18/10/30(火)18:47:22 第一の... のスレッド詳細
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18/10/30(火)18:47:22 No.544073303
第一の特徴は、ピュグマリオンはごく稀な才能をもつ彫刻家であり、この才能なしでは、乙女を作りだすことはできなかったことである。そして乙女は彼にとっては自分の才能を誇示するための作品であり、乙女の身体は、彼の才能が化身したものという意味をそなえている。後に述べるように、この作品は彼のナルシシズムが昇華されて生まれたものであり、象徴界における彼の自我理想の結晶なのである。
1 18/10/30(火)18:48:12 No.544073468
第二の特徴は、乙女がピュグマリオンの女性嫌悪の結果として生まれたということである。この女性嫌悪は、彼にとって異性の生きた身体と、その身体との密接な関係が、現実界のようなおぞましさをそなえていることを意味している。ピュグマリオンがふつうの女性を愛することができないのは、成熟した女性との性的な交わりが、現実界に接触するような恐怖を彼にもたらすからであると考えることができる。現実界から外傷を受けるのを避けるために、彼は人形を、石の像を作りだす。成熟した女性を愛することができるのであれば、人形を作りだす必要はなかった。そしてこの女性嫌悪のために、ピュグマリオンは独身男性の生活を維持していたのである。この人形は「独身者の機械」なのである。
2 18/10/30(火)18:48:33 No.544073550
第三の特徴は、ピュグマリオンが作り出した女性像は、女神から魂を与えられた存在であり、人間の母親から生まれたものではないために、現実界の穢れに侵されておらず、高い精神性をそなえていると考えられていることである。この乙女は母親から生まれておらず、また男性を知らないために恥じらいを失っておらず、それが精神的な価値の高さを表現していると、ピュグマリオンは信じ込んでいる。これは彼の女性嫌悪の裏返しの表現なのである。女性の身体をもって生まれていないために、高い精神性を実現する可能性を秘めているとされたのである。それは同時に、自分はこのような女神から与えられた女性に愛されるべき存在であるというナルシシズムの表現でもある。この乙女は、彼のナルシシズムから生まれた想像界に属する理想自我の結晶である。