17/07/24(月)12:10:57 西住S... のスレッド詳細
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17/07/24(月)12:10:57 No.441768901
西住S! お昼の方はいただきます朝食の方はおはようございます 西住みほことベタ住です 前回までのあらすじ! 世界を滅ぼすという欠住を止めるべく、わたしたちは戦車に乗って大奮闘 ところが欠住によって仲間はどんどんやられていく うまくいくのかな、べたべた作戦 それにしてもこのあといったいどうなっちゃうの!? su1950004.txt
1 17/07/24(月)12:11:24 No.441768994
「会長、いいんですね」 柚子が言った。 ヘッツァーのなかで膝を握りしめ、杏は「いい」と言った。 「ここで撃破出来れば、西住さん達の仕事も楽になる」 「接近戦をしかけます」 桃が装填した。 Ⅳ号が突っ込んでくる。まるで当たらないことを確信しているようだ。それが急に横に滑った。正面からガツンと強い衝撃。 「回り込もうとしてますね」 桃が冷静な判断を下す。 「突撃砲は側面と背面の守りが弱いようです。本来なら遠距離からの攻撃が求められるらしい」 「しかし西住さんはもう距離をかなり詰めている」 杏はちょっと考え、それから。 「少し揺さぶってみるか」 と立ち上がった。 顔を出すとぽかんとした顔の西住みほがいた。遠いけれど、言葉の届く距離だ。柚子、しっかりよけてくれよ。
2 17/07/24(月)12:11:41 No.441769057
「西住さん! もうこんなことはやめるんだ!」 返答は砲撃だった。即座に戦車の中に身を隠す。当ててきている。ただ、有効打になる攻撃ではなかった。いける。 「西住さん!」 再び相手からの攻撃。弾は当たらない。柚子が上手く避けた。桃が言う。 「こっちも撃ちますか」 「バカ。説得中に攻撃もないもんだ」 珍しく強い口調で言って、顔を出す。向こうもこちらの隙を見つけようとしているんだろう。と思ったら、空間からゆっくりと影住が出た。砲が唸る。 「ああいうのはいいでしょ」 「サンキュー、桃」 必中させる桃に礼を言って、杏は叫んだ。 「西住さん! わたしは君のこと、好きだったんだ!」 「わたしは大嫌いでしたよ!」 彼女が言い返した。 「いつもいつもうじうじ、自分のことばかり! 迷惑でした!」 「じゃあ! 優しくしてくれたのは、嘘だったのか!」
3 17/07/24(月)12:11:56 No.441769100
「それ、いまここで言うこと!?」 正面から弾が当たってめり込む。ただ斜めに当たったから上手く弾かれた。ほんの一瞬が止まって見える。頭の中でアドレナリンがドバドバ出ているに違いない。 「西住さんの世界の人だって……そこのわたしだって、きっと君を心配している!」 「そんなわけありません!」 西住さんの戦車が近づいてくる。真横に入ってくる。白くたなびく右袖が美しい。 「わたしがいないほうが、よかったんですよ! 廃艦の方がマシだった」 「嘘だ! だって君は、本当は、ずっと一緒にいたいんだ!」 すかさず頭をヘッツァーの中に入れる。 「桃、僕に撃たせてくれ」 「了解。なかなかいい啖呵でしたよ」 「うるさい!」 柚子がヘッツァーを動かす。上手く動揺を誘えたのか、相手の動きが鈍い。超近距離……取れる! 「受け取れええええ! 西住さん!!」 ドォオオオオオオン! 高らかに鳴る砲の音。
4 17/07/24(月)12:12:12 No.441769147
荒野の遠くで立つ砂煙。 「……普通この位置で外しますか?」 桃の冷静な声に、杏の顔が赤くなった。 Ⅳ号はゆっくりと側面につき、一発。白旗が上がる。 欠住がほっと息をついたそのときだった。 「欠住いいいいいいいいっ!」 わたしは叫んだ。ギクッとした欠住が退避行動に移る。 『そうはいくか!』 スーパーアンコウが突っ込んだ。そのまま欠住の側面に回る。こちらも欠住のもう片方の側面に回った。接近を嫌がって機関銃で牽制してくる。 「構わない。こっちも撃って」 応射の機関銃で欠住も頭を引っ込める。そのときぐっとわたし達は近づいた。そのまま横に滑り込む。 「何考えてるんですか!」 欠住が顔を出した。
5 17/07/24(月)12:12:27 No.441769180
「こんな風にべたべた並走して、なんの意味が……」 「うふふ……こうしたら、砲が上手く撃てないでしょ。新しい影住も出せない」 フェイントをかけて出て行こうとするけれど、それは許さない。ナポリンが上手く体当たりして邪魔をする。こっちの麻子さんも繊細な運転でフォローする。 「ねえ、欠住。もう止めようよ。会長もさっき言ってたでしょ。みんな悲しむよ」 「そんなこと無い!」 ぐぐぐっと上がったスピード。偽住も声をかける。 「せっかくみんなで大洗過ごせるようになったんじゃん」 「そうじゃない西住みほだっているだろ! オリジナルだけ残っていれば、充分だ!」 「やっぱり欠住、オリジナルの世界以外を全部消そうとしてたんだね」 欠住の顔色が変わる。 やっぱりそうだったか。最後のダメ押しだ! 「でも欠住! みんなは欠住と一緒にいたいって言ってるんだよ!」 「なんでそんなこと言える! 片腕のないわたしに、腫れ物に触るような目で見続けるみんななんか、わたしと一緒にいたくないに決まってる!」 「そんなことない!」 「あるよ! だってみんなわたしのこと、無視して……秘密会議なんて開いて……」
6 17/07/24(月)12:12:44 No.441769235
「あなたことどうしてそんなこと言えるの! 欠住! いまその戦車動かしているのも、あなたの仲間でしょ!」 欠住のⅣ号が、振り切った。まずい。回り込みつつ砲を撃ってくる。こちらも迫る。ただ、向こうは砲を真横に向けて、もうこっちにつけられないようにしている。ただスーパーアンコウは並走している。チャンスはあと残り一回だ。 「欠住! 仲間ならもうここにいるよ」 偽住が叫んだ。 「お前を助ける為、止める為にここへ!」 「だったら証拠を! 見せて下さい!!」 操縦席から、麻子がぼそっと言った。 「みほ。揺れるぞ。バランス取れ。体当たりする」 わかった、ありがとう麻子さん。みんな! 『しかけます!』 さおりんが通信を入れる。if住の緊張した、了解、の声。 一か八かだ、せいのぉ! 「うわ! 早い!」
7 17/07/24(月)12:13:01 No.441769277
秋山さんの声、微かに。そこに被るように華。 「跳べえっ! みほぉっ!」 おうよっ! スーパーアンコウからも、立ち上がって偽住が跳ぶ。うん、確かにわたし、ちょっと跳ぶの早かった。でもすがりついた。砲が横にせり出していて助かった。欠住が右腕を指しだそうとした。それは出来ない。彼女には右腕がない。でも、大丈夫。 わたしは必死に砲頭に上ると、欠住に抱きついた。偽住も抱きつく 「欠住、みんなの想い、届けてあげる」 そうだ。 ここにやってきた大洗のメンバーは、みんな欠住の世界からやってきたんだ。 欠住のやろうとしていることを止める為に、欠住を助ける為に。 『西住さんに喜んでもらいたい』と言ったのは磯辺典子さんだった。 『サプライズパーティーとかどうかしらね。誕生日近いでしょ』園みどり子さんが言った。 『腕がなくなって、西住先輩連戦で、暗い顔してます』澤梓の目に涙が浮かぶ。 『あの、始めたばかりのあの派手な装飾とか、みんなやったら面白いんじゃないですかね』ねこにゃーは提案した。
8 17/07/24(月)12:13:19 No.441769325
『おお! 実は我々も似たようなことを考えていた!』胸を張ったのはカエサルだ。 『自動車部でねえ、実は魂ボタン作ってたんだ。すごいんだよ。ボタン一つで塗装が変わるの!』ナカジマがガッツポーズを取る。 『西住には感謝してもしきれない。その負い目を我々が感じるほど、西住も、それから会長も表情が暗くなる。 軍神とか、関係ない。私達は仲間だって改めて伝えるいい機会だと思う』 河嶋桃の言葉に、皆が頷いた。 「知ってたよ……わかってた」 欠住が言う。 「でも、わたしは……」 戦車が止まった。偽住はわたしの力を受けて、欠住に伝える。わたしは偽住にESP経由で伝わる、大洗メンバーの想いを伝える。情報そのものは想いを持たない。でも伝わった想いは情報じゃない。 三輌の戦車が足を止めた先に、CV33が止まった。顔を出すうざ住。 「よ。欠住」 「うざ住……! あなた、なんでこんなところに……」 「その前に、会わせたい人がいるんだ」 うざ住が言うと、CV33のもう一つのハッチが開いた。
9 17/07/24(月)12:13:35 No.441769376
「西住ちゃん……」 「……会長!」 わたしと偽住は、欠住から手を離した。右袖がふわりと舞った。もつれる足が駆け出した。背筋をしゃんと伸ばした女性が、CV33から降りてきて、欠住を抱きしめた。 「バカだな。そんなにまでして、戦って」 「かいちょう……わたし、わたし……」 「私達を信じてくれて、ありがとう」 二人は口づけを交わした。それから欠住はぽろぽろと涙を流す。 「こんなやり方、ベタベタ過ぎます」 振り返ってわたしに軽い抗議を投げかけてくるから、わたしは笑って答えた。 「だってわたし、β住じゃないから。 ベタベタの、ベタ住だもの」 「ふわーっ、疲れたー」 Ⅳ号から顔を出したのは沙織さんだった。 「みほ! もういいよね出ても!」
10 17/07/24(月)12:13:51 No.441769413
「皆様のお手並み、さすがでしたね」 華さんも顔を出す。 「ようやくここまできて、肩の荷が下りたって感じですよ」 優花里さんがキューポラの上で大きく伸びをした。 「それにしても、まだ終わってないみたいだぞ。どうするんだ西住さん」 麻子さんが操縦席から顔を出す。 皆、欠住に着いてきたあんこうチームの面々だ。 「え? なに? どういうこと?」 同じく戦車から出てきたさおりんが尋ねた。そりゃそうだろう。Ⅳ号を動かしていたのが自分たちと同じあんこうチームだとしたら、どうしてこんな戦いを挑んできたの? 「欠住は大きな博打を打っていたんだよ」 わたしは説明する。 「それは多分、影住を作り出し続けた巨悪をいぶり出す為。ただ、それがどうしてこんなことになったのかは判らない」 「話せば長くなるけどベタ住! オリジナルはどうしたの!」 欠住がわたしの右手を取った。 「いや、その……戦いが終わってから行けばいいかなーと思って」
11 17/07/24(月)12:14:07 No.441769445
「うざ住さん!」 怒りに満ちた声の欠住に、うざ住が肩をすくめた。 「戦ってる間に、オリジナルを確保するのがあなたの役目なんじゃないですか?」 「いやー、ベタ住にはそう指示されてなかったし、あんた半分以上闇に捕らわれてたし……目を覚まさせるにはそれがいいかなって」 「どうしよう……早く助けにいかないと……。奴にわたしが表返ったことがバレたら、オリジナルが連れ去られる……」 そのとき、どこか遠くから呼びかける声が聞こえた。 いや、これはESP? 『おーい、ベタすみー、みんなー』 この声は、陽住!? 『誰かこっちきてー。オリジナル、確保したよー。無事そう。でも水飲ませてあげたい。 誰かはやくー』
12 17/07/24(月)12:24:51 No.441771564
今日はここでおしまい! ついに決着がついた欠住との戦い 果たしてオリジナルは本当に助かったの? っていうかどうして助かったの? 最終回近いのに、謎が謎を呼ぶ新展開 でも根拠なんていつも後付けだよ 大人ぶった予防線跳び越えて今…… あれ? ノックの音、誰か来たのかな? 次回西住S 閉ざされる光 二日ばかり休むかも ごめんね!
13 17/07/24(月)12:32:23 No.441773090
ベタベタな熱い展開いいよね… >二日ばかり休むかも ゆっくりでいいよー