虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

18/12/22(土)06:37:31 No.556206304

「おはようございます」 「おはよう」 彼女は私を見つけると必ず両足を揃えて立ち止まる。 小さく腰から曲げてお辞儀する所作はさながら華道か茶道の先生のようだ。 「どうかなさいましたか？」 「お辞儀、綺麗だね。とても今時の女子高生には見えないよ」 そのお辞儀に見合うとは到底思えない私の不細工な誉め言葉でも彼女には嬉しかったらしく、少女は頬をほんのり赤らめて困ったように微笑んだ。 「ありがとうございます。でも、女子高生らしくないというのは少し困りますね。もう少し姉さんのように姿勢を崩して挨拶をした方が良いのでしょうか？ ……おっはよーっ！とか」 少しふざけたような動きをしてみせても、彼女にかかれば冗談すら様になってしまうのだから、信奉者である私から見てもつくづく神様というのは依怙贔屓が過ぎると思う。 「それはそれで可愛いね」 「どちらがお好みですか？」 「君が自然に出来る方で」 つまり私が求めていたのは彼女自身であり、当たり前にそれを察した彼女はまた微笑んでみせた。 寒い朝、軽い話をしながら並んで歩く。私の朝が世界中のだれより幸福に満ちている事は、今更書くまでもないだろう。