19/01/12(土)01:09:19 ◆「行け... のスレッド詳細
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19/01/12(土)01:09:19 No.561317268
◆「行けよ!いつまで持つかわからねえ……イヤーッ!」スーサイドがソニックブームに押し勝った!鯖折りめいて抱え込み、壁に叩きつける!「グワーッ!」さらに曲がり角の奥めがけて投げつける!「グワーッ!」◆ ニンジャソウルが与えた鋭敏な感覚と判断力によって、ヤモトは死を厭わぬスーサイドの悲壮な覚悟を察した。彼女は彼を振り返らなかった。 小走りのままにカラオケルームのドアを開けると、端の席にいたアサリが振り向いた。 「ヤモト=サン、おかえり!」 「次はヤモト=サンだね」 ちょうど歌い終えたマチが寄ってきてマイクを差し出した。ヤモトは受け取って席に座ったが、どの歌を歌えばいいのか決められない。リモコンを持ったまま考えあぐねるヤモトに、 「これはどう?」 アサリが曲ブックから指を挟んでいたページを見せた。そこらのガキでも知っているような歌である。流行に疎い自分への気遣いに違いない。ヤモトの目がじわりと潤んだ。 「それにする」 「カワイイー!」 何がカワイイかはよく分からないのだが、ヤモトもマイクを持った手を上げて応じた。曲のイントロが流れ始めた。
1 19/01/12(土)01:10:22 No.561317511
「ヤモトー!てめー!」 スーサイドがドアを蹴破って現れた。優勢だったのは一瞬だけで、その後はソニックブームに完膚なきまでに叩きのめされていた。今はソニックブームの鼻に指を突っ込んで全力でパワーを吸っているので、ギリギリ叩き殺されずに済んでいる。 アサリ達は鼻に指を突っ込み合っている二人の闖入者へ訝しげな視線を送っている。皆に迷惑を掛けまいと、ヤモトはガイドメロディを背にカラオケルームを出た。 「アタイに何か用?」 「何か用じゃねーだろ。何普通にカラオケ歌ってくれちゃってんの?」 「だって行けって言ったじゃん」 「普通逃げろって意味に取るだろ。つーか取れ。最初に俺がお前だけ呼び出した意味ぐらい分かれ」 「そしたらあなた死んじゃうじゃん。アタイ見捨てらんないよ」 見捨ててる真っ最中だったじゃねーか、と言いそうになったがスーサイドは黙った。ニンジャソウルを吸っているとはいえそろそろ指は限界に近い。仮に指が鼻から抜ければ即座に背骨をヘシ折られてサヨナラである。ヤモトの助けを借りる他はない。 「…分かった!力を貸してくれ!ヤモト=サン!」 「イヤーッ!」
2 19/01/12(土)01:11:56 No.561317883
ヤモトのカバンからひとりでに飛び出した折紙爆弾がソニックブームとスーサイドを襲った。 廊下は狭かったので折紙は全部スーサイドに命中した。スーサイドは空いてる方の手でヤモトの胸ぐらを掴んだ。 「あのさ、それやったら全部俺に当たるってわかってたよね?今ワザとやったよね?」 「やってないもん。避けないのが悪いんでしょ」 一理はある気はするが納得いかない。スーサイドは側の扉を開けて、中にいたトレンチコートとハンチング帽の男に聞いた。 「おっさん!アンタどう思う!」 「どうとも思わん。どちらにせよその男は私が殺すと決めている」 「ん?」 男はニンジャに変身していた。 「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」 名乗りを終えたニンジャスレイヤーはソニックブームをスーサイドの指から引っこ抜いて担いだ。パワーを吸われ尽くしたソニックブームは枯れ木のように痩せている。ニンジャスレイヤーとソニックブームが去ると、後にはヤモトとスーサイドが残された。 「なんか解決したしとりあえず歌うかー!」 ショーゴーとヤモトはハイタッチをして、四人の待つカラオケルームへ戻った。 二人のその後はよく分からない。 <終>