18/05/06(日)00:21:17 お久... のスレッド詳細
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18/05/06(日)00:21:17 No.502665841
お久しぶりねニルギリさん。廊下ですれ違った生徒にそう話しかけられたニルギリは体を強ばらせた。 「あら? そんなに怖がらないでくださいな。私騎士の名を戴きましたの、今はルーカン。ベディヴィア様に名付けていただいたの」 「騎士の名を戴くのは誉れだと聞きます。おめでとうございます」 目線をそらし、少しでも距離を取りながら当たり障りのない祝辞を述べてこの場をやり過ごそうとする。 「そんな堅くならないでくださいな、私と貴方の中じゃあないの。今日はこの報告に来た訳じゃないの」 そう言うとポケットから何かを取り出しニルギリに投げつけた。 「白い手袋よ。意味はわかるでしょ? 私騎士の名を戴いて決闘を行う権利を得たの。だから如何しても貴方とこうして決闘したかったの。よろしいかしら、ごめんあそばせ」 ニルギリは唖然とした。決闘を申し込まれた事ではなく、手袋を投げたまま優雅に去って行ったからだ。これでは何時決闘をするのか、どこでするのか全くわからない。 聞き返そうとしたがどうも答えてくれる気配ではなかったのでとりあえず、専門家に相談しようと思った。
1 18/05/06(日)00:22:01 No.502666120
「と、言うわけなのです」 相談を受けたルクリリとパーシバルは頭を抱えた。ルクリリは自分がいじめっ子に行った行為によってニルギリの身にこのようなことが起こるとはと嘆いての物だった。パーシバルはまさか自分の所属する馬術部の後輩がこんな馬鹿だとはとなんともいえない気持ちで頭を抱えたのだ。 「そうか…決闘か…なんて恐ろしいことを。な、パーシバル?」 「ああ、そうだなルクリリ。そんな危険なことを見す見すやらせることは出来ない」 「何時どこでやるかもわからないので危険とか以前の問題だと思うのですが…」 「ニルギリ、お姉さんは許しませんよ。決闘だなんて危ない事。それで何で対決するの結局?」 「おいルクリリ、それでは決闘をあおっているのと同じだぞ。私は矢張り馬上槍試合がいいと思う。次点でチェスボクシング」 「確かに頭脳明晰のニルギリはチェスが強そうだし、相手のノーカン? は腕力が有りそうだからちょうどいいかもしれないな」 「ルーカンだ。我ら馬術部の後輩なのだから腕力も頭脳もしっかり備わっている。むしろニルギリの方が戦車を動かすために力を使うので腕力もあるだろう?」
2 18/05/06(日)00:23:57 No.502666873
「そうなのか? ニルギリはか弱いぞ? この前も履帯を取り替えるのに一人で運べないから手伝ってもらっていたぞ?」 「我が友ルクリリよ。世間一般のうら若き乙女はあの履帯を一人で運ぼうとしない。」 「いや、くっついてない状態だぞ? 一枚たったの30キロかそこらだろ?」 「それが持てないのだよ。普通は」 「あの…それで私の決闘の件は…」 話が脱線しすぎて自分のことが忘れられていったことに不安を覚えたニルギリは話を元に戻そうとすると突然話に入ってくる者達がいた。 「ニッキー決闘だって?」 「あ、ローちゃん! …とルーカン…さん」 「お久しぶりですわニルギリさん。随分と探しましたのよ私」 「ニッキーが決闘の返事する前に何処かに行ってしまったから探してたってことにしたいらしいよ」 「ローエングリンさん? 何を仰っているの!? 私はけして、決して決闘の方法と日時を伝え忘れたのを思い出して探していたわけでは無くってよ」 そのことを聴いて別に決闘を受けると決めたわけでもないのになぜかニルギリはほっとした。
3 18/05/06(日)00:26:10 No.502667689
「それで日時は明日の放課後、決闘方法は…」 「馬上槍試合!」「チェスボクシング!」 「な、何なんですの!? 馬上槍試合だなんてそんな危険なことパーシバル先輩のようなぶっ飛んだ…パ、パーシバル先輩!?」 「ああ。君の言うぶっ飛んだ先輩のパーシバルだ。槍は嫌いかね? 槍は」 「パーシーは馬鹿だなー。やはりチェスボクシングだろ? そうだろ?」 「違いますわ。フェンシングで行います。勝手に外野から競技を指定しないでください」 「「な~んだ普通」」 「人の決闘に普通とか言うのは辞めていただけませんか」 「じゃあニルギリを今から育ててくるからやっぱ無しとか言うなよ。ルール調べるためにまず図書館だ行くぞ!」 「あの、ルクリリ様? 私まだ受けるとは」 「じゃあ受けろ。こんな事滅多にないぞ」 「我が友ルクリリよ、私にも手伝わせてもらえないか」 「我が友パーシバルよお前の存在は千の兵より心強いぞ! さあとりあえずルールを憶えるために図書館へ行こうぜ! さらばだ!」 ルクリリとパーシバルはニルギリの両脇を抱えて逃げられないようにして図書館へ向かっていった。
4 18/05/06(日)00:30:38 No.502669246
「決闘は決定でいいのかしら…」 残されたルーカンはあっけにとられその後ろ姿を見守っていた。ちなみにローエングリンはいつの間にかいなくなっていた。 時は進み翌日の放課後。 「よし決闘だ! まさかかわいいニルギリが決闘をすることとなるとは……時が経つのは早いもんだな」 「ああ……常にお前の後に付いてきたこの子が大きく羽ばたいて行く姿を見られるとは先輩冥利に尽きるな。そうだ! せっかく我々もフェンシングを憶えたんだからルクリリ我々も決闘しようではないか!」 「ビッグアイデア! よし! 受けて立とう」 「ルクリリ様、パーシバル様も話をややこしくしないでください」 「でもな、ルクリリも私も互いの名誉のため……」 「ただ決闘したいだけですよね?」 図星を突かれて渋い顔をするパーシバル。なだめるようにルクリリはニルギリの肩を抱く。 「確かに悪かった。大事なお前の決闘だ、昔お前を虐めた者と剣を交える事にナーバスなるといけないから少しでも気が紛れると思ってだな」 「ありがとうございます。でも、私はこの一年でルクリリ様やほかの皆様達と出会えてあの頃の駄目な私とサヨナラ出来そうな気がするんです」
5 18/05/06(日)00:31:36 No.502669614
その言葉を聞いたルクリリはニィと笑ってニルギリの背中をたたく。 「よし! 私たちがお前を全力でサポートする。後悔だけはしないようにな!」 「はい! で、会場はどこでしょう?」 「? そういえば……どこだパーシバル?」 「知らない。我々はなんとなく向かっている」 事の重大さに気づき顔を見合わせる三人、そこに伝書鳩ならぬ首に手紙のような物を付けた白鳥がやってくる。 「おお! お前はローエングリンの愛鳥、ゴットフリート!」 「このアヒルを使いにしたのかな?」 それを聞いたゴットフリートはいったん距離を置いてから加速してルクリリに飛び掛かる。最初の一撃をルクリリは見事に躱してみせるがすぐさまその羽を翻し、ルクリリに襲いかかる。 「だめー! ゴッちゃんルクリリ様が痣だらけになっちゃうから」 「ニルギリそのまま捕まえてろ。今この手紙を外して……ぎゃーこいつ指かんだー!」
6 18/05/06(日)00:32:40 No.502670001
結局、ルクリリとニルギリが押さえている間にパーシバルにとってもらった手紙には決闘の開催場所が聖グロリアーナ学園艦内にある武道場で有ることと、ローエングリンがゴットフリートに手紙を持たせて放てば、一緒にいるルクリリに襲いかかろうとして探してくれるとの旨が書かれていた。 それを読んでいる間、如何だ見事に手紙を運んだぞと言わんばかりに胸を張っている白鳥に怒りを覚えてルクリリが襲いかかるのをなんとか引き離したりした。 「なんだか結構時間が経っちゃったから急がないと。ルクリリ様、ゴッちゃんを虐めないでください。ほら、行きますよ」
7 18/05/06(日)00:33:44 No.502670351
「はいツーペア」 「あら? 私、フラッシュですわ。ごめん遊ばせ」 「あーあ、ほんとに遊ばせられているみたいだね。でもいいの? 決闘の前に運を使っちゃって?」 「相手が来ないのだからしょうが無いでしょう?」 「一番最初にルーカンが伝えてなかったからいけないんでしょ」 「確かにローエングリンに色々お願いして悪いと思っていましてよ。でもあの人達も話聞かなすぎではなくって」 「どっちもどっちだよ。それに僕もニルギリと決闘したかったな。互いに最初の決闘の相手はニルギリであり、このローエングリンで有りたかったんだよ」 「それはごめん遊ばせ。でも、因縁なら私の方が先でしてよ?」
8 18/05/06(日)00:34:35 No.502670572
ガラガラと勢いよく扉が開かれるとなだれ込むように三人と一羽が入ってくる。 「遅れてすいません! ただいま来ました」 「待ちくたびれましてよ。競技の道具は用意してあるから、息を整えたらお着けになって」 「はい。ありがとうございます」 「わかってらっしゃりますこと? 私たちこれから決闘するのよ? そんなおままごとみたいに」 「でもありがとうございます。あと、この剣ってエペですか?」 「そうよ。決闘に最も近い形であるエペで行うわ。異論有るかしら?」 「ハイ大丈夫です。全身に判定があるんでしたよね。全身に」 「そうよ。全身に判定があって、どこに当てても有効よ」 細長いマットの手前、二人は並んだ。このマットをピストと呼びここが試合会場となる。審判の代わりにローエングリンが二人の装備を確認して号令をかける。
9 18/05/06(日)00:34:59 No.502670712
「Rassemblez! Saluez!」 二人は敬礼をする 「まさかこの聖グロリアーナでフランス語を聴くとは。このフランス語が嫌いで部員がいなくなってフェンシング部が廃部したってジョークが出来るぐらいだ」 いつの間にかバケツとワセリン、タオル、水を用意したルクリリが目は二人を捉えながら話し出す。 「BC自由やマジノなどフランス系のお嬢様学校では盛んだと聞くが?」 「プラウダもそれなりに強いらしい。ダースベイダーのスタント、ボブ・アンダーソンはイングランド人だが我が艦では流行らなかったな」 「En garde!」 マスクを付けスタートラインに立つ。 「Prêts?」 「ええっとハイじゃなかったウィ」「Oui.」 「ニルギリー大丈夫だ。第二外国語は二年生からだぞー」 「Allez!」
10 18/05/06(日)00:35:29 No.502670907
開始の合図と共に互いに距離を測りながら近づいていく。剣先は下に、フルーレと違い剣の重いエペしかも判定は全身という条件で互いに慎重に近づく。互いに小刻みに前に進みながら段々と刃にあたる距離へと近づいていき、互いの剣先が触れた。 ルーカンの剣先が動く。足下でふれあった刹那、半円を描きながらマスクを襲う。上体を反らしニルギリはその一撃をよける。それをわかっていたかのように目先の剣は引き寄せられて足を狙う。 ニルギリは飛んだ。 脚物とかすめるルーカンの剣先と同時に上からの一突き。 ブザーが戦いの終わりを告げた。 「Rassemblez! Saluez!」 改めて敬礼をした二人、握手をしてピストから退場した。
11 18/05/06(日)00:36:41 No.502671472
「あーん怖かったですルクリリ様ー」 防具を脱ぎ捨てルクリリに抱きつくニルギリ。ルクリリはとりあえず受け止め抱き閉めることにした。 「お見事でしたわニルギリさん」 後から声をかけられ、ルクリリからのお褒めの言葉をまっていたニルギリは明らかに不満そうな顔押した。ルーカンは気づかずに話を続ける。 「その……今までは貴方に不快な思い……させてしまって、悪かったわ」 「悪いです」 「う……今日のこの決闘でそれも終わりと言うことには出来ないかしら?」 「出来ません……出来ないです!」
12 18/05/06(日)00:36:56 No.502671577
「そうだなニルギリ。いまさらどの面下げてと言うところだな」 「そうです絶対仲良く出来ないです。だから、だから! 友達ではないです! ライバルです!」 言い終わるとルクリリの手から離れてルーカンに握手を求める。 「そ、そうね……私たちライバルね。よろししくニルギリさん、私のライバル」 「虐められた分やり返し上げます。覚悟してください」 こうして握手するニルギリはもう昔の虐められていた頃の面影はなくなっていて、その姿にルクリリは嬉しそうに頷くのだった。 「そういえば、フェンシングの道具出している間に剣道着見つけたのですけど、ニルギリさん? 今度は剣道で勝負は如何かしら?」 こうしてニルギリに戦車道以外のライバル(決闘馬鹿)が生まれたのだった。
13 18/05/06(日)00:37:13 No.502671717
ウィキペディアより Rassemblez! Saluez!【ラッサンブレ、サリューエ】 試合開始と終了の合図。気を付け、礼と言ったかけ声。 En garde!【アン・ガルド】 このかけ声でマスクを付け、ピストにある開始線にたつ。 Prêts?【プレ?】またはEtes-vous Prêts?【エト・ヴ・プレ?】 開始線にたった選手に対し準備はいいかと聞く言われて準備が良ければOui【ウィ】。悪ければNon【ノン】で答える。お互い準備が良ければAllez!【アレ】の合図で試合が始まる
14 18/05/06(日)00:38:23 No.502672210
来たのか!
15 18/05/06(日)00:40:05 No.502672898
シスター「」クリリ久しぶりだね 今年の合同は参加してるのかい?
16 18/05/06(日)00:41:41 No.502673422
雑談に書いたけど >合同死には何を書きましたか?! ルクリリ様!! シスターもちょっと出るよとBC自由とウサギさんが聖グロリアーナでバタバタします あとこの前リハビリついでにBC自由のスパイ物?書いたよ
17 18/05/06(日)00:42:57 No.502673861
中身は同じですがテキスト上げときます ss312446.txt
18 18/05/06(日)00:43:11 No.502673927
>>合同死には何を書きましたか?! >ルクリリ様!! >シスターもちょっと出るよとBC自由とウサギさんが聖グロリアーナでバタバタします たのしみ…
19 18/05/06(日)00:43:58 No.502674179
>「このアヒルを使いにしたのかな?」 まあ怒るよね
20 18/05/06(日)00:45:06 No.502674616
行けないから指くわえて見てる…クソァ!
21 18/05/06(日)00:46:26 [sage] No.502675040
>>「このアヒルを使いにしたのかな?」 >まあ怒るよね 渡り鳥に対してけんかを売っていくスタイル
22 18/05/06(日)00:46:32 No.502675074
シスター「」も書く度に正式な名前を迷う白鳥!シスター「」も書く度に正式な名前を迷う白鳥じゃないか!!
23 18/05/06(日)00:48:17 [sage] No.502675583
>シスター「」も書く度に正式な名前を迷う白鳥!シスター「」も書く度に正式な名前を迷う白鳥じゃないか!! 合同の方で出番無かったからここにねじ込んだよほめて
24 18/05/06(日)00:49:53 No.502676062
よかった…緋縅の大鎧で決闘に臨むニルギリはいなかったんだ…
25 18/05/06(日)00:51:15 No.502676462
>防具を脱ぎ捨てルクリリに抱きつくニルギリ。ルクリリはとりあえず受け止め抱き閉めることにした ニルギリ(ニヤリ)
26 18/05/06(日)00:56:21 [sage] No.502678018
>>防具を脱ぎ捨てルクリリに抱きつくニルギリ。ルクリリはとりあえず受け止め抱き閉めることにした >ニルギリ(ニヤリ) >ニルギリは明らかに不満そうな顔押した。 二人の世界邪魔するなよ…
27 18/05/06(日)00:57:06 No.502678220
初期の話でニルギリに嫌味言った後に一緒にいたルクリリが先輩だと知って逃げた馬術部の後輩がいたけどあの後輩がルーカンなのかな
28 18/05/06(日)01:00:19 [sage] No.502679103
>初期の話でニルギリに嫌味言った後に一緒にいたルクリリが先輩だと知って逃げた馬術部の後輩がいたけどあの後輩がルーカンなのかな yes そのつもりだったけどかなり前の話だからわかりずらかったね ごめん
29 18/05/06(日)01:02:25 No.502679592
いいんだ
30 18/05/06(日)01:02:58 [sage] No.502679733
ゆ…許された…
31 18/05/06(日)01:04:40 No.502680154
>お姉さんは許しませんよ決闘だなんて危ない事 いつの間にか姉妹の契りを交わしておる >それで何で対決するの結局? やる気満々じゃねえか!
32 18/05/06(日)01:09:11 No.502681197
馬術部の部室に泥棒疑惑とかいろいろあったもんね ちなみにルクリリの慰問と除夜の砲声好き あと先代ニルギリ&ルクリリの話で泣いた事は内緒だ
33 18/05/06(日)01:11:03 [sage] No.502681679
>あと先代ニルギリ&ルクリリの話で泣いた事は内緒だ そういえば先代の話は去年の合同誌だったね一年て早いね
34 18/05/06(日)01:12:08 No.502681940
ニルギリってマスク着けた途端に性格が変貌しそうで…
35 18/05/06(日)01:14:09 No.502682431
>>あと先代ニルギリ&ルクリリの話で泣いた事は内緒だ >そういえば先代の話は去年の合同誌だったね一年て早いね 早いねえ あの時は別の話のスレでtxtで出してくれたんだよね
36 18/05/06(日)01:15:47 [sage] No.502682846
>あの時は別の話のスレでtxtで出してくれたんだよね さすがに三つ話送るのはどうかと思って… 今年は送ったけど
37 18/05/06(日)01:16:11 No.502682991
今回はローエングリンの台詞もいいねえ 自分もニルギリの親友でありライバルでもあると言ってて
38 18/05/06(日)01:18:11 No.502683498
>ウサギさんが聖グロリアーナでバタバタします 澤ペコか!やるじゃねえかテケリリ先輩