虹裏img歴史資料館

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18/07/22(日)21:41:02 「ぐあ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1532263262480.jpg 18/07/22(日)21:41:02 No.520696046

「ぐああっ……」  灼熱の溶岩の如きそれに我が身を焼かれ、知らず、苦痛の声が漏れる。 『諦めるかね?キリシュタリア・ヴォーダイム。キミにはその権利がある。キミは既に四度、世界を救いその対価を払っている。後三度、余分な対価を支払わずとも充分に驚嘆に値する覚悟だと考えるが』 「──いや」  異星の神を嘯く存在が、諦めを促してくる。その声を振り払い、私を再び眼前のそれに意識を向けた。未だ完全な姿を保つそれは、私を嘲笑うかのように揺らめいていた。 『不理解だ。何故そうまでして救おうとする?協力者も六人全員が揃わなければならないというものでもないだろう』 「いや。必要だ。後の三人が私を越える可能性がゼロではないのならば、そこには試す価値がある」  苦しいならやめていいと。ブラックホールのように深く、怖く、魅力的な甘い声を振り払い、私は今の己に唯一許された武器を手に取った。 『ふむ。では、どこから攻めるかね? キリシュタリア・ヴォーダイム。』 「──決まっている」

1 18/07/22(日)21:41:49 No.520696397

 そして、手を伸ばす。煮しめたような色をした楕円系のそれに武器を突き立て、身を裂いていく。その裂け目から漏れ出た湯気が、既にあるべきものを失った私の鼻を焼いた。 「あっつ」  怯みそうになる。これから起こり得ることを想像するだけで、身が縮こまってしまいそうだ。  だが、立ち向かう。どんな時もガッツだと師──マリスビリー・アニムスフィアも言っていた。既に覚悟は決めたはずだと、自らを奮い立たせ、裂いたばかりのそれの片割れをつまみ上げ、口に運んだ。 「────あ」  途端、口内を灼熱が支配する。燃え盛る炎を飲んだと誤認してしまうほどの熱さだった。漏れ出るはずの悲鳴さえ、その熱さの前に焼き消されてしまう。 「はふ、はっ、み、みずあっつ!?」  水を───と、ありもしない救いを求めて遮二無二空を掻いたもう一方の手が、誤って飛び込んだゴボゴボと泡立つ出汁に焼かれ、更なる灼熱が身を焼いた。 「はっ、はぁっ……はぁっ……」  座した椅子から転げ落ちることだけは避け、どうにかその灼熱を堪え忍ぶ。まだだ。まだ卵を半分食べただけだ。まだ大根と餅巾着とちくわぶが残っている。まだ何も終わってなどいないのだ。

2 18/07/22(日)21:42:22 No.520696618

『大丈夫かね?キリシュタリア・ヴォーダイム。』 「問題、ない……!」  問いかけに答える。問題などない。何故ならばこれは所詮人間にできることでしかなないからだ。神にしかなし得ない所業などでは断じてない。  これまでも、そうだったのだ。  一度目の地獄は踏破だった。命綱なしで落石を避けながら高度3000mの柱──空想樹と言うらしい──を素手で登らされた。  二度目の地獄は拷問だった。鼻毛を全て抜き取られ、鼻うがいをしながら色彩をアカペラで歌わされた。  三度目の地獄は忍耐だった。最早歌と呼ぶことすら烏滸がましいなにかを延々アンコールで聞かされ続けた。  それらに比べれば、この四度目の地獄はなんと楽なことか。ただ、このアツアツのおでんを完食すればいいだけなのだから── 「──これで、終わりか」  ──どれ程の時間がたっただろうか。器は空になり、私の口内は焼けただれた痛みを訴えていた。

3 18/07/22(日)21:42:48 No.520696800

『──』  言葉こそないが、異星の神は驚嘆していることは理解できた。 「さあ、これでまた一人分、対価は支払った。約定通り、ペペロンチーノの蘇生をしてもらおう」 『──素晴らしい。キリシュタリア・ヴォーダイム。全くキミは、本当に素晴らしい』  だが。  と、神は告げる。 『まだ対価には足りていない。この地獄には続きがあるんだ』 「なにを──」  その言葉の後、そこには新たな絶望が生まれていた。  ゴボゴボと泡立つ麻婆豆腐──ラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげく、『オレ外道マーボー今後トモヨロシク』とでも言わんばかりの何かが。 『諦めるかね?キリシュタリア・ヴォーダイム。』 「もちろん」  湯気だけで目を潰しかねないほどの刺激を受けながら、私はレンゲを手に世界に立ち向かう覚悟を決める。 「それが人間に出来ることであれば、必ず──」

4 18/07/22(日)21:44:03 No.520697323

キリシュタリア様の怪文書はじめてみた

5 18/07/22(日)21:44:36 No.520697513

あっつ! とかいってるキリ様みとうなかった

6 18/07/22(日)21:44:47 No.520697601

あっつじゃねえよ!

7 18/07/22(日)21:46:35 No.520698347

>三度目の地獄は忍耐だった。最早歌と呼ぶことすら烏滸がましいなにかを延々アンコールで聞かされ続けた。 ネロとエリチャン何やってんの…

8 18/07/22(日)21:46:40 No.520698375

> 二度目の地獄は拷問だった。鼻毛を全て抜き取られ、鼻うがいをしながら色彩をアカペラで歌わされた。 鼻毛ぶっこ抜かれるキリシュタリア様…

9 18/07/22(日)21:47:00 No.520698523

アツアツおでんでやけどした口に激辛麻婆豆腐とか異星の神はようしゃがないな…

10 18/07/22(日)21:49:04 No.520699324

水要求すんなや!

11 18/07/22(日)21:49:31 No.520699514

これもしや言峰では

12 18/07/22(日)21:56:58 No.520702531

おへーっさんはこれ見てるのかな…

13 18/07/22(日)22:29:58 No.520714590

キリシュタリア様はすげえよ……

14 18/07/22(日)22:31:02 No.520714951

この後にもまだ何かが控えてるのか…

15 18/07/22(日)22:32:29 No.520715435

>「あっつ」 ここでもうダメだった

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