虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

  • iOSアプリ 虹ぶら AppStoreで無料配布中
  • 彼女と... のスレッド詳細

    削除依頼やバグ報告はメールフォームにお願いします。 個人情報,名誉毀損,侵害等について積極的に削除しますので、メールフォームより該当URLをご連絡いただけると助かります

    18/05/15(火)23:09:44 No.505004990

    彼女とのランチタイムはとても甘美な時間であった。 遠目に眺めるしかなかった横顔をほんの数センチの距離で見ることが出来る。 表情はいつもの澄ました顔のままであったが、白く陶器のようなツヤの頬や細く伸びた首筋などは息を呑むほどの美しさであった。 当然のではあるが、ずっとマジマジ観察できたわけではない。 フォークを口に運ぶ作業の合間にチラチラと脇目で盗み見るしかなかった。 後に、このことは彼女にしっかり気付かれていたことを知る。 それでも、憧れの女神の隣で過ごすことができた数分間、心は幸福に包まれていた。 一足先に食べ終わった彼女はトレイを持ち、こちらに声をかけることもなく立ち去っていってしまった。 目の前の皿が空になった後も、しばらくの間幸福感によりその場を動くことが出来なかった。

    1 18/05/15(火)23:10:01 No.505005106

    次の日、講義のある教室に入った時に前日のランチタイムと同じ光景が目に映った。またも見えない壁が形成されていたのだった。 学生たちはカフェテリアの時と同様に不自然に距離をあけて奇妙な空間を作っている。その中心に彼女は一輪で咲いているのだ。 ここでも思い切って一歩足を進め、隣の席につくことにした。今までの人生の中からは考えられないほどに積極的だった。 「隣……座っていいかな?」 「好きにしなさい、空いてるんだから」 返答は思ったとおりのつれない態度。 予想通りだから特に傷ついたり憤慨したりすることもない。むしろ、拒まれないことを喜びもした。 周りの見えない壁越しにヒソヒソ声が聞こえてくるのも、予想的中と言ったところだった。 先ほどまで他愛のない雑談を続けていた学生たちは声のトーンを落として何事かを囁き合っている。 気にはなるがまともに取り合うつもりはなかった。 そんなことよりも彼女の一挙手一投足を目に焼き付けたいという気持ちの方が圧倒的に強い。 しかしながら、やはりじっと見つめることなどできるわけもなく、ここでも覗き見を続けるしかなかった。

    2 18/05/15(火)23:10:25 No.505005283

    それからしばらくの間、教室やカフェテリアで例の壁を見つけるたび、それを乗り越え花を愛でに行った。 挨拶程度しか交わす言葉はなかったが。 とはいえ安易に女性を口説き落とせるような言葉のレパートリーは持ち合わせていないし、彼女もそんな言葉は聞き飽きているだろう。 今も相手になどされていないが、突き放される様な事態は避けたい。 積極的なのか消極的なのか、判別つかない優柔不断な態度のまま彼女と並んで座る日々は続いた。 とある日のことだ。 いつも通りにランチの乗ったトレイを手に彼女の後姿を確認した時、違和感を覚えた。 遠巻きに距離を開けられている、いつもの窓際の席。 そこに学生たちに背を向け佇んでいる彼女は今までどおりなのだが、その隣がおかしい。 近付いてみると、なんと小さな鞄が一つ、椅子の上に置いてあるのだ。 派手すぎず控えめなデザインの、小さい手さげの鞄。それを目にした時、まさかという考えが頭に浮かんだ。 椅子の上に鞄を置く、ということはこれは席を確保しているという意思表示だろう。 つまり彼女の隣は既に何者かによって予約されてしまっているのだ。

    3 18/05/15(火)23:11:07 No.505005522

    その考えに到った時、落胆からトレイを落としてしまいそうになった。仕方ないこととはいえ、ショックは大きい。 だが鞄の持ち主に抗議したところでどうなることもない。なによりそんなみっともない姿は見せられない。 今日は諦めよう、小さくため息をついて踵を返した時。 突如として天上の女神から、直々に福音がもたらされた。神託、とも言えるだろうか。天使のラッパすら聞こえた気がする。 「何してるの? そんな所に立ってないで座ったらどう?」 どこから声がかかったのか、一瞬本当にわからなかった。 それが背後から聞こえたことに気付き振り返ると、そこには信じられない光景があった。 「空いてるのよ、ここ。他はもう埋まっているでしょう」 女神が、背中しか見せていなかった女神が、こちらを向いて話しかけているのだ。 カフェテリアは雑音が渦巻いていたはずだったが、その時は女神から発せられる声しか耳に届かなかった。 「でも……鞄がそこに」 「あぁ、これ? これは私のよ。つい椅子の上に置いてしまったの。だから、ここは空いてるわ」

    4 18/05/15(火)23:11:22 No.505005601

    見れば彼女の膝の上に先ほどの手さげが置かれていた。 なんだ、そういうことだったのか。安堵して一度返したつま先をまた返す。 もちろんそれ以上の会話はなかったが。 それからというもの、彼女はたびたびうっかり鞄を隣の椅子に置いてしまうことがあった。 この意味に気付くのにしばし時間がかかったことを、後々責められる事になるのだが。

    5 18/05/15(火)23:12:27 No.505006000

    su2396376.txt 昨日書いたやつ の続き

    6 18/05/15(火)23:13:06 No.505006211

    カルデアキャンパスライフ/zeroいい… 既に何作品か見てきたけど毎回いい…ってなる

    7 18/05/15(火)23:13:30 No.505006385

    いい…

    8 18/05/15(火)23:13:58 No.505006578

    良いよね周りから距離置かれてる女の子にお近づきになろうとする話 大抵きっかけは女の子可愛い!から始まるけど

    9 18/05/15(火)23:14:24 No.505006748

    いい甘みだ

    10 18/05/15(火)23:14:41 No.505006829

    ああ、アラフィフ視点か…

    11 18/05/15(火)23:15:35 No.505007148

    …えっこれハリエット?

    12 18/05/15(火)23:18:43 No.505008368

    なんかそっちっぽいよねって言う意見は見た

    13 18/05/15(火)23:20:50 No.505009153

    ジュリエットでも甘いしハリエットとして見ても切なさを味わえる 二度おいしい

    14 18/05/15(火)23:21:39 No.505009496

    いい…

    15 18/05/15(火)23:23:52 No.505010355

    こういうのでいいんだ

    16 18/05/15(火)23:23:55 No.505010376

    機能の話しとか先生視点でみるとすごい切なく見えるからね

    17 18/05/15(火)23:26:23 No.505011197

    実はそんなに奔放でなかった時期が母にはあった?

    18 18/05/15(火)23:28:55 No.505012016

    ホーソーンさんは声をかけられなかったぐだみたいな感じだっけ それでもエヴァだかハリエットには救いになったんじゃないかな…

    19 18/05/15(火)23:41:34 No.505015614

    ・・・続くのか?

    20 18/05/15(火)23:52:00 No.505018587

    いい…いいぞ…