ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
17/09/07(木)19:35:32 [成立後の話] No.451398738
『「はぁ、今日も今日とて疲れましたわね」 自らの私室に戻ると、誰にともなく――否、明確な目的先を持って彼女は言葉を吐いた。 「……だが、本日の仕事ぶりも実に美しかったぞ、氷雨」 「そう言われて悪い気はしませんけどね」 まるで虚空から現れたかの如く、部屋の隅から腕組をした黒髪短髪にして長身痩躯の男性が姿を顕した。 「宵、貴方も実に実直な佇まいですこと。偶にわたくしの側からもしや離れてしまったのかと心配になりかけますわ」 「要らぬ心配だとわかっているだろうに。俺の主は氷雨、お前だけなのだから」 「では、証明してくださること」 そう言うなり氷雨はその上着を徐ろに脱ぎ、Yシャツのボタンを次々に外してその豊満すぎる胸が下着越しに露わになる。その金色の長い髪がベッドの皺に沿うように流麗に流れていた。 そして、宵は最早言葉は不要とばかりにその下着の中の突起へと手を差し入ｒ――』
1 17/09/07(木)19:36:24 No.451398949
「なん、です、か、これはぁーー！！！！」 それを詠が読み終わり叫び声を上げた時、俺はオレオを丁度頬張っていた。 その叫喚の向け先は上記の著作の作者である未来だ。それなりに罪悪感はあるようだがだからと言って悪びれている様子もない。 なお、焔と春花は矛先が及ばぬ程度に離れてゲラゲラ笑っており、日影は相変わらず表情の読めぬ顔で寝そべっていた。 「いいじゃない詠お姉ちゃん減るもんじゃないんだしー。それに今これ大反響なんだよ？詠お姉ちゃんの目に触れるほどに」 「そういう問題ではありません！大体、なんで村雨様はそんなに平然としていらっしゃるのですか！」 「実害を被っていればそりゃ止めはしたけどもな」 オレオを齧りながら返事をする。
2 17/09/07(木)19:37:21 No.451399159
未来の創作のファンである俺からすれば今から一週間前――発表直後から感づいてはいたのだが、誰とは言わぬモデルからある程度の改変が加わっている以上、見る人が見なければ分からない物に別に待ったをかける理由もなかったのだ。 実際のところ、そうして詠が騒いでいること自体がある意味逆に餌を与えているような気もするほどである。何故なら当の未来ははっきりとしたことは何も言っていないからだ。
3 17/09/07(木)19:37:42 No.451399238
ここで敢えてざっとおさらいをするならば、物語のハイライトとしてはこうだ。 ――忍に憧れていながら将来を閉ざされた財閥令嬢・氷雨が、忍の秘密組織”煉獄隊”の一員であり、貧民上がりの宵と、ある陰謀の渦中にあって運命的な出逢いをする。そして義弟との確執や他の煉獄隊との邂逅など紆余曲折ありながらも氷雨と宵は心を通わし、遂には心も体も一つになる―― ……なんだか凄く聞いたことがあるような話だが、客観的に見るとこうまで面白いというかドラマチックな話なのかと諦観を含んだ感嘆があった。 とある種天から見下ろすような俺の考え方のようには詠は割り切れないらしく、怒りと羞恥とでなんとも形容し難い顔になっていた。そういう詠もいたく可愛いと思うのだが。
4 17/09/07(木)19:38:07 No.451399309
「えー、でもここからの描写とか凄いんだよー？なんたってノンフィクションだもの、つい一昨日の」 「な、なんでそれを！……はっ――」 オレオはおいしいなぁ。 そんな単純なカマかけに引っかかる詠に頭を抱える俺、余計に腹を抱える春花、おぉー……と指で目を隠す焔、相変わらずの日影。 そして作家としてのサガかキラキラと目を輝かす未来の前に遂に大剣が突き刺さった。 「忍、転・身！！」 「ちょっ、詠お姉ちゃんったらぁー！？」 自業自得だなと思いつつも、本当にヤバくなったら未来の肉壁ぐらいにはなってやるかと俺はソファから重くもない腰を上げたのだった。
5 17/09/07(木)19:41:20 No.451399930
いい…
6 17/09/07(木)19:42:06 No.451400097
怪文書だし途中で義弟が紛れ込んでこないかちょっとだけ心配しながら読んでしまった
7 17/09/07(木)19:47:42 No.451401235
義弟は性転換したら犯罪に片足突っ込んでしまうからな…
8 17/09/07(木)20:00:52 No.451404018
もやしさんへのノロケ入ってるお兄様の独白が良い