17/07/27(木)08:52:23 西住S... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1501113143216.jpg 17/07/27(木)08:52:23 No.442359539
西住S! 初めての方は初めまして。久しぶりの方はお久しぶりです 西住みほことベタ住です 訪れた世界の危機。それを指揮するのは欠住。戦いの果てに自分の右腕を失った西住みほだった 彼女の率いる影住と死闘の結果、べたべた作戦でようやく欠住を止めることには成功したけど……まだ空の闇は晴れないよ! わたし達これからどうなっちゃうの!? su1953415.txt
1 17/07/27(木)08:52:59 No.442359588
20 陽住が目を覚ますと、他の乗員は意識を失っていた。 しばらく泣いた。通信も効かなかったので、とりあえず外に出てみると、オリジナルが側で十字架にはりつけになっていたのを見つけたというわけだ。 ナポリンがスーパーアンコウで迎えに行く。その間わたしたちは、欠住から事情を聞くことにした。 「じゃあうざ住からはなにも聞いてないんだ」 欠住が言った。 「わたしとうざ住は、影住の調査に出ていたんだよ。そしてその根源を見つけた」 「なんだって!」 闇住が素っ頓狂な声を出した。 「なんでそんな大事なこと言わなかったんだよ」 「聞かれなかったから」 しれっとうざ住は言った。 「それが本当の根源かまだ判んなかったしさ。判ったのは、その少し後で欠住がいなくなっちゃったこと」 「だからこの西住ちゃんに頼んだんだ。この世界の、西住みほを探してくれって」
2 17/07/27(木)08:53:17 No.442359611
欠住の会長が説明を引き継いだ。 「それ以来私は、CV33に乗って西住ちゃんを探しに出た」 ん? ずいぶん絆が強いな、会長と欠住。 あ! もしかして! 「ベタ住さん、本筋に関係ない質問はやめて下さい」 顔を真っ赤にした欠住が眉間に皺を寄せた。 「とにかくわたしは、あの、世界を黒く塗り潰そうとしているものに接近しました。というより、そう思いついたのも、奴に引き寄せられていたせいでしょう。 そのことあるを予想して、わたしはあんこうチームに声をかけておいた」 「だってそんなのみほだけじゃ絶対あぶないじゃない!」 欠住の沙織さんが大きな声をあげた。片や華さんは楽しそうだ。 「光の闇、宿命の対決ってワクワクしませんか?」 「私達の戦いが、そもそもいつだってギリギリでしたしね!」 優花里さんの声に、麻子さんが小さくため息をつく。 「私は――これ以上親しい人がいなくなるのは嫌だったんだ」 「……ごめんなさい」
3 17/07/27(木)08:53:52 No.442359663
謝る欠住。わたしは近くにあったうざ住の頭をひっぱたいた。つんのめったうざ住がわたしを睨む。 「いった! なんだよいったい!」 「近くにあったから! それよりうざ住が見た悪意の根源ってなに?」 「不信、傲慢、怒り、嫉妬、そんなものがねじ曲がった何かだよ」 ぶっきらぼうにうざ住が応える。 「影住みたいなのが出来るのは仕方ないんだ。起こるはずの可能性の影なんだから。それは覚えていない夢みたいなもので、もしかしたらどこかでわたし達や、オリジナルなんかに干渉したりするのかもしれない。 でもその“根源”は影に恣意的な方向を与えるんだ。お前達がこうなったのは、全て西住みほのせいだ、ってね」 それでスーパーアンコウを襲う理由が分かった。スーパーアンコウは古今東西住だ。この世界の過去と未来を司る記憶そのもの。うざ住は意味ありげにわたしを見た。 「だから次元時空を超えて旅するスーパーアンコウや、オリジナルを狙う」
4 17/07/27(木)08:54:23 No.442359706
「戦車道の無い世界に鍵がある、とそいつは判っていた。けれどその世界はオリジナルの世界と違っていて、明らかに枝葉で分かれていく世界だった。接点皆無。 でもこの、戦車道のない、更に意識を実体化させる研究が進められているこの世界は、奴が干渉するのに一番便利な世界だったんだ」 「ん? 他の世界にも影住は現れたろ」 闇住が抗議する。でもちょっと待って闇住。 「戦車道が無いってのが一番のポイントだと思うの。 女子高生が戦車に乗るっていうこと。それを誰かが認識しないと、影住もここに現れることは出来なかったんじゃないかな。 あ! だから……」 「そう……だから“根源”に囚われたわたしが先にここへと訪れたんだ」 欠住は言った。 「“根源”はわたしが会長と接触することで、影住を送り込めるようになると思っていたらしい。実際出来たと思う。 だからわたしは奴が手を出さないように手を考えた。いずれここにスーパーアンコウが訪れる。そのときにここに閉じ込めてしまえばいい、と提案したんだ」
5 17/07/27(木)08:54:47 No.442359728
「ちょっと待って、欠住。“根源”と会話なんて出来るの?」 驚いたif住が眉をしかめた。欠住は頷く。 「奴は知性がある。だから世界が滅びるのを楽しんでいる」 「……よく意識を保っていられたね」 鬱住が言った。 「……世界、消すつもりもあったんだろ? 欠住は」 「そうですね……。オリジナルを守る気はありましたけれど。でもみんながわたしを止めることもどこかで願ってた」 ぎこちない笑い。わたしが欠住をどこか憎めなかったのは、折々で見せる彼女の表情のせいだった。彼女はいつもどこか冷静で、同時に不満げだった。万全の策を講じているようでどこかに抜け穴を作っていた。 生徒会室でわたしと秋山さんを襲ったとき、何輌もの影住で襲わせればよかった。さっきの校舎だって、秋山さんが言うように校舎を要塞化して一斉砲撃すればよかった。わたし達を追い詰めながらどこかで、わたし達ならこれくらいくぐり抜けると信じていた。
6 17/07/27(木)08:55:06 No.442359748
偽住が笑う。 「でも危なかったよ欠住。わたし達は欠住を殺さなきゃいけないかも、って話してたんだよ」 「偽住泣いたでしょ」 わたしが言うと、意外にも彼女は素直に認めた。 「ちょっとだけね」 「でもまさか、あんなベタな作戦で来るのとは思わなかったよ。わたしに、今までの記憶を全部ぶつけるなんてね」 「それが出来たのは、欠住の世界の仲間がみんな来てくれたからだよ」 欠住がすうっと息を吸った。 「うん……ありがとう。みんなのおかげだ」 『こちらナポリン。ベタ住どうぞー』 ESPを使ってナポリンが話し掛けてくる。 『オリジナルも陽住もどっちも大丈夫。ただ、お姉ちゃん達は仮死状態だね。もうすぐそっち着くよー。なんか食べるの用意して』 久しぶりに会うオリジナルは、顔色は悪かったけれど元気そうだった。 「皆さんありがとうございます」
7 17/07/27(木)08:55:31 No.442359782
「オリジナルこそ、大丈夫ですか?」 心配して尋ねるとナポリンが代わりに応えた。 「ビッグアンははりつけにされているあいだ殆ど意識なかったんだって」 「わたしを使って他の世界に渡ることが出来るんじゃないかって思ってたみたい。でも、やっぱりそれは無理で……。その間ずっと、みんなのこと考えてたんだ。 ベタ住さんや闇住さん、if住鬱住ナポリン、それから偽住さんのこと。あと、あんこうチームのみんな、学校の、他の学校の人達」 「他の学校の人……?」 「ベタ住さんが会ったことのない……いや、これから会う人たちのお話です」 オリジナルは微笑んだ。陽住がおどおど尋ねる。 「ねえ、お姉ちゃん達どうなるかな……」 「陽住は離れない方がいいと思う。多分カーボンにならないのは、最後の乗員の陽住が元気だからだよ。そのタイガー戦車と陽住が一つのユニットに」 「ティーガーⅠ」 突っ込みを入れた後で、陽住は「わかった」と納得した。 「わたししかお姉ちゃん達を助けられる人はいないんだね」 「まあ、そういうことになるかな」 偽住はパチンと手を打ち付ける。
8 17/07/27(木)08:55:50 No.442359804
「あとはこの雲……“根源”とやらをとっちめるだけだ」 「じゃあそろそろ行く?」 促したのは欠住の沙織さんだ。小休憩を取っていた優花里さんがブロック状の非常食を口いっぱいに含みながらコクコク頷く。華さんはすっかり飲み込んで口に水を含む。寝ていた麻子さんがむくりと起き上がった。 「こっちはシュルツェンが飛んだだけだ。いつでもいけるぞ」 「それじゃあそろそろ反撃しますか」 のんびり偽住が立ち上がった。闇住達も大きく伸びをする。 「みぽりん!」 さおりんだ。 さっきから黙って話を聞いていた、わたしの一番の友達。彼女はわたしに抱きついてキスをした。 「みぽりん、行っちゃうんだね……」 「うん。これ以上みんなを巻き込めない。相手は得体がしれないし」 「バカ、一人で抱え込むなって言ったろ」 華が喉を詰まらせた。わたしは華の背中に手を回す。 「わたし、会ったばかりの、お淑やかでいようとした華、好きだったよ。でも今の華は何倍も好き。今度見せてね。華のお花」
9 17/07/27(木)08:56:05 No.442359824
「泣かせること言うなよぉ!」 すがりつく華さんの背をぽんぽんとする。秋山さんがはにかんだ。 「西住殿。わたしも、あなたと初めて会ったときのことを思い出していました」 「すごい仰々しい話してたね」 「エーテルとか、ゾディアックとかですね」 照れくさそうに秋山さんが笑う。 「わたし、歴情の方々と出会ったとき、嬉しかったんです。華と付き合ったときも。……でも、わたしはもっと自分だけ見てくれる人が欲しかったんですね。 西住殿はわたしの妄想に真っ正面から向き合ってくれた」 「わたしが、秋山さんだけ見てたってこと?」 二人のハグを解いて、わたしは秋山さんと向かい合う。秋山さんが言いたいことは違うことだって判っていて、あえてそんなことを言う。当然のように秋山さんは手をバタバタさせた。 「違いますよう! 誰だってまるごとの他人を受け入れることは出来ないです! ただ、西住殿が真摯に向き合ってる姿を見て……そうか、誰かの為に動かないと、友達なんて出来ないなって思って……だから西住殿が生徒会に呼ばれたとき、少しでも力になればってご一緒したんです。……お力にはなれませんでしたが」
10 17/07/27(木)08:56:25 No.442359843
そっと右手を差し出す秋山さん。 「改めて、友達になって下さい、西住みほさん」 「バカ。もう、友達でしょ。友達っていうのはこうやってなるものじゃなくて……」 「そうじゃなくて……わたしのことも……名前で呼んでください、みほさん」 右手を取った。 「よろしく、ゆかり」 「……やれやれ、最悪の気分だ」 割って入ってきたのは麻子だ。 「知らなくていいことを知ってしまった」 「麻子……」 「西住さんどう思う。不幸だと思っていたシンデレラが、本当は一番幸せだったと知ったら」 麻子のご両親、お婆様は存命で、他の世界の冷泉麻子のご両親は亡くなられている。麻子はそれと自分の睡眠量が関わっていると思っている。その相互関係はわたしには判らないけれど、もしかしたら他の世界の麻子は、夢の中でご両親と会う為に人一倍寝ているのかもしれない。うう……泣かせるなあ。 「あんまりセンチメンタルなことを考えないでくれよベタ住さん。私が無邪気に「睡眠欲しい」って言えなくなったって言いたいだけだ。 それより、私達は待機しているから、なにかあったら呼んでくれ。絶対助けに行くから」
11 17/07/27(木)08:56:41 No.442359866
「麻子……みんな……」 きっとみんなは話し合っていたに違いない。 わたしが、他の西住みほと戦いに出るかもしれないと。 さおりん、華、ゆかり、麻子。 みんな真剣な顔をしてわたしを見ている。わたしはそっと手を差し出した。 「大丈夫。いざってときは、ちゃんとみんなを頼るから!」 一つずつ重ねられた手。五つの手が重なったとき、わたしは頷いた。それが合図だった。 「せいっ!」 重なった手の下からわたしはすかさず自分の手を抜いて、上からはたく。でもみんなそれに気づいてたみたいで、同時に手を引いて、わたしの上から叩きつけた。 「くく……」 おかしさがこみ上げる。笑いは伝染して、五人で一緒に笑った。 一度やってみたかったんだ、これ。 「……あ」 欠住が空を見上げた。
12 17/07/27(木)08:56:57 No.442359887
どこからか笑い声が聞こえる。それもとびっきり納谷吾朗って感じの声。 『フハハハ、フム……フムハハハハ!』 わたし達は互いに頷いて空を見た。 さあ行こう! これが本当に、最後の決戦になるはずだから!
13 17/07/27(木)08:58:52 No.442360025
今日はここまで! うーん、今月中にちゃんと終わるかなあ……いや、終わるよね! 終わらせる! ここまで読んでくれてありがとう また明日ね
14 17/07/27(木)09:13:44 No.442361068
ベタ住がベタなフラグ立ててないか冷や冷やするぞ! 個人的には飯塚昭三も捨てがたい
15 17/07/27(木)09:18:18 No.442361351
やはりゴルゴムの仕業か!
16 17/07/27(木)09:32:02 No.442362356
きたの!