ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/01/13(日)03:21:14 No.561586783
夜。 洋館の居室で、物憂げな少女……肌がいささか緑色の継ぎ接ぎじみている……が、ネグリジェを着て、1杯の紅茶を喫んでいた。 時折、ほう、とため息をつき、やがて紅茶を飲み干す。 その時、部屋に現れたストライプのパジャマを着た紺色の短髪……やはり肌に包帯が巻かれ、緑肌の……少女が銀髪の少女に話し掛ける。 「お疲れ様、純子」 「ありがとうございます、愛さん」 2人はソファに並んで座り、しばらく言葉を交わさず、天井の方を見て昼間の余韻に浸る。 「ライブは、いいものね」 「ええ、緊張しましたけど」 「みんな上手くなってきた、歌もダンスも」 「はい、これも愛さんの指導のおかげです」 「いいえ、みんなの頑張りが、あってこそよ」 愛、と呼ばれた少女……水野愛がソファから立ち上がり、大きくのびをする。
1 19/01/13(日)03:21:57 No.561586846
純子は、紅茶のおかわりを取りにキッチンに向かおうとしていた。 「そんなに飲んじゃ、眠れなくなるわよ」 「平気です、ゾンビですから……愛さんも飲みますか？」 「……頂こうかしら」
2 19/01/13(日)03:22:49 No.561586911
しばらくして、ティーカップを2つ持った純子が部屋に戻ってくる。 ありがとう、と言って、受け取る愛が、あれ？ と小さな声を上げた。 「眠れなくなるといけないから、ミルクティーにしてみました」 「あんたはいいの？紅茶、2杯目でしょう？」 「平気です」 ちょっと納得できない、という顔をしていた愛だが、ミルクティーの放つ香気に鼻をくすぐられ、ティーカップを口に付ける。 「美味しい」 「ありがとうございます」 純子はティーカップを持ったまま、窓際へと向かう。 カーテンを開けると、空には満天の星が広がっていた。 「かつての私は、夜空にまたたく星の中でも、ひときわ輝いていました。文字通り、スターになろうとしていたんです」 「わたしも、天に輝く星を、掴もうとしてみたことがあったっけ」 愛と純子が、カーテンを開けた窓から星空を見上げる。
3 19/01/13(日)03:23:38 No.561586987
「いまの私たち、フランシュシュはまだ産まれたばかりの、暗い小さな星です」 「うん」 「でも、いつか7つの輝く星になりたい。夜天を明るく照らすような」 愛が純子の肩を抱き寄せる。 あっ、とこぼれそうになるティーカップを掴み、純子がちょっとだけ愛を睨んだ。 「わたしたちはいちど消えた星。でも、何の因果かまた再び輝くことができた。星の光を明るく、華やかにするために、出来る事を全てやりましょう」 「ええ」 愛と純子は、残っていた紅茶を飲み干す。 カーテンを閉めると、満天の星は隠れ部屋の薄暗い照明だけが残った。 「もう遅いわ、寝ましょう」 「ええ」 部屋の照明を消して寝室に向かう時に、ふと窓の方を振り返る。 星明かりに照らされ、カーテンが薄ぼんやりと光っていた。 「あの光に、私たちはなるんです。再び」 純子が、静かに、厳かに言った言葉は、愛の胸の中にずっと響いた。
4 19/01/13(日)03:23:50 [sage] No.561587009
おしまい
5 19/01/13(日)03:26:06 No.561587207
書き込みをした人によって削除されました
6 19/01/13(日)03:32:53 No.561587730
こんな深夜に来たのか…
7 19/01/13(日)03:33:58 No.561587809
よか…
8 19/01/13(日)03:38:50 No.561588196
su2824904.txt 文字化けしたみたいなので…
9 19/01/13(日)03:41:33 No.561588398
> 愛が純子の肩を抱き寄せる。 あっ…
10 19/01/13(日)03:44:45 No.561588643
純愛はこのコンビというか同志感がたまらない
11 19/01/13(日)03:47:42 No.561588842
>純愛はこのコンビというか同志感がたまらない 盟友というか戦友って感じがする 世代のギャップを乗り越えてからは特に
12 19/01/13(日)03:51:35 No.561589119
ネタキャラツートップみたいな二人だからこそ逆にこういうのが映える…
13 19/01/13(日)03:51:44 No.561589136
よかよ…
14 19/01/13(日)04:08:41 No.561590382
もう一度夢を追いかけるのいいよね…
15 19/01/13(日)04:40:48 No.561592327
気持ち悪い
16 19/01/13(日)05:47:41 No.561595729
一度頂点を知ってる二人だけどフランシュシュには更にその二人も見たことの無い世界を見せて欲しいと思う
17 19/01/13(日)06:18:43 No.561597135
プロの誇りよかよね
18 19/01/13(日)06:22:15 No.561597277
>「かつての私は、夜空にまたたく星の中でも、ひときわ輝いていました。文字通り、スターになろうとしていたんです」 >「わたしも、天に輝く星を、掴もうとしてみたことがあったっけ」 日常風景と違ってアイドルであることには一過言ある純子と「成長していくアイドル」の愛の対比になってて良い....
19 19/01/13(日)06:25:23 No.561597396
>「眠れなくなるといけないから、ミルクティーにしてみました」 >「あんたはいいの？紅茶、2杯目でしょう？」 >「平気です」 > ちょっと納得できない、という顔をしていた愛だが、 ここの純子ちゃんのさりげないお姉さんムーブがやーらしか・・・