏な日々を過ごしていた だがそんなある日佐賀から世界征服を企む悪の組織フランシュシュの怪人と遭遇し 大好きな人達を守りたい気持ちと可愛さが最高潮に達した時 リリィはマジカル☆パティシエファイターへと変身し佐賀の平和を守るのだ。 給食センターのおばちゃん達の間で揉まれる特訓の末新技を覚えたリリィは 辛くもフランシュシュ幹部、ラブ・ザ・ミートを退かせる事に成功した。 喜びも束の間、新たな敵幹部ノスタルジックエリンギが現れ宣戦布告をしてきた 彼女の幻覚を受け配下である練り歩くえのきさん達に包囲されるリリィ だが、練り歩くえのきさんの群れを巽とゆうぎりが蹴散らした事により形勢は逆転 何故か巽の姿を見て撤退したノスタルジックエリンギに首をかしげながらも 新たにピアノ教室に増えた生徒、紺野純子と共にレッスンに勤しむのだった…

1 19/02/28(木)19:27:57 No.572785893

子供は敏感なものだ。残酷なものだ 故に自らと違う物には敏感で、時に好奇心を持ち、時に疎外する 変な喋り方、と指摘されればその通りだが そっちの喋り方だって変だ。引っ越してきたばかりの彼女はそう思っていた だから「ありんすだー!」と馬鹿にする阿呆な男子を 覚えて間もない廓殺法でぶちのめしてやろうかとも考えたが 流石によくない。今度こそ完全に孤立してしまう気がした さりとて打開策も無く、中々馴染めずに 休みの日行く先も無く近所をふらりふらりと歩いて目印になるものといえば その辺りでは比較的珍しい洋館であり、微かに聞こえてくるピアノの音だった 近くで見ると中々立派な館から聞こえてくる旋律に夢中になっていると 不意に音は途切れてしまい再開を待っていたら「見かけない子だな」と変わりに隣で声がした 大きい男の人。ちょっと怖い、が眼差しは何だか優しい 名前を聞かれて「わっちは…」と漏れた口を変な目で見られると思わず塞いだが 「おお!廓言葉か。珍しいな!引っ越してきたのか?」と彼は笑って…

2 19/02/28(木)19:28:10 No.572785945

そこでゆうぎりは目を覚ました 身体が痛む。伸びをすると机の上には書きかけのレポート 時刻は昼過ぎ。徹夜は若い内だけできるんじゃい、と巽は言っていたが 若くても無理なものは無理だ。 …思えばあの頃は良くもまあ、あれだけ沢山の稽古事をこなしていたものだ 舞を踊り、三味線を弾き、廓殺法に精を出し… そこにピアノまで加えようとしたのだからさぞや両親は驚いた事だろう ただ、そんな初めての我侭を喜んでもくれていたらしい レポートを再開する。5分で飽きた。うん、これは気分転換が必要だ 思い立ちお風呂に入って、鏡の前でにらめっこして散歩に繰り出す たまに寄り道もするけれど、10年間目的地は変わらない いや、この洋館は大分オンボロになってしまった 「巽ピアノ教室」の看板だけでもそろそろ新しくすればいいのにとゆうぎりは苦笑する そういえば、当時はまだ幸太郎はんも高校生だったっけ… ゆうぎりだけの先生は、いつの間にか皆の先生になっていた

3 19/02/28(木)19:28:21 No.572785983

「今日も作曲でありんすか?精が出んすねえ」 「おお。ゆうぎりか…大学はどうした?」 「単位は足りてるでありんすよ」 「…はぁ。ま、困らん程度にしておけ」 二言、三言交わした後巽はすぐにピアノに向き直る 素っ気無いが、今に始まった事ではない。ちらりと外を見ると出てきた時と同じ良い天気だった まあ、それは巽には関係の無い話だろう 朝に夕に、晴れに雨天に暇さえあればピアノを弾いている 『ね。ずっとピアノばっかりで飽きんせんの?』『好きだからな。お前こそ…』 いつかの問いかけを思い出した後ゆうぎりはくすりと笑い、口を開く 「幸兄」 「お…?なんだゆうぎり。久しぶりに聞いたぞ」 「あ、いや。ついうっかり、でありんす」 「昔は良かったなー!こうにいこうにい言ってくれたの結構嬉しかったのになー!」 「わっちの勝手でありんしょ?そりゃあ、高校に上がってまで幸兄はどうかと思いんしたし」

4 19/02/28(木)19:28:33 No.572786017

「俺は一向に構わんのじゃい」 「…わっちが構いんす」 兄妹じゃ、無理な事だってあるし 「まあ、でもゆうぎり。何故幸兄呼びが出たのか?それは分かるぞ」 「本当でありんすか?」 巽はニヤリとし、そして自分の太股をパンパンと叩いてみせる 「リリィだろ。あいつを俺に座らせてピアノの指導してるのを見て懐かしくなったな?図星だろ」 「…当たらずとも遠からず、でありんすねえ…」 「おーおーそうかそうか!じゃあほら。座れ」 「はっ?」 「座りたいなら言ってくれれば良いんじゃい」 「いや幸太郎はん。大学生にもなって流石にそれは…」 「どうせ今日はリリィもレッスンはお休みだ。誰も見てないぞ?ほら…」 「じゃ、ちょっとだけ…でありんす。ちょっとだけ」 おずおずと。どこか嬉しそうにしながらゆうぎりが動いたのを見て小さな影が洋館を後にした。

5 19/02/28(木)19:28:44 No.572786076

や、リリィ知ってたもん 巽にぃにもゆぎりんもリリィが会った頃からずーっと仲良かったし 二人が仲いいの見てたら思わずリリィだってニコニコしちゃう☆それは間違い無い だから今のは、こうして顔を出さないで帰ってるのは邪魔したくなかったからだし… ……うー。でもこれじゃ何かリリィが逃げてきたみたいじゃん きっとゆぎりんは、リリィの知らないたつみの事も沢山知ってるんだろうな… あっ…やだやだ。なにこれ。なにこれ……胸がモヤモヤしてきた うわーなんなの?ほら、あっちいけ。いってよ。どっか消えちゃえよ、クソが リリィが首を振り、考えないようにすればする程胸に沸いた蟠りはその面積を広めていく 「きゃっ☆」「ちっ…どこ見て歩いてんのよ」 思わず走り出そうとしたところで佐賀では珍しくリリィは人にぶつかってしまった 「ご、ごめんなさ…って、うげっ肉女じゃん」 「え?何それ。褒めてるの…?やだ、嬉しい」 「褒めてねーから。何でそうなんの?頭の中まで肉詰まってんの!?」 「何よちびっこ。あんた肉詰め嫌い?私は外側のピーマンは嫌い」

6 19/02/28(木)19:28:57 No.572786132

「ちびっこじゃないもん!リリィだもん」 「はいはい。それはいいけど今日はいつも一緒に二人はいないのね」 「あ…」 「ん?何。喧嘩でもしたの?」 「そんなの肉女には関係ないし…」 「そうね関係無い。けど、普段可愛く無い顔が余計しかめっ面してたらこっちも気分が悪いのよ」 「リリィ、可愛いもん……」 「はいはい。けどこっちだって気持ちよく肉が食べたいの。分かるでしょ、だからちょっと来て」 「えっえっ!?何、ちょっと引っ張らないでよ!」 「いいから。それに悪いようにはしない。いい所に連れていくだけ」 「いやぜってー今の話の流れからして焼肉屋だろ!服が!服が肉臭くなんだよ!」 「あんたエスパーなの…!?いやいい事じゃない。体の内だけでなく外まで肉になる、それって幸せだわ」 「うわーっ離せよー!力強いし…もー!」 結局気付けばリリィは昼間から焼肉屋で二人七輪を囲んでいた ランチタイムって凄いわよね15時まであるのよ、という声に溜息をつく

7 19/02/28(木)19:29:08 No.572786171

「はぁ…何でこんな事に…ええっと、そういえばリリィ、肉女の名前知らないや」 「ん?そうね…えーっと、そう。愛でいいわよリリィ」 「愛ちゃん」 「そう。で?なんだっけ…やっぱり落ち込んでたのはあの二人が原因な訳?」 「うん…あのね」 「おじさーん!すみませんカルビ・ハラミ・赤身ロース・トントロ下さい」 「こんにゃろう」 「しょうがないじゃない好きなんだから。リリィがあの二人を好きなのと一緒」 「分かるの?」 「分かるわよ。だって私が、カルビやハラミに向ける眼差しと一緒だから」 「一緒にされたくない…」 「失礼ね。まさか私の愛情を舐めてる?悪いけどカルビの事だったらランチタイムだけじゃ語りきれないわよ」 「先にリリィの話聞いて貰ってもいいかな」 「ランチタイム内で終わるなら」 運ばれて来た肉を早速網の上で展開しながら、愛はリリィが語り始めるのを静かに待つ

8 19/02/28(木)19:29:22 No.572786228

「…リリィね、会った時からずっとたつみの事が大好きなの」 「たつみって、どっち?」 「サングラスで大きな方。もう一人のお姉ちゃんがゆうぎり。ゆぎりんね」 「そうなんだ。で、ゆうぎりの事は」 「うん。大好き」 「でしょうね…私が知る限り、会う時って大体あの二人にベッタリだから。すみませんタン塩追加で」 「だからリリィは大好きな二人が一緒にいるのも、楽しくしてるのも好きなの」 「ならいいんじゃないの?」 「うん。けど、やっぱりモヤモヤするの…嫌いになったんじゃないのに 嫌いになるとしたら、リリィの方。こういう事考えちゃうリリィって、可愛くないもん 二人に離れてて欲しい訳じゃない、仲良くしてて欲しいはずなのに、モヤモヤしてる そういうリリィが嫌いなのが、すごく嫌なの。分かる?」 「すみませーん!もうちょっとこれ火力弱くできますか!やり方が分かんなくてぇ」 「おまえーっ!」 「聞いてリリィ。私は、嫌いと思う事がけして悪いとは思わない」

9 19/02/28(木)19:29:37 No.572786298

「え…?」 カルビとハラミを攻略し、トントロの脂で炎上する金網を店員に調整して貰いながら 優しい眼差しで赤身ロースを咀嚼していた愛が喉を鳴らして微笑む 「私はね、肉が好き。できればずっと食べていたい位に…ただそれが好きと好きの間でぶつかる事もあるの いい?火がどこまで通っているか分からないレバーと、トントロでは味も、焼き加減も違うから だからそれは相容れなくて、食べる速度に軋轢を生じるの。それでも立ち向かわなくちゃいけない」 「うん…」 「リリィ、ハチノスって知ってる?」 「何で急に虫さんの話を?」 「違うわ。牛の第二胃の俗称よ」 「うえー…」 「ふふ。そうね、私だって最初リリィと同じだった。けど食べてみないと分からないじゃない? ハチノスは予め店員さんが火を通してくれるの。通せば通す程硬くなるから炙る程度でいい ただそれも一度飲み込んでみなくちゃ分からないわよ。今のリリィは、こっちのタン塩と一緒」 「まだ生…何もしてないってこと?」

10 19/02/28(木)19:29:52 No.572786354

「そう。すみませんハチノス貰えますか?それとカルビとハラミ、トントロもう一人前! まずは焼くのよリリィ。それが一番。自分の気持ちと向き合って初めて分かるものってあるわ だからいいのよ、誰だってそういう事はある。でもきっと、今の悩みはこのタン塩みたいにペラペラよ」 「そうなのかな…?」 「そうよ。だってあの二人も、リリィの事ちゃんと大好きだから」 「あ…」 不意をつかれ、そしてリリィが赤くなり、安心からかポロポロと涙を溢した 「ん?大丈夫?煙が目にしみちゃった?焦がしたつもりはないんだけど…」 「ううん。ううん。そんなんじゃないの。ありがう、ありがと、愛ちゃん」 「いーのいーの気にしないで。ま、分かったんならいいわよ 燻らせて焦がしちゃったらどんなものだって食べる事すらできなくなるわ。私は食べるけど」 「おなか壊しちゃうよ?」 「それでもいいの。自分が注文した物には責任を取るべき。自分が始めた事なら向かい合うのよ」 「今日はありがとう」 「いいのよ。それよりリリィ、あんたも何か注文したら?」

11 19/02/28(木)19:30:05 No.572786403

「ううん。もう胸の中いっぱいになっちゃってるから、大丈夫」 「はぁ?胸じゃお腹は膨らまないでしょ。まだランチタイム終わってないわよ」 「ひっひー☆いーんだもん。それにこれからたつみの所行かなくっちゃ」 「あ、そうなの。じゃあまた。今度は4人で食べましょ」 「うん。じゃあね愛ちゃん!ばいばーい!」 「はいはい。すみませーん!」 「…待ちなさい、ミート」 「あんたは…」 注文を静止され、やや不機嫌な顔で店内の陰から現れた同僚に愛は いや…フランシュシュ幹部、ラブ・ザ・ミートは視線を送る 「大首領からの召集がかかりました。そのお皿を片付けたらいきますよ」 「ハチノスがまだなんだけど。ノス…いや、ここでは純子って呼んだ方がいいかしら」 「そうですね。しかしあんなものよく食べれますね…」 「アミタケみたいなもんでしょ?」 「アミタケさんに今喧嘩売りました?」

12 19/02/28(木)19:30:20 No.572786461

佐賀は唐津市、天山山中の地下奥深く… フランシュシュ基地内の通路を幹部である二人が無言で歩いていた。 「大首領。ノスタルジックエリンギ、帰還しました」 「同じくラブ・ザ・ミート。来たわよ」 「二人ともおかえり!あーよかよかそんな傅かんで!ほら顔上げて?ね?」 「「はっ…」」 「それでどげんね?侵略の為の調査は順調?」 身を起こした二人に大首領からの声がかかり二人は一瞬硬直する 「問題ありません」「バッチリよ」 「ええ…嘘やろ?わたしの目は節穴や無かよ?原因はあのマジカル☆パティシエファイターやけん」 つい、と大首領が幹部達へと何かを飛ばしてみせる。どうやらそれは誰かの写真のようだった 「これ、は…あっ、私この二人知ってる」 「大首領。大首領ブロッサム様…これは…?」 「うん。巽幸太郎とゆうぎり。この二人攫って欲しかと…改造して、あの子にぶつけるから」 つづく

13 19/02/28(木)19:36:40 No.572787931

大作きたな....

14 19/02/28(木)19:36:53 No.572787975

こいつ肉の事しか考えてねえ!

15 19/02/28(木)19:38:06 No.572788277

この悪の組織の幹部ポンコツ過ぎない?

16 19/02/28(木)19:40:02 No.572788705

スペックは高いがメンタルが残念なミート&エリンギと スペックは劣るけどバランスの良いブロッサム首領の釣り合いが取れてそう

17 19/02/28(木)19:43:02 No.572789383

楽しそう

18 19/02/28(木)19:44:05 No.572789635

そこにフィジカルの高いイカ怪人と花魁を加えメンタルを改造してやれば磐石だな!

19 19/02/28(木)19:48:31 No.572790622

さくらはんエグくない…?

20 19/02/28(木)19:51:08 No.572791260

思ったより大作じゃねえか…

21 19/02/28(木)19:51:22 No.572791313

肉女はさあ…肉女?

22 19/02/28(木)19:51:45 No.572791403

悪の帝王だからな…

23 19/02/28(木)19:52:42 No.572791653

これのさくらはん持っとらん拗らせて今や普通に悪人だからな…

24 19/02/28(木)19:53:04 No.572791725

>さくらはんエグくない…? わっちが普通の女子大生だし さくらちゃんも夢叶わず持ってなくて拗らせてる悪の首領(27)だからな…

25 19/02/28(木)19:56:08 No.572792540

肉女が徹頭徹尾肉ですげえよ…

26 19/02/28(木)19:56:53 No.572792738

サキちゃんはどっちサイドなのか

27 19/02/28(木)19:57:15 No.572792835

もう爆死した

28 19/02/28(木)19:57:58 No.572793022

サキちゃん死んでるのか…

29 19/02/28(木)19:58:51 No.572793272

サキちゃんはバイクで突っ込んで幸太郎の筋肉で吹っ飛んで倒されたはず

30 19/02/28(木)20:03:27 No.572794535

ラブザミートすごくいい人なのでは?

31 19/02/28(木)20:04:06 No.572794697

ぶっちゃけさくらはん以外悪人がいな…

32 19/02/28(木)20:04:36 No.572794846

人を怪人にする技術を身に付けてローカル悪の組織を立ち上げておいて何が持っとらんというのか 人生は思い通りにならんことばかりだ 俺なんて惚れた女のための曲に10年も悩んでたら気が付けばその女が悪の首領になっていて しかもその女に洗脳された上で改造された酷い人生だ そんな感じのお説教だか文句だかわからんもんをぶつけたら火かき棒をぶつけられて瀕死

33 19/02/28(木)20:05:58 No.572795238

Wヒロインものいいでありんす…

34 19/02/28(木)20:06:53 No.572795498

大学生姉さんかわいい!

35 19/02/28(木)20:07:37 No.572795698

ブロッサムからすれば好きな作曲しながら数は多くないけど生徒に囲まれて順風満帆にしてる元同級生だぞ そりゃ洗脳改造する

36 19/02/28(木)20:11:03 No.572796634

部下の一人まで通ってるからな…

37 19/02/28(木)20:12:24 No.572797031

エリンギちゃん ピアノ教室 楽しか?

38 19/02/28(木)20:13:09 No.572797218

すいません今日ピアノ教室あるんで定時で帰らせていただきます。。。

39 19/02/28(木)20:14:29 No.572797605

>エリンギちゃん >ピアノ教室 >楽しか? ヒィ

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