18/12/25(火)22:16:28 【ジョ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1545743788237.jpg 18/12/25(火)22:16:28 No.557149720
【ジョイ・トゥ・ザ・カブキ】 カツーン……カツーン……。 無人の廃工場に、足音が響く。今宵は聖夜。だが街を輝かせる電飾の灯りも、人々の喧騒も、ここまでは届かない。 カブキニストは油断なく歩を進めながら辺りを見渡す。ここは元々はリエン・コウライヤ所有のぴるす製造プラントだった。 (((地下実験区画での重大インシデント発生に伴い廃棄されたと思っていたが……))) ガコンプシュー。中央製造ラインに繋がる厚い扉は、カブキニストが触れるよりも早く正当な主人を認証し、迎え入れる。廃棄されたと言っても、管理まで放棄されたわけではない。こうした最低限のセキュリティシステムは今も生きているのだ。 そのセキュリティシステムが、奇妙なぴるすの影をとらえた。
1 18/12/25(火)22:17:56 No.557150209
カブキニストは広大な部屋の中央まで歩を進める。工場には数世代前のぴるす製造ラインがそのまま残っていた。旧式ぴるす製造ラインは極めて立体的な構造をしており、ぴるす培養ビーカー、エアシューター、ベルトコンベア、真空パック包装機などが3次元的に絡み合って構成されている。かつては休みなく働き、ぴるすを生み出し続けていたそれは、今や冷たく沈黙している。 通常の工場よりもはるかに高い天井に設えられた天窓から、月の光が落ちてくる。カブキニストのフルメンポが暗夜に青白く照らし出された。 「いつまで隠れ続けているつもりかね、ぴるす君」 カブキニストが呟く。 決して大きくないその呟きは、しかしぴるす製造ラインに反響し工場の隅々までさざ波のように響き渡った。 「イヤーッ!」 呟きに誘われたように、一枚のスリケンが闇の中から飛来する。カブキニストはそれを二本の指で危なげなくつまみ取り、握り潰した。 「チィーッ……」 アンブッシュの失敗を悟り機械の影から現れたのは、真っ赤な装束に白いメンポを纏ったニンジャぴるすである。まさしく、監視カメラが捉えた奇妙なぴるすの風体と一致。両者はベルトコンベアを挟んでアイサツした。
2 18/12/25(火)22:19:54 No.557150880
「ドーモ、ピックヨウルです。コウライヤの最高位カブキアクターがわざわざお出ましとは、随分な気の入れようなんですけお」 「ドーモ、ピックヨウル=サン。カブキニストです。クリスマスくらいは部下も休ませてやらねばならぬのでな。このような些事なら私一人で十分ということだ」 「些事」ピックヨウルが嘲笑する。 「では、そのような些事に不用意に首を突っ込んできたお前のウカツを思い知らせてやるんですけお」 ピックヨウルが指を鳴らすと、製造ラインの影から虫じみてワラワラと多数のぴるすが姿を現す。どれもがピックヨウルと似た赤いボロ布を纏い、口元にはメンポの代わりか、汚れた白い布を結び付けていた。その数は10体、100体、数え切れぬ! 「これは……」カブキニストは瞠目する。廃棄されたプラントに、なぜこれほどのぴるすが? 疑問の答えに行き当たるよりも先に、多数のぴるすたちが手拍子を始める。それぞれの手には鈴が結ばれ、シャン、シャン、シャン!と耳障りな音を鳴らす。ピックヨウルが再度指を鳴らすと、ぴるすたちは一斉に奇妙なチャントを唱え始めた。 「「「「「ジングルケオー……ジングルケオー……」」」」」シャン、シャン、シャン!
3 18/12/25(火)22:21:23 No.557151385
カブキニストはその異様なアトモスフィアに警戒を強め、すぐさま異変に気付いた。この場のカブキが乱されている。あの不快なチャントによるものであることは明らか! 「ハハハハ!私の聖歌隊のチャントはどうだ!イヤーッ!」 カブキニストの困惑を突き、ピックヨウルがトビゲリを仕掛ける!「イヨーッ!」カブキニストはかろうじて防御するが、そのカブキは見るからに精彩を欠いている。 「「「「「ジングルケオー……ジングルケオー……」」」」」シャン、シャン、シャン! 忌まわしきぴるす・チャントがカブキニストのニューロンを苛み、カブキを乱す。ピックヨウルはさらにワン・インチ距離で木人拳めいたミニマルかつ正確なカラテを叩き込む! 「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イヨーッ!」「イヤーッ!」「イ、グワーッ!」 撃ち落とし損ねたピックヨウルの拳がカブキニストのキドニーをえぐった。痛打! 「動きにキレがないぞカブキニスト=サン!やはり老人はエンガワでチャでも啜っているのがお似合いなんですけお!」
4 18/12/25(火)22:22:36 No.557151818
カブキニストは心中で舌打ちした。まるで鉛の海の中でカブキしているような倦怠感である。今はかろうじて致命打には至っていないが、このままではジリー・プアー(徐々に不利)は確実。 「イヨーッ!」 カブキニストは身を翻し、プラント機械群に覆われていない小さなスペースに優雅に着地した。 「逃げの一手か。見苦しいんですけお!」 ピックヨウルの追撃!カブキニストは突き出されたチョップを皮一枚で回避し「イヨーッ!」アシビョーシ・ストンプ!全身のカブキを絞り出した一撃!だがそれはピックヨウルを狙ったものではない。 「何を、グワーッ!?」 両者の足元が大きくヒビ割れ、崩落!床下から姿を現したのは長大な縦穴である。カブキ二ストとピックヨウルは穴に飲み込まれ、落下していく! 「バカな!これは一体!?」 突然の浮遊感にピックヨウルは動揺をあらわにする。カブキ二ストは落ちながらも冷静に答えた。 「私が何の備えもなくノコノコとやって来たと思っていたのかね。施設の構造程度熟知している!」
5 18/12/25(火)22:23:49 No.557152193
大作すぎる…
6 18/12/25(火)22:24:54 No.557152540
2人が落下しているのはかつて工場と地下実験区画を結んでいた資材運搬用エレベーターの跡である。工場の改築に伴いエレベーターは撤去されたが、縦穴が塞がれもせずそのまま残っていたのをカブキニストは把握していたのだ!何たる安普請か!だがそれがカブキニストを窮地から救った! 「イヨーッ!」 カブキ二ストは体勢を整え、壁面を……走る!驚愕に目を剥くピックヨウルにカブキ連撃を叩き込む! 「イヨーッ!」「グワケオーッ!」 何たる非凡なニンジャ三半規管由来の姿勢制御及び確かな修練に基づくカブキアクティングか! 「もはや忌々しいチャントも届かぬぞ!ハイクを詠むがいいピックヨウル君!イヨーッ!」 カブキ二ストは壁面を力強く蹴り、反動で宙に飛び出す!さらに宙を蹴る!蹴る!空中で加速する!全身から紅白の炎が吹き出す!極限の速度で放たれた飛び蹴りがピックヨウルを直撃した!暗黒カブキ奥義バタフライ・トビゲリ! 「アバケオーッ!」 ピックヨウルは吹き飛び、縦穴を抜け、地面に叩きつけられた!「サヨナラ!」爆発四散!
7 18/12/25(火)22:25:12 No.557152622
アイエッ!?今日まとめをあげたのとは別のカブキニスト?!
8 18/12/25(火)22:25:52 No.557152809
カブキニストは爆発四散痕に着地すると、周囲を見回した。そして廃棄されたプラントにあれほどのぴるすがいた理由を知ったのである。 辿り着いた地下施設には、小規模ながら未だ熱を持ち稼働するぴるす製造ラインがあった。おそらくピックヨウルはこれを見つけ、独自にぴるすを生産していたのであろう。あのように大量のぴるすを操りなにを成すつもりだったのかは知れぬが、ピックヨウルの命と共にその企みも無に帰した。 カブキニストは製造ラインの電源を落とそうとして……振り向く。何か異様なアトモスフィアがある。 ぴるす培養ビーカーの中で、何かが蠢いている。常ならば希釈バンテリンで満たされているはずのそれには、汚れた緑色の液体が詰まっていた。 CLAAAAASH!突如としてビーカーが砕け散り、緑色の汚濁が溢れ出す!カブキニストはとっさに飛び退った! 床に広がった液体は意思を持つかのようにうねり、渦巻き、……不定形のまま、ヘビめいて起き上がった。そして泥の沸き立つような声でもってアイサツしたのだ。 「gg……ドーモ……gf……シィージングトレント……です……gff……」 【ジョイ・トゥ・ザ・カブキ】おわり
9 18/12/25(火)22:26:26 No.557152978
セカンドジェネレーション=サン!? 初代=サンのまとめパワに引かれて…!?
10 18/12/25(火)22:26:55 No.557153136
(「」のみなさんへ:メリークリスマス!赤、白、緑とクリスマスカラーを意識した短編でした。投下に際し「クリスマス・イブは過ぎており、実際遅い」「担当者のケジメが必要では?」等の声が上がりましたが、今日こそが聖夜当日であり昨晩よりも時期的にふさわしいこと、昨晩はニンジャを殺す者が現れた日であり、執筆担当者もおまつりムードであったことなどを考慮しケジメは見送られました。ごあんしんください。)
11 18/12/25(火)22:27:19 No.557153240
筆が早い作家は大好きよ…ありがたい
12 18/12/25(火)22:28:28 No.557153580
カブキスレイヤー新作!結構な大作!でかした!
13 18/12/25(火)22:28:59 [s] No.557153738
>セカンドジェネレーション=サン!? >初代=サンのまとめパワに引かれて…!? ドーモ、3人目です 初代=サンのまとめに引かれる形で急いで書き上げました
14 18/12/25(火)22:30:42 No.557154303
えーまとめ見てから書いたのかよすげえな
15 18/12/25(火)22:33:05 No.557155100
なんという執筆速度…ワザマエ!
16 18/12/25(火)22:38:39 [s] No.557156869
なお年末まとめと謝罪は12月29日ごろ行う予定です
17 18/12/25(火)22:42:28 No.557158001
ワザマエ!
18 18/12/25(火)22:49:55 No.557160360
ワザマエ…!
19 18/12/25(火)22:52:59 No.557161203
ジングルケオーでだめだった
20 18/12/25(火)23:09:19 No.557166011
来年はカブキスレイヤースク作者のさらなる増大を望む
21 18/12/25(火)23:10:12 No.557166305
まってカブキスレイヤーの書き手何人いるの…
22 18/12/25(火)23:12:25 No.557166953
>まってカブキスレイヤーの書き手何人いるの… 現時点で3人確認されている