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    18/07/04(水)02:25:51 No.516276145

    エリまほSS  華美なプレゼントを贈ることは、この黒森峰女学園機甲科では禁止されている。  ポトラッチ――高校生にふさわしくない過剰なプレゼントの応酬、戦車道や学業に集中できなくなる、云々。  実に規律の厳しい黒森峰らしい、禁止行為である。  よって、7月1日、西住まほの誕生日もささやかな誕生会となった。  幹部隊員が会議室に集まり、花束贈呈と後輩代表から祝辞が述べられる程度の、素っ気ない誕生祝い。  しかも、こうして有志が集まって祝われるのはごく限られた隊員のみ――つましい誕生会であった。   「エリカ、どうした」 「これから隊長の部屋に行ってもよろしいですか」 「個人的な誕生祝いも監視対象だ、副隊長のお前が率先してやるべき行為ではない」 「分かっています。では、隊長の引き継ぎ任務のやり残しをお願いします」 「わかった」 「では、後ほど」

    1 18/07/04(水)02:26:10 No.516276171

     誕生祝いが行われてしばらくした後、エリカはまほと一人きりになるタイミングを見計らって、こっそりと声をかけた。  その表情には、照れや期待と言った感情は感じられず、あくまで戦車道の隊長を引き継ぐためである、という真摯な表情が感じられた。  ゆえに、まほも規則違反と取られかねないエリカのプライベートな訪問を受け入れたのだった。 「失礼します」 「ああ、入れ」 エリカは大量のノートと資料を抱えて、まほの自室に現れた。 「おい、資料がちょっと多くないか?」 「大丈夫です、要点はすでにまとめてあります」 「では、まず昨年の継続高校との試合での課題ですが――」

    2 18/07/04(水)02:26:35 No.516276208

     なるほど、エリカは過去の『気になる』試合(全て総括は済んでいる)の、より細かい戦況の転換点や、敵味方の布陣について、納得できない点を箇条書きで2、3個ずるまとめて来ていた。 「我々のパンツァーカイルにより継続の前衛が撃破された120秒後には、機動戦に持ち込むべく我々を攪乱する動きを見せ始めた。砂漠に対する驚異的な順応力だ」 「想定外の敵の動きにも我が部隊は隊列を乱さず砲撃を続ける事で勝利を手にしましたが、仮に砂漠への順応力が我々の想定を上回った場合は、攪乱が成功していた可能性も考えられます」 「……それでもなお圧倒的火力で敵を逐次撃破していけば勝利は確実だが、何か気になることがあるのか」 「仮に大洗が対戦相手だったとして、砂漠への順応がさらに早く、隊列に対して各戦車が個別に機動戦をしかけ、隊列が乱れたところを各個撃破される可能性も考えられます」 「彼我の火力差を考慮すれば機動戦に乗ったところで圧倒することは可能だと考えるが」 「しかし……元副隊長がそれを許すでしょうか」

    3 18/07/04(水)02:26:59 No.516276259

     エリカの疑問点は杞憂である。  そう結論付けてしまって次の話に進んでも良かった。  ただ、確かに相手がまほの妹――みほであれば何が起きるか分からない。 「うむ。もう少し陣形を練り直し、シミュレートしてみるか」 「はい!」  エリカとまほの引き継ぎ――いや、過去の対戦のシミュレートは何時間にも及んだ。  なみなみならぬ気概でまほの部屋に現れたエリカにも、エリカの想いを一身に受け止めていたまほにも、徐々に疲労の色が濃くなってきた。 「エリカ、少し休もう」 「あ、はい……ええと」 「もうこんな時間だ。あまり根を詰めては明日に響くだろう。コーヒーを淹れる」

    4 18/07/04(水)02:28:42 No.516276418

     ふと気がつけば時計の針は11時を過ぎている。  明日は朝から戦車道の朝練が控えている。  ブラックコーヒーを飲みながら、まほはエリカの顔をそれとなく見る。  疲れよりも、焦りに近い表情が浮かんでいた。 「なあエリカ、今日はここまでにしないか?」 「あの、まだもう少しおたずねしたいことがあります」 「もう遅い、きりのいいところで止めて続きはあしたにしよう」 「しかし……」  エリカが何かを言いよどむ。  エリカの瞳に、また焦りが色濃く浮かんでいた。

    5 18/07/04(水)02:29:10 No.516276473

    「もう、時間が無いんです」 「時間が?」 「隊長から、なるべく多くの事を学び、自分の血肉としなければなりません。隊長がドイツに留学するまでに。そのためには、一刻の猶予も許されないのです」  エリカの目は潤んでいた。黒森峰次期隊長としての重責を担うために、1歩でもまほに近づきたい。  まほの考えを1つでも多く引き継ぎたい、そんな想いに溢れていた。   「……」  まほはコーヒーに口を付けながらしばし思案する。  何か違う。  私は私のコピーを黒森峰に残して日本を去るわけではない。  エリカにはもっと伝えなければいけない何かがあるはずだ。

    6 18/07/04(水)02:29:38 No.516276533

    「隊長、続きを……」 「エリカ、待ってくれ」  コーヒーを飲み干したエリカが引き継ぎに戻ろうとするのを、まほが止める。  おもむろにエリカに近づき、そっと肩を抱き寄せる。 「たいちょ……!」 「エリカにとって大切な引き継ぎは、本当はもっと少ない」 「自分で考え、自分の戦車道を歩めばいい」 「…………そんなものは私には――」  まほがエリカの両肩を抱きすくめ、胸で顔を抱き止めた。  驚いて抵抗しようとしたエリカの力が、じょじょに抜けていく。

    7 18/07/04(水)02:29:59 No.516276575

    「本当に必要なのは、仲間を信じて、堂々と自分の戦車道を進むことなんだ」 「私にはそんなものは有りません。隊長の築いた戦車道をより高みに目指すのが使命です」 「ちがう、違うよエリカ」  まほの豊かな胸に抱かれながら、とく、とく、と鳴る心音に身を預けているうちに、エリカの身体のこわばりが更にほぐれていく。 「エリカの戦車道はエリカでしか見つけられない。私が引き継げるのはそのための手段に過ぎない。私を使え。踏み台にして自分の高いところを目指してくれ」 「たい……ちょう……」  エリカが胸に顔を埋めて肩を震わせる。  きつく抱き締めるまほの耳に、エリカのすすり泣きが聞こえてきた。

    8 18/07/04(水)02:30:19 No.516276609

    「まだ、分からないんです……自分の戦車道が」 「大丈夫、きっと見つけられるよ。エリカなら」  目を赤くしたエリカがまほの顔を見つめる。  まほもエリカの瞳をじっと見据える。  まほの片手は、エリカの顎をやさしく掴んでいた。 「隊長、私にはどうしても吹っ切れないことがあるんです」 「何だ」 「本当はプレゼントを差し上げる立場なのですが、どうしても欲しいものがあります」 「言ってみろ」 「口に出して言うのは難しいのですが……目を閉じて頂けないでしょうか」 「ああ」

    9 18/07/04(水)02:30:47 No.516276645

     まほが目を閉じる。  しばらくの間、沈黙が続く。  エリカの全身が震えている。  やがて、すっと、エリカの吐息が近づいてきた。  そして……濡れた唇がまほの唇に重なってきた。 「む……」  軽く舌で唇をこじ開け、舌と舌が軽い挨拶を交わす。  さっき飲んだコーヒーの味が、エリカの唾液混じりに口の中に広がった。  そっと唇を離したエリカが、耳まで顔を赤くして横を向く。 「ごめんなさい! 隊長は私にとって神様、絶対的な存在でした! 隊長の一挙手一投足を身につけることが黒森峰隊長の使命と考えていました。でも違うと言われれば、自分の道を見つけろと言われれば、その、その……!」 「神様のままじゃいられないだろうな」

    10 18/07/04(水)02:31:10 No.516276692

     こくん、とエリカが頷き、またまほの胸に顔を埋める。 「神を自分と同じ立場に引きずり下ろす『儀式』が、必要だな」  また小さく、こくん、とエリカが頷いた。 「隊長を絶対の存在にできなくなる、何かが……さっきの……」  エリカが顔を上げたタイミングで、今度はまほが唇を重ねた。 「んむっ……!」  キスはしばらくの間続き、丹念に舌と唾液を交換した後、ゆっくりと唇が離れていく。  唇と唇の間に銀の橋を作り、口の端に涎を垂らしながら、まほがゆっくり、噛んで含めるように、言葉を紡ぐ。

    11 18/07/04(水)02:31:30 No.516276726

    「私は――かわいい後輩の意思なんかお構いなしに、唇を奪い返すような女だぞ」 「……たい、ちょ……」  ぎゅっと、二人は固く抱き合う。  その二人を、窓の外から射し込む月明かりが静かに照らしていた。 「エリカ」 「はい」 「私が残りの日々で教えられることがあるとすれば、貴女の戦車道を探す道しるべを与えることだけだろう」 「寂しく……なりますね」 「だからせめて、戦術や戦訓以外で、一緒の時間を増やすことで、『何か』を学び取ってくれ。それでいいか、エリカ」 「はい……」  月が雲に隠れる。  一つになった二人の影が、ふっと、暗闇の中に消え去った。

    12 18/07/04(水)02:32:10 No.516276800

    おしまい まほ誕を書こうとしたらまほ誕じゃなくなってしまった

    13 18/07/04(水)02:34:20 No.516277006

    いい…

    14 18/07/04(水)02:35:07 No.516277070

    でえじょうぶだ遅れないガルパンはガルパンじゃない だからいいんだ

    15 18/07/04(水)02:39:11 No.516277418

    本編の不安げなやつと"貴女の戦車道を探せばいい"を思い浮かべて読むと >「エリカにとって大切な引き継ぎは、本当はもっと少ない」 >「自分で考え、自分の戦車道を歩めばいい」 がグッとくる いい…

    16 18/07/04(水)02:40:30 No.516277532

    甘くて素敵

    17 18/07/04(水)02:48:24 No.516278062

    スレッドを立てた人によって削除されました

    18 18/07/04(水)02:48:44 No.516278090

    サーッと読むと一見イケメンまほさんと乙女なエリカの静かで甘い話なんだけど、なんだろうね…読み終えると寂しいような切ないような不思議な余韻があって、それでいて決して暗くはならずにむしろ明るい希望もみえるという 2人の時間の濃密さがよく出ていてとてもよかった

    19 18/07/04(水)02:54:13 No.516278484

    「静」を書くのは難しいよね

    20 18/07/04(水)02:56:19 No.516278667

    私はいいと思う

    21 18/07/04(水)02:58:39 No.516278824

    スレッドを立てた人によって削除されました

    22 18/07/04(水)03:06:16 No.516279367

     -みほとしては新しいエリカをどう思いますか? 「エリカがお姉ちゃんのコピーではなく自分の道を探して前に進んで行くことがエリカからお姉ちゃんへのプレゼントになる訳ですね なので最終章ではエリカさんが大洗にとって最強の敵になるような気がするんですよ、西住流から離れたみほとまほの影響から脱皮したエリカが良きライバルとして戦ってそして最後は笑って和解して欲しい…そんな風に思っていますね まあ相変わらず皮肉は言われるかも知れませんけど(笑)」  -ありがとうございました

    23 18/07/04(水)03:07:46 No.516279475

    最終章はやっぱりエリみほが見たいなぁ

    24 18/07/04(水)03:08:01 No.516279491

    スレッドを立てた人によって削除されました

    25 18/07/04(水)03:08:48 No.516279545

    渕 ス !

    26 18/07/04(水)03:10:18 No.516279651

    いちいち荒らしに構ってんなよ……

    27 18/07/04(水)03:10:45 No.516279676

    書き込みをした人によって削除されました

    28 18/07/04(水)03:14:24 No.516279938

    書き込みをした人によって削除されました

    29 18/07/04(水)03:15:28 No.516280009

    寝る前にいいもの読めた おやすみなさい

    30 18/07/04(水)03:18:17 No.516280183

    渕上さんはさあ…

    31 18/07/04(水)03:19:26 No.516280260

    純粋に感想書いただけのレスも消された… 肯定意見しかダメならそう書いといて…

    32 18/07/04(水)03:27:18 No.516280752

    お姉ちゃんのセリフがいちいちカッコイイ

    33 18/07/04(水)03:29:57 No.516280919

    >純粋に感想書いただけのレスも消された… >肯定意見しかダメならそう書いといて… もうちょっと何か言い方があったんじゃないかな… 文章が稚拙だとか

    34 18/07/04(水)03:32:28 No.516281085

    >文章が稚拙だとか 同じ事じゃねーか

    35 18/07/04(水)03:35:42 No.516281269

    話としては短いけれどやつの独白やお姉ちゃんの返しの辺り結構推敲してるように思えるけどな

    36 18/07/04(水)03:41:02 No.516281660

    感想文書くのも文章力や想像力必要よねそれもSSを読む愉しみだけどな!

    37 18/07/04(水)03:42:44 No.516281766

    >純粋に感想書いただけのレスも消された… >肯定意見しかダメならそう書いといて… ごめんなさい 流れから一緒に消してしまった 中学生の文章から脱却できるようにもっと精進するよ…

    38 18/07/04(水)03:47:10 No.516282017

    脱却してるからこれからも書いて欲しいっス

    39 18/07/04(水)04:51:59 No.516285528

    結局何をもって中学生レベルと言ったか書かなきゃ荒らし扱いされてもしゃーなしだな 語彙が足りないとか言い回しが同じとか何かあるだろうに

    40 18/07/04(水)04:56:16 No.516285896

    >結局何をもって中学生レベルと言ったか書かなきゃ荒らし扱いされてもしゃーなしだな >語彙が足りないとか言い回しが同じとか何かあるだろうに そんな親切な奴がいるかよ…