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  • 西住S... のスレッド詳細

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    17/07/19(水)08:08:21 No.440656734

    西住S! 初めての方は初めまして久しぶりの方はお久しぶりです! 今週もやってきました西住S 前回までのあらすじ! いろんな世界からやってきた西住みほ 変態サド闇住、エリカと大洗に行ったif住、黒森峰に残った鬱住、アンツィオに入学したナポリン、そして西住みほを騙り大洗に入学した偽住 全ての西住みほの根本、オリジナルの西住みほは影住に捉えられて、敵の軍団を率いるのは戦いで腕を失った欠住だった わたしは古今東西住(アカシックレコード住)から予言を受け、他の西住みほから距離を置かれるうざ住の力も借りて、新たなる登場人物陽住と共に最後の戦いに挑むのだった…… ってこれ何人西住いるの! わたしたちこれからどうなっちゃうの!? su1943312.txt

    1 17/07/19(水)08:09:02 No.440656778

     Ⅳ号に乗って一番はじめに驚いたのは、後ろの八畳間が無いってことだ。 「うわ、うそ、狭い!」  当たり前か。これが戦車の本当の狭さだ。 「みほ、運転は任せとけ」  華が運転席に座る。 「運転の仕方はオリジナルも知ってるし、あたしは原チャも乗ったことある!」 「あの……じゃあ砲手はわたしがやります」  秋山さんが名乗り出る。麻子は大きく欠伸をした。 「すまない。ちょっと眠い。ほんの少しでいいから寝かせてくれ」 「ちょっと麻子、大丈夫? どんくらい眠いの」 「十五分くらい」  狭いながらも邪魔にならない隅で麻子はもう寝息を立て始めた。まったく、と呟いてさおりんは言う。 「じゃあわたし、車長やるね」 「え?」 「みぽりんはみんなと連絡取り合って、作戦を指示して。たまに装填してくれたらいいから」

    2 17/07/19(水)08:09:30 No.440656796

    「そんな! 危ないよ」  さおりんは首を横に振る。 「だめ! この作戦はみぽりんが要なんだから!」  戦車から上半身を出して、さおりんが遠くを見つめた。小さく叫ぶ。 「始まった!」 『ベタ住! 交戦開始。おねえちゃん部隊は右舷、スーパーアンコウは左舷位置にて敵を狙い撃ちにしている状態』 「お姉ちゃん!」 『こちらは大丈夫だ。わたしたちが囮になり、Ⅳ号がカバーしてくれる』 「無理しないでね」  頭の中に響いたお姉ちゃんの声とは別に、通信が入った。 『こちらスーパーアンコウ。ベタ住へ。現在作戦進行中』 「if住!」 『まずティーガーから潰そうって手みたい。多分疲労を狙ってるんだと思う。  さしあたってまだ大丈夫』 「了解! 皆さん、そのまま待機です。操縦、捜査などチェックしてください」

    3 17/07/19(水)08:09:53 No.440656819

     スムースに指示出来るのは、きっとわたしにも西住Sの能力が影響しているからだろう。 「……それにしてもおかしいなあ。あんな広い場所あったかなあ」  さおりんが双眼鏡を見ながらぼやく。 「なんか目印になるような山とかも随分削れたような気がする。あと、海はどこいったんだろう……」  大洗は海水浴場も有名な観光地だ。町も海沿いにあり、これだけ視界が広くなれば見るのも簡単なはず。あっ、とさおりんが声を出した。 「みぽりん! 海が全部干上がってるよ!」 「空っぽ?」 「うん。そうとしか考えられない。干上がった海の彼方から来てるんだ!」  目を閉じて、他の車長の目から世界を見る。遠くから聞こえる撃ち合いの音。 「ね、みぽりん」  さおりんが囁いた。 「わたしたちは、もっと前に出よう」 「どういうこと?」  わたしが尋ねると、さおりんが顔をしかめる。 「だって偽住さんたちや、まほさんたち、ここの世界の人たちじゃない人たちが最前線で殴り合ってるんだよ? わたしたちも戦わないと」

    4 17/07/19(水)08:10:15 No.440656855

    「あたしらがタイマン張って仏血斬っていかねえと、他の連中もついて来づらいだろうしな!」  華が鼻息荒く言った。 「なんだかワクワクしますね」  秋山さんの弾んだ声。弾ける音が強くなってくる。突然強い衝撃! 「うわっ!」  さおりんが尻もちをついた。 「大丈夫!?」 「遠くから狙ってきてるみたい。ちょっと……怖いね」  さおりんの足ががくがく震えてる。続いて、ドン! ドン! と足元で弾がさく裂する。え? もうギリギリ射程距離? 点呼代わりの通信を送った。 「みんな、大丈夫?」 『ヤー!』  元気のいい声がして、沈黙が襲った。 『いや、その、ドイツ語で了解って意味で……』  震え声、エルヴィン。 『生徒会了解』

    5 17/07/19(水)08:10:37 No.440656884

    『一年生チーム了解』 『バレーチームオッケーです!』 『かもさんおっけーよ』 『レオポンりょーかい』 『アリクイさんもオッケーだニャ!』  ん? 何故動物の名前? 『今乗ってる戦車の側面に、新体操するアリクイの絵が描いてあったからにゃー』 『うちはレオポンだね』 『やだ。カモが描いてあったからてっきりそれがチームの名前かと思った』  ほっとする。みんな無事だ。  偽住に意識を向ける。眼下に広がる大軍。ただ統率は取れていない。のろのろと進んで行き、スーパーアンコウの砲で一掃される。すごい! 一体ずつどころじゃなくて、一斉になぎ払ってる。 「あれ? あんなに能力高かったっけ、スーパーアンコウの砲」 『これはD型改だもの。シュルツェンついてたの気づかなかった?』  if住が言った。

    6 17/07/19(水)08:11:12 No.440656921

    『なんにしてもこっちは大丈夫。もしかすると二輌で片付けられるかもね、なんか拍子抜け』 『軍団単位で来てるってのに、そんな簡単に終わるもんか』  闇住が言う。 『ただベタ住たちは欠住とやり合うことになったときの援護だ。もうしばらく待って』 『敵です!』  キャプテンの声が聞こえた。 『あっち! 多分、神社のあった方向』 「え?」  さおりんが驚いて左を見た。 「ほんとだ! みぽりん! 山の方。ぼちぼちいる。  ごめん嘘。数え切れないほどいるよぉ!」  慌ててさおりんの脇から顔を覗かせると、徐々に壊れつつある山からもろもろと影住が湧き出ているのが見える。……いや、あれは潜んでいたんだろう。 「他の方向……しまった! 学校の裏は!」  いや、いきなりそこに敵が湧いてくるのは無理がある。ただ欠住がいたら――。 「おかしいな」

    7 17/07/19(水)08:11:35 No.440656946

     そう。欠住は影住を幾らでも呼び出せるはず。もし勝ちを確定させるなら、今の段階ですでに校舎の裏に忍び込んで、呼び出した影住に戦車を襲わせているはずだ。わたしは通信機で指示を出す。 「キャプテンは、校舎周辺を回って偵察して下さい。  山から向かってくる戦車は迎撃しましょう。レオポンさん、アリクイさん、歴情さん向かって下さい」 『西住さん。俺たちはカバさんって呼んで貰っていい?』  カエサルさんの声が聞こえた。 『俺たちの戦車にはプリティなカバさん描いてあったんだよね。カバさんの方が判りやすいでしょ』 『じゃあ私達はアヒルさんで!』  キャプテンが言った。一年生が五人声を揃えた。 『『『『『ウサギさんがいいです!』』』』』 『じゃあうちは、カメさんかな』  会長がのんびりした声を出した。 『山からやってくる敵は、戦車三台でいいの?』 「斥候としてお願いします。もし敵わなさそうなら逃げて下さい。出来れば校舎を砦として戦いたいですけど……。アヒルさん。校舎周辺に影住の戦車があった場合はすぐ連絡。逃げて下さい」

    8 17/07/19(水)08:11:45 No.440656960

    すげー久しぶり!

    9 17/07/19(水)08:11:54 No.440656972

    『了解。西住隊長』  はっとした。  隊長? 誰? わたし! 『今、大洗学園戦車隊の指揮を執るのは西住さんだよ。だから君が隊長だ』 「やったじゃないですか! 西住殿! 会長のお墨付きですよ!」  秋山さんが元気づけるようにわたしの背中を叩いた。なんだか照れ恥ずかしいよ……。 「ありがと」  その瞬間、また、衝撃。遠距離から、わたしたちへの攻撃が有効になるのを計っているのかもしれない。  さおりんが引っ込めた頭をもう一度出す。 「さおりん! 危ないよ!」  わたしが悲鳴に近い声を出すと、さおりんが笑った。 「みぽりんが怪我するより、ずっといいよ」  まず、キャプテン、アヒルさんチームが動き出した。 『戦車前進!』  カバさん、アリクイさん、レオポンさんが続いて進む。

    10 17/07/19(水)08:12:18 No.440656994

     まずエルヴィンさんに意識を合わせる。敵戦車の位置はまだ遠く感じる。けれど三輌は止まって、一斉に発砲した。幾つか消え去る影住。 『やった! わ!』  相手も止まっての一斉砲火を始めた。どうも影住は数こそ多いものの、戦車砲が当たればそれだけで崩れさるようだ。 『西住さん。結構攻撃力高いよ!』  ナカジマさんの報告がある。同時にキャプテンからも無線が入った。 『西住さん。校舎周りは誰もいないよ。多分大丈夫』 「どうしようか……」  わたしが悩んでいると『攪乱は任せて』と会長から連絡があった。 『うちのチームが別働隊で、あっちの側面を突く。そうすれば少し楽になるでしょ』 「あ、ありがとうございます!」 『こっちも会長に続くよ! クイックで行きます!』 「それじゃあ校舎後方警戒はカモさんにお願いします。うさぎさんはカバさんたちの援護に回って下さい」  園先輩が返事する。 『わかったわ。怪しい影が見えたら、逃げてきていいのね?』 「はい!」

    11 17/07/19(水)08:12:49 No.440657030

    『こちらも了解です』  うさぎさんチームも外に向かって走り出す。これで校舎はわたしたちだけ。 「秋山さん、見当つけて、こっちからもカバさんの応援して。エルヴィンさん達から見た相手の様子が、ちょうどこんな感じ」  頭の中に流れ込んでくる映像を、秋山さんに送る。 「了解です! お任せ下さい!」  初めての戦車砲が轟く! 「……っげえ音だな……あたしも撃ってみてえ!」  興奮するの華の肩をさおりんがゲシゲシ蹴った。 「あんたは今は運転手でしょ」 「いたたたた、お手柔らかに……」  その途端、違和感を覚えた。 「さおりん! 校舎の中! 気をつけて!」 「え?」  途端、激しい衝撃に車体が揺れた。走り出すⅣ号。華が避ける為に運転を始めたからだ。 「おいおい、どこからだよ……」

    12 17/07/19(水)08:13:47 No.440657108

    「校舎だよ! 校舎の中!」  わたしが言うと同時に、昇降口をぶっ壊して影住の戦車が現れた。あの中に欠住がいる! 「くそ! えげつねえ!」  ドン! とまた戦車砲が火を吹いた。続いて這い出て来た二輌目だ。適当な狙いだから当たらない。でも今こっちに助けは呼べない!  さおりんの視界から周囲を見る。さおりんは歯を食いしばって校舎を見ている。一、二、三輌目、その三輌目に欠住が座っていた。 「秋山さん! 撃って!」 「弾が入ってません!」 「ご、ごめん!」  わたしは急いで床から弾を持ち上げる。よっと、これ重いな。セッティング終えたところで、強い衝撃! 「ぐわっ!」  華がのけぞる。真っ正面からいったか! 「華! 大丈夫?」  返事がない。やばい。 『大丈夫だよ。まだ白旗は出ていないよ』  欠住の声が頭に響いた。

    13 17/07/19(水)08:14:40 No.440657177

    「欠住! こんなところでなにやってるの!」 『強襲だよ。先回りしておいたんだ。てっきり籠城戦をするだろうと思ってたんだけど、みんなアグレッシブなんだね』  秋山さんが影住に向けて撃った。一輌目に的中し、先頭が炭になる。けれど欠住は動じない 『慣れてないうちにやらせてもらうよ』  途端、校舎の壁からにゅるにゅると影住が零れだしてきた。そうだ、こいつらは物理的制約がないんだ! 「おーっと、ちょとまてちょとまておねーさーん」  来た!  空間を飛び越えてやってきたのは、黄色いCV33だ。すかさず二輌目の影住と、三輌目に弾を浴びせる。早い。中から顔を出したのは、うざ住だった。  欠住は自分が腰掛けた戦車が炭になっていってもまるで気にせず地面に降り立った。中身の入っていない袖がふわりとたなびいた。 「おっと。うざ住が来たならわたしはバイバイですね」  校舎の中へと入っていった欠住をうざ住は追わなかった。いや、追えなかった。 「ちょっと待って!」  声をかけたうざ住に、校舎から這い出て来た戦車が狙いをつける。

    14 17/07/19(水)08:14:58 No.440657202

     秋山さんが昏倒した華を運転席から離していた。 「すいません五十鈴さん。すぐに戦車を動かさないと……このままじゃ……」 「なら、わたしが行こう」  麻子がゆっくりと伸びをした。 「ちょっと麻子! あんた運転なんか出来たの?」  さおりんが声をかけると、麻子はにやりと笑った。 「わたしが出来なくても、わたしが出来る。華さんだって出来ただろ」 「じゃあ華は少し休んで……」 「砲手やりたい!」  華ががばっと起き上がる。いたた、とそのまま頭を抱える華にわたしとさおりんが「大丈夫」と声をかけた。 「もー、華、無茶しないでよ」 「大丈夫。ちょっと不意をつかれただけ。コブ、出来てない?」 「ここ? 平気?」  さおりんが華の頭を触っているあいだに、わたしは砲塔から顔を覗かせた。 「ちょっとみぽりん! 危ない!」

    15 17/07/19(水)08:15:27 No.440657240

    「さおりんごめん! わたしの代わりに通信して!」 「え?」  目をぱちくりさせるさおりんにわたしは頼み込む。 「考えてみれば通信は全部の戦車に入って大丈夫。  で、わたしはESPAの容量で他の人の視界ジャックするから、役割担当分けた方が都合がいい。  わたしが作戦立てる。さおりんは伝えて。  秋山さん、戦車の装填、頼める?」 「アイアイサー!」  元気よく秋山さんが応えた。 「装填手の秋山です!」 「おーいベタ住! そっちは整ったか?」  うざ住が横に戦車をつけてくる。 「ごめんうざ住。ちょっと戸惑った」 「無理もない。初陣だから」  校舎から出てきた影住は、全部うざ住が倒している。あ、なんか優しい言葉、と思ったら。

    16 17/07/19(水)08:15:44 No.440657267

    「わたしみたいな天才でもなきゃこんなもんだよ」  と威張られた、おのれ。 「どうだろう、間抜けで使えないわたしに教えてうざ住。あの大軍相手にスーパーアンコウ奮闘してるっぽいけど、助けに行った方がいいよね」 「向こうは向こうで危なくなったらちゃんとこっちを呼ぶさ」 「お姉ちゃんズのとこは?」 「あそこは陽住がいるから、とりあえずは大丈夫。  お姉ちゃんのティーガーに敵が集まっているのはあの子のラッキーのおかげだから。  ただ、欠住がいるとヤバい。あいつは下手すりゃオリジナル超える」 「あれ? うざ住は?」  からかいぎみに言ったわたしに、うざ住はフン、と鼻で笑った。 「わたしは余裕で無敵なの。  あいつは……命削って強いの」 「なるほど」 「殺す気でやらないと、勝てない」  いつになくうざ住は真剣だ。いつもの軽口が舌の先から出てこないみたい。思わず口元がほころぶ。

    17 17/07/19(水)08:16:07 No.440657297

    「優しいんだね、うざ住」 「は?」 「欠住殺したくないんでしょ? でも負けるわけにはいかないしね」 「ば! な、なんでわたしが、そんな!」  顔を真っ赤にして手をバタバタ振る。  隠すことないのに。でも苦虫を噛み潰したような顔をするうざ住にこれ以上つっこむわけにはいかない。見つめているとうざ住が眉間に皺を寄せた。 「……なににやにやしてるんだよ」 「別に。  ただ、どうして欠住はこの世界を壊したい、なんて思ったのかなって」 「……直接、聞いてみればいいだろ」  ぶっきらぼうにうざ住は言った。 「わたしにだって実は、手はあるんだ。  でもまだ効果的な手段じゃない。確証が持てない以上、手が出せない」 「直接聞いてみるって?」  聞き返したわたしに、ったく凡人は……と呟く。

    18 17/07/19(水)08:16:29 No.440657322

    「欠住も、西住みほなんだよ!」  ああ! ようやくわかった。  つまり直接、ESPで情報交換しあえってことね! 「あったまいー! さすがウルトラスーパージーザス西住!」 「え?」 「さっき自分で言ってたじゃない。うざ住最高よ!」 「ふ……フン! わたしはちゃちゃっと新兵の様子見てくるから、そっちは警戒しつつ欠住に聞いてみろよ!  あと、通信は密にしとけよ!」  すとん、と戦車のなかに身を沈めると、うざ住の選手はすごい速度で走り抜けていった。きっとあのまま真っ正面からさっきの部隊を沈めるに違いない。 「さおりん、さっきの聞いてた?」  わたしはなかに声をかける。 「わたしは外を警戒しつつ欠住に連絡取る。  さおりんは皆の安否と状況確認お願い!」

    19 17/07/19(水)08:17:14 No.440657366

    今日はここまで! 明日は戦いの前半終わらせたいな! 読んでくれてありがとう! またね!

    20 17/07/19(水)09:26:36 No.440662338

    楽しみに待ってるよ

    21 17/07/19(水)09:28:41 No.440662518

    待ってた!