虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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19/02/22(金)23:38:43 「あ、... のスレッド詳細

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19/02/22(金)23:38:43 No.571433303

「あ、忘れとった。今日俺の古い知り合いがライブ観に来るからお前らバレんように注意せい」 ライブ直前のメイク中、巽幸太郎は突然そんなことを言った。 「ハ、ハァ!?急にそやんかこと言われても困りますとよ!?どやんしてそがん大事なこともっと早く言わんかったとですか!?」 「ええい、騒ぐな!手元が狂う!いいか!絶対だぞ!?絶対バレるなよ!?」 メイク中のさくらが慌てふためく。幸太郎も、心無しかいつもより落ち着きが無いように見える。 「で、どんな人なの?」 「ん?ああ、このメイク技術はハリウッドで学んだって言ったじゃろ?そん時あっちで世話になった人でのぉ……」 隣で順番を待っていた愛の質問に、幸太郎が答えた。 「へぇ、アンタ本当にハリウッドで学んだのねこの技術……口からの出任せだと思ってたわ」 愛の台詞に同調するように、他のメンバーも頷いた。

1 19/02/22(金)23:39:36 No.571433566

「失礼な奴等じゃな!こんだけの技術そんじょそこらで学べるはず無かろうが!とにかく!バレんようにせい!いいな!」 幸太郎の技術は凄まじい。恐ろしいゾンビィフェイスも彼にかかればあら不思議。可憐な乙女に大変身である。だからこそ、フランシュシュはゾンビィであるにも関わらず、アイドルをやっていけてるのだが…………

2 19/02/22(金)23:39:47 No.571433613

「よく考えてみればゾンビィのことがバレるって相当マズイわね……」 愛がポツリと呟いた。その身体は小さく震えていて、大きな瞳も悲しみを湛えている。恐らく、警官や野生のラッパー?に遭遇した時のことを思い出しているのだろう。純子も、同じように俯いていた。あの時言われた、「無理だって」の一言は、元伝説のアイドルの二人には相当堪えたはずだ。さくらだって辛かったのだ。ゾンビィと言えども、中身は年相応の乙女。ありのままの容姿を嫌がられるのは悲しすぎる。等と考え始めたところで気付いた。メイク中の車内がとても重苦しい雰囲気に包まれている。幸太郎なんて、「すまない……すまない……」と呟くマシンと化している。しまった、と思ったさくらは、 「み、皆!暗い顔しとったらお客さん達も不安にさせちゃうとよ!ホラ、笑って笑って!!」 無理矢理軌道修正を試みた。

3 19/02/22(金)23:40:06 No.571433700

───────────────── ガタリンピック。前回は出場者として参加したが今回は違う。なんと、開催前の余興として、フランシュシュに声が掛かったのだ。一年間での確かな進歩を感じつつ、フランシュシュの面々はステージに上がった。 「みなさーん!去年はありがとうございましたー!今年は皆さんが力一杯頑張れるように、私達の歌を届けたいと思うんで、よろしくおねがいっしゃーーすっ!!」 サキの威勢の良い挨拶と共に、ライブは始まった。知名度だけでなく、技術も一年前とは比べ物にならないことをお客さん達に魅せる為、フランシュシュは全力を尽くした。その熱気に当てられたように、観客達もヒートアップしていく。だが、会場の盛り上がりが最高潮に達したその時、事件は起きた。 「うわああああああ!!!」 舞台袖のスタッフの誰かが悲鳴を上げた。会場の誰もが驚き、そちらに視線を移す。そこには、威嚇するように唸る、巨大なヒキガエルの怪物がいた。無機質な眼が、ギロリとフランシュシュを見下ろした。

4 19/02/22(金)23:40:24 No.571433788

たちまち会場はパニックとなる。散り散りに逃げ去っていく観客達。舞台上のフランシュシュの面々も逃げようとした。が、 「あっ!」 リリィが躓き、倒れ込んだ。その隙を逃さず、ヒキガエルは長い舌をベロンとリリィに伸ばす。 「リリィちゃん!」 近くにいたさくらが咄嗟にリリィを突き飛ばした。だが、リリィの代わりにさくらがヒキガエルの舌に捕らえられた。ヒキガエルの舌の力は強く、一瞬で収縮すると、さくらをパクリと飲み込んだ。 『これでゾンビィの技術はこの私のものだ!!』 突然の声に見上げると、カエルの背に血色の悪い不健康そうな中年の男が立っていた。どうやら、この男が背中からカエルを操っていたらしい。 「てめぇ!さくらを返せ!」 サキがカエルの上の男に飛び掛かろうとする。が、 『もうお前達に用はない。私はゾンビィの技術を利用して不死の生物を生み出し、この地球の生態系に革命を起こすのだ!お前達に構ってる程、暇ではないのだよ!』 カエルは高く跳び上がり、ステージの天井を破壊して外へと逃げ出した。崩れた天井の瓦礫が、ステージ上のフランシュシュや逃げ遅れたスタッフ達に降り注いだ。

5 19/02/22(金)23:40:46 No.571433880

そこへ、一人の少女が飛び出した!少女は何やら呪文のような言葉を唱えると両手を宙にかざす。青い光が迸り、落下する瓦礫を包み込む。瓦礫は空中でピタリと止まり、やがて、ゆっくりと地面に落とされた。 『大丈夫ですか!?』 少女が心配そうに、サキに駆け寄る。 「……!?外国人か?なんば言いよっとか分からん!ってそれどころじゃねぇ!さくらが!!」 悔しそうに、ヒキガエルが逃げた方角を睨み付けるサキ。それを見て少女は、 『お化けカエルの追跡はアイツに任せてください』 言葉が通じない為、少女はジェスチャーで伝えた。後ろを指差すと、少年が一人。急いでいるのか、何やら苛立たしそうに腕時計をつついている。その苛立ちが伝染ったのか、少女は少年に怒鳴った。 『ちょっとベン!?いつまでモタモタやってるの!?逃げられちゃうわよ!?』 ムッとした様子で少年も返す。 『分かってるって!でも、このウォッチがへそ曲がりでさ!あー!もうっ!』 怒り任せに腕時計を叩く少年。すると、ピピッという音と共に、腕時計の文字板部分が隆起した。 「よしきた!ヒーロータイムだ!追跡なら頼むぞ!XLR8(エクセラレート)!」 dice1d10=7 (7)

6 19/02/22(金)23:41:50 No.571434169

No.は無印の第2シーズンのOP準拠です 少々お待ちください

7 19/02/22(金)23:42:53 No.571434429

緑色の光が少年を包む。光の中から現れたのは、鋭い牙と、強靭な筋肉、加えてエラと尾を持つ半魚人のようなモンスター。いや、エイリアンである。 『リップジョーズ!?あー……最悪だ。エクセラレートを選んだのに!!!』 リップジョーズは強靭な筋力と鋭い牙で戦うエイリアンヒーローである。が、それは水中での話だ。見た目通り、陸上での戦いには向いてない。それどころか、呼吸が出来ないため長時間の活動も出来ない。今は出てきてほしくなかったエイリアン筆頭である。 『アンタ何やってるのよ!?こんなところでリップジョーズになって何がしたいわけ!?』 少女が呆れたようにリップジョーズを責める。 『仕方無い。このままやるしか……グウェン、手伝ってくれ』 『しょうがないなぁ……いくわよ!!』 少女が掛け声を上げると、竜巻が発生。リップジョーズを包み込み、ヒキガエルの方まで吹っ飛ばした。

8 19/02/22(金)23:43:50 No.571434714

『うおおおおお!!!??』 驚きの声と共に、吹っ飛んでいくリップジョーズ。上手い具合に、ヒキガエルの前に着地した。 『もう少し優しくやってほしかったな……』 愚痴りながら、リップジョーズは鋭い爪でヒキガエルを攻撃する。ヒキガエルは怯み、動きを止めた。 『またお前か、忌々しいベン・テニスンめ!こんなところまで来て、私の研究の邪魔をするつもりかぁ!!』 吠える男。対称的に、リップジョーズは力無く、 『ハァ……俺だって……旅行先でまで、アンタの相手はしたくなかったよアニモ……ハァ……早いトコ……ケリをつけよう……』 『ふむ。どうやら元気が無いようだな、ベンよ。ならば私が休みをプレゼントしてやろう!』 やれ、と男が命令するとカエルは猛突進を繰り出した。渇きによって弱っているリップジョーズは回避できず、直撃してしまった! 『うぅ……』 呻きながら倒れ込むリップジョーズを尻目に、男は再び逃げ出した。 『そこでゆっくりと休んでるがいい。ヒーローにも、休みは必要だろう?ハハハハハハハハッ!!!』

9 19/02/22(金)23:44:32 No.571434926

『しっかりしなさーーーい!!!』 リップジョーズは少女の声に叩き起こされると同時に、顔面に冷たいものを叩き付けられた。べちゃべちゃしていて、土臭い。これは…… 『それしか無かったのよ!干潟の泥!それも液体でしょう?』 泥パックよ、少しはイケメンになるんじゃない?と、遠くで笑う従姉妹を睨み付けつつ、立ち上がる。絶対、もっとマシな液体があったはずだ!八つ当たり気味に、逃げようとするヒキガエルの背中に思いきり体当たりを食らわせた。ヒキガエルは大きくバランスを崩し、倒れた。 『ぬおおおおお!?』 上の男も、バランスを取るのに必死なようだ。今がチャンス!リップジョーズはカエルの背に飛び乗ると、男の足を払った。男は前のめりに転倒し、カエルの背から転げ落ちた。そのまま後頭部を強かに打ち付け、キュウと、気絶したようだ。

10 19/02/22(金)23:45:15 No.571435122

ビー!ビー!とブザーが鳴る。ヒーロータイムの終わりを告げるブザーだ。少年のウォッチのエネルギーが切れ、赤い光を発する。少年は元の姿に戻った。 『オーイ、ベン!』 遠くから駆け寄ってくる人物。この少年の祖父である。 『今日も大活躍だったな!よくやったぞベン』 『まあね。で、アニモはどうする?』 『あぁ、配管工の日本支部に引き渡そう。きっと安全だ。さ、戻ろう』 『待ってじいちゃん。まだやることがあるんだ』 少年は残されたヒキガエルの怪物に向き直ると、無理矢理、口を抉じ開けた。中から、さくらが転がり出た。 『捕まった人を助けないと。おーい、大丈夫ですかお姉さ……ん……』 「見ないで!!」 少年と祖父は息を飲んだ。そこにいたのは、カエルのよだれでメイクが落ちたゾンビィだったのだから。

11 19/02/22(金)23:45:34 No.571435227

『二人ともー!終わったなら早く戻ってきて……よ……』 そこへフランシュシュを引き連れて、少女がやって来た。少女も、少年や祖父と同じく息を飲み、フランシュシュの面々はしまった、と顔を青くする。気まずい沈黙。誰の心もどやんす状態だった。 「あれ……もしかして、テニスンさん?」 そこへ、唐突な素頓狂な声。主は幸太郎だ。 『あっ!僕です僕!巽幸太郎です。お久し振りですテニスンさん』 『おお、コウタロウ君かい?久し振りだねぇ!約束通り、君の活動を見に来た。素晴らしいライブだった!邪魔が入ったけどね』 固く握手する二人と、おいてけぼりのその他。愛が質問した。 「知り合いなの?この……外国の方と?」 「おう、そうだ!俺がハリウッドいたとき世話になった人でなぁ!マックス・テニスンさんだ。『……そちらのお二人はお孫さんで?』 『ああ、そうだ。二人とも自慢の孫だよ』 少年と少女は訳もわからずとりあえず誇らしげにしてみた。

12 19/02/22(金)23:45:55 No.571435334

『ところで、彼女達なのだが……』 ギクリとして、幸太郎は固まる。値踏みするようなマックスの視線が刺さった。 『死んだ人間をゾンビィとして生き返らせているね?』 『すすす、すみません!でも、悪いことをしている訳ではありません!どうかナルボイド送りだけは……』 取り乱して、慌てる幸太郎。だが、マックスは優しく、 『勘違いしているようだが、配管工は違反者を何が何でもナルボイド送りにするわけではない。許される特例だってあるんだ。彼女達のさっきのライブを観れば分かる。君は悪事には手を染めてはいない』 『そ、それじゃあ……』 『?……ワシが君をナルボイド送りにするとでも?』 ホッと、胸を撫で下ろす幸太郎。 「あぁ、だから今朝から落ち着きなかったとやな?グラサン、このジーさんにビビっとったわけだ!」 「余計なこと言わんで良い!」 ばつが悪そうに、幸太郎が喚いた。

13 19/02/22(金)23:46:39 No.571435554

『許されはしましたが、どうか彼女達のことは秘密にしておいてほしいのですが……』 幸太郎が申し訳なさそうに頼む。 『ああ、もちろんだ。代わりと言っては難だが、孫達のパワーのことも秘密にしておいてほしい。特にベンのウォッチについては、見なかったことにしてくれ』 もちろんです、と幸太郎は力強く頷いた。 『でも、もったいないよなぁ。せっかくのゾンビィの姿を見せられないなんて。超クールなのに!』 『アンタって本当にデリカシー無いわね』 少女は難色を示したが、少年の何気無い一言が、フランシュシュの面々には少しだけ嬉しかった。

14 19/02/22(金)23:47:12 No.571435701

『ま、メイク……もとい変身してもブサイクなアンタよりは数十倍カッコいいわね』 『何だよ、エイリアンヒーローカッコいいだろ?』 『そうね、変身前の方がブサイクだもんね』 言われ放題の少年。だが、そこへ助け船が。 『でも、さっきさくらちゃんを助けてくれた時はカッコよかったよ?』 リリィの一言に、少年はパァッと笑顔になる。 『本当!?というか英語上手いね』 『仕事柄ね~?それより、良ければもっと変身見せてほしいなぁ』 『よーし!分かった!任せとけ!』 調子に乗った少年が、思いきりウォッチを叩く。緑色の光が迸り、中から現れたのは…… 身長15センチの小型エイリアンヒーロー、グレイマターだ。 『ああ、もうっ!!こういう時ぐらいカッコつけたっていいだろーー!?』 ウォッチに向かって怒鳴るグレイマター。少年の嘆きは、皆の笑い声と共に、青空に溶けていったとさ。

15 19/02/22(金)23:49:00 No.571436185

終わりました ダイスで展開が左右するの書いてみたいと思ったらこういう形になりました ナルボイドとは犯罪者を送る流刑地で配管工は犯罪者を取り締まる組織のことです

16 19/02/22(金)23:51:24 No.571436788

反応に困る!!

17 19/02/22(金)23:52:58 No.571437202

ハリウッドで繋がりが…?

18 19/02/22(金)23:53:43 No.571437398

アメリカってだけでは?

19 19/02/22(金)23:55:07 No.571437777

ベン10かよ!? ライダーがアリならアメリカン・ヒーローもアリか…

20 19/02/22(金)23:56:32 No.571438173

無印ならあれか フォーアームズとかいた辺りか

21 19/02/22(金)23:57:05 No.571438309

カートゥーンネットワークとかだっけ… マニアック!

22 19/02/22(金)23:58:59 No.571438830

カートゥーンネットワークだね… 今も見れるのかな

23 19/02/23(土)00:07:06 No.571441233

すげえコラボを見た まさかのベン10とは…

24 19/02/23(土)00:12:26 No.571442699

知ってる人どれくらいいるんだ…

25 19/02/23(土)00:21:18 No.571445039

あっサイコミのバレンタイン企画でJSに負けた人だ

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