虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 19/02/10(日)22:44:52 No.568546302

#2 前後不明のまま異人の館にて起床す。 女衒とみられる男が喚き散らす前にて同輩と共に座し、哀怒流なる商いの計画を拝聴す。 同輩達、生前こそ振り返るべき美人揃いと見られしが、成る程ぞんびとは損美と見つけるより他に無し。 頬は痩け目は落ち窪み死人の肌をしてなお活動する様、我ながらこの世のものとも思えじ。 ただ理離萎なる禿（かむろ）が戯れてくる様にぞ心を慰めける。 ―――――《夕霧》の日記より

2 19/02/10(日)22:45:31 No.568546504

#3 哀怒流の商いなるもの、遊郭と異なり、旅芸人の如く芸事のみにて持て成すものと心得り。 女人達が憚らず手足を閃かせ激しき舞いに身を投じる様、開国の新風を感ずること甚だし。 然しながら芸事の心得はあれど、まるで異なる芸風にて同輩共々大いに戸惑う。 消沈して場を離れし同輩の下へ向かいし時より、若干の覚えを欠く。 生前より興奮した折には我を失い、周囲の話を聞かざること多々あり。反省す。 下痢羅来舞は衆人の求める水準には到底至らず、己の無力を痛感す。 己が損美であればこそ、新しき美を求めるべし。 ―――――《夕霧》の日記より

3 19/02/10(日)22:46:03 No.568546667

#4 温泉街の散策にて大いに新風を感ず。 心は平静の有り様に据えて大仰に捉えることを避け、然れども進歩を取り込むこと忘るべからず。 されどこの黒石で固められ鉄車が走る街とて田舎極まるとの談には驚きを隠せず。 東京はいかなる魔境かと思い愛殿に伺えば、「日々習うこと激しく、見物には行かれず」と応えり。 哀怒流も遊女と同じく、籠の鳥と思われり。 ―――――《夕霧》の日記より

4 19/02/10(日)22:46:21 No.568546752

>下痢羅来舞 ひどい

5 19/02/10(日)22:46:27 No.568546790

#5 料亭にて鶏料理の接待を受く。 将軍様とて味わえぬごとき美味の品々には、往時の者達に幾分の罪悪感すら覚ゆるなり。 同席する同輩達の喜ぶ顔、何より上等の味付けとすべし。 されどこれは久方ぶりに出すべし、この時代の排泄場はいかなるものかと案じて純子殿に伺えば、 「哀怒流、糞は出すまい」と赤面して応えり。 遊女とて日々捻り出すもの、哀怒流とは超常のものと関心せり。 果たしてその後、催す事なし。

6 19/02/10(日)22:47:01 No.568546991

#6 大舞台での来舞の日程差し迫りし中、純子殿未だ復帰せず。 前回の反省より平手打ちは差し控え、桜殿と咲殿に一任せしが未だ有効な手立てなし。 愛殿の意気ますます軒昂にて修練は激しさを増すが、危さも見えり。 今はただ人事を尽くし、天運に委ねるのみ。 ―――――《夕霧》の日記より

7 19/02/10(日)22:47:31 No.568547182

#7 今日の出来事まさに筆舌に尽くし難く、己が心の内に留むるが最上と心得て、詳述することなし。 一事のみ、先にらいぶを来舞と当てしが、此の体験に習い雷舞と呼ぶべきと思われり。 さて館へ帰還し後、純子殿の篭りし部屋を掃除せんと訪れしが、奇妙な白緑の茸を数個見つけり。 生前に多数の茸――例えにあらず――を扱いし己にも未見のものなれば、昂揚を覚えり。 いかなる作用を齎しうるか、近く試みん。 ―――――《夕霧》の日記より

8 19/02/10(日)22:47:51 No.568547298

#8 理離萎殿の件は殊更気の毒に思われ、親より先に夭折することの不幸せを嫌が応にも思い起こさせらるる。 損美なるものの物悲しさを痛感せられしが、時代の違い故か、同輩達はさほど気にする風にも見えじ。 さて先日の茸のこと、館で見つけし薬研をもて入念に破砕し、興行場所への到着時に気分を損ねたりし純子殿に服用さす。 酔いに特段の効果は無かれども、その後ようよう幸太郎殿への執着増大する気配見られし。 時と共に冷め遺恨を残すこともなし。大変面白き作用のこと、折をみて他の同輩達にも勧めてみん。 ―――――《夕霧》の日記より

9 19/02/10(日)22:48:12 No.568547422

#9 先に用を為さぬ薬を与えた罪悪より、乗り物酔い打破の圧迫法を身に付け、車中にて試みる。 桜殿の指摘の如く、損美にはさしたる効果を生まじ。 首と胴が離れ頭に長物が刺されど応えぬ損美のこと、不調は体より気塞ぎによる影響強しと推察さるる。 同輩達を支えるにおいては、医術より仁徳をもってあたるべしと心得り。 ―――――《夕霧》の日記より

10 19/02/10(日)22:48:13 No.568547427

なにやってんの！？

11 19/02/10(日)22:48:32 No.568547525

#10 人は所詮他人のこと、すれ違う時は避けがたし。 その折に為しうるは、絶えず貴方のこと忘れじとの手紙を送り続けることの他になし。 さりとて時代が異なる話ゆえ、伝わらぬ折には此方より馳せ参ずることも必要とならん。 （追記） 居酒屋にて若干の覚えを欠く。反省す。酒飲では無きことにて。 ―――――《夕霧》の日記より

12 19/02/10(日)22:48:53 No.568547618

損美って表現よかね…

13 19/02/10(日)22:48:56 No.568547636

#11 精神の支えとも謳うべき桜殿が己を見失いて以後、同輩達は混乱するのみなり。 己自身も何を血迷いしか、衣装など着込みて口説きに向かい、徒らになりぬ。 此処は男の出番なり。孤独な女は事の外男に靡きやすし。 生前の因縁も浅からぬ風の彼の人であれば、思いを汲み取るに支障あらずと思わるる。 然しながら成果得られずとならば――只ひたすらに仁徳をもって迎える以外になし。 ―――――《夕霧》の日記より

14 19/02/10(日)22:49:31 No.568547842

#12 桜殿は舞の中で己を取り戻し、雷舞――雪舞と称すべきか――は大なる反響を得て終焉す。 感慨無量であり今回も詳述は避けたし、されど如何でも記しておきたし心あらば、筆を取らん。 雷雨に大雪にと大難を被れども、舞い切ることに成功せし。 其は我々が損美ゆえであらんや――必ずしもさにあらんとの実感あり。 然らば己の、同輩達の体験は何がしかの形にて、今日の生者達に伝えうるものなり。 其は人の世に遍く在るべきものにつき、死人の、不幸な一生の、一遊女のという卑下などいささかも要せず。

15 19/02/10(日)22:49:44 No.568547915

我々はもはや損美でなし、美あるもの――存美として、美を世に現す責務を課せられし。 此の道の行く末は如何や、と思わずにはいられぬ。 されどもし道続くこと無かれども、別の道へ歩みを進めるのみ。とうとう道無くば、また眠りを得るのみ。 その姿こそ、己に与えられし柔らかな未来に邁進という節に習う、有り様を体現することに他ならん。 今は只、死後に最上の生を得るという、世の倣いに背く珍奇な定めを与えし者達に感謝せん。 長くなりぬ。今一度皆で共寝をせんと理離萎殿が言うために、一事だけ記して筆を置く。 平手打ちせし時、その一部始終の覚えに支障なし。良き哉。 ―――――《夕霧》の日記より

16 19/02/10(日)22:50:10 No.568548067

以上 文体は適当でありんす

17 19/02/10(日)22:51:04 No.568548343

あっ評価なんて無理で(ｽｩｰｯ

18 19/02/10(日)22:51:10 No.568548373

よさげに見えてビンタ以外でもちょいちょいやらかしとるぞこの花魁！

19 19/02/10(日)22:51:41 No.568548533

戸惑いから信頼へとしっかり進んで行くのがいいよね… でもキノコの件は謝ろうね

20 19/02/10(日)22:52:13 No.568548693

居酒屋のことは覚えてないでありんす

21 19/02/10(日)22:52:27 No.568548772

損美→存美 とりあえずメモしとこう。がばいよか表現ばい

22 19/02/10(日)22:52:53 No.568548915

姐さんは詩人だなぁ

23 19/02/10(日)22:53:19 No.568549047

なんて言うか姐さんらしさがあって好き文だと思うのですよ

24 19/02/10(日)22:53:34 No.568549141

たつみ…だいぶバレてるぞお前…

25 19/02/10(日)22:55:43 No.568549818

凄い…

26 19/02/10(日)22:56:04 No.568549925

>我々はもはや損美でなし、美あるもの――存美として、美を世に現す責務を課せられし。 いいねえ…

27 19/02/10(日)22:56:53 No.568550190

>酔いに特段の効果は無かれども、その後ようよう幸太郎殿への執着増大する気配見られし。 なにやってんの！？

28 19/02/10(日)22:57:33 No.568550411

いいこと言ってるようでテンションでしか行動してねぇ！

29 19/02/10(日)22:58:21 No.568550648

すんごいテンションで書いてそうな日記

30 19/02/10(日)23:02:04 No.568551772

全話ダイジェストor各話予告風怪文書は可能性が広がるのう

31 19/02/10(日)23:03:46 No.568552312

これは新しい 古い人のはずなのに

32 19/02/10(日)23:04:37 No.568552559

（ゆうぎりが楽しそうで俺も首が繋がったよ…）

33 19/02/10(日)23:05:27 No.568552791

こういうのいいな

34 19/02/10(日)23:06:38 No.568553175

哀怒流ってサキちゃんが喜びそうなセンスだ

35 19/02/10(日)23:08:21 No.568553700

ぷりぷりゆぎりんは記憶をなくす…

36 19/02/10(日)23:08:48 No.568553848

実際ゾンビィたちってうんちおしっこどうしてんだろうね 汗や唾液は出るけど血は出ないみたいだし

37 19/02/10(日)23:08:48 No.568553850

よさそうと思ったらきのこ件でだめだった

38 19/02/10(日)23:08:53 No.568553873

>哀怒流ってサキちゃんが喜びそうなセンスだ 本編でもグループ名付ける時にセンスが似てる所が見られたね

39 19/02/10(日)23:09:55 No.568554230

>実際ゾンビィたちってうんちおしっこどうしてんだろうね >汗や唾液は出るけど血は出ないみたいだし パイレーツオブカリビアンの不死の海賊に近い感じで舌の上までは正常で腹に入ると塵へと還る的なのかもな

40 19/02/10(日)23:10:28 No.568554396

なんかこう…魔術的に消費されるんだろう

41 19/02/10(日)23:11:10 No.568554615

>一事のみ、先にらいぶを来舞と当てしが、此の体験に習い雷舞と呼ぶべきと思われり。 ここ好きだわー というかこういう文章書けるのすごいな

42 19/02/10(日)23:15:15 No.568555993

こんな文なのに読みにくくもないしセンスあるな

43 19/02/10(日)23:15:26 No.568556054

なんで純子ちゃんにそれ飲ました

44 19/02/10(日)23:18:08 No.568556936

力作だねぇ

45 19/02/10(日)23:19:19 No.568557333

いい怪文書だ

46 19/02/10(日)23:20:19 No.568557672

姐さんは文化人でいらっしゃる…

47 19/02/10(日)23:22:41 No.568558443

>平手打ちせし時、その一部始終の覚えに支障なし。良き哉。 12話のビンタはテンションに任せたのでなく己の意志を込めて打ったと 高揚感と充足が伝わってくるようで好き

48 19/02/10(日)23:23:25 No.568558658

花魁はかなりの教養求められたらしいからな 田舎侍だらけの新撰組なんて客になれんレベルだったと思うがどうなのやら

49 19/02/10(日)23:26:08 No.568559587

たまに可愛いやらかししてるな花魁

50 19/02/10(日)23:27:54 No.568560168

>田舎侍だらけの新撰組なんて客になれんレベルだったと思うがどうなのやら まるで相手にされなかった新撰組隊士の頭を当時4歳の姉さんがナデナデヨシヨシしたんじゃないかな

51 19/02/10(日)23:28:52 No.568560480

漢字って美しいなって思えた怪文書だった

52 19/02/10(日)23:37:34 No.568563506

姐さんの真剣な想いが伝わってくる良い文書だ 良き哉──