虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 18/02/14(水)03:24:35 No.484972206

「せっかくのバレンタインくらい、仲良くしましょうよ」 隊長のマリーはサント・ノーレを食べる手を止めてを言った。 「貴女たち、それぞれがチョコを贈り合えばいいじゃない」 「な、なんでそんな事をしないといけないんだ！」 「ま、マリー様の言葉は絶対だ、口を慎めっ！」 「外部生の貴様らにふさわしいチョコを選んで贈ってやるっ！」 「なにおぅ？　お前たちこそエスカレーター組にふさわしいチョコに感謝するんだなっ！」

2 18/02/14(水)03:24:59 No.484972236

内部生代表の押田と外部生代表の安藤、それぞれが威嚇のポーズを取りながらルノーFT戦車の前から後じさりしていった。 「何を贈るつもりだ、言えっ！」 「君こそ何を企んでるか知らんが正直に白状したらどうなんだっ！」 （しかし、今からチョコを作るわけにもいくまい） （輸入してる時間なんかないな） 安藤と押田はルーティーンのとっくみあいをしながら何を贈るかを考えていた。 簡単に、たくさん、手に入るチョコがいい。 ひとしきり組んずほぐれつしたあとで、取り巻きに傷の手当てを受けながら、安藤と押田はスーパーへと向かう。 （（なにがいい……）） きゃいきゃいとチョコ選びをしている部下を尻目に、二人はスーパーの売り場をみて回る。 「「これだ！！」」 安藤と押田は、同時に答えを見いだした。

3 18/02/14(水)03:25:15 No.484972251

バレンタインデー当日、格納庫のルノーFT戦車の前に外部生と内部生の集団が対峙する。 それぞれの手にはチョコの入った大箱が携えられていた。 「ほら外部生ども、お前たちには安チョコがお似合いだ！」 ブラックサンダーの包みが、安藤たちに向かって投げつけられる。 「エスカレーター組の諸君、これでも食べて人生のほろ苦さを味わうがいい！」 カカオ９５％の箱が、押田たちに向かって投げつけられた。

4 18/02/14(水)03:25:32 No.484972275

勝負はすぐに決した。 「ぐぐぐぐ……」 「み、水をくれ……」 「ふっ、この勝負我々の勝ちのようだな、悔しかったら食べてみろ！」 「くっ、受験組は苦労しか知らないからこんな卑怯な手を思いつく」 「そんなに苦いのぉ？」 様子を見守りながらサントノレの最後の一口を頬張っていたマリーが、カカオ９５％の包みを開けて中のチョコを口に含んだ。 「あ、マリー様、食べないで下さ」

5 18/02/14(水)03:25:51 No.484972300

「にっがーい！　どうして私がこんな苦いものを食べなきゃいけないのぉ～」 「貴様らぁ！　マリー様が泣き出したじゃないか、どうしてくれるんだ！」 「うるさい！　宥めるのは君たちエスカレーター組の役目だろ！　ボリボリ」 「……ところでその安っぽそうなチョコ、美味いのか」 「美味いぞ、食うか？」 「いや、遠慮しておく。下賤なチョコで舌が鈍ったらいけないからな」 「ほほう、では下賤な外部生からの贈り物でもっと鈍くしてやろうか」 「もががっ！、み、水～！！」 「あーっもう！　この苦いチョコをなんとかしなさーい！！」

6 18/02/14(水)03:26:23 No.484972329

マリーの命令は絶対である。 その場で対策が立てられた。 カカオ９５％は外部生が溶かして砂糖と生クリームとミルクを加えチョコフォンデュに化けてマリー様の胃袋に。 ブラックサンダーは一つ残らず綺麗さっぱり外部生の胃袋に。 内部生には、外部生同士で交換する予定だった手作りチョコの数々が、 内部生からは、同じく内輪で交換予定だった豪華なフランス産のチョコレートの数々が振る舞われた。 こうして、バレンタイン戦争は終わりを告げた。

7 18/02/14(水)03:27:23 No.484972394

おしまい さっきの押安ダークサイドが強烈だったので書ける範囲でライト(軽い)サイドに振ってみた

8 18/02/14(水)03:34:20 No.484972848

カカオ95％は食い物じゃねぇ！

9 18/02/14(水)03:44:15 No.484973425

ライトサイド…なのか？

10 18/02/14(水)03:54:56 No.484973982

ブラックサンダーなんてよくエスカレーター組の視界に入ったな…

11 18/02/14(水)03:56:01 No.484974047

優しい世界だ