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    17/08/23(水)23:39:20 No.448275085

    はいふりSS めいたま りべんじ

    1 17/08/23(水)23:41:13 No.448275595

    「~♪」  湯気の向こうから、メイちゃんの鼻歌が聞こえてくる。  聞き覚えのないメロディからして、最近流行っているような曲ではなさそうだった。  どこか古ぼけてしまったようなそれは、初めて聞くのに懐かしいような、不思議な歌だった。  頭を洗いながら歌っているから、メロディに混じってごしごしと頭を洗う音や水音も聞こえる。 「ね、メイちゃん」 「んー?」 「その歌って、何?」  わたしも体を洗いながら、その歌について聞いてみる。 「あー、なんだろなこれ……」  すると、メイちゃんは難しい顔をしてそう言った。

    2 17/08/23(水)23:42:09 No.448275834

    「わかんないの?」 「いや、そういう訳じゃないんだけどね」  頭に泡をつけたまま、メイちゃんが腕を組んで首をかしげる。  そんなに難しいこと、聞いちゃったんだろうか。 「いやさ。この歌、小さい頃にあたしが尊敬してたお姉さんがよく歌ってた歌なんだよ」 「メイちゃん、お姉さんいるの?」 「ああいや、実の姉妹って訳じゃなくて。お隣に住んでた人」 「ふーん……」  初耳だった。 「って言ってもまあ、あたしが小学生の頃に大学生だったわけだから、今はもうおばさんになっちゃってるかもね」  どうも、そのお姉さんが歌ってたのを傍で聞いているうちにメイちゃんも覚えてしまったみたいだった。 「だから、歌詞もタイトルもよく知らないの。メロディだってそのお姉さんが歌ってたのを真似てるだけだから、合ってるかどうかもわかんないし」  もしかしたらお姉さんのオリジナルかもしれない、とメイちゃんは言った。

    3 17/08/23(水)23:43:00 No.448276074

    「そのお姉さんって、どんなひと?」 「お、気になる? 気になっちゃう?」  メイちゃんはよくぞ聞いてくれました、とばかりにうずうずとしはじめる。  そんな仕草は、かわいいと思うのだけれど。なんとなく、ちょっぴりだけ、胸がざわざわする。  なんでだろう。ただ昔話を聞くだけなのに。 「……でねー。その時のお姉さん、すごくかっこよくて! それで、もーあたし絶対この人みたいになるって決めてさ!」 「うん、うん」  体も頭も洗い終わって、一緒に湯船に浸かりながらメイちゃんの話を聞く。  憧れだったお姉さんのことを話してるメイちゃんはなんだかすごく明るくて、楽しそうだった。  そう言えば、前にわたしのことも、カッコいいって言ってくれたことがあったっけ。  その時もなんだか、メイちゃんはキラキラしていた。  その時のわたしは、そのお姉さんくらいカッコよかったのかな。  ……なんでだろう。  やっぱり、胸がざわざわする。

    4 17/08/23(水)23:44:05 No.448276312

    「ふぅー……テスト明けはやっぱり温泉に限るなぁー」 「うぃー……」  少しのぼせるくらいお湯に使ったあと、わたしとメイちゃんはロッカーの前で休んでいた。  一緒に飲んだ牛乳が火照った体に染み渡るように、熱を冷ましてくれる。 「あーでも、ずーっと浸かってたからちょっとのぼせたかもー……」 「うい……」  濡れた髪をタオルで拭いていると、メイちゃんがそう言って、タオルを枕にぐったりと寝そべってしまった。 「メイ、ちゃん……」  そんなところで寝ちゃダメだよ、って、言おうとして。  メイちゃんの無防備な白い喉が、目に入ってしまう。  触ると壊れてしまいそうなくらい細くて、すべすべして、綺麗な喉。  さわると温かくて、柔らかくて。ずっと、ずっと触れていたくなるような。 「あ、ダメだぞータマー」 「うっ」  その頸に手を伸ばそうとして、メイちゃんに止められる。

    5 17/08/23(水)23:45:51 No.448276740

     相変わらず無防備に寝転がってるのに、その視線だけは正確に私を射抜いていた。 「そーいうのは寮に帰ってから。前にも言ったでしょ?」 「むー……」  その言葉にしたがって、大人しく手を引っ込める。  メイちゃんはいつだって変なところで常識人だ。  いつもはトリガーハッピーなことばかり言って何かにつけておおはしゃぎで撃ちたがるのに、その癖変に冷静で。  そういうところは、ずるいと思ってしまう。 「いいお湯だったねータマー」 「ういうい」  温泉から上がり、ついでにいつもの場所で一局将棋を指した後、あたしとタマは寮に戻った。  でも、あたしは自分の部屋には戻らず、タマの部屋に一緒に荷物を置きに行った。  なんのことはない、今日はタマの部屋に泊まるってだけ。  突発的な思い付きだけど、着替えはこの部屋にもいくつか常備してあるから別に問題ない。

    6 17/08/23(水)23:46:53 No.448276982

     荷物を置いたら、次は腹ごしらえだ。もう19時前だったし、お腹はバッチリぺこぺこになっていた。 「晩御飯どうしよっか?」 「カレー!」  食堂に向かう途中、タマに話を振ると即答で返事が帰ってきた。  それもなんというか、予想通りの。 「えー、昨日もカレーだったじゃん。たまには鰻重とかさー」 「鰻重は置いてないと思う……」 「だよねー」 「じゃあ、カレーで」 「いやいやいや、ちょい待ち」  でしょ? と言わんばかりに流れで決めようとするタマを、慌てて止める。  カレーって言ったって、どうせいつもの食堂カレーだろう。それはもう三日連続で食べてるから、流石に他のものが食べたい。  いやまあ、何が食べたいって聞いてるんだから好きな食べ物が出てくるのは当たり前だし、確かに寮のも美味しいとは思うよ?  でも、毎日食べてたらいくらなんでも飽きてしまう。

    7 17/08/23(水)23:48:08 No.448277298

     そりゃああたしだって、いくらカレーに飽きててもざるそばなんか頼まない。  でもほら、あんまり欲望にストレートすぎるのもね? 色々とさ。  ……まあ、普段魚雷撃ちたい欲丸出しのあたしが言えたもんでもないのかもしれないけど。 「はー、食べた食べたー」 「うい、おいしかった」 「ほら、たまにはカレー以外もいいもんでしょー?」 「……うん」  晩御飯を食べ終わって、食堂の席で一息つく。  あの後結局、何を食べるかもろくに決めないうちにあたしとタマは食堂についてしまった。  それで、カレーとざるそば以外ならなんでもいいやって日替わりメニューを頼んでみたら、ハンバーグ定食が出てきて。  無難だったけど、これが結構美味しくて当たりだった。  今日はついてる、なんて思ってしまう自分が我ながらちょろい。  ……でも。 「今さらだけどさ、別に二人とも同じもの食べる必要ないんじゃ?」

    8 17/08/23(水)23:49:12 No.448277545

    「……」  寮の食堂はその日のメニューの中から自分が食べたいものを選んで食べる形式だ。  だからよく考えたら、いや、別によく考えなくても各自好きなものを頼んで食べればいいわけで。  なんか普段から当たり前のように同じものを食べてるけど、タマはカレー食べてあたしは日替わり、でも別によかったんじゃ? 「……同じ釜の飯を食べるの、大事」  なんて思って聞くと、そう返される。  それってそういう意味の言葉じゃないと思うんだけど、まあタマがいいならいいんだろう。 「それより、メイちゃん」 「んー?」  くいくいと、袖を指で引っ張られる。 「お風呂、行こ?」 「……そだね」  食休みはもう十分とったという判断なのか、単にもう我慢できなくなっちゃったのか。  どっちかは、分からないけれど。  とにかくそれが、タマからのお誘いのサイン。

    9 17/08/23(水)23:50:14 No.448277787

    「お昼からずっと我慢してたもんね、えらいえらい」  ちょっとおどけて見せながら、タマの頭を撫でてやる。  するとタマはまるで本当の猫みたいに、ゴロゴロと満足げに喉を鳴らした。 「か……ぁっ……」  ベッドの上で、私の下敷きになったメイちゃんが苦しそうな声を洩らしている。  蒼白になった顔で、私を見上げている。  その苦しそうな顔がどうしてか、たまらなく綺麗なものに私の目には映っていた。 「く……ん、う……」  声にならない言葉がメイちゃんの唇からこぼれ落ちる。  そのすぐ後に、息が出来ないからなのか、メイちゃんが少しだけ仰け反った。  そうしてできた私の指の隙間から覗くメイちゃんの白い喉は、やっぱり綺麗で。  だから、ずっと触れていたくて。  離すまいと、また指に力が入った。

    10 17/08/23(水)23:52:34 No.448278324

     もっとずっと、いつまでも。  始まりはそんな願望だった。  春先の騒動を乗り越えて、休む間もないくらいにテストに向けた授業が始まって。  そんな日々の合間を縫うようにして、私とメイちゃんは毎日のように一緒に遊んでいた。  禁固中に教えてもらった将棋を指したり、軽くキャッチボールをしてみたりとか。  それから、横須賀の町を案内してもらったこともある。  メイちゃんは地元が川崎で昔から横須賀に遊びに来ることがあったらしくて、この辺りには詳しいみたいだった。  お昼に入った温泉も、メイちゃんが教えてくれた場所だ。  そんなある日のことだった。  いつものように遊び疲れて、私の部屋で一緒に寝ようってメイちゃんが言い出して。  でも、寮の部屋のベッドは一つしかないわけだから、一緒にそこで寝るしかなくて。  それ自体は、別にどうということもなかった。  晴風に居たときから同じ部屋だったし、禁固中にも一緒に寝袋で眠ったから。  でも、こんなに近くで一緒に寝るのは初めてで。なんとなく、どきどきしてしまって。

    11 17/08/23(水)23:53:21 No.448278522

     あんまり意識しすぎたせいなのか、いつも見ているはずのメイちゃんが、少し違って見えてしまって。  そうして、その時にみたメイちゃんの喉が、なんだか、すごく綺麗に思えて。 『触って、いい?』  なんて、おかしなことを聞いていた。  自分でもびっくりするくらい、おかしな言葉を口にしていた。  人の喉なんて普通触ったりなんかしないものなのに。  もちろんメイちゃんも突然のことにすごくびっくりして、目を丸くしていた。  でも、メイちゃんは断らなかった。  それどころか少しだけ困ったように笑って、 『べ、別にいいけど……え、何? タマってそういうフェチだったの?』  なんて、変なことを聞いてきた。  フェチっていうのがなんだかよく分からなかったけれど。  とにかくオーケーが出てしまって、今さら引く訳にもいかなくて、私はメイちゃんの喉に手を伸ばした。

    12 17/08/23(水)23:54:54 No.448278896

     触れると壊れてしまいそうなくらい細くて、すべすべして、綺麗なメイちゃんの喉。  さわると温かくて、柔らかくて。ずっと、ずっと触れていたくなるような。  初めて触れる大好きな人の喉は、とてもしあわせな感触だった。  ……だから、離したくないと思って。  気付けば、指に力が入ってしまっていた。 「……ぐ」 「!」  てしてしと手で指を叩かれて、私はメイちゃんの喉から手を離す。 「けほっ、けほっ……」  呼吸を取り戻したメイちゃんが、咳き込みながら身を起こす。 「……だいじょぶ?」  その背中をさすりながら、メイちゃんに声をかける。  おかしなことに、私は自分で苦しめた相手の心配をしていた。

    13 17/08/23(水)23:55:56 No.448279143

    「けほっ……うん、平気平気。ちゃんと生きてるよー」  けれどメイちゃんは噎せながらもそう言って、私を抱き締めてくる。  ぎゅっと押し当てられたメイちゃんの胸から、しっかりと脈を打つ心臓の鼓動が聞こえてくる。  ……初めての日も、メイちゃんはこうだった。  とんでもないことをして凍りついてしまった私を抱き締めて、こんな風にちゃんと私は生きてるって、大丈夫だからって、命の音を聞かせてくれたっけ。 「よしよし、もう大丈夫? それじゃ、」  そして、お互いが落ち着いた頃に、メイちゃんは決まってにっこりと笑って。 「次、あたしの番ね」  そう、言うのだった。  躊躇いがちなタマにはおかまいなしに、あたしは抱き締めた体勢のまま体重をかける。  抵抗してこないもんだから、タマはあっさりと押し倒せてしまった。  そのまま、あたしはタマの頸に手をかける。 「じゃ、始めちゃうね」

    14 17/08/23(水)23:56:50 No.448279345

     ゆっくりと、ゆっくりと。  観念したような顔のタマの頸にかけた指に、私は力を込めていく。 「ひゅぅっ……」  小さな、笛の音のような吐息が、タマの唇から洩れる。  首を絞められて血がのぼったタマの顔は、すぐに真っ赤になった。  普段は透き通るような白い肌してるから、余計に目立つ。  不思議だよね。タマってバリバリのアウトドア派なのにさ、すっごく色白なの。  おまけにずっと触ってたくなるくらいスベスベの綺麗な肌で、軽く嫉妬しちゃうくらい。  スポーツしてる子って、どうしても日に焼けてしまうものなのに、下手したら私より綺麗なんだもん。 「……」 「ぐ、あ、が……」  そんなことを考えつつも、あたしは指に入れた力は緩めない。  その間タマはずっと、苦しそうな顔をしていた。  当たり前だよね、息ができないんだから。

    15 17/08/23(水)23:57:44 No.448279583

     でも、そんな苦しそうな表情の中にほんの少し、恍惚とした感情が浮かんでる。  都合のいい思い込みなんかじゃない、本当のことだ。  だって、あたしもきっと似たような顔をしてるから。  ……タマが本当は首を締められるのがあんまり好きじゃないのは知っていた。  まあ、当たり前の話だと思う。  あたしだって、撃つのはいいけど撃たれるのは絶対やだし。  いや、そもそも、タマは首を絞めるのが好きだからあたしの首を絞めるんじゃないんだろう。  あの日最初に言ったように、ただ、触りたいだけ。触っていたいだけ。  それがなんでなのか、っていうのは、分からないけど。  本当に、ただそれだけなんだと思う。  首を絞めるのは、結果的にそうなってしまうだけのことで。

    16 17/08/23(水)23:58:19 No.448279713

     それじゃあ、どうしてあたしもタマの首を締めるかって言うと。  自分がどんなことをしてるのかってことを、タマにも自覚して欲しいからだ。  当たり前だけど、首をずーっと締められてたら人間は窒息して死んでしまうわけで。  タマがあたしの喉を触りたいならいくらでも触らせてあげるけど、それで死ぬのは流石に勘弁して欲しい。  だから、タマに締められたのと同じくらいタマの首を絞めて、自分がしたことをちゃんと自覚してもらう。  これ以上はダメって合図をお互いに決めて、それが出ると即座にやめる約束。  プロレスと一緒で、一線を越えてしまわないようにルールを決める。  ただそれだけの、当たり前のこと。  ……とは言っても、こう言うと相手の首を絞めないように自制するようにしろ、って言われてしまいそうだ。  うん、わかる。それが普通だろう。  でも、それはあたしの方が抑えが効かなくて無理だった。

    17 17/08/23(水)23:58:43 No.448279814

     ……あの日。タマに初めて首を絞められたとき。  突然のことに訳がわからなくなって、ただただ夢中で自分の首を締めるタマの顔を見ていた。  でも、どんどん息ができなくなって意識が朦朧としていく中で、あたしは苦痛とは別の感覚を覚えてしまったんだ。  頭の芯がぼうっとしてきて、お腹の下辺りがきゅーっとなる。  ふわふわぐらぐらと視界が揺れて、すっと何かが体から抜け落ちていくような、そんな感覚。  それがびっくりするくらい、私には気持ちのいいものに思えて。  タマが正気に戻って愕然としてる間も、咳き込みながらあたしはその感覚に支配されていた。  でも、あんまりタマが真っ青になってるもんだからすぐ我に返って、とりあえず生存報告も兼ねて抱き締めたんだけど。  なんというかまあ、それ以来、あたしからタマを誘うこともちょくちょくあるようになっちゃったわけで。  つまり、さっき言った自覚がどうたらってのも半分は建前に過ぎなくて、本当はやりたいからやってるだけ。

    18 17/08/23(水)23:59:32 No.448279998

     ……多分、あの日を境にあたし達はちょっとおかしくなっちゃんだろうと思う。  おかしいやつ同士だから、それはそれで相性いいのかもしれないけどね。 「……め、い、ちゃ」  と、タマが手であたしの指をてしてしと叩く。  これ以上は限界っていう、終わりの合図。 「……けふっ」  さっと手を離すと、タマが咳き込みながら胸元を抑える。  新鮮な空気を目一杯吸い込んで、涙目になりながら呼吸を取り戻していく。 「タマ、どうだった? あたしの言った感じ、分かる?」  そんなタマの背中をさすってやりながら、あたしはそんなことを聞いていた。 「……わかん、ない」  けれど、タマはふるふると首を横に振って返してくる。  んー、ダメか。  あたしだけ気持ちよくなるとか、まるであたしがおかしなやつみたいだから、タマとも共有したいんだけどなあ。

    19 17/08/24(木)00:00:11 No.448280147

    「そっかあ」 「それより、メイちゃん、強く絞めすぎ」 「あ、やっぱり?」  自分でもちょっと思ったんだけど、今日はいつもよりちょっぴり力を入れすぎてしまったみたいだ。  バレないかなと思って特に緩めなかったけど。 「……やっぱり?」 「ああいや、なんでも……」 「むぅ……」  と、うっかり口を滑らせてしまった。  慌ててごまかそうとするけど、タマは不機嫌そうにむくれてしまう。 「あはは、ごめんごめん。そんなにむくれないむくれない」  その膨らんだほっぺたを、軽く指でつつく。  ぷひゅう、とタマの唇から空気が抜け、もとに戻ってしまった。かわいい。 「だってタマにも理解してほしいしさあ、あたしの感覚」

    20 17/08/24(木)00:00:43 No.448280279

     空気の抜けた後も、私は指でタマのほっぺたをつつき続ける。  さっきも言ったけど、ずっと触ってたくなるくらいスベスベだからね。 「力加減の問題じゃ、ない」  と、タマが口を開く。ほっぺたつつかれてるまんまだから、ちょっと間抜けだ。 「えー?」 「メイちゃんの趣味の問題」 「そ、そんなことないって!」  ……ま、まさか、ねえ?  あたしがそんな変な趣味な訳…… 「絶対そう。だって──」 「え、えーっと! とにかくお風呂はいろっか! 汗かいたし!」  これ以上話してるとどんどん聞きたくない根拠を言われそうなので、慌ててお風呂にタマを誘う。  汗と一緒に、その話も流れてほしい……

    21 17/08/24(木)00:01:35 No.448280457

    「……」 「タマってあたしの髪触るのも好きだよねえ」 「うい」  お風呂から上がったあと。  一緒に入ったベッドの上で、私はメイちゃんの髪を触っていた。  さらさらして、滑らかで、綺麗な髪。  喉と同じくらい、ずっと触っていたい大好きな感触。 「引き抜いたりしないでよ」なんてメイちゃんは言うけど、そんなこと絶対にしない。  そんなことをしたら台無しになってしまうから。 「明日はどうしよっか」 「んー……」 「温泉は今日行ったしなー」

    22 17/08/24(木)00:02:00 No.448280560

    「じゃあ、部屋でだらだら、する?」 「えー、それはパス。身が持たない」  提案はあっさり却下されてしまった。  私は一日中こうしてるだけでも楽しいのに。 「ま、明日また考えたらいいか」 「うい」  どうせ明日もお休みだ。時間はたっぷりあるんだから、起きてから予定を立てたって十分間に合う。 「じゃあ今日はもう寝よっか?」 「ん」  メイちゃんの髪を弄りながら、そう頷き返す。  明かりを消して、部屋が真っ暗になった。

    23 17/08/24(木)00:02:58 No.448280774

    「~♪」  ふと、なんとなく頭に思い浮かんだフレーズを口ずさんでみる。  聞きなれないのにどこか懐かしいような、古ぼけた歌の一小節。  メイちゃんがよく歌っている曲。 「あれ? タマ、その歌覚えたの?」 「なんとなく、だけど」  メイちゃんのちょっと驚いたような声に、暗闇の中で小さく頷く。  湯気の向こうからいつものように聞く内に、私も覚えてしまっていた。  歌詞も何もない、タイトルさえ知らないような真似っこの曲だけど。 「そっかあ。あやふやな鼻歌だったのによく覚えられたね」 「ずっと聞こえてたから」  ずっと隣で、メイちゃんを見て、その歌を聞いて。  だから私も、いつの間にかその歌が好きなっていたのかもしれない。 「~♪」  古ぼけたようなそのメロディは、やっぱりどこか懐かしかった。

    24 17/08/24(木)00:03:52 No.448281007

    おしまい テキスト版 su1991600.txt 前かいたやつをリメイクしたらほぼ別物になったので

    25 17/08/24(木)00:08:21 No.448282146

    長編キテル…

    26 17/08/24(木)00:11:19 No.448282932

    だからなんで序盤の和やかな流れから首絞めックスになるんよ…

    27 17/08/24(木)00:11:44 No.448283032

    ましろろろろろ?

    28 17/08/24(木)00:12:54 No.448283328

    しししししらないにゃあ…

    29 17/08/24(木)00:15:25 No.448283978

    退廃的だな… この雰囲気は好きかも

    30 17/08/24(木)00:16:02 No.448284140

    互いへの友情と愛情を込めて禁断の快楽にのめり込んでいくのいいね… 文体がしっとりとしてるから変質的な印象はほとんどなくて 二人だけの秘め事って雰囲気で留まってるのがグッド

    31 17/08/24(木)00:18:11 No.448284668

    首絞めックスは「くふっ、か…っ!?」とか「か…ひゅぃっ…!」とかカ行やハ行メインの苦鳴が雰囲気を引き立てるのよ 覚えておきなさい真霜、ましろ

    32 17/08/24(木)00:19:56 No.448285093

    校長は詳しいな…

    33 17/08/24(木)00:22:57 No.448285823

    意味があるにゃあ…

    34 17/08/24(木)00:27:21 No.448286883

    さすが有明の巴御前…

    35 17/08/24(木)00:27:40 No.448286959

    キテルにゃあ…

    36 17/08/24(木)00:35:34 No.448288746

    母さん!