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17/10/12(木)00:00:02 はいふ... のスレッド詳細

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17/10/12(木)00:00:02 No.458819486

はいふりSS りっちゃんおめでとー

1 17/10/12(木)00:00:55 No.458819713

「ねえねえかよちゃん、『秋茄子は嫁に食わすな』ってことわざ、知ってる?」 「知ってる、秋茄子はおいしいからお嫁さんには食べさせちゃダメだってやつでしょ。すごく意地悪だよねー」  10月12日。  近海での海洋実習を無事こなし、学校への帰路へとついた晴風。  そんな晴風の中で一日の業務を終えた理都子と果代子は、自分達の部屋でそんな他愛のない話をしながら夕食の時間を待っていた。 「秋茄子を食べられないなんて人生の7割くらい損しちゃうよー」 「かよちゃんナス大好きだもんねえ」 「うん、砲術長は毎日三食カレーでも大丈夫って言ってたけど、私は毎日三食ナスでもどんとこいだよー」 「そんなに食べたら紫色になっちゃうよー」 「まさか~。でもりっちゃん、そのことわざがどうかしたの?」 「あ、そうだった。それでね、その『秋茄子は嫁に食わすな』なんだけど、実はもう一つ意味があるらしいよ?」 「えー、ほんと?」 「ほんとほんとー」 「どんな意味なの?」 「それはね~……」

2 17/10/12(木)00:02:00 No.458819962

 理都子は僅かなタメを作った後、ほんのりとどや顔になって口を開く。 「ナスは体を冷やしちゃうから、大切なお嫁さんには食べさせちゃだめだって意味もあるんだって」 「へえー……」 「秋茄子はおいしいから、ついつい食べ過ぎちゃうもんねえ。うちの旅館でもこの時期はナスの料理をたくさん出すし」 「そうなんだー。食べてみたいなあ」 「なら、次の連休でうちに来る? うちのナス料理、かよちゃんにご馳走するよー」 「ええっ、ほんと? 行きたい行きたい!」 「りょーかーい。あ、他の皆も後で誘ってみよっか」 「うんうん! 楽しそー……りっちゃんのお家の茄子料理かあ……」  思わず、果代子は頬が緩んでしまう。  焼き茄子、田楽、揚げ浸し、マリネにサラダにみぞれ和え……秋茄子はどう食べても美味しいのだ。  そんな茄子のフルコースが食べられるとなれば、まるで夢のようではないか。 「かよちゃん、よだれよだれ」 「おっとっと……」  夢のフルコースを想像して軽くトリップしかけていたところを、現実に引き戻される。

3 17/10/12(木)00:03:12 No.458820227

 まだ次の連休まで時間がある。今からこれでは身が持たないと思い直す果代子だった。 「あ、でも」  と、理都子が思い直したような顔をする。 「ん、どうしたのりっちゃん」 「やっぱりやめといた方がいいかも~……」 「ええっ、ど、どどどどどどどどうして!?」  そんな殺生な! と言わんばかりの勢いで果代子が顔を強ばらせる。  フルコースだぞ? 満漢茄子全席だぞ? 今さらダメとかそんなこと、この世の終わりにも等しいではないか! 「か、かよちゃん! しっかりして~!」  みるみるうちに絶望に染まっていく果代子の肩を抱いて、現実に引き戻そうとする。  しかし、果代子はどんどん目から光を失っていった。 「りっちゃん……どうしてそんなひどいこと言うの……」

4 17/10/12(木)00:04:15 No.458820531

「だ、だって食べ過ぎるとかよちゃんの体によくないし……ほら、体冷やしちゃうから」 「ワカイカラヘイキダヨォー……ワカサダヨォー……」 「かよちゃんはレオちゃんじゃないよ~」 「じゃあじゃあ、茄子を食べた分りっちゃんが私をあっためてよ~」 「まあそれなら……そこまでして食べたい?」 「食べたい!」 「迷いがないねえ。でも、ほんとに食べ過ぎちゃダメだからね?」 「はぁーい!」  結局押しきられてしまう形で理都子が了承すると、果代子は再び目を輝かせ始める。  意外と現金なところもあるなあと思う理都子だった。 「それにしても、一時はこの世の終わりかと思っちゃった」

5 17/10/12(木)00:05:21 No.458820785

「あはは、そんな大げさな」 「そんなことないよ、『秋茄子はかよに食わすな』なんて言われたら生きていけないよー」 「私そこまでは言ってないよ!?」 「あれ、そうだっけ」 「言ってない言ってない」  ぶんぶんと首を振って否定した後、理都子はふっと微笑む。 「……でも、さっき話したこと、案外ほんとかもねえ」 「? どういうこと?」 「えへへ、内緒~」 「えー、教えてよー」  笑ってごまかそうとする理都子を問い詰めようとする果代子。  しかし、 『皆さーん、ご飯ができましたー!』  そこに伝声管から食事の時間を告げる美甘達の声が飛び込んでくる。

6 17/10/12(木)00:06:02 No.458820960

「あ、もうこんな時間かあ」 「かよちゃん、早く行こうよ!」  と、途端に理都子がそわそわし始める。 「あれ、りっちゃん今日はずいぶんはしゃいでるねえ」 「えへへ、今日は私の誕生日だから、好きなものをたくさん作ってくれるって約束してもらってるんだ~」 「へぇー、いいなー。シュークリーム?」 「ううん、揚げバター」 「へえ~……えっ?」 「ほら、行こう行こう! 食堂に向かって全速前進~!」  そう言うと、理都子はさっさと部屋を飛び出して行ってしまう。 「あ、りっちゃん待ってよ~!」  揚げバター。昔、アメリカへの航海から帰って来た父から聞いたことがある。  それは文字通りの衣をつけたバターを油で揚げる、カロリーの暴力とも呼べるアメリカァンフード。  それ、ナスなんかよりよっぽどたくさん食べちゃダメなやつだ。絶対太るって。  揺れる赤色の髪を追いかけながら、果代子はそう思わずにはいられなかった。

7 17/10/12(木)00:06:55 No.458821182

おわり txt版 su2060022.txt

8 17/10/12(木)00:12:09 No.458822387

りつかよいい…

9 17/10/12(木)00:12:48 No.458822554

キテル…腹が減るにゃあ…

10 17/10/12(木)00:18:06 No.458823880

チョコレートベーコンもあるよ☆

11 17/10/12(木)00:19:02 No.458824100

大切なお嫁さんか…

12 17/10/12(木)00:24:18 No.458825275

書き込みをした人によって削除されました

13 17/10/12(木)00:31:16 No.458826868

>チョコレートベーコンもあるよ☆ どうせクックパッドなんだろうな…

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