虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

  • iOSアプリ 虹ぶら AppStoreで無料配布中
  • 古今東... のスレッド詳細

    削除依頼やバグ報告はメールフォームにお願いします。 個人情報,名誉毀損,侵害等について積極的に削除しますので、メールフォームより該当URLをご連絡いただけると助かります

    19/01/03(木)22:42:54 No.559417801

    古今東西、女子の集むるところにおいて必ず起こりうる話題と言えば何であろうか。 そう、コイバナである。 色々と激動の日々だったために夜はゾンビがごとく死んだように眠る日が続いたこの洋館であったが、うら若き乙女(?)だった七人が集まっている以上、その話題が起こらぬ道理はなかった。 「そ、そう言えば、みんな生きとる頃には浮いた話とかなかったと?」 「浮いた話…とは?」 ある日の夜のこと。 枕を豊満な胸に抱え込みながら少し頬を染めて問いかけたさくらに対して、純子は首をかしげながら問い返した。 「ああ…色恋沙汰でありんすか。乙女が集まれば今も昔も絶えぬ話題でありんすなぁ」 「あっ! そ、そういうことでしたか…」 紫煙をくゆらせながらゆうぎりが微笑むと、純子がはっとして頬を染め顔を伏せた。

    1 19/01/03(木)22:46:06 No.559418783

    「おいおい、そういう話すんならよ、まず自分からするべきやなかと? なあさくら!」 サキがにたーっと意地の悪い笑みを浮かべながらさくらの肩を抱く。 「え、ええっ!? 私!?」 さくらはあわててどやんすどやんすと声を漏らしていたが、伏し目がちに言った。 「小学校中学校はなんもなかったけど…高校の時は、ちょっとだけ…」 「お? 付き合ったんか? どこまでいったと?」 「サキちゃん親父くさーい」 「うっせ、ちんちく。で、どうなんよさくら」 「う、ううん…ただのクラスメイトだったから…そんなに話すこともなく死んじゃったし…今考えたらもっと話しておけばよかったなぁって…」 「甘酸っぱいでありんすなぁ…」 「うう…次はサキちゃんだからね! もう!」 ぷくーと頬を膨らませてさくらがサキに話を振る。

    2 19/01/03(木)22:46:36 No.559418942

    「あたしか? うーん…ずっとチームで暴れまわっとったけんな…そーいうのはなかった…」 「あんた、さくらに話させといてそれはせこいんじゃないの?」 「うー」 愛とたえの責めるような瞳にサキはうっ、と気まずそうな顔をした。 「んなこと言うてもホントにないっちゃけんしゃーないやろ…そもそも、根性なしの男なんぞ嫌いやけん…よっぽど気合い入っとるやつやないとお断りばい」 「なんだかちょっと納得です…」 「じゃあ具体的にどんな男の人ならよかと?」 「そーやな、がばい根性あって腕っぷし強くて、めちゃくちゃやっててもあたしを引っ張ってくような男がよか」 「ハードルたかーい」 「へへ、そんな男がおったらな…ん?」 と、ふとサキは顎に手を当てた。その条件で一人思い浮かぶ男がいないでもないような… 「…いやあれはないな。うん。次は愛なー」 愛にバトンを渡しながらサキは脳裏に浮かんだ男の顔を首を振って掻き消した。 ないな。うん、ないない。

    3 19/01/03(木)22:47:04 No.559419066

    「あたしは…小学校の頃から養成所入ってたから、そういうのにうつつを抜かす余裕もなかったわ」 「そっか…私と同い年でトップアイドルやもんね。やっぱ子供の頃からがばいがんばっとったんや…」 さくらにキラキラとした尊敬の瞳で見られて、愛が照れ臭そうにぷいっと顔を背ける。 サキがつまらなそうに唇を尖らせた。 「なんじゃそら、つまらん。ほんまになんもなかったと?」 「まあ…学校では男子に結構絡まれたりしてたけど…」 「やっぱりモテモテだったんだねー愛ちゃん」 「…あんまりいい思い出ではないわね。女の嫉妬って怖いのよ…」 「ああ…妬み嫉みを買ってしまいんしたか」 「うん…まあ、仲のいい友達もいたから、平気と言えば平気だったけど…」 「愛ちゃん…」 さくらがそっと固くなった愛の手に己の手を添える。…今も昔も、こうやって支えてくれる友達がいることはありがたい。 愛はそっと微笑みをこぼした。

    4 19/01/03(木)22:48:42 No.559419591

    「純子はんはどうでありんすか?」「わ、私…ですか…」 先ほどからもじもじと皆の話を聞いていた純子は、皆に目線を向けられて困ったように髪をくしくしと撫でた。 「純子の時代つったらよ、今の芸能界の大御所とのラブロマンスとかあるっちゃ?がばい面白そうやん!」 サキに聞かれて純子は紅くした顔を伏せた。 「……その…お付き合いを申し込まれたことは…何度かあります」 「は、はわわ…さすが純子ちゃん…」 「それで?付き合ったん??」「ァ、メッ!」 サキが身を乗り出しながら聞こうとするのを、たえが押し止める。 純子は顔を赤くしながらもきっと前を向いて高らかに答えた。 「とんでもないです! お付き合いはちゃんと成人してからです! わ、私はまだ19歳でしたし…そんなふしだらな真似、できません!」…そんな純子の言葉に、生暖かい空気が流れる。 「…なんというか、ほんと今時貴重な貞操の固さよね…」「今の人じゃないけどねー」 うーっと唸っている純子に、さくらがそっと言った。 「純子ちゃんはずっとそのままでええけん…」「さ、さくらさん…」 「昭和のメロドラマみてえだ」 サキがちょっと冷めた目で二人の会話を眺めていた。

    5 19/01/03(木)22:49:07 No.559419723

    「わっちでありんすか…」 ふぅ、と紫煙を吐き出すゆうぎりの気だるげな振舞いは、その他の未通女にはとても醸し出せないような妖艶で背徳的な雰囲気を醸し出していて、リリィ以外のメンバーはごくりと喉を鳴らした。 「とはいっても、わっちは恋を知りんせんから…あまり偉そうには言えないのでありんすが」 「えっ…そうなんですか?」 意外そうにさくらが声を漏らした。ゆうぎりは寂しそうに微笑みながら答える。 「わっちも愛はんと同じで、十のころにはこの道に入っておりんしたから…色恋に焦がれ、身を滅ぼすお人もようけ見てきんした…」 「ゆぎりん…」 悲しそうな顔をするリリィの頭をそっと撫でてから、ゆうぎりは少し意地の悪い笑みを浮かべた。

    6 19/01/03(木)22:50:06 No.559420028

    「まっ、それはそれとして床のお話ならいくらでもありんすが」「床のお話って、え、ええっ!?」 「それはもちろん花魁の――」「けけ、結構です結構です!!」 純子とさくらは顔を真っ赤にして涙目になりながら首を横に振った。 リリィは教育に悪いからとふたりに保護される。 たえは指をくわえながら二つに別れるゾンビィたちを眺めていた。 「…正直ちょっと興味あるかも」 「お?、愛、お前結構むっつりやんな、へへ」「うっさい」 「それではお二人はちとこちらへ…」 ちょいちょいと艶のある手つきで招かれ、ゆうぎりたち三人は部屋の隅にこそこそと集まった。 「な、なんの話しとるんやろ…」「うう、やらしいのは嫌いです…」「さくらちゃん、なにも聞こえないよう」 リリィの耳を塞ぎながらさくらと純子が待っていると、五分くらい経ってから顔を真っ赤にしたサキと愛が戻ってきた。 「…正直舐めてたばい。花魁ってすげーや…」「…………な、なによ三人とも。こっち見ないでよ」 「お二人には刺激の強い話でありんしたか」 くすくすとからかい笑いを漏らすゆうぎり。二人はもやもやとした気持ちを隠せなかった。 「うう…どやん話してたんやろ…」

    7 19/01/03(木)22:50:44 No.559420206

    「んで、ちんちくはどーなんよ」 だいぶんピンク色に包まれた空気を入れ替えるために十分ほどのインターバルが置かれたあと、コイバナは再開された。 この場で唯一の男…男と言うには少し怪しいが…性別上は男であるリリィは、気安げに肩を叩いてくるサキを少し膨れ面で見返した。 「ちんちくじゃないもん、リリィだもん!」 「つか、お前男と女のどっちにモテんだ?」 「さ、サキちゃん!デリカシー無さすぎだよ!?」 サキの悪意のないぶっこみにさくらが慌てるが、リリィは乾いた笑みを漏らして答える。 「…いや、小学生男子ってほら…あれじゃん? リリィ男の子はあんまり好きじゃないかなー…」 「あー…」 さくらと愛の現代組は納得したような声を漏らした。クラスメイトの男子にさんざんからかわれた記憶が甦ったからである。 小学生男子という生き物はとにかくバカだし、ちょっと気になる子や浮いた子をからわかわずにはいられない性質を持っている。 おまけにリリィは男であっても男らしい振る舞いをよしとしないという得意な存在。男子からはさぞ異端に見えたことだろう。 リリィはふう、とため息をついて答えた。

    8 19/01/03(木)22:50:58 No.559420296

    「まあ男の子にも女の子にも結構告白されたんだけどね…」 「…お、男の子にもモテたんですね」 「男の子はキライだし…女の子と付き合うって言うのもよくわからないし…みんなほんとのリリィじゃなくてテレビのリリィのことばっかり見るんだもん…」 「リリィちゃん…」 この中でもっとも若くして成功したリリィ。彼にしかわからない苦労がそこにはあった。 「でも、みんなみたいな人がクラスにいたら、きっと…」 ぼそり、と、リリィは誰にも届かない言葉を呟いた。

    9 19/01/03(木)22:51:30 No.559420471

    少ししんみりした空気を吹き飛ばすようにサキが声を張り上げた。 「…で、たえは?」 「アゥ?」 「サキちゃん、たえちゃんは…」 苦笑いして止めようとしたさくらだったが、たえは少し照れた顔をして頭を掻いた。 「エヘヘ」 「えっ!? あるん!?」 「今日一番の衝撃だわ…」 「いや、でもたえさんは妙齢の女性ですし…そういう話もあるのではないかとは…」 女性陣が姦しく騒いでいると、ドタドタという足音と共に部屋の扉が蹴り開けられた。

    10 19/01/03(木)22:52:29 No.559420777

    「お前らいつまで騒いどんじゃーい! ぎゅーらしくてワシが寝られんやろがい!!」「わっ、すみません!?」 「言うてまだ十一時やぞ? あたしら小学生じゃないっちゃけん」 「やかましいわー!! アイドルは小学生くらいの生活してちょうどええんじゃい!!」 「まあ、一理あるわよね…あんたが一番うるさいけど」 「ほれ、とっとと寝んかい!」 ぷりぷりと怒ってゾンビィたちを散らせようとする幸太郎に、さくらが声をかけた。 「幸太郎さんは…好きな人とかおらんかったと?」 ぴたり、と幸太郎の動きが止まる。 サングラスの下の表情は窺い知れないが、その顔はさくらを見返したまま固まった。 「俺は…」「お?」 サキが興味津々に耳を傾ける。幸太郎はゆっくりと口を開くと―― 「ってなんでお前らにワシの華麗な恋愛経験を教えてやらなあかにゃあかんのじゃーい! くだらんこと! 聞いてないで! とっとと寝ろこのバカゾンビィー!!」「はぅわわわわわわわ!!」 幸太郎はさくらを布団で簀巻きにすると今度こそ部屋を出ていってしまった。 「…小学生男子?」 ぼそっとリリィが呟いた。さくらは目を回して簀巻きにされたまま朝まで眠る羽目になった。

    11 19/01/03(木)22:53:31 No.559421047

    幸太郎は部屋に戻り、椅子に座り込んでいた。 『幸太郎さんは…好きな人とかおらんかったと?』 上目使いの表情と、いつか見た記憶の中の満開の笑顔が重なる。 「…そりゃあ…反則じゃい、バカゾンビ」 サングラスを外し、顔で手を覆いながら――幸太郎は一人、呟いた。

    12 19/01/03(木)22:54:19 [sage] No.559421304

    終わりじゃい オールキャラって難しかね

    13 19/01/03(木)22:54:35 No.559421387

    よくぞ書ききった!

    14 19/01/03(木)22:54:36 No.559421393

    はいやーらしか お前やーらしか

    15 19/01/03(木)22:55:12 No.559421583

    やらしか!やらしか! よか…

    16 19/01/03(木)22:55:26 No.559421660

    みんなやーらしか!

    17 19/01/03(木)22:57:08 No.559422230

    酸いも甘いも知り尽くすたえちゃんやーらしか…

    18 19/01/03(木)22:58:10 No.559422547

    やーらしか!はいやーらしか!幸太郎さんやーらしか!

    19 19/01/03(木)22:58:33 No.559422652

    はー!やーらしかねー!

    20 19/01/03(木)22:58:57 No.559422771

    純子ちゃんおぼこすぎひん?

    21 19/01/03(木)23:00:48 No.559423332

    たえちゃんが合間合間でやーらしか

    22 19/01/03(木)23:02:28 No.559423856

    リリィがちょっと切ない からの小学生男子?で笑った

    23 19/01/03(木)23:03:05 No.559424080

    ムッツリ愛ちゃんよかね

    24 19/01/03(木)23:04:11 No.559424456

    かーっやらしかー

    25 19/01/03(木)23:04:19 No.559424494

    皆やーらしか…

    26 19/01/03(木)23:04:49 No.559424667

    >ないな。うん、ないない。 やーらしか!

    27 19/01/03(木)23:05:01 No.559424751

    なんというか巽の意思が形になって表れてるフランシュシュに性的知識を仕込むのすっごく背徳的でいいわ

    28 19/01/03(木)23:06:11 No.559425308

    姐さんの床の話に興味があります

    29 19/01/03(木)23:07:42 No.559425986

    よか...

    30 19/01/03(木)23:10:29 No.559427037

    恋バナよかね…

    31 19/01/03(木)23:11:40 [sage] No.559427493

    あっ最後の行顔で手を覆ってしまっとるわ 手で顔を覆うの間違いやけん…

    32 19/01/03(木)23:14:25 No.559428479

    好きな人に好きな人いるの?って聞かれるのよかよね!

    33 19/01/03(木)23:15:44 No.559428970

    たえちゃんの裏設定無粋かもだけど知りたいよね

    34 19/01/03(木)23:17:25 No.559429631

    巽はほんとやーらしかのう

    35 19/01/03(木)23:18:02 No.559429866

    実は幸太郎が一番乙女説

    36 19/01/03(木)23:19:22 No.559430325

    作詞とか見てるとポエム心はあるしな…

    37 19/01/03(木)23:19:43 No.559430467

    バカゾンビっていいながらスレ画の笑顔を思い返しているといいです

    38 19/01/03(木)23:19:45 No.559430483

    唯一伝説の中身が不明で年も明らかに離れている... 何か理由あると絶対重いものになりそうだから巽が来る前から館に住んでた謎の野良一般人ゾンビィ説がしっくり来ちゃう

    39 19/01/03(木)23:20:37 No.559430802

    >好きな人に好きな人いるの?って聞かれるのよかよね! 乾君の立場だとどう転んでも地獄では・・・?

    40 19/01/03(木)23:23:49 No.559431860

    >「ってなんでお前らにワシの華麗な恋愛経験を教えてやらなあかにゃあかんのじゃーい! めちゃんこ慌ててる…

    41 19/01/03(木)23:28:35 No.559433512

    >バカゾンビっていいながらスレ画の笑顔を思い返しているといいです 絶対そうじゃろや…

    42 19/01/03(木)23:30:46 No.559434214

    オールキャラはよか…

    43 19/01/03(木)23:30:55 No.559434276

    >ないな。うん、ないない。 やや、

    44 19/01/03(木)23:31:45 No.559434568

    まさおって下手な女子の数倍可愛くて女の子らしいしまさおに初恋して性癖が歪んだ小学生はまあまあな数いそうだ

    45 19/01/03(木)23:31:52 No.559434606

    苦労してそうなリリィがとても可愛かったです

    46 19/01/03(木)23:32:55 No.559434922

    フランシュシュがみんなできゃいきゃいしてる怪文書は多幸感がすごい

    47 19/01/03(木)23:39:05 No.559436818

    >枕を豊満な胸に抱え込みながら >豊満な胸に ねぇこの描写いる?

    48 19/01/03(木)23:39:23 No.559436923

    >フランシュシュがみんなできゃいきゃいしてる怪文書は多幸感がすごい こういう幸せ空間よかね… ドラマCDとかで聞きたい

    49 19/01/03(木)23:39:47 [sage] No.559437047

    >>枕を豊満な胸に抱え込みながら >>豊満な胸に >ねぇこの描写いる? いるに!決まっとる!!じゃろがい!!!