18/01/06(土)00:30:13 三が日... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1515166213574.png 18/01/06(土)00:30:13 [1/3] No.476747955
三が日も過ぎて、新年のお祝いムードもそろそろ終わり。 年末年始のお休みも短いもので、明日からは事務所も平常運航だ。 事務所でもお正月の後片付けが始める。僕は表の門松を片付け、扉からはお正月飾りを外す。 本当は燃やして捨てなければいけないけど、こんな都会の真ん中で焚火をするわけにもいかない。 正直言うと、僕はこのお正月飾りの『匂い』があんまり好きじゃない。 しめ縄の藁や麻のいかにも草、って感じの匂いが苦手なのだ。 それに松はヤニでかぶれるし、鼻がムズムズしてくる。 けれどそんなお正月飾りの中で、一つだけ好きなものがある。 飾りの中心で黄色く光る、橙(だいだい)だ。 甘酸っぱい柑橘系の香り、それに蜜柑に比べて少しだけビターな香りがする。 この年末年始、寒空の下で二週間ほど過ごした飾りからは、松の匂いはすっかり飛んでいる。 取り外した飾りに付いた橙に、自分の鼻の頭をつける。 この綺麗なオレンンジ色の果物からは、まだ微かに心地よい香りがした。
1 18/01/06(土)00:30:35 [2/3] No.476748052
「何してるんですか?」 「わっ!?」 突然声をかけられて、驚いて後ろを振り返る。いつの間にか茄子さんが僕の所まで来ていたらしい。 奇妙な行動をしている僕を見て、不思議に思ってこちらへ声をかけてきたようだ。 「いやその、良い匂いがしたからつい…」 「ああ、橙ですか。確かに良い匂い、しますよね」 「…なんか恥ずかしい所見られちゃったな」 「ふふっ、いいじゃないですか。私も好きです。橙の香り」 茄子さんは少しだけ笑うと、僕の持っていた正月飾りから、橙をその手に取る。 「橙って、太陽の象徴らしいですよ。それに幸運が『代々』続いていくようにって意味を込めて、お正月に飾るんです」 「太陽と幸運か…。なら茄子さんに似合うよ」 「あ、だから私にあれをプレゼントしてくれたんですか?」 「え?あれって?」
2 18/01/06(土)00:31:04 [3/3] No.476748166
こちらがそう聞き返そうとしたその時、不意に僕らの間を冬の北風が吹き抜けていく。 風に運ばれて、彼女の方から、暖かく瑞々しい香りがしてくる。 微笑む彼女からは、僕の好きな橙と同じ香りがした。 彼女は少し乱れた前髪を手で直すと、こちらに微笑んでみせる。 その姿は言葉にはできないほど美しく思えて、つい目を奪われる。 一瞬で心を捉えられた僕は、つい彼女を見つめてその場に立ち尽くす。 柄にもなく、年末に彼女に贈ったクリスマスプレゼント。 香るシトラスのフレーバー、シャネルのNo5・ロー オードゥ トワレット。 この香水を使っているのは、事務所の中では彼女だけだ。 その美貌と麗しい香りに、すれ違う人は皆、彼女の方へ振り返る。 眼には見えない彼女のシグネチャーサイン。それは風に乗り、幸運と恋を振りまく。 太陽と幸運の女神は その香りすら 美しい
3 18/01/06(土)00:33:34 No.476748790
シャレオツな雰囲気いいね…
4 18/01/06(土)00:34:43 No.476749107
なすさんはいいにおいするだろうなぁ…
5 18/01/06(土)00:39:16 No.476750292
身構えてたら物凄く綺麗で真っ当だった 俺の心は汚れていた…
6 18/01/06(土)00:41:43 No.476750892
怪文書見たら最初は危ないのやつかと身構えるのは普通
7 18/01/06(土)00:45:44 No.476752008
怪文書かと思って読んでみたら普通に良い話だったとき安心する反面どこかで少しだけ狂った話を期待していた自分に気付く
8 18/01/06(土)00:46:19 No.476752187
嗅いでみますか?ってからかってくる茄子さん
9 18/01/06(土)00:51:51 No.476753809
ほんとに茄子さんが隣にいるだけで幸せだろうな…
10 18/01/06(土)01:13:48 No.476760182
怪文書かと思ったらコマーシャルだった
11 18/01/06(土)01:25:09 No.476763209
確かに最後がCMのキャッチコピーっぽくてオシャレ