18/06/11(月)00:26:11 SS「水... のスレッド詳細
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18/06/11(月)00:26:11 No.510930752
SS「水底(ミナソコ)の呼び声3~甦~」 これは以前投下したSS「水底(ミナソコ)の呼び声」「水底(ミナソコ)の呼び声2~拡~」の続きとなります。 だいたいのあらすじ 逸見エリカは全国大会の決勝で水没戦車に乗っており、そこで命を落とし幽霊となる。幽霊となったエリカは最初はみほを見守るつもりであったが、悪霊化してしまう。それから十五年後、エリカは完全な悪霊となり次々と人を殺める。それはみほや優花里の尽力で解決したかに思えたが、エリカはみほに取り付き新たにその呪いを拡めようとするのであった……。 いままでの 1 su2437525.txt 2 su2437539.txt
1 18/06/11(月)00:27:07 No.510931004
「戦車道連続怪死事件? そんな事件あったねぇ一年前だっけ?」 雑踏行き交う町中、そこで噂は無秩序に語られる。 「そうそう、戦車道の有名な選手が大きな試合のときに次々に死んじゃったんだよねー」 「まだ未解決なんでしょ? あの事件」 人々が語る噂はどんどんと形を変え、様々な姿で語られる。 「確か猟奇殺人犯の仕業なんだっけ?」 「えー? 私は危険ドラッグが業界に蔓延していたって聞いたよ?」 「私はなんか危ない病気が海外から流れてきてたって聞いたなぁ」 その噂はどれも根拠のないものばかり。噂の内容のほとんどに価値はない。 しかし……。 「あ、私知ってるよ! あれはねー! 昔戦車道で死んだ女の子の幽霊の祟りなんだって!」 「えー嘘ぉー!」 「そんなはずないよぉ! ねぇ!」 「そうかなぁ?」 くだらない噂話の中にも、ときとして真実が混ざることがある……。
2 18/06/11(月)00:27:27 No.510931084
◇◆◇◆◇ 「王大河ー! 王大河はいるかー!」 「はーい!」 都内にある某テレビ局。 そこに勤めている一人の記者、王大河は突如上司に呼び出された。 「はい、なんでしょうか?」 「よく来た大河。実はな、今度うちでやる特番あるだろ、行方不明者を探す番組」 「あーありましたねぇ。改編期に流す適当なやつでしたよね?」 「お前、一応自分達で作ってる番組なんだからそんなことを言うなよ……まあいい。それでな、その番組にぜひとも探して欲しい人がいると依頼してきた人がいて、その担当にお前をつけたいんだ」 その言葉を聞くと、大河は露骨に嫌な顔をした。 「えぇ!? なんで私なんですか!? 特番でそういうことするようなスタッフは他にもいるでしょう!?」
3 18/06/11(月)00:27:44 No.510931142
「まあ待て話を聞け。実はな、その依頼主というのが……あの戦車道の天才選手、島田愛里寿なんだ」 「えぇ!?」 大河は驚く。 島田愛里寿。その名は戦車道を知っているものなら皆聞くことになる名であり、大河も面識がないわけではなかった。 大河は学生時代、大洗女子学園にいた。そして、大洗がその学校の存亡をかけて戦った大学選抜の隊長が愛里寿だったのだ。その縁から、大河は愛里寿にインタビューしたことがあり、それ以降社会に出てからも取材をしたことがあった。 「なるほど……私と島田さんが面識があるから私が適任と?」 「ああ、まあ……理由はそれだけじゃないんだがな」 「え?」 「ま、後は本人から聞いてくれ。とりあえず、応接間で待たせている」 大河はそう言われたため、一人応接間に行く。すると、そこにはソファーに座っている愛里寿の姿があった。
4 18/06/11(月)00:28:04 No.510931215
「あ、愛里寿さんこんにちは」 「こんにちは」 大河が現れ礼をすると、愛里寿は椅子から立ち上がりペコリと礼をする。 そうして挨拶を済ませた後、大河は愛里寿の正面のソファーに座る。 「さて、私に人探しを手伝って欲しいということらしいですが……」 「うん。この人を探して欲しい」 そう言うと、愛里寿は写真を取り出し大河に見せる。 「こ、これは……!」 そこに映っていた人物に、大河は驚きを隠せなかった。 それは、大河もよく知った人物だったからだ。 「これ、西住みほさんじゃないですか……!」 西住みほ。 かつて大洗女子学園を廃校から救った英雄であり、プロリーグの選手として名声を欲しいままにしてきた人物だ。 「た、確かにみほさんは……」 「そう、一年前から失踪している」
5 18/06/11(月)00:28:19 No.510931268
愛里寿は静かに言った。愛里寿の言う通り、みほは一年前から失踪していたのだ。 理由は誰も知らない。みほの失踪以前に、みほの実家である西住家で女中の一人が怪死を遂げた事件や、姉であり西住流の次期家元であった西住まほが精神病院に送られた事件と何か関係があるのではと噂されたが、結局その関連性も分からず真相は闇の中のまま、一年が過ぎていた。 「私に依頼した理由が分かりました。確かに私はあのときの大洗にいた生徒の一人ですからね。無関係とは言えません。しかし、なぜ今になって捜索の申し出を? 一応、今でも警察が捜索していると思うのですが……」 「警察にはもちろん頼んである。探偵も雇った。それに加えて、私はテレビの力も借りたい。みほさんは私にとって大切な人だから」 「なるほど……」 大河は納得したように頷く。 どうやら愛里寿はどうしてもみほのことを探し出したいらしい。そのためには、わらでも掴むと言った感じを大河は受けた。
6 18/06/11(月)00:28:35 No.510931326
「一年前に突如失踪した戦車道プロチームの花形選手、確かにこれはテレビとしても美味しいネタですね。……いいでしょう! その依頼、受けましょう!」 「本当!?」 笑顔で言う大河に、愛里寿もまた笑顔になった。依頼を受けてもらったことが、とても嬉しい様子だ。 「ええ、これでもマスメディアに携わる人間の端くれですからね! もし見つかったら大スクープですし、乗らないわけにはいかないですよ! とは言え、心当たりはあらかた警察が調べていそうですが……」 「そうでもない。当時の大洗の人間だから分かることもあるはず」 「そう言われても……あっ、そうだ」 そこで大河は何かを思いつき、手を打った。 「みほさんのお友達に聞くのはどうでしょうか?」 「みほさんの、友達?」 「ええ。具体的には、かつてみほさんと一緒に戦った大洗女子の戦車チーム、あんこうチームのみなさんです!」
7 18/06/11(月)00:28:51 No.510931384
あんこうチーム。それは大洗優勝の柱となったチームの一つであり、みほがもっとも仲良くしていたメンバーである。 「なるほど……確かに、そこは盲点かもしれない」 「でしょう? 五十鈴華さん、武部沙織さん、冷泉麻子さんの三人なら、何かみほさんの手がかりを持っているかもしれません」 「ん?」 大河が三人と言った。そこで、愛里寿は引っかかったような顔をする。 「三人って……あんこうチームは、もう一人いたはず。確か通信手の……」 「あー、秋山優花里さんの事ですよね……。その、ご存知ないんですか?」 「え? どういうこと?」 愛里寿がよく分からないと言ったような顔で返す。 すると、大河は若干口を濁しながらも、愛里寿に答える。 「えーと……その……実は、優花里さんも、一年前に失踪しているんですよ」 「えっ!?」
8 18/06/11(月)00:29:08 No.510931442
愛里寿は驚いた。みほ以外にも一年前に失踪した人間がいる。そのことに驚きを隠せない様子だった。 「一年前に、失踪……!?」 「ええ……愛里寿さんは多分覚えていないでしょうけど、実は一年前。月刊戦車道の記者が一人入水自殺しているんです。斑鳩拓海っていう人なんですけど……」 「そういえばそんな事件があったような……」 「ええ。それで、その事件の前後に隠れてしまったんですが、優花里さんが突如姿を消してしまったんです。最後の連絡は、その拓海さんが取っていたらしく行き先がまったく分からないままで……」 「そうだったんだ……」 「ええ。だから優花里さんから話を聞くことは無理なんですよ」 それを聞いた愛里寿は、何か考え込むように顎を手で触りながら、言った。 「……なんだか、無関係とは思えない」 「あっ、愛里寿さんもそう思いますか? いやー私も実は何か関係あるんじゃないかなとは思ってはいるんですよね。でも何の手がかりもない上に、警察は無関係で捜査を始めちゃったみたいで」
9 18/06/11(月)00:29:26 No.510931507
「……だったら、ますますあんこうチームの人達に話を聞いたほうがいいかもしれない。優花里さんのこと含めて、何か知っているかもしれないから」 「そうですね。私もそう思っています」 大河と愛里寿はお互いにそう確認しあうと、さっそく話を詰め始める。 「それじゃあ、最初は誰に聞きに行く?」 「そうですね……華さんあたりが妥当だと思います。華さんの家は華道の家元として、とても由緒正しい家ですが、その分いろんな方面に顔が効く人です。みほさんのことも何か知っているかもしれません」 「分かった。そうなれば、さっそく行動」 そう言って、愛里寿は立ち上がる。 「え!? もう行くんですか!?」 「行動は早いほうがいい」 「それはそうですが……分かりました! 私もジャーナリストです! その理念には共感を覚えますし、お供させてもらいましょう! ですが、向こう側にもアポを取らないといけません。少し待ってくださいね。それによっては日にちがずれるので」 「……分かった」
10 18/06/11(月)00:29:42 No.510931564
愛里寿はコクリと頷くと、大河は応接間から出ていった。愛里寿は、大河が五十鈴家に連絡するのを待つ。 大河は自分のデスクで連絡先を調べ、五十鈴家に電話をする。 それからしばらくして……。 「愛里寿さん! 連絡がつきましたよ!」 「本当!?」 「ええ! 明日にでも行っていいそうです!」 「よかった……」 愛里寿はほっと胸を撫で下ろす。一方大河は少し苦笑いをしていた。 「いやまあ、少し手こずりはしましたがなんとか了承をもらえてよかったですよ。何せ問題が問題ですからね……それでは、明日車を出すので再びこのテレビ局に集まるということでいいですか?」 「うん」 「良かった。それではまた明日」
11 18/06/11(月)00:29:57 No.510931616
大河と愛里寿はそうして、その日別れた。 こうして、大河と愛里寿によるみほの捜索が始まった。 だがこのとき、大河はまだ知らなかった。 軽い気持ちで始めたみほの捜索が、後に大きな事件へと発展していくことに……。 つづく
12 18/06/11(月)00:36:02 No.510932923
恐怖はふたたび…
13 18/06/11(月)00:37:47 No.510933304
例の話のプロットが出来たらしいと小耳に挟んだのだが…とメモ住でレスしようとしたら来た
14 18/06/11(月)00:40:52 [す] No.510934035
>例の話のプロットが出来たらしいと小耳に挟んだのだが…とメモ住でレスしようとしたら来た とりあえずプロローグだけ完成させて投げてみました できるだけ毎日更新をこの時間帯あたり目指して頑張ろうと思います こない日があったらごめんね
15 18/06/11(月)00:44:25 No.510934850
>みほの実家である西住家で女中の一人が怪死を遂げた事件 やっぱり心不全で片付けられたのかな
16 18/06/11(月)00:46:08 No.510935238
前シリーズで第1のキタエリは犠牲となったが果たして第2のキタエリの運命やいかに
17 18/06/11(月)00:47:02 No.510935417
斑鳩でるの?
18 18/06/11(月)00:53:14 No.510936789
なーんだかおかしい…なーんだか変だ…王さんねえその時フッと気がついたんだ ピチョピチョピチョ…後から何かが近づいて来る足音がするんだあ (こいつ!生きてる赤星じゃねえ!!)
19 18/06/11(月)00:53:35 No.510936862
ゾクゾクする…
20 18/06/11(月)00:59:43 No.510938183
いいかい「」 怨霊やつに関わった「」がね、もう3人も憑かれたんですよ…
21 18/06/11(月)01:00:11 No.510938274
怨霊なやつは共通の概念
22 18/06/11(月)01:04:54 No.510939280
>改編期に流す適当なやつでしたよね? ひどい…
23 18/06/11(月)01:05:50 No.510939479
ケーニヒスティーガーちゃんが今回の狂言まわしになるのかな
24 18/06/11(月)01:11:21 No.510940526
ところでダークサイド「」の本、役場さんとこで買ったよ 寝る前に読んでるけどいい夢見れたよ あれ...何だろう?この銀の鍵
25 18/06/11(月)01:16:50 [す] No.510941493
>ところでダークサイド「」の本、役場さんとこで買ったよ >寝る前に読んでるけどいい夢見れたよ >あれ...何だろう?この銀の鍵 ありがとう……楽しんでくれたようで何より ぜひとも未知なる大地に夢を求めて欲しい
26 18/06/11(月)01:20:10 No.510942089
水の底に巣くうもの…
27 18/06/11(月)01:22:42 No.510942517
王大河と愛里寿はインスマスの海底にのまれる立場になるのか はたまたタイタス・クロウになるのか
28 18/06/11(月)01:24:58 No.510942917
みぽりんと一躰化したやつがどんな登場をするか樂しみであります!座して待つであります!