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17/07/12(水)09:10:59 西住S... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1499818259042.jpg 17/07/12(水)09:10:59 No.439170785

西住S! 初めての人は初めまして! 久しぶりの方はお久しぶりです! 前回までのあらすじ! わたし西住みほは大洗に住んでいる高校二年生 ある日ピンクの戦車に乗った六人のわたし、西住Sがやってきた 元の世界に帰れなくなった彼女たちを元の世界に戻すべく仲間を集めてきたんだけどついに大変なことが起こってしまった! 世界中が新生カーボンに飲まれてしまって、みんななんとか学校に集まったけど 果たしてこれからどうなっちゃうの!?

1 17/07/12(水)09:12:26 No.439170906

16 「陽住じゃないか!」  偽住が声をかけると、タイガーワンから“わたし”が降りてくる。 「みんなひっさしぶり! うざ住にきんきゅうじたいっていわれて、かけつけたよ!」  あれ? 黒森峰の制服着てる。 「鬱住。陽住って、黒森峰に残ったの?」 「……あの子はお姉ちゃん大好きっ子で、お姉ちゃんと同じ服装してるだけ。普段は大洗の制服」  はあ、なるほど。 「妹たちの危機を、見逃すわけにはいかないからな」  砲塔上のお姉ちゃんがかっこいいことを言う。陽住がこそこそと近づいてきて、言った。 「ね。おねえちゃんかっこいいでしょ」 「あ、うん」 「やったー! おねえちゃんかっこいいってー!」

2 17/07/12(水)09:12:55 No.439170939

 ……ナポリンと同系列なのかな。と思ったらナポリンはなんだか不服そうだ。 「いいんだけどさぁ、別に。そんなお姉ちゃんよりも、ドゥーチェの方が絶対かっこいいって……」 「悪かったな」  あれ? またお姉ちゃんの声が聞こえる。ナポリンがぎょっとした。別のところからもう一人のお姉ちゃんが現れる。 「みほ。アンツィオ流もいいがもう少し落ち着いたらどうだ」  あ、これがナポリンのお姉ちゃんなんだ。当たり前だけど戦車に乗ってるお姉ちゃんとそっくりだ。  思わぬ人物の登場に、ナポリンがちょっと挙動不審になる。 「へ、へーんだ! わたしはもう西住流は捨てたんだから! これからはノリと勢いで行くんだもんね……。  でも、どうしてここに?」 「ティーガー動かすのに一人じゃ無理だからな。陽住のお姉さんに力を貸すことにした」  お姉ちゃんが二人――。 「あともう一人来ている」  お姉ちゃんが、三人!?  なんかもうこの段階でかなりの異常事態だよ! いやわたしが七人も八人もいるのも相当だけどさ。  でもわたしの予想は違った。

3 17/07/12(水)09:13:20 No.439170973

 現れたもう一人は。 「――みほ」 「え・り・か!」  if住がバネ仕掛けの人形みたいに飛び上がった。そのままひとっ飛びに跳ねて、がしっと抱きつく。 「えりか! 会いたかった! 会いたかった!」 「うん――私も会いたかった。みほに」  強烈なハグ。わたしの視線に気づいてif住は慌ててエリカから離れるとわたしに紹介する。 「しょ、紹介するよベタ住。  彼女は逸見エリカ」 「知ってる」 「あ、だ、だよね。  えっと――わたしの――その、いい人で」 「見れば判る」 「あ、だよねーあは、あははは」  普段は、いつも冷静さを保とうとする。わたしのなかで特にエリカに似てる部分が出てる“西住みほ”if住。

4 17/07/12(水)09:14:02 No.439171026

 もしかしてわたしも、心折れたエリカを支えてたら、こんなになってたんだろうか。  とりあえず判ったのは、好きな人が出来たとしてもあんまりはしゃがないようにしようってことだな、うん。  やれやれ、この調子だと、他にも誰か乗ってるのかな、と思ったら、誰かが戦車の陰から現れた。  あれは確か――。 「……隊長」  くるんと巻いている髪、おっとりした顔つき。間違いない。赤星さんだ!  声をかけられた鬱住がビクッとする。  その瞬間だった。赤星さんの拳が鬱住のみぞおちにたたき込まれた!  「どうしたんですそのしょぼくれた顔は、隊長」  鉄のような声を出す赤星さん。

5 17/07/12(水)09:14:27 No.439171061

「またぐずぐず悩んでるんですか?」  その瞬間、赤星さんが吹き飛んだ。  鬱住の拳がもろに顔に入ったのだ。 「武者震いだ!」  鬱住の声が響く。  あ、こ、これ、と、止めた方がいいんじゃないかな。っていうか。 「……ねえ、黒森峰ってみんなこんななの?」 「いや、ここまでじゃない。鬱住のは特別」  if住が苦笑した。  赤星さんは口元を拭って立ち上がる。 「……安心しましたよ隊長。まためそめそグジグジしていたらどうしようかと」 「……見損なうな小梅。わたしがこれから、大洗を守る! 全てを叩き潰せば立っていた者が勝ちだ!  やれるか小梅!」 「お任せ下さい!」  パシッと敬礼を決めた後、赤星さんがニコッと微笑んでわたしのところに来て、握手を求める。

6 17/07/12(水)09:14:45 No.439171086

「初めまして。あなたがここのみほさんね。  うちの隊長、うじうじしてませんでした?」 「あ、いえ、とても頼もしかったです。バレーボールのときとか……」 「撃つのは得意ですからね、隊長は」  固い握手をほどいて赤星さんが向こうに目をやる。 「ほら、後続も到着しましたよ。  これがあなたたちの、最強の助っ人です」  先頭を走っていたのは、平たくて鼻の長い戦車だった。闇住が説明する。 「あれがヘッツァーだね。そんで隣がM3中戦車リー。続いてルノーB1bis。  ああ、ほら会長出てきたよ……あ!」  突然闇住が素っ頓狂な声を出した。そのまま走り出す。ヘッツァーから降りてきた、ツインテールの少女を見た瞬間だ。あの人、なんか犬の首輪みたいなのつけてる。 「にっしずっみちゃ――ん!」  びょんって凄いジャンプした! あれ? 小学生、くらいの子だよね? すごい小さい。でもジャンプして闇住に抱きついたら、突然すごいキスした。 「あ、な、な!」

7 17/07/12(水)09:15:11 No.439171119

「うふぅ……さみしかったよぉ、にしずみちゃん。んふぅ……」 「まったく、あんずったら。はぁ……みんなの見てる前でこんなにしちゃって……」  犬みたいに顔を舐め始める少女と闇住に、わたしは顔が赤くなる。ヘッツァーから続いて降りてくるのは、片眼鏡を掛けた少女と柚子様そっくりの人。 「まったく。会長はしょうがないなぁ」 「あ、も、もしかして、桃様!」 「え? あ? わたし?」  声を掛けられた少女は口をパクパクさせた。別の世界の柚子様が微笑する。 「あら桃ちゃん、ここでは桃様って呼ばれてるの?」 「いや、まあ、うん。やはり生徒会の宣伝係としてここではより尊敬されているということじゃないかな。はっはっは」  頬を染めて笑う彼女は、確かに身長が足りないけれど桃様によく似ている。 「失礼。君が異世界の僕かな」  桃様がやってきて、そっと手を差し出した。 「桃さん、と呼んでいいかな。こちらのことは河嶋と呼んで貰えば結構だ」 「え? あ、は、はじめましてかわしまももです」 「よろしく。小山柚子です」

8 17/07/12(水)09:15:30 No.439171141

「あ、こちらこそ。よろしくお願いします」  にっこり、生徒会同士の挨拶が済む。  その様子を上の空で眺めていたのは、角谷会長だ。 「あ、あの――」  声を掛けようとして、もじもじしてしまう。それはこの小さな少女が闇住とイチャイチャチュッチュしているからだ。 「ちょっと闇住!」  仕方なくわたしが声を掛けると、闇住はキスを止めて少女の鼻をねじり上げた。 「ほら、会長がこんなだから、他の人に迷惑がかかっちゃうじゃないですか」 「いたたた、ごめんなはい、ごめんなはい」 「ちょ、ちょっと酷いこと止めてあげてよ!」 「あ、ごめん。他の人にはいつもは見せてないんだけど」  止めるわたしに気持ちよい笑顔を向ける闇住。おそらく向こうの世界の角谷会長が、闇住に絡みつけていた手をほどいて、ごめんごめんと笑った。 「いやー、ちょっと感極まってさ。うちの西住ちゃんは、多かれ少なかれチームメンバーみんなと関係するような西住ちゃんだからさ、闇が深いのよ」  あっけらかんと言ってのけて、わたしの耳に囁く。 「こんなふうに、虐めてくれるのは、わたしだけだけど」

9 17/07/12(水)09:16:05 No.439171184

 うーん、病んでる。 「いいんだよ。今のわたしはわたしで自然体なんだ。  お、君がこの世界のわたしだね! いやー、背ぇ高いねー。べっぴんさんだ。  西住ちゃん、手、出さなかったの?」  問われて闇住は肩をすくめる。 「そうですね。虐め甲斐はありそうでしたけど、そこまで興味も湧きませんでした」  さらっと失礼なことを言う闇住に、一発くれてやろうと一歩踏み出す。気配を察したのか、ツインテールの少女がわたしを見た。 「ごめん。ちょーっと待ってもらえるかな」  その口調にわたしは動けなくなる。逆らえない凄味があった。さっきまでのバカップルっぷりが消え失せて、油断ならない笑顔になっている。 「なんでそんなビクビクしてるのさ」 「え?」 「なんか自分には価値が無いって顔してる。  どして?」  会長の顔が歪む。それから絞り出すような声が出た。 「わたしは、桃や柚子に頼りっきりで、自分では何も、出来ない」

10 17/07/12(水)09:16:44 No.439171237

「そんなんわたしだってそうじゃん。  な? かーしま、こやま」  突然話を振られて、向こうの世界の桃様と柚子様がぽかんとした。 「わたしはこの二人にぜーんぶ頑張って貰ってるんだ。わたしは頑張らない。  そっちの角谷杏もそうだろ?」  顎をしゃくられて、二人は笑った。 「まあ、そうですね」 「でも会長が側にいてくれるだけで、私達は安心できますから」 「ね? 人徳人徳」  パンパン、っと女の子は会長の背中を叩いた。それから付け加える。 「もしかしたらわたしのほうが、ちょこーっと出来るかもしんない。でもそれは個体差だよ。  そもそもこっちのかーしまとこやまの方が、お前達より出来る顔してるしな」 「ちょっと会長、ひどい!」 「え? そ、そんな私ダメですか、会長!」  抗議の声に、冗談冗談、と小さな角谷杏は笑いかけた。そのまま二人をハグする。

11 17/07/12(水)09:17:00 No.439171266

「きっと君たちの角谷杏もさ、すごーく頼ってると思うよ。かーしまとこやまがいてくれたから、わたしはやってこれたんだ。  ありがとう」 「かいちょぉ~~~~」  泣き出したのは向こうの桃様だ。  こっちの桃様は目を細めて会長の側に立つ。 「あっちの私は随分と表情豊かですね」 「――河嶋」 「ああやって、泣きつくことが出来たら、あなたももうちょっと自信が持てたんでしょうかね」  何も言わないで会長は桃様を引き寄せる。ついで柚子様も。 「……桃、柚子……ずっとわたしの側にいてくれ……。頼む……」 「当たり前じゃないですか」  柚子様がそっと会長の頭を撫でた。 「卒業しても、あなたのお父様に離れろと言われても、私達は」  会長が、顔を上げた。  今まで見たことの無い厳しい表情だ。癇癪を起こしたり無力感から怒ったりしたときとは違う、決意を秘めた表情。

12 17/07/12(水)09:17:29 No.439171304

「角谷杏さん」 「なに?」 「わたし達はこれからどうしたらいい?」  にやっと口角を上げて、角谷杏は応えた。 「君たちが戦うんだよ。  戦車に乗って、ね?」  一年生達は既に互いの自己紹介を始めていた。  こっちは殆ど違いが無い。 「すごーい!」 「ね、ね、これさ、本当にあたし達が運転できるの?」 「あたし運転する! ね? いいでしょ!」 「二つ砲がついてる戦車なんてあったんだ] 「それで、どうやって運転を?」  澤さんが尋ねると、向こうの澤さんが真剣な表情で「一つになるんです」と言った。

13 17/07/12(水)09:18:59 No.439171447

「え? 一つになる?」  目をパチパチさせる澤さん。そこに丸山さんが割って入る。 「それはつまり、ESPを使う、ということですね」 「え?」  向こうの五人がざわめいた。丸山さんはちょっと首を傾げて更に説明する。 「こちらではインターネットで作られた仮想世界に、もう一人の自分のデータを送ることが出来ます。  そのデータをオリジナルと、ESPで作り出されたアバター、即ちESPAで相互にやりとりする技術が作られているんです。  これは遺伝子レベルで同じでなければ、他人が他人のESPAを使うことが出来ない。  しかしもし同じであれば、ESPAを介することで互いの情報を共有できると言うことです。  この世界の戦いは私達が決着をつけなくてはいけない。でも私達は戦車が動かせない。  その手助けをして下さるのが皆さん、というわけです。  そう……一つになることで」  立て板に水ですらすら説明する丸山さんに、向こうは一言も喋れない。いや、動いた人はいた。向こうの世界の丸山紗希さん。

14 17/07/12(水)09:19:29 No.439171482

「どうしました?」  尋ねる丸山さんに、丸山さんは人差し指を差し出した。ハッとした顔で丸山さんが自分の人差し指を近づける。途端、白い光が互いの間に現れた。  丸山さんが口を開いた。 「さき……ともだち」  向こうの澤さんがのけぞる。 「紗希が喋った!」 「あっちのさきちゃん、おしゃべりだねえ」 「っていうか喋りすぎだろ!」 「それってSFぅ?」 「少し不思議ってこと?」  口々に言って、それから人差し指を差し出して、互いに触れてみようとする。  二人の丸山さんが、笑った。

15 17/07/12(水)09:20:01 No.439171528

「おまえ、なんだ?」  ねこにゃーさんが睨み付けた。  実はわたしはここが一番心配だったのだ。彼女たちは案外普通だ。こうした事態に慣れていないといえる。そのくせけんかっ早い。もし向こう側のねこにゃーさんもそんな感じだったら衝突があるかもしれない。 「はい、僕はねこにゃーです」  わたしの心配はさておき、向こうのねこにゃーさんはおっとりした人だった。 「こちらがぴよたんさんで、こっちはももがー」 「よろしくぴよ」 「はじめましてナリ」  うーん、こっちはヤンキーで向こうはオタク、か。  一目見ただけで違いが分かるってすごいね。見た目はまったく同じなのに。  沈黙の均衡を崩したのは、向こうからだった。 「あ、あのさ。君、ゲ、ゲームやる?」 「は?」 「テレビゲーム……あ、アナログでもいいんだ。  ここのゲームって、どんなの出てるかニャ?」

16 17/07/12(水)09:20:31 No.439171570

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17 17/07/12(水)09:22:10 No.439171720

 まさか異世界の自分から、そんなことを言われると思っていなかったのだろう。少し考えて、ねこにゃーさんが言った。 「腕相撲、ってのはどうかニャー?」 「腕相撲?」 「単純に、戦車動かしてる奴がどんぐらいパワー持ってるから知りてーんだニャ」  グイ、と突き出された腕に向こうのねこにゃーさんは尻込みする。 「困ったニャ。そんな喧嘩腰で来られたら」 「喧嘩じゃない。ゲームだニャー」  ため息をついて向こうのねこにゃーさんは、差し出された腕を握った。肘は空気を台にしたみたいになって、なんちゃって腕相撲の支度は整っている。  ねこにゃーさんがわたしに声をかけた。 「あの、ここの西住さん。よければ合図いいかニャ」 「あ、じゃあ、よーい、ハイ」  ねこにゃーさんが宙に浮いた。  え? って思った。目がおかしくなったのかと思った。地面に倒れているのは、こっちのねこにゃーさんだった。  これがきっかけでもめ事が起こったらどう決着つけようか考えていたわたしは、呆然として立ち尽くす。 「おまえ、つよいニャ……」

18 17/07/12(水)09:22:36 No.439171766

 引き起こされながらねこにゃーさんが言うと、向こうのねこにゃーさんは首を横に振った。 「わたし一人で強くなったんじゃないんニャ。  みんなと一緒に居たいから、強くなれたんだニャ」  次にあったのは握手だった。  ぴよたんさんが人の悪い笑みを浮かべる。 「ももがー、わたしらも投げられてみるか」 「え?」 「向こうの力、こっちも味わっておくっちゃよ!」 「よ、よし! やってやるナリ!」  腕まくりする二人に、向こうは屈託のない笑顔を見せてくれる。 「受けて立つぴよ」 「アリクイさんチームのパワー、見せてやるモモ!」  決着は一瞬でついて、握手した手は力強かった。

19 17/07/12(水)09:23:01 No.439171812

今日はここまで続きは明日! まとめも明日出します!!

20 17/07/12(水)09:36:56 No.439172934

きたのね!

21 17/07/12(水)09:43:19 No.439173440

きたのか! なんか凄いことになってる!

22 17/07/12(水)09:47:23 No.439173791

スーパーなんちゃら大戦!

23 17/07/12(水)10:06:25 No.439175307

華さんと気が合いそうな小梅ちゃん

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