ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
18/12/26(水)19:59:35 No.557322392
前回のゾンビランドサガは! 今年最後の大仕事、フランシュシュ初めての大規模ファン感謝祭inクリスマスもやっぱり大騒動! 何故か愛ちゃんが42.195km走って会場に来る事になったりゆうぎりさんのビンタ百人抜きが大行列だったりさくらびっくりして顎が外れちゃうよーぅ! びっくりと言えばサキちゃんのエプロン姿やリリィちゃん純子ちゃんのお姫様ドレスも外せないよね!がば可愛かったぁー! あ、それとそれとたえちゃんがね、なんと一人で握手できるようになっちゃってまぁ!さくらお母さん涙ちょちょぎれちゃったよ~よよよ…… ちなみに相変わらず持っとらん私は皆が居る控室で粉塵爆発起こしちゃいました☆ゾンビが丈夫でよかったね、さくらてへぺろっ! そんなこんなで今年もお疲れ私!お疲れ幸太郎さん!お疲れフランシュシュ! 後は皆で寝正月なのだっだっだ~!
1 18/12/26(水)20:00:32 No.557322683
怒涛の展開すぎる…
2 18/12/26(水)20:01:04 No.557322817
何があった過ぎる…
3 18/12/26(水)20:01:12 No.557322850
12月26日の牢屋ミーティングは感謝祭の興奮冷めやらぬまま、いつもより遥かに高いテンションで行われた。 幸太郎が五月蠅いのはいつもの事だったが、山彦のように元気のいい挨拶を返すさくらも紛れもなく最高潮だった。 「ハイという訳でフランシュシュ初めての大ファン感謝祭が終わりましたぁーがっ!……どうだった、さくら」 「ファンの皆と一杯交流できて楽しかったです!!」 「おーそうかそうかよかったのう!もう今年に思い残すことはないか?」 「はい!ありません!」 「あるに決まっとるじゃろがい勝手に成仏すんなこんボケェーーーーーー!年末のアイドルと言えばなんじゃい!?なんかあるじゃろがい!」 「え…………あっ紅白!紅白とですか!?すごい!」 「どこをどう弄ったら今年作ったゾンビィアイドルグループにオファー来るんじゃい天狗ゾンビィがーーーーーーーー!!!!!!」 「えぇ……じゃあ何なんですか……」 「分からないなら付いて来い。レッスンルームに全ての真実がある」 大股で歩き出す幸太郎の後を追うさくらを見送ってから、残りのメンバーも仕方なく席を立った。
4 18/12/26(水)20:02:20 No.557323113
粉塵爆発が大ごとじゃないってわけじゃないけどそれだけの大仕事でよく粉塵爆発で済んだなさくらちゃんもっとこう天変地異的なことが起きるのかと
5 18/12/26(水)20:02:21 No.557323118
さくらが目にしたレッスンルームは大変貌を遂げていた。 色とりどりの華やかなライトが照らすのは、昨日まで影も形もなかった大舞台。 壁の近くには目立たないように黒い機械が設置され、舞台手前には四畳程の畳が敷かれている。 天井近くを見上げてみれば、『青白ゾンビィ歌合戦』と銘打たれた虹色のダッサイ横断幕がゾンビ達の微かな期待を削ぎ落す。 「これって……ステージ!?」 「そうだ!今年は出れずとも、お前たちはいつか必ず紅白に出る日が来る!その時の予行演習が必要だ! つまり今夜はゾンビィ対抗歌合戦じゃーーーーーい!!!!!!」 「えぇぇぇぇぇぇ~~~~~っ!?」 幸太郎は勝手に壇上へ上り、わざわざマイクのスイッチを入れて大声で叫ぶ。 理想的な驚きリアクションをするさくらにご満悦の彼を見るゾンビ達の視線は冬の夜空よりも尚冷たかった。 「……漫才は終わり?練習したいんだけど。早くこれ片付けてよ」 「あーあー言うと思ったそういう事言うと思っとったわーい!愛ちゃんは真面目でちゅもんね~? そんなお前らでもやる気にさせるのが敏腕プロデューサーじゃい!さくら!壇上に登れぃ!」 「えっ!?あっはい!?」
6 18/12/26(水)20:03:23 No.557323326
「本大会は歌合戦という事でして、一位の方にはそれなりの賞品もご用意しております。 今回まずご紹介するのはこちら!佐賀牛焼き肉一か月分チケットです!」 真っ先に舞台に背を向けて歩き出していた愛の足が止まる。 「佐賀牛、一か月分……なんか凄そうやね!幸太郎さん、これどうやって使うとですか?」 「使い方はカンタン!このチケットを一枚千切ってお渡し頂ければ、その日の夕食が佐賀牛の様々な部位を使った焼き肉に早変わり!」 「えっ本当に凄い……あっ分かった!実は量が凄い少ないとかそういうオチですね!?」 「今回精肉店様の全面協力を頂いておりますので、一枚につき最大2kgまで提供させて頂けます!」 「にきろ!?一人で!?食べきれんよそんなの!」 「そうじゃろそうじゃろ豪華じゃろ~?いやーでも参加者がおらんならこれはさくらにでも譲るしかないかのぉ~」 「……やる」 「ん~?今なんか聞こえたかのぉ~?さくらさんや、ワシャ耳が遠くてのぉ~?」 「フランシュシュ三号水野愛、歌合戦やります!!!!!」 元気よく右手を挙げて参加表明する愛の目は飢えた獣のそれだった。さくらは安心した後にちょっとだけ苦笑した。
7 18/12/26(水)20:04:22 No.557323533
「ドンドコ行きますよぉー次はこちら!ドラ鳥50食無料送迎付きコッコさんコース!」 「ハイハイハイハイハイ!アタシもやる!!ぜってーフランシュシュのテッペン獲ったるけん!!!」 「佐賀が誇る名酒鍋島飲み放題プラン!さが錦とあめがた一年分!個別CMのお仕事権!とある筋から手に入れた若返りの薬と対象指名権!」 「まぁ……年の瀬を寝転んで過ごすよりは、面白そうでありんすな」 「リリィもやりたーい!」 次々と発表される豪華景品にたえも頷いて賛意を示す中、一人参加表明の波に乗り遅れた純子はもじもじとその場でキノコを生やしていた。 見るに見かねたさくらが幸太郎からマイクを分捕り、舞台の上から純子へと手を伸ばす。 「純子ちゃん、一緒にやろっ!」 「……はいっ!」 かくして全員参加となったフランシュシュの無邪気なはしゃぎぶりを見て、幸太郎はサングラスの奥でほくそ笑んだ。
8 18/12/26(水)20:04:24 No.557323538
相変わらずの肉食系だな愛ちゃん
9 18/12/26(水)20:04:29 No.557323556
愛ちゃんはさあ…
10 18/12/26(水)20:06:07 No.557323920
「はいルールの説明しまーす耳かっぽじって聞きんしゃい。……さくらぁーリモコン配り終えたかー?」 「大丈夫でーす!」 さくらが配ったリモコンには0~10までの数字ボタン、そして危険色のテープで囲われた見るからに怪しい真っ赤なボタンが取り付けてあった。 「歌わない奴は審査員だ、それぞれが10満点で点数を付けて全員の平均を獲得点数とする。 だが、歌や踊りが下手な奴がいつまでも残れる程芸能界は甘くない。このリモコンに秘められた恐るべき機能!それは! 曲の始まりから終わりまで、いかなるタイミングであろうと赤ボタンを押した観衆が過半数を超えた」 瞬間、幸太郎の姿は壇上から消えた。ぼふっと情けない音が聞こえ、舞台に空いた大穴からいくつかの白い粉が舞う。 「人の話は最後まで聞かんかいこんぼけぇーー……」「ぼけぇー……」「ぇー……」 「あぁ……こがんなるとですね」 呆れ返ったさくらの呟きは穴の中に吸い込まれて消えた。
11 18/12/26(水)20:06:44 No.557324051
押すのはえー
12 18/12/26(水)20:06:56 No.557324097
粉塵…
13 18/12/26(水)20:07:39 No.557324254
なんでだろう嫌な予感がしてきた
14 18/12/26(水)20:08:18 No.557324414
胸騒ぎがするな…
15 18/12/26(水)20:08:26 No.557324439
地下室から続く階段を登って壇上に復帰した真っ白な幸太郎に突っ込みを入れてあげる優しいゾンビはいなかった。 彼自身もそれは承知の上だったのか、特段怒る事もなく淡々と説明を続けていく。 「優勝の条件は二つ。まずは当然トップである事、次に五巡歌い終えた時点で得点が30点を越えてる事。 優勝者には賞品の中から一つを進呈、一人もおらんかったら全部俺のもんじゃーーーーい! 奥の特設カラオケマシンにゃ昭和から平成まで大体の曲は入っとるから得意分野で勝負しんしゃいやりんしゃい! ハイ説明終わりさっさと順番決めて歌い出さんかいのんびりゾンビィ共ホレGOGOGOGOG」 騒々しく手を叩く幸太郎が再び壇上から消え、ようやく静かになったレッスンルームでは和気藹々とした空気の中順番決めが行われた。 「あ、サキちゃんが一番やね!」 「っしゃオラアァァ!初っから全開行くぞお前らーーー!!!」 「ヴァーー!」 「皆見て見てー!お菓子とジュース見つけたー!」 「一応そういうのも用意してあるんですね」 「もうただの忘年会ね……別にいいけど」 「ふふ……お座敷が懐かしいでありんすなぁ」
16 18/12/26(水)20:08:34 No.557324467
オチは恐らくあれか…
17 18/12/26(水)20:09:50 No.557324758
サキが準備を終えたのを確認して、天井の照明が一斉に落とされる。 いくつかのスポットライトによって照らされた舞台の上に舞い戻って来たサキは、特攻服を着込んで不敵に笑っていた。 イントロが流れ出したのを見計らって、伝説の特攻隊長は朗々と語り出す。 「えー弐号だけど一番!二階堂サキィ!コッコさんのために心ブッ込んで歌います! 九州制覇からぁ、全国制覇。笑うような奴は……ぶっ殺すぞ?」 フランシュシュのメンバーにこの前口上を知らない者は一人もいない。 愛と純子はその選択に目を見開き、他のメンバーはもう体を揺らしてリズムに乗っていた。 サキが歌う渾身の特攻DANCEに乗せられて、会場のボルテージは最大速度で高まっていく。 「ホント、流石特攻隊長ね……いきなり十八番を突っ込んでくるなんて」 「サキさん、らしいですね。……でも。歌だけは、誰にも負けたくありません」 「純子はそうでしょうね。ま、私も負ける気はないけど」 「そっこんとこ!」 「「「夜・露・死・苦!!!」」」 闘志を漲らせるアイドル二人の傍らで、能天気なゾンビ達は無邪気に合いの手を入れ続けた。
18 18/12/26(水)20:10:11 No.557324835
ここまでは微笑ましい
19 18/12/26(水)20:11:42 No.557325224
曲が終わり、ポーズを決めるサキの傍らに真っ白な幸太郎が胡散臭い笑顔で躍り出る。 「はーい早速盛り上げてくれました二階堂サキさんで『特攻DANCE』でした~。それじゃ得点ドーーーン!!!」 全員が注目するカラオケマシンに表示された点数は『8.8』。 「来たァァァーーーーーーーーッ!!」 「おーよかったいよかったい一曲目にしてはええ調子じゃのう! お前らも賞品目指してじゃんじゃん続きんしゃいじゃんじゃん!じゃんじゃんじゃんじゃん!」 全力ガッツポーズを決めるサキを全員が祝福する。 その輪の中からいち早く抜け出した純子は舞台裏でゆっくりと深い呼吸を数回繰り返して、アイドルとしての衣装を身にまとった。 昭和アイドルの矜持を見せてやれ――いつかの幸太郎の言葉が脳裏に蘇る。 「今が、その時。……ですね」 いつだって一人で歩いてきた昭和のステージを思い出しながら、純子は舞台へと駆け出していく。 両手で大事にマイクを抱え、細い足でもしっかりとステージに立つ姿は紛れもなく昭和を魅了した伝説そのものだった。 「二番、四号、紺野純子、心を込めて歌います。聞いてください……『うらみ・ます』」 純子は落ちた。
20 18/12/26(水)20:12:32 No.557325414
選曲が…
21 18/12/26(水)20:13:00 No.557325525
昭和はさぁ…
22 18/12/26(水)20:13:01 No.557325530
昭和の女はさあ…
23 18/12/26(水)20:13:02 No.557325532
穴の底から「ぎゃふん!」という声が聞こえてきてからしばらく。 全速力で階段を駆け上がり、怒りに任せて部屋の扉を開け放った小麦粉まみれの紺野純子は昭和白まんじゅうと化していた。 「今のどういう事ですか!?!?!?!?」 「どうもこうもボッシュートじゃい」 「一音も歌わない内にボッシュートってなんですか!私は紺野純子ですよ!!?!?!?!!?」 「落ち着け純子。お前の歌唱技術を疑っとる奴なんて一人もおらん。俺達も聞けなくて残念なんだ」 「じゃあなんなん!なんなんなんなんですかこれは!!!!!??」 「選曲」 一語で問題点を纏めてみせた幸太郎に、フランシュシュ一同も大きく頷いた。 「いや……特攻DANCEの後にあれはないでしょ」 「リリィもちょっと心が疲れてるのかなって思ったよ」 「せめていつもの(※まちぶせ)なら……」 「ヴヴヴィヴォヴェー」 メンバーから次々飛ばされる口撃に純子はもう泣きそうになっていた。
24 18/12/26(水)20:13:10 No.557325560
ひどい…
25 18/12/26(水)20:13:11 No.557325563
湿っぽいよ…
26 18/12/26(水)20:13:16 No.557325588
賞品やたら豪華だな・・・
27 18/12/26(水)20:14:01 No.557325763
まちぶせが鉄板な時点でひどいよ!
28 18/12/26(水)20:14:22 No.557325847
流石に見かねた幸太郎が声のトーンを調整し、真面目なフォローを入れる。 「落ち込むな純子。選曲の失敗なんて次から修正すればいい、昭和の伝説はこの程度では揺るがない!」 「……巽さんはボタン押したんですか」 「押しました。正直どんな曲だっけと思いながらもうタイトルからアレだったんで押しましたー!」 不満そうに頬を膨らませる純子は実にうらみ・がましい目線を幸太郎へ送った。 先程の激励もボタンを押したのも、彼の中では矛盾しない真実だと分かっているからこそ純子はぷんすか怒った。 「私、決めました」 小さく丸めた背中から暗黒のオーラを噴き出しながら、純子は幸太郎を見上げて睨む。 「本気の本気で、トップを狙いに行きます。そして、巽さんに若返り薬を飲んでもらいます。 何にも知らない小学生くらいまで戻ってもらって、そこから昭和の全てを再教育します」 冗談だよね?とフォローを入れようとしたさくらは純子の据わりきった目をまともに見てしまい何も言えなくなった。 まぁ景品用意したのは幸太郎さんサイドだし多少自業自得の面もあるし正直私も小さい幸太郎さん見てみたい、そういう気持ちでもってさくらは口を噤む事にした。
29 18/12/26(水)20:14:57 No.557325999
きのこもさくらも…
30 18/12/26(水)20:15:21 No.557326077
最悪乾君出ちゃう…
31 18/12/26(水)20:16:25 No.557326353
まあ本気で歌で勝負してたアイドルが一音も出せずにボツされたら怒るよね
32 18/12/26(水)20:16:34 No.557326395
続いて愛、さくら&たえ、リリィ、ゆうぎりの順に一巡目が終わる。 デンモクをめちゃくちゃに操作したたえが偶然選曲したムーンライト伝説をさくらが見事に歌ってみせる、ゆうぎりの採点が10点満点中100点など様々なハプニングを織り交ぜながら歌合戦という名のカラオケ大会は二巡目に突入する。 依然トップを爆走するサキを0.2点差で追う愛、開幕落下した昭和白まんじゅうを除いたメンバーは団子になって6~7点付近に固まっていた。 「サキちゃんトップじゃん!すごーい!」 「へっへー!このままコッコさん定食50食はもらってくけんな!」 「わ、私達も頑張ろうねたえちゃん!お菓子あたり狙い目やけんね!」 「ヴァヴァ!」 「……」 想定外の先制を許した愛は会話の輪に加わらず、一人思案顔で逆転の道筋を探っている。 「私は歌える。私は歌える。私は紺野純子です。私は昭和のアイドル紺野純子なんです……」 一方の純子は巽が用意した分厚い曲目録に目を走らせ、あらゆるムードに対応できる選曲を全て紙に書き出す作業で忙しかった。
33 18/12/26(水)20:17:19 No.557326600
ちなみにうらみ・ますってどんな歌詞なの?
34 18/12/26(水)20:18:06 No.557326785
>「おーそうかそうかよかったのう!もう今年に思い残すことはないか?」 >「はい!ありません!」 >「あるに決まっとるじゃろがい勝手に成仏すんなこんボケェーーーーーー!年末のアイドルと言えばなんじゃい!?なんかあるじゃろがい!」 >「え…………あっ紅白!紅白とですか!?すごい!」 >「どこをどう弄ったら今年作ったゾンビィアイドルグループにオファー来るんじゃい天狗ゾンビィがーーーーーーーー!!!!!!」 ここ好き
35 18/12/26(水)20:18:39 No.557326933
>ちなみにうらみ・ますってどんな歌詞なの? うらみ~ま~す~♪
36 18/12/26(水)20:18:43 No.557326951
順番を入れ替え、二巡目のトップバッターは水野愛。 選曲は大塚愛で『黒毛和牛上塩タン焼680円』、「もっと私を食べて」と愛をねだる大人の女性の甘い欲望を焼き肉に喩えて歌う曲である。 普段はサッパリしている愛だがそこは伝説のアイドル。甘いものは徹底的に甘く、聴衆を蕩けさせる程の歌声を披露した。 夢中で歌を聴くさくらの目が自然と潤み、悲しくもないのに涙が出そうになる。小さな、しかしハッキリとした違和感があった。 「やっぱり……愛ちゃんは、ずっと私が憧れとった人やね」 嬉しい。水野愛の歌を間近で聞けるこの場所に存在出来るゾンビの体が嬉しい。 嬉しい。私よりも私を見捨てなかったあの人が、私を信じ続けてくれる事が嬉しい。 嬉しい。全てを諦めたあの時にそれでも手を差し伸べてくれる、一緒に失敗してもいいと言ってくれる仲間が居た事が嬉しい。 嬉しい。いつかもっともっと、あの水野愛よりももっと歌が上手くなりたいと思えるようになった私自身が、何よりも嬉しい。 一通り思い出を回想し終えたさくらは目に溜まった雫を袖で拭い、笑って赤いボタンを押した。 憧れの水野愛は満開の笑顔のまま垂直に落下していった。
37 18/12/26(水)20:19:08 No.557327057
おにく!
38 18/12/26(水)20:19:25 No.557327121
私は紺野純子ですよ!?が浸透してて駄目だった
39 18/12/26(水)20:19:43 No.557327207
ひっどい…
40 18/12/26(水)20:19:50 No.557327229
なんなの!?
41 18/12/26(水)20:20:01 No.557327280
ひでえ…
42 18/12/26(水)20:20:01 No.557327281
酷い流れだ…
43 18/12/26(水)20:20:09 No.557327332
ひどい...
44 18/12/26(水)20:20:10 No.557327333
ちょっと力入っちゃうことってあるよね・・・
45 18/12/26(水)20:20:10 No.557327337
「どういう事!!!?」 フランシュシュが誇る憤怒の化身として再臨した愛は全身に小麦粉を纏って宴会場に舞い戻った。 メンバーは無情にこみ上げる笑いを必死で堪えながら、なるべく穏便に神の怒りを鎮めようと口々に祝詞を奉納していく。 「愛ちゃん、がば可愛かったよ!」 「あー、歌はマジ最高やった。アタシもちょいドキッとした」 「正直お手上げでありんすな。さすが、伝説の平成アイドル……と言ったところでありんしょうか」 それぞれの言葉に嘘はない。幸太郎も含めて、愛の歌は間違いなく全員の心に響いていた。 「じゃあなんで落としたのよ!!!!!!」 俄然怒りを爆発させる愛の両肩に手を置き、幸太郎は彼女の目を真正面から見つめて沈黙した。 時間が止まる。熱狂していた聴衆がいつの間にか押し黙り、二人の行く末を見守り始める。 愛は小さく喉の奥を鳴らした。こんなに長い時間、黙って幸太郎に見つめられるのは初めての経験だった。 「いやどう考えてもお前食べる側じゃろがい」
46 18/12/26(水)20:20:18 No.557327376
>一通り思い出を回想し終えたさくらは目に溜まった雫を袖で拭い、笑って赤いボタンを押した。 >憧れの水野愛は満開の笑顔のまま垂直に落下していった。 おいこら
47 18/12/26(水)20:20:51 No.557327525
キャラクター性のミスマッチ…そういうのもあるのか
48 18/12/26(水)20:21:26 No.557327679
全員の忍耐が爆発し、会場は爆笑に包まれた。 ある者は彼女が頬いっぱいに鶏肉を頬張る姿を思った。ある者はそもそも今回の参加理由が焼き肉である事を思い出した。 またある者はテーブルの上で胸のホットプレートを広げて誘う水野愛が突如狂暴化して人を喰い始める恐ろしい光景を幻視した。 メンバー+幸太郎の全員に生じた違和感の正体はまさにこれであった。 つまるところ、十分に浸透していた『水野愛は捕食者(プレデター)』の共通認識こそが彼女を落下せしめたのだった。 「なんなの!!!!!?」 お決まりのセリフを頂いたところで歌合戦は再び動き始める。 二番手のさくら&たえが『さくらんぼ』を可愛いフリ付きで歌ってみせたかと思えば、ゆうぎりの『天城越え』が8点代に着地する。 リリィがお披露目前の新曲をサプライズで流して喝采を浴びた後、依然トップのサキが自信満々にマイクを握った。 「アタシが、勝ぁつ!コッコさん、待っとってくださいーーーーーいッ!」 「たつみー。確認したいんだけど、この歌合戦はバラエティーって事でいいんだよねー?」 幸太郎が無言で頷いたのを確認して、リリィはにっこりと笑った。
49 18/12/26(水)20:21:29 No.557327693
ひでえ・・・
50 18/12/26(水)20:21:30 No.557327696
水野愛は激怒した。
51 18/12/26(水)20:21:31 No.557327700
判定厳しいな…
52 18/12/26(水)20:22:12 No.557327873
>メンバーは無情にこみ上げる笑いを必死で堪えながら、なるべく穏便に神の怒りを鎮めようと口々に祝詞を奉納していく。 ここ好き
53 18/12/26(水)20:22:27 No.557327944
たえちゃんとゆうぎりは安定してそうだな…
54 18/12/26(水)20:22:44 No.557328026
>またある者はテーブルの上で胸のホットプレートを広げて誘う水野愛が突如狂暴化して人を喰い始める恐ろしい光景を幻視した。 ひどい
55 18/12/26(水)20:23:05 No.557328125
「ねぇねぇサキちゃん!リリィまだ踊り足りないの!バックダンサーになってもいい?」 「なんだぁちんちく元気有り余ってんのか!フリ分かんねーだろ?」 「それくらいアドリブで何とかするよ!リリィプロだもーんっ!」 「ったくしょーがねーなー……収まりがわりーからあと一人誰かやるならいいぜ」 リリィからの一瞬の目配せで全てを把握した水野愛は、プロ根性と良心の果てしないバトルを見守ってからゆっくりと手を挙げた。 「私もやる。さっきのじゃ消化不良だもの」 「うっし!じゃあ二巡目も特攻で突き抜けっぞ!!『喧嘩上等』!!!」 最高速で攻め続ける二階堂サキはいつだって前を見ていた。前しか見ていなかった。 背後に迫る手負いの獣たちの獰猛な視線に、幸福感のまま疾走する彼女は気付けなかった。 大きく息を吸い込む。イントロが始まる。目を開く。体をリズムに預ける。歌詞の入りまで5,4,3,2,1! 「星川リリィと!」 「水野愛の」 「「バックダンサーズコント~~~~!」」 二階堂サキはこの日、特大の"不運(バックダンサー)"と"踊(ダンス)"った。
56 18/12/26(水)20:23:16 No.557328172
ああ笑顔で引き金のくだりがボタンは
57 18/12/26(水)20:24:07 No.557328403
ホットプレートじゃないですしー ジンギスカン鍋ですし―
58 18/12/26(水)20:24:13 No.557328419
サキが唖然とした表情で立ち尽くしても、場の空気が一瞬で凍り付いても、プロたる二人は全く動じない。 「愛ちゃん愛ちゃん!サキちゃんと言えばやっぱり『特攻DANCE』だよね!」 「そうね。いつでもどこでも盛り上がれる良い曲ね」 「じゃあ今夜はもっともーっとファンを盛り上げるために、リリィと一緒に色んな掛け声考えてみようよ!」 「フッフー!」 「テンション高いねー。じゃあもうちょっと日本っぽく!」 「和ッ風ー!」 「いいねいいね!生のお肉は腐らないようにしないとね!」 「密ッ封ー!」 「ファン感で無理矢理エプロン着けさせられたサキちゃんが密かに「ちょっといいかもな……」って言ってたのは!?」 「夫ッ婦ー!」 「オチはサキちゃん!」 「「夜・露・死・苦!」」 「えっ……あっ……!?そ、そこんとこヨ」 三人同時に落ちた。
59 18/12/26(水)20:24:36 No.557328510
ついに足の引っ張り合い始まってる…
60 18/12/26(水)20:25:00 No.557328616
>胸のホットプレート ひどい
61 18/12/26(水)20:25:01 No.557328624
息ピッタリすぎる・・・
62 18/12/26(水)20:25:19 No.557328704
平成のアイドルはさすがだな…
63 18/12/26(水)20:25:21 No.557328714
流石元芸能人コンビ…
64 18/12/26(水)20:25:27 No.557328744
死なば諸共かこやつら
65 18/12/26(水)20:25:33 No.557328775
「あっはははははは!!!!あーっははははははははは!サキちゃん粉まみれーーーーー!」 「るっせぇぞちんちくてめーもまっ白けやろが!!!!つーかオイグラサン今のナシだろ!アタシひとっことも歌っとらんぞ!」 「バックダンサーが従うかどうかはアイドルのカリスマ性の問題じゃーーーーーーーーい!!!!」 「だって。お互い次頑張りましょ」 小麦粉まみれのままいい笑顔で自分の肩に手を置く眼前の存在が本当に伝説の何某なのか、サキは心から疑問に思った。 一足先に小麦粉の海から抜け出した二人が、光溢れるステージへと続く階段の上から振り向いてサキを見下ろす。 「あなたもリーダーならこの機会に覚えておきなさい、サキ。生き馬の目を抜く芸能界はね」 「とってもとっても厳しいんだよー!」 「んだそれテメーらマジでぶっ殺すぞ!!!!」 「あれはちょっと本気で怒ってるわね。逃げるわよリリィ!」 「がってんだーーーー!」 大笑いしながら階段を逃げ登る二人を追いかける二階堂サキはその怒髪天でもって二代目憤怒の化身を襲名した。
66 18/12/26(水)20:25:57 No.557328881
わちゃわちゃしとる…
67 18/12/26(水)20:26:04 No.557328911
これが13話か
68 18/12/26(水)20:26:25 No.557329010
ついに二代目が誕生した
69 18/12/26(水)20:27:03 No.557329204
「さくらさん、さくらさん。目を覚ましてください」 「ヴァウヴァー」 「……はぅ!?ご、ごめん純子ちゃんたえちゃん。なんか愛ちゃんがヨゴレ芸人みたいな事しとる夢見取った……疲れとるんかな……」 それ現実ですよと言いかけて純子は慌てて口を閉ざした。世の中には知らない方がいい事もある。 騒がしい観客席を後目に、舞台の上にはしゃなりと構えたゆうぎりがマイクを片手に微笑んでいた。 「花魁……今宵は、存分に舞わせて頂きます」 幸太郎も含めて全員が固唾を飲んで見守る中、イントロの終わりを合図にして雅な声が響き渡る。 「ゆうぎりの……大喜利。愛はんと掛けまして、純子はんと説きます。その心は……どちらも伝説のアイドルでありんす」 純子と愛は無表情のまま同時に手元の赤ボタンを押した。 「ゆうぎりの……大喜利。辰巳と掛けまして、戍亥と説きます。その心は……どちらも干支でありんす」 幸太郎はリモコンが壊れんばかりの速度で赤ボタンを連打した。 困惑しきったさくらの手すらも無意識に赤ボタンへと伸びていく。今の彼女には、唯一それだけがこの悲劇を断ち切る手段に思えてならなかった。
70 18/12/26(水)20:27:35 No.557329365
落とせー! 落とせー!
71 18/12/26(水)20:27:40 No.557329389
姐さんはさあ…
72 18/12/26(水)20:28:01 No.557329476
どう転んでもやな予感しかせえへん
73 18/12/26(水)20:28:08 No.557329500
姐さんやりやがった!
74 18/12/26(水)20:28:30 No.557329601
「待てさくらァ!天然やけん!姐さん天然やけん狙って笑わせるのはちょっと苦手なんだ!もうちょいだけ我慢して」 「でも!もう私見てられん!こんなん哀し過ぎる!」 「そんなんアタシだって同じに決まっとろーがぁ!でもよぉ!」 「サキはん。いいんでありんす、押させてあげなんし」 「姐さん……!」 「仲間意識で評価が狂えばそれこそ芸事への冒涜、わっちにも花魁としての誇りがありんす。最期まで己の芸と運命を共にす」 なんだかいい雰囲気を出している真っ最中にゆうぎりは落下していった。 「ゆうぎり姐さーーーーーーーーーーーーん!!!!!」 サキの悲痛な絶叫が響く。小麦粉飛沫はステージまで吹きあがり、いち早く飛び出したリリィが地下へと続く階段を駆け下りていった。 「巽さん」 「なんじゃい」 「そもそもこれ、歌合戦ですよね?」 「そうじゃい」 あまりにも当然の回答に、最後のボタンを押した山田たえもゲソを咥えながら大きく頷いた。
75 18/12/26(水)20:28:34 No.557329621
何やってんだ姐さん…
76 18/12/26(水)20:28:34 No.557329630
ブッコんできた
77 18/12/26(水)20:28:44 No.557329667
早く落としてやるのが人情だ!
78 18/12/26(水)20:29:15 No.557329794
姐さんこえーよ!?
79 18/12/26(水)20:29:18 No.557329799
ヴァウ
80 18/12/26(水)20:29:40 No.557329894
>「待てさくらァ!天然やけん!姐さん天然やけん狙って笑わせるのはちょっと苦手なんだ!もうちょいだけ我慢して」 まるでいつもの姐さんが狙わずに笑いを取ってるみたいな言い方!
81 18/12/26(水)20:29:45 No.557329914
「ゆぎりーん!大丈夫!?」 「ふふ……うふふふ……うふふふふふふふふ!!」 小麦粉の海で泳ぐゆうぎりが口元を袖で隠しながら笑っているのを見つけて、リリィはようやく安心した。 「……さてはゆぎりんってば、ワザと落ちたでしょー?」 「ご明察、わっちも一度は落ちてこの白いのを纏ってみたかったんでありんす。 さて、これでリリィはんともおそろいのおしろい。今宵は本におもしろい乱痴気騒ぎでありんすね?」 「リリィはゆぎりんのセンスがおそろしいよー……」 年相応にからからと笑ってみせるゆうぎりは、小麦粉まみれになっても美しかった。 ところ変わって舞台裏、三番手たる紺野純子の立場は難しいものとなっている。 まさかの三連続ドボンで緩み切った空気の中で何を歌うべきか、リストアップしておいた難しい歌謡曲ではまた歌えずに脱落となる可能性もある。 悩みに悩んだ末、純子は禁断の力を解き放つために巽の元を訪れた。 「巽さん。アレを貸してください」 「……本気か」 「本気です。私はどんな手を使ってでも歌います。それが、昭和の矜持です!」
82 18/12/26(水)20:29:54 No.557329958
何言い出すか分かったもんじゃないし残当
83 18/12/26(水)20:30:47 No.557330216
エレクトリックドライバー!!!
84 18/12/26(水)20:31:52 No.557330508
四番手の純子にライトが当たると、それだけで会場がどよめいた。 極限まで集中力を高めた伝説のアイドルの頭部に何故か、白いふかふかの猫耳がピンと生えている。 「純子ちゃんなんそれ……がばがばがば可愛かやん!」 「オイあれアリとや?なんかバリあっざといコスプレしとるぞ」 「忘年会なんだしいいんじゃない?サキもあの新妻エプロン持ってくれば点伸びるわよ」 「バッ……!二度と着るかあんなもん!!」 客席のヤジも何のその、完全に猫耳を体の一部として受け入れた純子は『黒ネコのタンゴ』を可愛く歌い上げた。 点数は堂々の『9.8』。カラオケマシンに表示された数字を見た純子が喜色満面その場で飛び跳ね、頭の猫耳もぴょんぴょん揺れる。 「やった!やったっ!ぃぃぃやったーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!! どうですか!見ましたか!聴いてましたか!?私は昭和のアイドル、紺野純子ですっ!」 「あがん喜んどる純子ちゃん初めて見たとよ……」 「最初のアレが相当堪えてたみたいだねー……」 ふんふん鼻息が聞こえてきそうな程興奮している純子に贈られる拍手はどこか生暖かった。
85 18/12/26(水)20:32:34 No.557330704
かわいい ずるい
86 18/12/26(水)20:32:46 No.557330757
ねこゾンビさん!
87 18/12/26(水)20:32:50 No.557330773
本気コワイ
88 18/12/26(水)20:32:55 No.557330797
やはりねこゾンビさんで勝負しに来たか…
89 18/12/26(水)20:33:10 No.557330859
「しつもーん!その猫耳なんだったのー?」 「わっちも気になりんした。何故化け猫娘のような装いを?」 「ふぇっ!?これはその……皆さんの……き、気を引くためというか……せんりゃく、というか…… すみませんねこゾンビ語でない質問はよくわかりません……あ、ありがとうございました、にゃ……」 アイドルモードが終了した真っ赤な顔のねこゾンビは猫耳を手で隠しながらそそくさと舞台を降りて行った。 和やかになったムードの中で、ゾンビィ歌合戦はお祭り騒ぎのテンションのままいつまでも続いていく。 三巡、四巡と回す毎に上がっていく歌のクオリティに比例しておふざけの密度も上がり、何故か酒が入り、さくらみたいなのが寿司を握り、水野愛は激怒した。 開幕から結託して赤ボタンを押しまくる輩も出始めた。被害者は唯一安定して点を稼いでいたさくら達であった。 源さくらも激怒した。たえと一緒に全身小麦粉まみれになって、笑いながら激怒した。 さくらの生前、揃って何かをお祝いする時は必ず良くない何かが起こっていた。 父親が帰ってこれなくなったり、急病を患ったり、大雪が降ったりしてクリスマス会が台無しになる事は日常茶飯事だった。
90 18/12/26(水)20:33:31 No.557330961
なにこのかわいいいきもの …いきもの?
91 18/12/26(水)20:33:47 No.557331039
さくらみたいなの!さくらみたいなのじゃないか!
92 18/12/26(水)20:33:48 No.557331041
可愛い
93 18/12/26(水)20:33:57 No.557331081
>何故か酒が入り、 あっ
94 18/12/26(水)20:34:02 No.557331106
アルコール入った…
95 18/12/26(水)20:34:26 No.557331203
さくらが酔って寿司食いね歌い出した!
96 18/12/26(水)20:34:42 No.557331270
破滅への序曲!
97 18/12/26(水)20:34:53 No.557331328
そろそろ来そうだな…
98 18/12/26(水)20:34:56 No.557331343
物語の寿司を握る存在きたな…
99 18/12/26(水)20:35:26 No.557331463
やんす来たな…
100 18/12/26(水)20:35:34 No.557331497
両親が次第にお祝いを軽く済ませるようになっていったのも、不幸の責任を背負い込むさくらへの気遣いだった。 それを分かっていたからこそ、彼女はその厚意を受け入れた。源家の年末は、年を追うごとに静かになっていった。 不幸な娘をこれ以上傷付けまいとする両親の判断が間違っていたとは、今でもさくらには思えない。 それでも。 それでも、何の遠慮もなしにぶつかってくる仲間たちに囲まれて過ごす、生まれて死んで初めての年末は、彼女にとって最も楽しい記憶の一つになっていた。 迎えた最終五巡、トップバッターのさくらが点数票を見て驚愕の声を上げる。 「えっ!?今……全員同率一位と!?」 四巡まで終えたメンバーの得点は示し合わせたように『28.4』で一致していた。 瞬間、さくらの脳裏に閃く一つのアイデア。言おうか言うまいか悩んでいる彼女が振り向いた先で、愛が微笑んでいた。 「やりたい事があるんでしょ?やってみなさいよ。どう転んだって、私も皆も一緒に笑ってあげるから」 そしてさくらは決意した。最高の、本当の本当に最高の結末を迎えるためのたった一つの手段を選ぶ事を、心の底から決意した。
101 18/12/26(水)20:36:32 No.557331762
>さくらみたいなのが寿司を握り おい来ちゃいけないのが来てるぞ!
102 18/12/26(水)20:36:32 No.557331764
さくら…
103 18/12/26(水)20:37:00 No.557331887
曲を流さないまま舞台に飛び乗ったさくらは、聴衆の方を向いて元気一杯に思いをぶちまける。 「みんなっ!次の曲、全員でやらせてください!そうして、フランシュシュ皆で一位取りたいとです!」 「あァん?それ賞品はどーなるとや?」 「一人一つ、全員でなら六つ貰えるんでしょ?一人で勝つよりそっちの方が得よね」 「全員で歌うとなれば点数も六分割で、必要なのは……10点満点ですか。分かりやすくていいですね」 「審査員はたつみ一人って事になるねー」 「それはそれは。奈落か天辺か、幸太郎はんの賽の目次第であると」 「ヴァウヴァウ!!」 「待て待て待たんかいせからしかゾンビィ共なーーに勝手に話進めとるんじゃい! 大体あの景品はどれか一つって事で予算内に収まっとるんであって……!」 「幸太郎さんっ!」 さくらの目が幸太郎を見つめる。笑っていた。CDを拾い上げたあの時よりもずっとずっと輝いて、さくらは笑っていた。 そうなってしまえば、もう幸太郎に打つ手はなかった。 「……やれるもんならやってみんしゃいこのあっぱらぱーゾンビィ共が!言っておくが採点に手抜きはせんからな!赤ボタンも使うからな!」
104 18/12/26(水)20:38:31 No.557332278
あっよか これよか…
105 18/12/26(水)20:38:46 No.557332342
君もねこゾンビ語をマスターして4号プレミアムブロマイドをゲットしよう!
106 18/12/26(水)20:39:12 No.557332436
がばよか…
107 18/12/26(水)20:39:49 No.557332588
あれ13話は1日早く放送だったっけ?
108 18/12/26(水)20:39:56 No.557332617
流石さくらはんやな…
109 18/12/26(水)20:40:26 No.557332734
年末スペシャル!
110 18/12/26(水)20:40:46 No.557332836
フランシュシュはみんなでひとつやけんね よか…
111 18/12/26(水)20:41:08 No.557332924
フランシュシュメンバーが舞台に集結し、さくらが耳打ちする選曲に全員が頷く。 そうしていよいよ今宵最後の大勝負が始まろうとしたその矢先、六人が立つ舞台に大穴が開いた。急造で拵えたドボン装置の誤作動だった。 ポーズを決めていた足の踏ん張りが消え、ゾンビの体が闇へと引きずり降ろされていく。 底にあったはずの白い小麦粉の海は姿を消し、眼下には永遠に続く無明の奈落が死者を待ち構えて大口を開けている。 それは、残酷を好む醜悪な神の無駄な足掻きだった。 今更そんな不幸を差し向けたところで、愛も、純子も、サキも、ゆうぎりも、リリィも、たえも、そしてさくらも、もう誰も挫けない。 「たえちゃんッ!」 「ウヴァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」 叫ぶさくらに呼応した山田たえは舞台装置の端に文字通り齧り付いて、一人で手を伸ばしてさくらと握手する。 さくらはサキと、サキは愛と、愛は純子と、純子はリリィと、リリィはゆうぎりと。 お互いがお互いの手を結び合って一体となったフランシュシュは、暗黒の淵で二度目の生命を繋いでいた。
112 18/12/26(水)20:41:27 No.557333015
これなら粉塵は上がらないはず…
113 18/12/26(水)20:41:54 No.557333132
抜ける!腕が抜ける!
114 18/12/26(水)20:41:59 No.557333155
>なにこのかわいいいきもの >…いきもの? 死んでますね…
115 18/12/26(水)20:42:12 No.557333208
幸太郎は一人畳の上で胡坐をかき、腕を組んで待った。 プロデューサーである以上、どんな緊急事態であろうと今アイドルが戦っている舞台に上がる訳にはいかない。 今すぐに駆け出して手を伸ばしたがる心の中の何者かを必死に押し留めながら、彼はいつまでも信じて待った。 「メリー…………クリスマスッ……あと、……ハッピー……ニュー……イヤー……ッ!」 声が聞こえる。力んだ死者の声が。 「今年もっ…………一年、ありがとう……ござい、ましたっ!」 声が聞こえる。やーらしかゾンビィアイドルの声が。 「来年も、そのまた次もっ……よろしく、お願いしますっ!幸太郎さん、そして、佐賀っ!」 声が聞こえる。源さくらの声が。 一人、また一人。奈落の底から死者が蘇る。何度も、何度でも。腐った体を振り回し、消えぬ心火を舞台に灯す。 今宵最後の一曲に選ばれたのは、フランシュシュにとって最高のオープニング。 巽幸太郎は天を仰ぎ、神を笑った。 「死んでも夢を叶えたい!いいえ、死んでも夢は叶えられる! それは絶望?それとも希望?過酷な運命乗り越えて、奈落に落ちても這い上がる! それが私達の――サガだから!」
116 18/12/26(水)20:42:18 No.557333228
もう幸太郎泣いてそう
117 18/12/26(水)20:42:29 No.557333293
あっこれは巽やばいな
118 18/12/26(水)20:42:45 No.557333373
>今すぐに駆け出して手を伸ばしたがる心の中の何者かを必死に押し留めながら、彼はいつまでも信じて待った。 ここやばい…
119 18/12/26(水)20:42:48 No.557333392
巽泣いちゃうでしょこれ
120 18/12/26(水)20:43:12 No.557333508
泣きなんし!!なきなんし!!!
121 18/12/26(水)20:43:20 No.557333535
フランシュシュは不死身のアイドルばい…
122 18/12/26(水)20:43:25 No.557333564
乾くんが出そうに…!
123 18/12/26(水)20:43:35 No.557333594
いい…話だよな?
124 18/12/26(水)20:43:37 No.557333613
終わりです!オールキャラいいよね!
125 18/12/26(水)20:43:53 No.557333679
上を向かないと涙が零れ落ちるやつじゃん!
126 18/12/26(水)20:43:55 No.557333683
よか…
127 18/12/26(水)20:44:11 No.557333746
あっ100点です…
128 18/12/26(水)20:44:12 No.557333752
>終わりです!オールキャラいいよね! よか…ほんとよか…
129 18/12/26(水)20:44:39 No.557333870
綺麗にまとまっててよか…
130 18/12/26(水)20:44:42 No.557333884
13話…やはり放送されていたのか…
131 18/12/26(水)20:44:43 No.557333890
よか… よかったい
132 18/12/26(水)20:44:59 No.557333960
よか…!
133 18/12/26(水)20:45:06 No.557334005
よか…!よか…!
134 18/12/26(水)20:45:12 No.557334029
100点とか公式13話とか言いたいけど言いたくねえよ最高だよ本当に…
135 18/12/26(水)20:45:22 No.557334067
これOPが最終話の特殊EDになるやつじゃないですか…
136 18/12/26(水)20:45:32 No.557334109
もう一度読み返したらスレが消えそうだから保存して後で読もう よか…!
137 18/12/26(水)20:45:40 No.557334146
うだうだと言い訳しながら満点付けてプレゼント振る舞っちゃうな巽…
138 18/12/26(水)20:45:47 No.557334176
よか…!!
139 18/12/26(水)20:46:15 No.557334279
巽商品全部プレゼントコース確定ですわ
140 18/12/26(水)20:46:26 No.557334323
みんなーたつみ泣いてるー
141 18/12/26(水)20:46:48 No.557334408
よか・・・よか・・・
142 18/12/26(水)20:46:50 No.557334419
小麦粉を消した以上もう粉塵爆発は起こせない! 墓穴を掘ったな神!
143 18/12/26(水)20:47:01 No.557334467
純子ちゃん賞品ゲットしちゃうから幸太郎は若返っちゃうんだ
144 18/12/26(水)20:47:07 No.557334496
幸太郎が正月早々ひもじいことに…
145 18/12/26(水)20:47:09 No.557334501
よかね…
146 18/12/26(水)20:47:23 No.557334585
>巽商品全部プレゼントコース確定ですわ 不純子ちゃんのプレゼントも!?
147 18/12/26(水)20:47:48 No.557334691
はい
148 18/12/26(水)20:48:28 No.557334867
年末も正月もフランシュシュは大騒ぎになりそうだ
149 18/12/26(水)20:48:32 No.557334885
>幸太郎が正月早々ひもじいことに… でも幸せそうだし…
150 18/12/26(水)20:49:22 No.557335089
>不純子ちゃんのプレゼントも!? 昭和教育はさすがに他の子達がなんとかする!
151 18/12/26(水)20:49:36 No.557335137
純子このエンドなら巽子供化は許してくれそう
152 18/12/26(水)20:49:45 No.557335182
感動のフィナーレ!
153 18/12/26(水)20:49:52 No.557335208
爆発オチと思ってましたすみません!!!
154 18/12/26(水)20:50:03 No.557335261
ちょっとー明日放送の脚本漏らしてるよー
155 18/12/26(水)20:50:31 No.557335379
>爆発オチと思ってましたすみません!!! おいも!
156 18/12/26(水)20:50:35 No.557335395
>感動のフィナーレ! そして最高のオープニングじゃーい!
157 18/12/26(水)20:51:06 No.557335529
>ちょっとー明日放送の脚本漏らしてるよー 流出かー?逮捕きちゃうかー?
158 18/12/26(水)20:51:13 No.557335556
幸太郎採点する前に泣くわこれ
159 18/12/26(水)20:51:21 No.557335585
爆発しないけどオチはありそう
160 18/12/26(水)20:52:02 No.557335774
最終回放送前に最後はさくらのOP口上で終わるかなとか妄想したの思い出した よか…
161 18/12/26(水)20:52:31 No.557335888
がば長編やん…
162 18/12/26(水)20:53:23 No.557336094
なんて良いもん読ませてくれんの
163 18/12/26(水)20:53:46 No.557336178
読みふけっちゃったな 本編も全部観んと
164 18/12/26(水)20:54:56 No.557336496
良い年末スペシャルだった
165 18/12/26(水)20:55:08 No.557336544
光へ…からのCパート
166 18/12/26(水)20:55:23 No.557336600
よかったい
167 18/12/26(水)20:56:43 No.557336919
>「本気の本気で、トップを狙いに行きます。そして、巽さんに若返り薬を飲んでもらいます。 > 何にも知らない小学生くらいまで戻ってもらって、そこから昭和の全てを再教育します」 きのこはさあ…
168 18/12/26(水)20:57:53 No.557337232
>光へ…からのCパート (焼き肉を満喫する7人)
169 18/12/26(水)20:58:13 No.557337315
冬休みは1話から12話一気見しようかな