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西住S... のスレッド詳細

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17/07/22(土)10:27:25 No.441281401

西住S! お休みの方はお疲れ様、お仕事の方は頑張って下さい 西住みほことベタ住です どーしよ! お姉ちゃんたちがやられちゃったよー! 欠住強すぎるよ……オリジナルも助けなきゃいけないし…… わたしたちこれからどうなっちゃうの!? su1947200.txt

1 17/07/22(土)10:28:56 No.441281616

 影住は的だった。  反撃はあったものの、大洗側の戦車とうざ住の協力で撃滅されていった。 『ベタ住。もう少しでそっちに合流出来るよ』  頭の中に直接話し掛ける声を、そのまま通信に回す。歓喜の声が覆った。同時にわたし達も交戦状態に入った。スーパーアンコウに突撃を繰り返していた影住が、一部外れてこちらへと向かってきたのだ。戦略が突然変わったみたいだった。スーパーアンコウはこの突然の変更に対して、後退しつつ対応していたらしい。影住に回り込まれることを恐れたわけだ。とはいえ目標を自動追尾するだけの敵はやはり的でしかない。一つずつ潰していけばなんとかなる、そう思った矢先だった。 『お姉ちゃん! どうしたの!』  急に頭の中に流れ込んでいた戦いの記録、そして推測。次にわたしが意識を飛ばしたのは、西住研究所だった。返答はない。 「やだ……うそ……」  遂に西住研究所もカーボン化された、ということか。その影響を、お姉ちゃん達も受けたのだろう。戦闘を継続できなくなったのか、それとも彼女たちもカーボンになったのか。 「欠住が、来る」

2 17/07/22(土)10:29:14 No.441281660

 最後に見えたのは、欠住の乗る戦車の側に、新しい影住が現れた映像だった。砲座から覗いた小さな姿だったけれど間違いはない。 『ベタ住どうしたの?』  if住が通信してくる。わたしは応えた。スーパーアンコウ側からもザワッと驚きの声が満ちる。 『そうか、お姉ちゃんでも敵わなかったか』  闇住が嘆息した。 『時間切れは偶然じゃない。欠住も狙っていたことだろう』  あああああ、どうすればいいのよう! 『偽住! どうする?』 『さしあたってここの影住はもう少しだ。これを倒さないとね。  おそらく欠住は手勢を率いてこっちに来る』  そうだ! どうしよう。  お姉ちゃんから飛んできた情報で、欠住の戦いぶりを見ていた。初めて彼女と会った、あの体育館の渡り廊下。その時に見た目と同じ目をしていた。 「大丈夫ですか西住殿」  秋山さんが何かを手渡してきた。なにこれ? 「飴ちゃんです。レモン味が苦手でなければいいんですが。考えるには甘い物ですよ」

3 17/07/22(土)10:29:31 No.441281697

「秋山さん、残ってたらあたしにもくれ。さっきから口が渇いて仕方ねえ」  華が砲座を覗きながら言った。その後砲撃! 実際に華の口に飴を運んだのはさおりんだった。 「はい、キャラメル。一粒300メートル」 「ああ……あいあふぉ」 「さおりぃ。喉が渇く。飲み物はないか」 「あ、麻子、ちょっと待ってね。後ろのダンボール箱に水あったはず。……でもみぽりん、そろそろみんなもたないよ」  ぬるいペットボトルを皆に渡しつつさおりんが言った。そうだ。欠住の前に、皆に休憩をとってもらわないと。  さおりんに、皆の状態を確認して貰いつつわたしはレモンの飴を舐める。  ふわ! あまずっぱーい! 「っていうか、これほんとすっぱい!」  わたしの声に皆が笑った。 『こちらレオポン。外れてきた影住はもうちょっとでやり終えるよー』 『カバさんチームはそろそろ休憩欲しいどーぞ』 『アヒルさん無事です!』 『一年……ウサギさんチーム、休憩取りつつそっち向かってます。かりなちゃん頑張ってます』

4 17/07/22(土)10:29:46 No.441281724

『カモさん、もう一人の西住さんと再合流しました!』 『アリクイ、なんとか踏ん張ってるニャー』 『生徒会も無事だよ。西住さん、どうする?』 『作戦会議ね』  if住が通信してきた。 『ベタ住。お姉ちゃんの戦いの記録をみんなに送って。わたしも、エリカが無事なのか見たい』  圧倒的な戦闘能力に、皆は返す言葉もなかった。 「白旗があがれば、戦車は動かなくなる。そうすればさすがの欠住も諦めざるを得ないだろう」  闇住が言った。 「それにしても軍神と呼ばれるだけのことはあるな――」 「……スーパーアンコウの砲は効かないかもしれない」  鬱住が懸念を示す。 「あれは対影住用だ。あのⅣ号は別もの。わたし達の攻撃を恐れないから、先にお姉ちゃんを倒したと言える」 「出来る限りのことをするしかないな」

5 17/07/22(土)10:30:01 No.441281756

 エルヴィンさんが言った。カエサルさんが頷く。 「我々もその為の捨て石になるつもりだ」  皆が再合流する頃に、影住の軍団は一掃されていた。ただこちらも疲労が溜まっている。特に大洗メンバーはそれが顕著だ。ESPAとの交信は知識や情報を共有することは出来るものの、肉体は本来の肉体の能力以上を出せない。身体は情報を受けて動いても、戦車戦を戦い抜いた記憶を肉体が持っているわけじゃないからついていかないのだ。 「集中力途切れるとダメね」  園先輩が水を飲みながら言う。 「運転難しい。手がヒリヒリする」  パゾミさんの手にゴモヨさんが膏薬を塗る。 「正直、これ以上戦って勝てる気がしない」 「学校まで戻って、籠城はどうだろう」  桃様が提案して柚子様が首を横に振る。 「さっきみたいに、欠住さんが潜んでいて、影住を差し向けられたら大変だよ!」 「バレー部は斥候だね」  キャプテンが胸を張った。佐々木さんは手を差し出す。 「いざとなったらアタック決めて」 「ファイト一発サインはV!」

6 17/07/22(土)10:30:18 No.441281791

「足を使ってかく乱突撃」  近藤さんと河西さんがその上に手を乗せる。 「僕らはまだやれるよニャー」  ねこにゃーさんにぴよたんさんが苦笑する。 「向こうのウチらが、どうしてあんな力が強いのかよくわかったぴよ」 「オッス! ……でもあのレバー固いナリよ」  きっと戦車に慣れていないのはももがーさんだけではないはずだ。 「言われてみれば結構へとへとかも」  山郷ちゃんが桂利奈ちゃんの肩を揉みながら言った。 「こんなんなら毎日一回戦車乗っときたかったよ~」 「どーやって乗るのよ」  大野ちゃんが桂利奈ちゃんの頭をくしゃくしゃっとする。宇津木ちゃんはかわいいため息をついた。 「わたしたちができることって、いったいなんだろう」 「仕掛けようにも、身を隠せる場所も殆どない」

7 17/07/22(土)10:30:59 No.441281886

「……」  うなだれる澤さんに、丸山さんがそっと手を置いた。 「大丈夫。想いは伝わる」 「左衛門佐、どうしたぜよ? ずっと片目閉じてる。砲の撃ちすぎで目を痛めたか?」  おりょうさんが心配そうに顔を見つめる。さっきから黙っていた左衛門佐さんが顔を真っ赤にして手を振った。 「いや! その、ちょっと目を休ませてるだけ。なんでもない! なんでもないから!」  わいわい騒いでいる皆が、ちょっと嬉しい。  こうやってみんなと一緒にいられるから、まだ指揮が落ちずに居られるんだ。あと、影住相手に戦い抜いたこともきっと自信になっているんだろう。  でも踏ん張れてもここで終わりだ。 「それにしてもどうして校舎からはあんな中途半端な攻撃しかしてこなかったんでしょうね」  秋山さんが腕組みをして言った。  え? 中途半端? 校舎からぞろぞろ出てきたじゃない。 「いや、ほら、生徒会室行ったじゃないですか、一緒に。そのときにゅるんって影住出てきておっかけっこしたでしょ?」  あったあった。そういえばあのときナポリンが助けに来てくれたんだっけ。

8 17/07/22(土)10:31:34 No.441281969

「あんなふうに、廊下中に戦車が出てきたら今回もっとピンチだったと思うんですよね」 「どういうことだよ優華里」  華がぎゅっと抱き寄せると、秋山さんは大人しく膝枕される。 「あのね。一階、二階、三階って全部に戦車並べておけばよかったんだよ。で、校舎そのものを砦にしちゃうの。  影住は階段を上る必要はないでしょ? 欠住殿が設置すればいいだけなんだから。私ならそうするな」 「ああ。そうしたら確かにこっちから攻撃しても、校舎が邪魔で倒しづらかったかもな」 「それより、欠住さんは一人で戦ってるのかな」  さおりんが言った。 「もし一人で戦ってるなら、かわいそうだよ」 「かわいそうって言ってもな。世界を滅ぼそうとしてる奴についてく人がいるか」  こちらも、膝枕されている麻子がうとうとしながら言った。ああ、この膝枕が羨ましくて華は秋山さん膝枕したのかな。  ふと疑問が湧いた。 「ねえ、みんな。わたしがすごい悪いことしようとしてたら、みんなどうする?」 「「「「止める」」」」  きれいにはもった。それじゃあさあ。

9 17/07/22(土)10:32:00 No.441282024

「わたしが、世界の危機に、すごい危険で面倒くさい作戦立てたら止める?」  今度は揃って首を横に振った。 「成功するとかしないとかじゃなくて、やります!」 「友達なら、やるに決まってんじゃねえか」 「それに世界の危機が迫ってるんでしょ? みんなと一緒なら、戦うよ」 「西住さんには借りが出来たからな」  声にならない声が出た。  思わず立ち上がった。 「わかった!」 「え?」 「わかんないけど、わかった!!」  わたしは駆けだした。目当ての人物はすぐ見つかった。うざ住だ。栄養ドリンク飲んでいた彼女はわたしを見ると、ぎくっとした顔になる。 「ねえうざ住。知りたいことが二つあるんだけど教えて」 「えー? なにかなあ」  目を逸らす彼女に、もう一歩わたしは詰め寄った。

10 17/07/22(土)10:32:16 No.441282062

「今回助けに来てくれた人たち、会長と同期した角谷杏。あの人は闇住の世界の角谷杏だったけど、他の人たちは誰の世界の人たちなの?  オリジナルの世界の人たちじゃないよね。もしそうなら会長だけ闇住の会長なわけないもんね」 「いやー……それは、よくわからないなー。だって、その現場見てないもの」  いつもの余裕の表情が崩れて、汗をかいている。わたしはもう一つ突っ込んだ。 「今、わたしのチームは、みんなオリジナルと同期してるんだけど。どうしてわたしたちだけオリジナルなわけ?」 「それはその……オリジナルをオリジナルのあんこうチームも助けたいと思ってたんじゃないかなーって……」 「今回集まった人たちは、欠住を助けたいの? 倒したいの?」 「もう質問三つ目だよー! まあいいや……止めたいんじゃないかな。欠住を――」  そうか。  これで判った。  止めたい人、手助けしたい人。 「念の為聞くけど、うざ住の世界の人じゃないよね」 「うちの世界の人たちはわたしのことなんて大嫌いだよ! 手助けが欲しいって言ったらみんな笑うよ。  まあ、本気になって助けてくれるのは、犬くらいかな」 「犬と戦車乗ってるの?!」

11 17/07/22(土)10:32:34 No.441282100

 驚いて聞き返すと、こっくりうざ住が頷く。 「普段は犬と二人で旅をしているんだ」 「なるほどわかった」  わたしが背を向けて、後ろからほっとした気配が伝わってくる。だからくるっと振り向いた。 「ごめん。あと一つだけ聞きたいことある」 「なに」 「いま、CV33だっけ?  その戦車の中に誰が乗ってるの?」  口をぱくぱくさせたあと、うざ住はそっと耳元で囁いた。  ゲンコツ! 「ったー! ベタ住乱暴だよ!」  頭上から拳を受けて抗議するベタ住に構わず今度こそわたしは背を向けた。それから手を大きく振って呼びかける。 「西住S集合! 作戦会議! 作戦会議!」

12 17/07/22(土)10:32:51 No.441282147

「なるほど」 「へえ……やるわねベタ住」 「……確率は半々だな」 「やるっきゃないでしょ!」 「でもベタ住、どうする?」  偽住が小声で言った。 「おまえ一人じゃキツイだろ」 「だからあんたもやるのよ」  わたしは命令した。 「偽住は西住みほの情報を伝達出来るでしょ」  今度は五人が揃って、感心した顔をした。偽住に関してはいやいやいやと手を振ったけど。 「そんなの誰もやったことない! っていうか私は出来るかもしれないけど、ベタ住には無理だろ!」 「それに賭けないといけないかもよ」  口を挟んだのは、うざ住だ。皆の顔を見て、言った。 「そこまでやればわたしは自分のジョーカーを切れる。一か八かでもやるしかない。それに。

13 17/07/22(土)10:33:07 No.441282190

 もう欠住が近づいてくる」  ハッと顔を上げる。ドーン、と音がした。欠住が撃った、襲撃の合図。皆が急いで戦車に乗り込む。そこにわたしはさっき自分が立案した作戦を伝達する。伝わる動揺と固い決意の想いがわたしの心を支える。  もうこれしかないんだ!  わたしは信じる。みんなを。西住Sを。そして欠住を――。  みんなの耳元に、どこからか音楽が聞こえてくる。静かで、心強い音楽。きっとこれは。  (大洗女子学園チーム前進します! :msc)  心が一つになっているのを感じる。  深呼吸してわたしは告げた。 「それでは皆さん。  ベタベタ作戦開始します!  パンツァー、フォー!」

14 17/07/22(土)10:39:14 No.441283079

ついに欠住との直接対決! 軍神って呼ばれているだけのことはあって、強烈な攻撃を叩きつけてくる彼女に対してわたしたちは捨て身の作戦に出る 「ほんとうにだいじょうぶ?」 大丈夫だって偽住 「だって危ないじゃない。わかるでしょ?」 ほんと大丈夫だって、わたし走り幅跳び得意だし! 「それよりみんなわたしをしんぱいしてよー!」 あ、陽住 忘れてた! 次回 ベタベタ作戦です! 明日もまたよろしくね

15 17/07/22(土)11:29:08 No.441289738

きてたのか!更新ペースすごいな!

16 17/07/22(土)11:31:40 No.441290119

名前間違いいま発見 >頭上から拳を受けて抗議するベタ住に構わず今度こそわたしは背を向けた。それから手を大きく振って呼びかける。>頭上から拳を受けて抗議するうざ住に構わず今度こそわたしは背を向けた。それから手を大きく振って呼びかける。 だよ! 直さないとな……

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