17/12/30(土)17:06:13 ガルパ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1514621173478.jpg 17/12/30(土)17:06:13 No.475168349
ガルパンSS 最終章ネタバレ 捏造あり
1 17/12/30(土)17:06:38 No.475168430
「それでは特集です。先日わが校の生徒会広報である河嶋桃さんの留年疑惑が報道されました。今や大学全入時代と言われるこの現代に於いて河嶋さんが留年する疑惑が出たというのはなぜなのでしょうか。ここからは風紀委員相談役であると共に大洗女子24チャンネル解説委員長である園みどり子さんに解説していただきます。よろしくお願いします」 「よろしくお願いします」
2 17/12/30(土)17:06:51 No.475168476
>スレ
3 17/12/30(土)17:07:18 No.475168559
今日の西住みほの夕食はコンビニで買ってきた弁当と納豆と味噌汁と言うこの上ない質素なものだった。 しかし、彼女はそんな事を気にすることもなくテレビを見ながら食事を口に運んでいく。 テレビのチャンネルは大洗女子24チャンネルに合わされている。普段は大洗女子による活動報告を伝えたミニ番組や大洗女子生徒がリクエストしたドラマや映画などの再放送がしきりに流されている。(秋山優花里らがリクエストした戦争映画が流された時は苦情が大発生したらしい) このようなニュース番組も番組と番組の放送間を繋げるために短く放送されていたのだが、女子アナウンサーがスタジオで深刻そうな表情をしてゲストの解説者を呼び、じっくりと話し合う番組が編成されるのは廃校騒ぎがあった時以来の事だった。女子アナウンサーとみどり子はスタジオ内で向かい合って座っている。タッチパネルを操作してみどり子の右にあるテレビ画面からスライドが表示される。 彼女の真剣そうな表情は普段戦車道の時に目にするものとはまた一味違うような雰囲気を醸し出している。みほはそう思いながら味噌汁を啜った。
4 17/12/30(土)17:08:03 No.475168692
スライドにあるグラフには大洗女子の生徒の割合とその進路に対する円グラフが表示されている。 「大学全入時代と言われますけど、お分かりの通りわが校の生徒が大学に進学できる割合はごくわずかです。この大洗女子の約8割が船舶科の生徒で占めており、船舶科の卒業後の進路は9割以上が学園艦ならびに他の学園艦への就職となっています」 「そうですね」 「また、個別進学制度が充実した今となっては中学生、はたまた小学生からの飛び級での大学進学も盛んにおこなわれています。このように様々な進路が確立されている今となっては留年するという事は非常に珍しい事である事についてご留意いただきたいと思います」 ここまでは簡単な説明である。ここから本題に入るのだとばかりにアナウンサーはみどり子に向けて右手を差す。 「ではなぜ河嶋さんは留年するかもしれないという話が出てきたのでしょうか」 「大洗女子通信部の調べによると、河嶋さんはどうやら国公立大や難関私立大を目指しているらしくその大学の判定が芳しくなかったからではないかというものが流れてきたのです」
5 17/12/30(土)17:08:27 No.475168777
大洗女子通信部というのは大洗女子生徒が運営を行っており、世界各地や大洗の情報を生徒にや新聞部に提供している通信社の事である。今回の河嶋の留年疑惑の情報を掴んだのもこの通信社が最初だ。どんなネットワークを使っているのだろうとみほの思考が逸れるのも気にすることなくテレビの向こうに居るみどり子の話は続けられていく。 「そして、河嶋先輩は元船舶科の生徒であります。その先輩が普通科の生徒と同じように国公立大や難関私立大を目指すのは大いなる困難を乗り越えなければなりません。河嶋先輩はその困難にぶつかってしまったのだとみていいでしょうし、勉学に対しての努力が今のままではまだまだ足らないと突き付けられた形です」 彼女の厳しい口調とは裏腹にその表情は寂しさに満ちていた。河嶋先輩が廃校阻止のためにあちこちに掛け合ったり動いていたりして、その為の戦車道にも毎日のように打ち込んでいたのだから勉学に励む時間が無かったのである。その事をみどり子は痛いほどよくわかっていた。
6 17/12/30(土)17:08:51 No.475168850
「うーん、それならば河嶋さんは少しレベルの低いと言ったら語弊があるかもしれませんが、目標よりも少し簡単な大学へ進学するなどの手は無かったものなのでしょうか」 「それに関しては…………生徒会のメンバーである角谷杏先輩や小山柚子先輩と同じ進路に進みたいという本人の強い希望があったというのが関係者への取材で明らかにされています」 「やはり生徒会三人で同じ進路に進みたいという考えが彼女たちの中であったとのことでしょうか」 「そういう事になります」 「ありがとうございます。では、今後のこのような問題については河嶋さんはどのように対処していけばいいのでしょうか?」 みどり子はタッチパネルで次のスライドを表示させる。 1.レベルの低い私立大学への進学 2.AO入試を使った進学 3.諦めて留年。もしくは就職
7 17/12/30(土)17:09:33 No.475169012
「1と3は分かるのですが、2のAO入試を使った進学とはどういうモノなのでしょうか?」 「AO入試と言うのはセンター試験の点数に頼らず、個人の能力を大学に精査してもらいそれが認められて入学できるものです。河嶋先輩はこれに対して戦車道を使って挑むのではないかと見ています。戦車道で優秀な成績を残した方が有名大学に進学した例は数多く聞かれますからね」 「そこで今回行われる『冬期無限軌道杯』が絶好のアピール機会になるわけですね」 「その通りです。もし今回の『無限軌道杯』で大洗が優勝したらAO入試で大いに優位に働くと考えられます。戦車道をしている我々としてもこの機会を逃すわけにはいきません」 「河嶋さんをそのような形で支えていきたいという事でいいのですね?」 「私としてはそのように考えています」 「はい、では本日は園みどり子さんにお話を伺ってきました。園みどり子さんありがとうございました」 「はい、ありがとうございました」
8 17/12/30(土)17:09:50 No.475169057
「くそっ……テレビのやつら好き勝手に言いやがって……」 生徒会室で昨日のニュース番組を録画していた私は思わず途中で、録画していた番組を消去しテレビの電源を消してしまった。 私が知らない間に物事が動かされてみんなに祭り上げられるという感覚は今まで体験したことが無かったけれどもとてつもなく気持ちの悪いものだと分かった。今まで自分自身が物事を動かすのに携わってきたという自負があったからだ。もっともそんな自負は若者特有の思い上がりと言うやつなんだろうけども。 実際の所私はこれから先どうなっていくのかよくわからないままでいた。廃校と言う危機を迎えてそうならないように奔走していたらいつの間にか夏は終わり冬が来て、次には春が来てしまう。周りは春という新たな始まりを謳歌しようとしているのに、自分自身がそれに取り残されるかもしれないという現実に耐えられないでいた。
9 17/12/30(土)17:10:21 No.475169156
「河嶋はさぁ、卒業したらどうするの?」 そう会長――角谷杏から聞かれたのは大学選抜との試合が終わり、大洗への帰路に向かう船の中にあるレストランで三人で食事をしている最中の事であった。 「えっ……? いや、会長や柚子ちゃんと一緒の大学に進学するつもりだけど……」 そう言うと今まで楽しく会話していた二人の反応ががらりと変わった。 柚子ちゃんは私の事をまるで未開の生物を見ているような目で見てくるし、会長は私の事を可哀想な人を見る目で見つけてくる。向かい合った二人が目配せをしているのが事の深刻さを物語っているのだと当時は気づけなかった。そして、会長は重い口を開いた。 「河嶋……お前……偏差値って知ってるか?」 「へん……さち……?」 へんさち? どういう風な漢字で書くのだろうか。そんな事を考えていると会長は哀れな者を見る目でさらに言葉を続ける。 「簡単にいうと、今のお前の学力じゃ偏差値が足りなくてな……到底私たちが入る国公立大には届かないんだ……」 「えっ」
10 17/12/30(土)17:10:38 No.475169215
私は言葉の意味が良く分からなかった。今は大学全入時代だから、大学に行きたいと思う人なら誰でもは入れると。私はその言を信じて普通科に編入してきたのだから。 「なんていうかその……今から勉強しても焼け石に水というぐらい差が広がっててね……」 「だから進路はバラバラになるんじゃないかって私と小山で話してたことはあったけどねー……いやー、まさか河嶋がその事に気付いてなかったとは夢にも思わなくてさ……」 柚子ちゃんも会長と顔を見合わせ、会長は思わず腕を組んで苦笑していた。笑わないとやってられない状況だったのだろう。 私はその現実を受け止められずに、その場で放心した。この時の様子が写真で盗撮されていたことにも気づかないまま。
11 17/12/30(土)17:10:53 No.475169264
これが本来のいきさつである。でも、それが本当だと話してしまったら益々恥ずかしい思いをしてしまうだろう。だから私はテレビを見て抗議したり訂正することもできなかった。 ただただ、このまま行けば留年や浪人であるという現実が今でも受け入れられなかった。それがここまで来てしまったのだ。学校の為に突っ走って、3年時には廃校阻止に向けて突っ走ってきたらいつの間にか受験シーズンが押し寄せてきていただけなのである。本来ならばここから受験に向けてひた走らなければならないのだが、私にはそんな事よりも学校の戦車道がこれからも続けられていけるのかと言う事に言いしれない不安を覚えていた。 だから、学内の眠っている戦車探索プロジェクトを立ち上げたりして活動していたのだ。それが単なる現実逃避だと思われていようも、私にはこっちの方が重大な局面に思えてならなかったから、そうしたまでである。その事に関しては一切悔いは無かった。
12 17/12/30(土)17:11:27 No.475169408
「河嶋先輩!」 いつもならノックをしてから入る慎重な性格である西住らしくない入り方で私のいる生徒会室に入ってきた。 「どうした西住、そんなに慌てて。何か重大な出来事でも 「あのっ、きっ、昨日のテレビ、見ました!」 彼女のその一言によって私は息詰まるような思いがした。何を言われるのか、どう言われるのか私は彼女の次の言葉を待った。 「で、わっ、私たちで河嶋先輩を戦車道で押し上げて大学に進学させてあげたいんです!」 「……は?」 予想外の申し出に私は思わず声が出てしまった。私が、戦車道で押し上がって、大学進学?
13 17/12/30(土)17:11:47 No.475169484
「だから、私たちが河嶋先輩を隊長にして無限軌道杯を優勝すれば、大学に行けるんじゃないかと思って……」 確かにその選択肢は昨日のテレビ番組でも言及されていた。でも、それでいいのだろうか? 私たち大洗女子がここまでこれたのも西住によるリーダーシップのおかげだと十二分に理解していた。それを私の個人的な理由で―― 「皆さんも、河嶋先輩を戦車道で支えたいと言ってくれています。勿論、それは私としても同じ事です」 思わず両目を見開いた。それは本当なのかと言う疑念が頭の片隅にあったけども、そんな疑念は西住の真剣な表情を見て簡単に振り払われた。 「そうか」 私は努めて平静を装って答えた。 「後で練習の方に行くから先に行っておいてくれ」
14 17/12/30(土)17:12:07 No.475169544
西住が部屋の扉を閉じる音が聞こえると、堪えきれなくなって涙が溢れだしてきた。 「うぅうぅ……ぐすっ、ぐすっ………うぅぅぅぅ………」 最初の頃に比べると人前で涙を流すことは我慢が利くようになった。それが唯一といっていいほどの成長できた事であった。窓の外を見ると戦車の動く音が聞こえてくる。それらの音のすべてが私を温かく迎えてくれるような気がして、涙がしばらく止まる事は無かった。 嬉しかった。本当に嬉しかった。そして、そんな皆達の思いに応えるべく優勝してみんなで卒業して、大学に行こう。私はそう決意したのだった。私と、そしてみんなの為に――
15 17/12/30(土)17:14:54 No.475170178
テキストです su2169298.txt 最終章見たけど桃ちゃんの出番がいっぱいあって良かった…という気持ちを書いたらこうなった
16 17/12/30(土)17:33:58 No.475174100
よかったよ…
17 17/12/30(土)17:35:30 No.475174424
実際大洗の生徒の何割が船舶科なんだろう 水産科もあるようなので陸で暮らしてる普通科2割として 水産科が1~2割で残りが船舶科?
18 17/12/30(土)17:38:59 No.475175147
呼称ミスしてたんで改めてあげ直すね… su2169336.txt
19 17/12/30(土)17:43:04 No.475176100
>実際大洗の生徒の何割が船舶科なんだろう >水産科もあるようなので陸で暮らしてる普通科2割として >水産科が1~2割で残りが船舶科? 大洗は商業科・被服科・水産科・船舶科・情報科・栄養科・農業科・普通第I科・第II科・第III科があるはずだからもう少し船舶科の割合低そう
20 17/12/30(土)17:48:46 No.475177462
学園艦って施設でかいから色んな科あるよね 田舎の敷地だけはやたら広い公立大学みたいな感じなのかな?
21 17/12/30(土)17:50:20 No.475177818
そして様子を見に行ったら留年!阻止!留年!阻止!と留年を連呼されていたと…
22 17/12/30(土)17:57:22 No.475179251
なんでだろう…なんかぬか住殿を思い出す