虹裏img歴史資料館

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18/06/13(水)01:31:20 SS「水... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1528821080598.jpg 18/06/13(水)01:31:20 No.511379749

SS「水底(ミナソコ)の呼び声3~甦~」 これは以前投下したSS「水底(ミナソコ)の呼び声」「水底(ミナソコ)の呼び声2~拡~」の続きとなります。 だいたいのあらすじ 愛里寿からみほ捜索を頼まれた大河。そこでまずはじめに五十鈴華のところに向かうも、妙なDVDを見た後に華が突如怪死を遂げる。困惑する大河達。その二人の元に現れたのは、かつての大洗の生徒、澤梓と丸山紗希だった……。 いままでの 1 su2440587.txt  2 su2440589.txt 今回の su2440590.txt

1 18/06/13(水)01:32:27 No.511380016

 大河達はひとまず警察の取り調べを受けた後、華のことを使用人と警察に任せた後、場所を移して会話することにした。  大洗にあるファミリーレストランである。 「……それで、何なんですか、エリカって」  大河は愛里寿と隣合わせで座り、正面に座る梓と紗季に聞いた。 「そうですね、そこから説明が必要でしょう」  梓が紗季と目を合わせて言う。そして梓は、一杯水を飲んでから説明を始めた。 「事の始まりは十六年前に遡ります。そのときに行われた戦車道の高校生全国大会、そこで一人の黒森峰女子生徒が戦車ごと川に落ちて助からずに亡くなりました。名を、逸見エリカ」 「黒森峰の逸見エリカ……?」

2 18/06/13(水)01:32:45 No.511380091

「はい。みほさんの同級生だった生徒です。その生徒が亡くなった後、黒森峰では謎の怪事件が起きて、生徒が三人怪死を遂げているんです。それをきっかけに、みほさんは私達の大洗女子学園に転校、事件は一旦終息したかに思えました。ですが、それ以降も黒森峰では事故が多発、さらに、もっと時間が経ってから今度は各所で不可解な死者が出るようになりました。それは、エリカさんが乗っていたⅢ号戦車が沈められた水源の水を飲んだ人間ばかりでした。その犠牲者には、去年の戦車道連続怪死事件の被害者がすべて入っています」 「そ、それでは去年の事件はそのエリカさんという生徒の祟りであると!?」 「はい。その通りです」 「その通りって……」  大河は愕然とする。事の現実離れした大きさと、まったくその事を知らずに生きていた事に。

3 18/06/13(水)01:33:04 No.511380167

「と言っても、私達もそのことを知ったのは最近なんですけどね。五十鈴先輩から身の回りで起きる不幸の調査の依頼を受けて、それで色んなところから話を聞いたり、ちょっと危ない橋を渡ったりして調べて分かったことなんです」 「なるほど……華さんから調べてと依頼されたっていうことは、あなた達は探偵か何かなの?」  愛里寿が聞く。すると、梓は苦笑いしながら首を横に振った。 「いいえ。ちょっと違います。実は、紗季には強い霊能力があるんです」 「霊能力……?」 「はい。それで昔から見えないものを見たり、感じられないものを感じたりしていたらしくて、その紗季の手伝いを私はしてるんです。紗季、かなり口下手だから」  梓の言葉に、紗季がわずかに頷く。  その目は、愛里寿や大河をしっかりと見据えていた。 「幽霊に、霊能力……にわかに信じがたい話ではありますが、あのような華さんの姿を見た後では、とても否定はできませんね……それで、私達が呪われたというのは、やはりあのDVDを見たから?」

4 18/06/13(水)01:33:20 No.511380228

「はい。あのDVDには、強いエリカさんの念が籠もっているようなんです。それで、言いづらいのですが、お二人はもしかしたら近々……」 「死ぬ、ってことだよね」 「……はい」  愛里寿が重々しく反応し、梓は苦々しい顔つきになる。 「そ、そんな……」  続いて、大河が絶望した表情を浮かべる。 「本当にすいません! 私達がもっと早く五十鈴先輩の家に来ていれば……!」 「いいや、しょうがない。危険があると分かってDVDを見たのは私達のほう」 「……そうですね。華さんからも自己責任と言われましたし」  愛里寿があくまで冷静に梓に言う。大河も続いて言う。  梓は、それでも二人に対し申し訳なさそうな顔をしていた。 「本当に、申し訳ありません。……どうしてそのDVDにエリカさんの強い念が籠もっているかはよく分からないんですが……それには、西住先輩と秋山先輩が関わっていることは、確かです」 「みほさんと、優花里さんが……なぜでしょうか……」

5 18/06/13(水)01:33:38 No.511380335

「そこまでは……ただ直前に連続怪死事件の捜査協力をしていたことは確かなのですが……」 「それには、まだ情報が足りない……」  一同はそこで一旦静かになる。気まずい沈黙が四人の間で流れる。 「……そうだ!」  と、そこで大河が少し大きな声で言った。 「DVDを優花里さんから直接受け取ったのは沙織さんらしいじゃないですか。沙織さんから話を聞いてみるのはどうでしょう、優花里さんの居場所が分かるかもしれません!」 「一応以前にも私達は話を聞きましたが……王先輩達を含めてもう一度話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。そうしましょう。いいね、紗季」 「…………」  梓が大河の言葉に同意し、紗季に聞くと紗季は静かに頷く。 「愛里寿さんも、それでいいですね?」 「うん。情報はできるだけあったほうがいい。そうと決めたら、さっそく行こう」

6 18/06/13(水)01:33:53 No.511380402

 愛里寿が大河の言葉に頷くと、素早く立った。 「そうだね。行動は早い方がいい。五十鈴先輩が死んじゃってるから、特に」  梓も愛里寿の意見に頷き、立ち上がる。 「…………」  紗季も続いて立ち上がる。 「みなさん、行動すると決めたら早いですね……まあ、今回ばかりはのんびりしている余裕なんてありませんからね」  そうして、一行は武部沙織の家へと向かうことを決めた。

7 18/06/13(水)01:34:08 No.511380499

 ファミリーレストランから車を走らせ、一行は沙織の家へと着く。  沙織の家は大洗にある閑静な住宅街にあった。天気は相変わらずの曇天で、妙に人気が少なかった。  大きさは立ち並ぶ家の中でも大きめで、そこそこ裕福なことが伺える。 「ここですね……」  大河が車から降りて言う。ここまで運転してきたのはもちろん大河だった。  彼女の車に、愛里寿、梓、紗季が乗ってやって来たのだ。 「それでは」  大河が代表して沙織の家のインターホンを押す。だが、押してしばらくしても誰も出てくる気配はなかった。 「留守なのでしょうか……?」  大河は家の窓を見てみる。窓は、どれもカーテンが閉め切られており、中を伺うことはできない。 「いや、待ってください」

8 18/06/13(水)01:34:25 No.511380567

 梓がドアに手をかけて、引いてみる。すると、扉はすっと開いた。 「開いてる……多分、中にはいるんだと思います」 「そうらしいですね……」  一行は沙織の家の中に入る。電気はついておらず、またしばらく掃除をしていないのか、妙に埃っぽかった。 「沙織さーん……」  大河が恐る恐る呼びかける。だが、反応は帰ってこない。 「どうしましょうか……」 「中に入って探そう。手分けして探せばすぐだと思う」  困った様子の大河に、愛里寿がぴしゃりと言った。 「だ、大丈夫でしょうか……」 「緊急事態。仕方がない」 「そういうものでしょうか……」  本当に大丈夫かと大河は思いつつも、他にいい案がないため四人は別れて沙織のことを探すことにした。  梓は紗季と一緒に別れた。紗季は見つけても大声を出せないかららしい。  二人と一人と一人に別れた四人は、それぞれ沙織の家を探索していく。

9 18/06/13(水)01:34:41 No.511380623

 大河はまず、リビングに入った。  リビングにはいろいろと物が置かれてはいたが、しばらく触った形跡はなく、長い間放置されていることがわかった。 「旦那さんと息子さんが亡くなってから、生活する気力がなかったんですね……」  そんな風に沙織の行動に思いを巡らせながらリビングを調べる大河。 「きゃあっ!」  そんなときだった。  愛里寿の大きな叫び声が聞こえてきたのだ。 「っ!? 愛里寿さん!?」  愛里寿の声は二階から聞こえてきた。大河は急いで二階へと向かう。愛里寿の声が聞こえて来た部屋は、二階の突き当りにあった。  そこには、すでに梓と紗季がおり、愛里寿は床に尻もちをついていた。 「一体何がっ……!?」  大河が愛里寿の元に駆けつけたとき、それを見て、すぐさま状況を理解した。  沙織はいた。  だが、生きてはいなかった。  沙織は、暗く荒れた部屋の中、天井から首を吊るして死んでいたのだ。

10 18/06/13(水)01:35:00 No.511380715

「そんな……自殺……!?」  その状況はどこからどう見ても自殺であった。だが、紗季がふるふると首を振って指を指す。 「ん? どうしたの紗季? ……! これって……!」 「え? 一体どうし……っ!?」  大河は紗季の指差す奉公をよく見て、言葉を失った。  紗季が指さしていたのは、沙織が首を吊っていたロープだった。否、それはよく見ればロープではなかった。  それは、髪の毛だった。華の口から出ていたのと同じ、銀色の髪の毛だったのだ。 「紗季、またこれって……」 「うん……エリカ……」  紗季が小声で言う。梓はその紗季の答えに青ざめた顔になる。 「どうして……今まで周りの人間を不幸にしていたのにとどまっていたって言うのに、どうして突然……!」 「…………」  紗季はわからないと言った様子で首を振る。大河はただただ言葉を失い、その死体を眺めているだけだった。 「……あっ、これ、見て!」

11 18/06/13(水)01:35:21 No.511380794

 と、そこで尻もちをついていた愛里寿が立ち上がり、沙織の死体のとある部分を指さした。  それは右手だった。その右手をよく見ると、手に携帯電話が握られているのが分かった。 「……携帯電話……?」 「……ちょっと待ってて」  愛里寿は死体に近づくと、その携帯電話を死体の手から離した。 「ちょ、愛里寿さん!?」 「……なるほど」  そして、愛里寿はその携帯電話の画面を見て、一人頷いた。 「これ、見て」  そして愛里寿はその携帯電話の画面を三人に向ける。その画面にはとある名前が表示されていた。

12 18/06/13(水)01:35:37 No.511380881

『麻子』  それは、冷泉麻子の名だった。 「これって……こうなる直前まで沙織さんは、麻子さんと電話をしていたってことですか!?」 「うん、そうらしい」 「それじゃあ……」 「急ごう、麻子さんのところへ」  愛里寿のその一言で、麻子のところへと向かうことにした。   つづく

13 18/06/13(水)01:58:15 No.511385468

今日は来ないかと思って油断してた…

14 18/06/13(水)02:00:49 No.511385948

深夜になんちゅうブツを出しなさる

15 18/06/13(水)02:02:26 [す] No.511386254

>今日は来ないかと思って油断してた… 本当はいつもどおりの時間に投げようと思ってたけどE3のために徹夜して見終わったら充電切れちゃって気づいたら夜になってた 申し訳ない……

16 18/06/13(水)02:03:17 No.511386419

/やだもー\

17 18/06/13(水)02:03:51 No.511386550

さおりん…とうとう独身のまま

18 18/06/13(水)02:05:43 No.511386879

丸山がカーナッキやジョン・サンレンスみたいな心霊探偵になってる

19 18/06/13(水)02:05:49 No.511386907

急展開すぎるわ!!

20 18/06/13(水)02:10:01 No.511387710

これ被害は拡散し続けてるけど怨霊なやつ自身は未だに水底に捕われたままだということに気がついた エリちゃんが水底の牢獄から抜け出たときはどうなるんでしょうね...

21 18/06/13(水)02:15:43 No.511388571

あっさり祟られるさおりんのところ読んでたら、ロバート・ブロックが自分の作品にラヴクラフトをモデルにした人物を出していいか尋ねたときに「殺すなり何なりどうとでもしろ」って答えた逸話を思いだした やだもー!!!11

22 18/06/13(水)02:17:34 No.511388846

ねえ…これアナザー…

23 18/06/13(水)02:18:33 No.511388979

オオオ イイイ

24 18/06/13(水)02:18:40 No.511388995

眼帯したこころちゃんが出てくるんだ…

25 18/06/13(水)02:24:25 No.511389845

先の展開が読めねぇ

26 18/06/13(水)02:26:33 No.511390141

カラス神父でも呼ばなきゃ

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