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19/02/14(木)00:01:45 「グラ... のスレッド詳細

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19/02/14(木)00:01:45 No.569285992

「グラサン、お疲れ」とアタシはいつもの様に声を掛けると ことり、とコーヒーカップを机に置きます。 時刻は午前0時過ぎ。丁度日付けも変わった所。 「いつも悪いな」「なぁんが」 他愛の無いやり取りをして、お盆を抱き締めじっと背中を見つめていると カップに手を伸ばしたグラサンの鼻がひくつき、そしてそっとひと啜り 「…ホットチョコか」「ん…」 「ああ、バレンタインだったな」「ん…」 「しかしちょいとばかし温い気が…」「……」 「…?おいサキ?」違和感を感じたのか、グラサンがこちらを振り返りました。 「えっあっおい?…サキお前…何泣とんじゃオイ」「泣いとらん」 「ボロッボロ目から零れとるじゃろがい!」「泣いとらんばい!」 アタシは遂に堪えきれず俯いてしまいました。 浮かれていたのだ、と思います。 皆がチョコだ、と張り切っていたので。自分も「普通の女の子」の気になって。

1 19/02/14(木)00:01:55 No.569286057

最近はポテトサラダ以外のレシピにも挑戦したりしていたので すっかり自分が料理が上手になったのだ、と勘違いをして… マジカルパティシエファイターことちんちくに頭を下げて色々と教えて貰ったのに 渡す時の事ばかり考えて… 後はもう大丈夫、ありがとなちんちく!と一人でやろうと暫くして 残ったのは形のままならない、グシャグシャのチョコの山でした。 もう時間が無い、とかっ飛ばした末に産まれて来たのは焦げたチョコの塊でした。 「ラッピングのリボンもやーらしか箱も色々用意しとったとに…へへ…馬鹿みたいやろ? だからせめてチョコだけでも渡そうと思ったばい…」 でも結局、これでいいのかとドアの前まで来て迷っている内に 無駄に高揚していた心も、ホットチョコも冷めてしまっていたのでした。 「はぁ…このバカタレが。ちょっと来い」「えっ…?」 いいから来い、と腕を掴むグラサンに促されるまま アタシは台所へと連れて来られてしまいました。

2 19/02/14(木)00:02:09 No.569286147

「何をとっくに終わった気になっとるんじゃいバカゾンビィが…何かサキお前 バレンタインはアレか?日付けが変わったらすぐ終わるんですかー?じゃあ残り時間はなんじゃい! しょぼくれた顔しおって。エプロンをつけろ。手を洗え。そしてこれを見ろ」 ごそごそと物色を始めたグラサンが戸棚から、冷蔵庫の中から。 製菓用チョコレートと蜂蜜、生クリーム、それとブランデーを取り出しました。 「いいか。俺達のバレンタインはまだ終わっちゃいない」「グラサン…」 「いい加減泣きやまんかい!調子狂うわ!俺が教える通りにやってみろ」 うん、と頷きアタシは再度チョコレートに向き合います。 まずチョコレートを細かく刻みボウルに入れました。 次に生クリームと蜂蜜をを鍋に入れ、沸騰したら火を止めて 熱いうちに刻んだチョコレートを入れて泡だて器で空気が入るように良く混ぜます。 「次にブランデーを入れたらラップをしろ。少し熱くてもいいから冷蔵庫に入れて一晩寝かせるんだ」 「いや、グラサンそれじゃバレンタインが終わっちまうやろ」 「いいから。冷蔵庫を開けてみろ…同じ型のボウルがあるからそれを取り出せ」

3 19/02/14(木)00:02:41 No.569286301

成る程あけてみると確かにボウルがあり、中には少量でしたがチョコレートが入っていました。 「それが一晩寝かせたものだ。それを使え」 次に料理用の手袋をつけ、20g位ずつに丸めたら少しの間冷蔵庫で寝かせて冷やします。 その後、ココアパウダーをパッドに敷き上で転がせばトリュフの出来上がりです。 「…出来た…」「ほれ見ろ。できたじゃろがい」 うん、うんと何度も頷きます。じわ、と目尻が歪んだので慌てて拭いへへ。と笑ってみせました。 「マジカルパティシエファイターの教えは何も間違っていない。…ほれ」 ぽい、とグラサンが何かを投げたので慌てて受け取ると それは透明な袋に包まれ、ピンクのリボンで先端を結わえられたいくつかのトリュフでした。 「これ…」「お返しじゃい」 お前らがチョコを寄越したらくれてやるつもりだった、とグラサンはそっぽを向きながら呟きます。 三倍返しなんぞに乗る位なら、当日チョコを渡した方がマシじゃろがいと言うのです。 「じゃ、さっき冷蔵庫にあったのはグラサンの作った残りか…」 ここにもマジカルパティシエファイターがいたようです。 「……こぉたろ」「なんじゃい」「甘かね」「しっとるわい」

4 19/02/14(木)00:02:52 No.569286359

さっきのホットチョコだって、ちゃんとお前の気持ちが入ってた。 そんな事を言われるとまた視界が滲むのでアタシは一つ良い事を思いつきました。 作りたてのトリュフを一つ手に取り、「こぉたろ」と声を掛けます。 側に寄り添って「食べて」と呟きトフュフを咥えて見せました。 「お前…」グラサンは困った顔をして、右を、左を見て溜息をつきます。 自分でもけったいな真似をしている自覚はあるのですが、仕方ありません。 やっぱりアタシには無理なので。普通の女の子と同じ事とか、無理なので。 より胸が高鳴る方を、高揚する方を。ついつい思いつき、選んでしまうのです。 「んっ…ふ…」 グラサンだって、それに付き合うのだからお互い様だと、そう思うのです。 チョコの甘味が、ほのかなブランデーの風味が口内に広がります。 半分はグラサンが持っていってしまっているので舌を伸ばし、グラサンの口内へと出かけていき トリュフはどこかと探すのですが中々見つかりません。 唇を、歯茎を。そしてグラサンの舌の表と裏を… 丹念に探すうち、やがてグラサンの味しかしなくなっていました。

5 19/02/14(木)00:03:37 No.569286621

「はぁ…」「サキ。お前甘い物苦手じゃなかったか?」 お互い熱い吐息を吐きながら聞いてきたグラサンにアタシは首を振りました。 「がばい好き」「あ。そうかいそうかい…」 ならもう一つ二つは食ってもいいな、と今度はグラサンが口にトフュフを咥えました。 仕方なかね、とアタシもニヤリと笑い、再び顔を近づけて… 以上です。

6 19/02/14(木)00:04:42 No.569286989

ややややーらしか!!!!!

7 19/02/14(木)00:07:21 No.569287824

もっと口移ししなんし!

8 19/02/14(木)00:08:13 No.569288102

力作だな…

9 19/02/14(木)00:09:25 No.569288472

あまーーい!!! 甘々ドスケベでありんす!!!

10 19/02/14(木)00:10:22 No.569288839

読んでるとチョコを食べたくなってくるな

11 19/02/14(木)00:11:20 No.569289142

ウッゼ!こいつらウッゼ!

12 19/02/14(木)00:12:40 No.569289577

トリュフは簡単だしおすすめでありんすよ ちょっと濃い目の珈琲と一緒に食べるのがオツでありんす

13 19/02/14(木)00:15:26 No.569290631

甘かー!

14 19/02/14(木)00:16:46 No.569291121

わっちはこの光景を肴に珈琲を飲む花魁

15 19/02/14(木)00:23:22 No.569293390

やーらしか…

16 19/02/14(木)00:29:53 No.569295426

ありがとうマジカルパティシエファイター ありがとうマジカルパティシエファイター

17 19/02/14(木)00:38:14 No.569297671

サキちゃんが弱気になるのやーらしか

18 19/02/14(木)00:38:43 No.569297782

>「がばい好き」「あ。そうかいそうかい…」 ふおお

19 19/02/14(木)00:40:13 No.569298143

調理してる様子を細かく表現してるの好き

20 19/02/14(木)00:41:23 No.569298438

これはできるグラサン

21 19/02/14(木)00:41:23 No.569298439

抱きなんし!!!! 抱きなんし!!!!!!!

22 19/02/14(木)00:55:20 No.569301464

甘すぎる…… ばってん途中の料理番組みたいな下準備でダメだった

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