虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    18/10/30(火)09:21:51 No.544001542

    誰も彼もが静まり返り、一夜を終えた酒場に朝が来る 「起きて、起きてったら!まったくもう、皆ねぼすけのスノーホワイトね ねぇアビー、王子様を呼んでくださいな!片っ端からキスさせれば起きるかしら?」 白雪姫というよりはグールに近い寝相のまま愚図る客達に業を煮やしたウェイトレスが不機嫌そうに吐き捨てた とはいえここは私の酒場だ。こっそりQPと資材を拝借している手前、マスターにこれ以上の負担を強いるわけにはいかない 不承不承に門を開き、暴れる客を触手で捕らえてセントラルゲートへ放り込んでいく 「ええい踏ん張れ我が友!」だの「わたしをたすけるものはいないのか…」だの断末魔の多重奏を叫びながら一人また一人と現実へ追放されていく常連客たち 段々と人の気配が減っていくカウンターでも、私は変わらずグラスを磨く 何度追い出されても、彼らはきっと今日も来る。その時も変わらず迎えてあげる事こそが、この酒場の役目なのだから

    1 18/10/30(火)09:26:45 No.544001931

    やっと静寂を取り戻した酒場で、乾いた箒のリズムが耳をくすぐる 鼻唄を歌いながら埃を集めるウェイトレスの軽やかなステップが窓辺の陽光に触れた時、彼女は足を止めて笑った 「お日さまって残酷ね。毎日毎日おんなじ顔して微笑んで、まるで時間がいつまでも続くみたいに。同じ頁なんて、一つだってないのに」 彼女の呟きはどこか寂しそうで、そして幸せそうだった 同じ日が二つと巡らない現実はどうしようもない絶望であり、絶え間ない希望でもある 全てに等しく訪れるラストシーンまでの道筋は、きっと誰もが自分の物語を歩むのだろう 額の鍵穴に挿したストローから直接ストロングゼロを啜りながら、私も残酷なお日様のように微笑んでみる事にした 願わくば、今日が昨日よりも良い頁になりますように