SS「Gir... のスレッド詳細
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18/07/05(木)01:17:37 No.516476040
SS「Girls und Steins;Gate~世界像のインデターミニズム~」 前回まで su2475516.txt のお話 秋葉原に観光のために降り立ったエリカは、そこで岡部倫太郎や牧瀬紅莉栖と言った未来ガジェット研究所の面々と出会う。 ラボメン達と一緒に秋葉原を堪能するエリカ。だが、エリカが学園艦の出港を逃したのを契機に、エリカの世界線が本来の倫太郎達の世界線とは別の世界線だったことを一同は知るのであった……。
1 18/07/05(木)01:18:58 No.516476247
それは、時系列として並べるならばエリカが秋葉原に来る直前に当たる頃だった。 「どれだけ古い過去にDメールを送れるかの実験?」 紅莉栖は倫太郎の提案を聞いて、疑問の声を上げた。 「そうだ、我々は過去にメールを送る技術、Dメールを開発した。そして、それによって過去改変にすでに成功している」 「改変と言ってもロト6の微妙に外しただけだけどね」 「黙れダル! とにかく、これによりDメールの性能は証明された。次は、どれだけ過去にさかのぼれるかを試してみるのがいいのではないかと思うのだ」 「なるほどね。確かに、どれだけの範囲試せるかを調べてみるのはいいかもしれないわね。有効範囲を確かめるのも実験の一つだわ」 紅莉栖は頷きならが言う。 「で、どれくらいの過去に送るつもりなの?」 「ふっふっふ、それはだな。ダルよ!」 「はいはーい」 倫太郎が至るに向かって手を伸ばすと、至は紅莉栖にパソコンの画面を見せた。そこには、白黒の画像と共にずらりと文字が並んだ画面が映し出されていた。
2 18/07/05(木)01:19:15 No.516476288
「これは……第二次大戦系の紹介サイトかしら? 紹介されているのはアメリカ軍ね?」 「その通りだお。これは@ちゃんねるの軍板でもかなり信頼のあるソースだって言われてるサイトなんだお。その中に、実行されなかった作戦という欄があって、これはその一つだお」 「ちょっと、軍の作戦なんか動かして大丈夫なわけ? というか、そもそもメール送れるの?」 「それに対しては問題ない。作戦と言ってもただの輸送任務らしいからな。なんでもカーボンブラックを運ぶだけらしい。それに送れるかどうかも大丈夫だ。ダルの言っていたサイトに当時使われていた周波数が書かれていた。今では使われてないそうだからな。それに、Dメールを送るようメールをこちらで細工すればよい。そして、メールの内容はモールス信号だ。これなら、簡単な命令なら送ることができるはずだ」 「はぁ……よく考えつくわね、そういうの」 「ふぅん! 何せ俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だからな! これぐらい難もない!」 呆れ顔で言う紅莉栖に対し、自信ありげに言う倫太郎。 その様子をソファーから眺めていたまゆりは、その倫太郎達を不安げな表情で見る。
3 18/07/05(木)01:19:33 No.516476343
「うーん、大丈夫なのかなぁ。軍隊さんに変な命令送って怒られないかなぁ」 「心配するなまゆり。もう七十年は前の作戦だ。怒られることはない」 「んー、ならいいんだけど……」 まゆりはやはりどこか納得のいっていない様子だった。それに対し、倫太郎、紅莉栖、至はすでに乗り気で準備を始めていた。 「こっちは準備できたおー」 「さすが橋田。準備早いわね」 「牧瀬氏。その早いわねっていうのもっと上から目線でもう一度」 「え? はや……ってあんたねぇ!?」 「ダルよ。セクハラもいい加減にしないと本当に刺されるぞ。……とまあそんなことはともかく、早速実験開始だ! ……ええと、GOをモールス信号で表すと……『--・、---』か。よし、これならDメールで送れる文字数の範囲内だ」 倫太郎はメールの文面にモールス信号を表す記号を打ち込む。 そして、倫太郎が準備をし終えると至がDメールを送るための未来ガジェット、電話レンジを起動する。扉が外れた電子レンジに携帯をくっつけたものだ。
4 18/07/05(木)01:19:53 No.516476395
その電話レンジが動き出し、扉の外れたレンジの中身から放電現象が発生する。 「今だっ!」 倫太郎はそのタイミングを見計らってメールを送る。 すると、突如倫太郎の視界が歪んだ。 「うっ!?」 頭が痛み、平衡感覚が失われる。その感覚を、倫太郎は知っていた。 「リーディングシュタイナー……!?」 リーディングシュタイナー。 倫太郎が並行世界、世界線を移動したとしても記憶をそのまま残すことのできる彼の持つ特殊な力である。 視界の歪み、頭痛、平衡感覚の喪失は世界線を移動したときに訪れる特有の症状だ。 倫太郎はそのリーディングシュタイナーが発動した後、周囲を見回す。 彼が見る限り、ラボは特に変わりなく、皆普通にしていた。 そこで、倫太郎はパソコンの前に座っていた至に話しかける。 「ダル! @ちゃんねるの軍板でソースとして使われているサイトの、実行されなかった作戦欄を見せてくれ!」
5 18/07/05(木)01:20:19 No.516476462
「え、ちょ今エロゲやってて……どしたの?」 「いいから!」 至に半ば無理矢理パソコンで情報サイトを見る。すると、そこには倫太郎が以前確認したときとは違って、実行されなかった作戦欄に、輸送作戦は乗っていなかった。 「……ない……ということは、成功したのか……? ……ふっふふ、フッハハハハハハハハ! 俺達はまた歴史という巨大な相手に勝利したようだ!」 高らかと笑い出す倫太郎。その倫太郎を見て疑問符を浮かべるラボメン達。 そんな風に倫太郎が高笑いしている瞬間と、エリカが秋葉原駅に到着したのは、ほぼ同時だった。 ◇◆◇◆◇
6 18/07/05(木)01:20:42 No.516476523
「……何よそれ……私の、私達の存在が、あなた達の実験の結果だって言うの……?」 エリカは、倫太郎からすべてを話され、茫然自失としながらもなんとか言葉を捻り出した。 「ねぇ……いつもの厨二病的な冗談なんでしょ……? はは、ありえないわよね、過去改変だなんて……過去へメールを送るだなんて、そんな……ねぇ、紅莉栖……!」 「…………」 倫太郎も紅莉栖も答えない。二人共、重々しい顔をするばかりである。倫太郎だけならまだ冗談と笑い飛ばすこともできた。しかし、紅莉栖もまた真面目な表情を浮かべているため、それが本当のことなのだという説得力をエリカに与える。 「そ、そもそもなんでただの輸送計画で歴史が変わるのよ!? おかしいでしょ!? ね、ねぇ至!?」 「それが……ちょっと調べてみたんだけど、どうもあの計画には都市伝説があるみたいなんお。なんでも、今現在学園艦や戦車道の戦車に使われている特殊なカーボンを生成する計画だったとかなんとか……」 「そ、そんな……」
7 18/07/05(木)01:21:00 No.516476575
至までもが苦々しい顔でエリカの否定したい事ばかりを言う。 そうやって言葉を重ねられる度に、それが真実だと分かる度に、エリカは自分の足元がグラグラとぐらついているような感覚に襲われた。 「エ、エリカちゃん……」 まゆりが心配そうな顔でエリカの顔を覗いてくる。本当に心配している顔だと、エリカは思った。それは、まゆりもまたその実験が本当であると知っていることの証左でもあった。 「……何よ……何なのよそれ……何なのよ! ふざけないでよ!」 エリカはそこでついに激高し、ラボから走って出ていってしまう。 「エリカっ!」 「エリカ!?」 倫太郎と紅莉栖がエリカの名を呼ぶも、エリカは立ち止まることなくラボから消えてしまった。
8 18/07/05(木)01:21:18 No.516476620
「……何なのよ、何なのよ一体……」 エリカは一人うずくまっていた。場所は、未来ガジェット研究所のある建物の屋上の隅。エリカは走り去ったのはいいものの、どこかへ行くのでもなく、一人屋上へと向かっていたのだ。 「ありえないわよ……そんな、私達のすべてが、こんな小さな場所の実験から生まれただなんて……」 エリカは涙声で膝に顔をうずめながら言った。エリカは今、ひどい孤独感に襲われていた。 世界でまるでひとりぼっちになったかのような、そんな感覚だった。 「ありえない……認めないんだから……」 エリカはそんなことばかりを、一人ぶつぶつと呟く。 そんなときだった。 「あっ、いたっ!」 エリカの後ろから、突如声が聞こえてきた。 それは、屋上の扉を開けてやって来た、紅莉栖だった。 「こんなところにいたのね、灯台もと暗しって奴だわ」 「……何よ。こんな惨めな私になんの用?」
9 18/07/05(木)01:22:02 No.516476732
エリカはうっすらと流れていた涙を拭い、紅莉栖の方へと振り向いて言った。 「なんの用、じゃないわよ。突然走り出していったらみんな心配するじゃないの。……ま、私が言えたことじゃないか」 「ん?」 紅莉栖の最後の言葉は小声だったためエリカにはよく聞こえなかった。 そんなエリカが紅莉栖の言葉に僅かな疑問を抱いているうちにも、紅莉栖はどんどんとエリカの元に近づいてきて、やがて彼女の隣に座る。 「……岡部とまゆり、あなたのこと心配して探しに出てるわよ」 「……そんなの知ったことじゃないわよ」 「あら、冷たいのね」 「そうよ、私は冷たい女なの」 紅莉栖の言葉に彼女の方を向かずに答えるエリカ。だが、紅莉栖はそんなエリカに決して怒り出したりせずに、優しく語りかけた。 「……あんたの気持ち、少しだけ分かるかもしれない」 「はぁ!? あなたに何が分かるって言うのよ!? 私はすべてを否定されたのよ!? 私の生きていた、すべてを!」
10 18/07/05(木)01:22:28 No.516476808
「……そうね。あんたのショックは計り知れないものよね。それはきっと、私が味わったものの何倍もひどいものだと思う。でもね、私も最初あの電話レンジが過去にメールを送れるタイムマシンの一種だって知ったとき、ひどくショックを受けたの。そんなのありえない、馬鹿馬鹿しいって、ちょっと家庭環境とかの問題でそう思ってたから。私の考えの根底が思いっきり覆されたっていうか、なんていうかそんな感じ」 「……そうなの。その、あなたも色々、大変だったのね……」 「ええ」 エリカは紅莉栖の話を聞いているうちに、いつしか彼女の方を向いていた。 一方紅莉栖は、ずっと上、青い空を眺めていた。 「でね、それでもやっぱり私は研究バカだから、やっぱりそのタイムマシンのことを研究したくなって……というのも、あのバカと話してたらそうなったんだけどね」 「あのバカって……倫太郎のこと?」 「ええ、そう。あいつは去ろうとしていた私を無理に引き留めようとはしなかった。ただ、私の研究者としての心をくすぐるようなことばかり言って……いつしか、ラボに取り込まれちゃってたわけ」 「ふぅん……」
11 18/07/05(木)01:22:45 No.516476857
紅莉栖はそう言いながら屋上に仰向けに寝そべる。エリカもまた、一緒に紅莉栖の横に仰向けで寝そべる。 「それで、いつしかこうして一緒にいろいろバカする関係になっちゃったのよね。不思議よね、人の因果って」 「そうね、ラプラスの魔でも計り知れなさそう」 「あら、ラプラスの魔は物理学的には否定されてるわよ?」 「知ってるわよそれぐらい例えで言ってみてもいいでしょ」 「……ふふっ」 「……くすっ」 紅莉栖とエリカは、いつの間にか互いにそれぞれの顔を見合わせながら笑った。 そして、二人は仰向けになった状態からゆっくりと立ち上がる。 「……ごめんなさい」 「え?」 そこで、急にエリカが紅莉栖に誤った。 「ラボで怒鳴り散らして。あなた達が故意に今の世界……世界線? という奴を作ったわけじゃないのは分かってるの。でもやっぱり、おちつかなくて……」 「大丈夫よ。あんたには怒る権利があった。あんたはそれを行使した。ただそれだけの話よ。それに、軽はずみに過去改変なんかした私達にも責任があるわけだしね」
12 18/07/05(木)01:23:00 No.516476895
「それは――」 否定しようとするエリカ。だが、そのエリカの口を紅莉栖が人差し指で制止する。 「いいの。そういうことにしておいて。あんたはマッドサイエンティストの悪事の被害者。それでいいの」 「……ええ、じゃ、そういうことにしようかしら」 紅莉栖が人差し指を離すと、エリカは笑顔でそう言う。エリカは、先程まで胸に溜まっていた怒りや悲しみがすっと消えていくのを感じた。 「さ、それじゃあラボに戻りましょう。岡部達には私から連絡しておくから、三人で待ちましょう」 「え? 三人って……」 「橋田よ。あいつは留守番でラボで一人待たされているの」 「……損な役回りなのか役得なのか」 「橋田的には、絶対得だと思っているはずよ」 エリカと紅莉栖はそんなことを話しながらラボに戻ったのだった。
13 18/07/05(木)01:23:16 No.516476927
「おお、戻っていたかエリカよ!」 「ええ、戻ってたわよ」 「うう、エリカちゃんが戻ってきてくれてまゆしぃは嬉しいのです」 その後、ラボに戻ってきた倫太郎とまゆりがそれぞれ笑顔を見せながらエリカに言った。 「悪かったわね、急に癇癪起こしちゃって。私の悪い癖だわ」 「いいのだシルバーファングよ。貴様はこのマッドサイエンティスト鳳凰院凶真の哀れな犠牲者の一人に過ぎぬのだからな。世界が変革されるとき、もっと大勢の犠牲者が出るだろう。貴様はその第一号であるのだ!」 「……まったく、そうなのよねぇ」 「ん?」 倫太郎のノリに怒るのではなく乗ってくるエリカに、倫太郎は疑問符を浮かべた。 そして、次の瞬間エリカは倫太郎が驚く発言をする。 「私は犠牲者なんだから、その責任をマッドサイエンティストさんに取ってもらわないとね」 「んなっ!?」 「そうねぇ……それじゃあ、次の学園艦が来る日まで、私の宿、どうにか手配しなさい。なるべくお金のかからないように、というか出費はできるだけそっちが持つような形で。だって私は犠牲者ですもの。それぐらいされて当然よねぇ?」
14 18/07/05(木)01:23:57 No.516477019
「うぐっ!? た、確かにそうだが……どうする……俺もあまり金がないぞ……」 狼狽する倫太郎。その様子を見て、くすくすと笑うエリカ。 「冗談よ。宿はこっちでなんとか――」 「よし分かった!」 「え?」 今度はエリカが倫太郎の強気な言葉に疑問符を浮かべた。 「この鳳凰院凶真が、貴様の宿の面倒を見てやろうと言うのだ。感謝するがいい。このような厚遇、世界の変革以上にレアなことだぞ!」 「い、いいの……? 本当に……?」 「当然だ。迷惑をかけたのはこちらなのだからな。その、世界線のことでも、それにアキバを連れ回して帰る日を勘違いさせたという意味でもな。……だが、シルバーファングよ。貴様はこれよりこの鳳凰院凶真からの恵みを受け取るに際し、一つだけ条件がある。それは……」 「そ、それは……?」 エリカはゴクリと唾を飲む。そして、倫太郎は言った。 「我がラボメンとなることだ!」
15 18/07/05(木)01:24:25 No.516477084
「……はい?」 「貴様はこれより、ラボメンナンバー〇〇九! シルバーファング、逸見エリカだっ! これよりその獣の如き鋭さを、ラボのために役立てるがよいっ!」 「……ぷぷっ、何よそれ。つまり、あなた達の仲間にしてくれるってことじゃないの」 「……ま、とどのつまりそういうことね」 エリカと紅莉栖が笑いながら言う。 「……ふふっ、本当にあなたって面白い人ね、ふふふっ……」 「な、なんだ。そこまで笑うことか」 「ええ、だってとっても面白いもの……! ふふふっ……! ……ふぅ。ええ、なるわ。倫太郎。私、ラボメンになってあげる。よろしくね、みんな」 エリカは両手を腰に当てながら、ニヤリとニヒルな笑みを浮かべながら言った。
16 18/07/05(木)01:24:44 No.516477125
その言葉に、倫太郎達は笑顔になる。 「ああ、よろしくたのむぞ! シルバーファングよ!」 「よろしくエリカ!」 「よろしくなのだよー逸見氏!」 「よろしくっ! エリカちゃん!」 こうして、エリカは未来ガジェット研究所の一員となったのであった。 つづく
17 18/07/05(木)01:37:14 No.516478742
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18 18/07/05(木)01:41:24 No.516479257
そ順1位…
19 18/07/05(木)01:41:42 No.516479301
なにこれ
20 18/07/05(木)02:01:10 No.516481576
シュタゲ見たことないから分かんないけどそれを差し引いても読めるな…
21 18/07/05(木)02:23:18 No.516483735
地の文を増やしてみてはどうか
22 18/07/05(木)02:26:05 No.516483970
シュタインズ・ゲートは原作知らないんだが、キャラクターの描写が地の文でほとんどなされずにセリフが大量にある感じなので、一人ひとりを想像しづらいのだ
23 18/07/05(木)02:26:41 No.516484018
良かった バッドエンドはなさそうだ…
24 18/07/05(木)02:29:48 No.516484264
badに便乗している人間がいることだけ伝えておく