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  • 【SS】... のスレッド詳細

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    17/07/09(日)00:35:35 No.438501376

    【SS】ガールズ&パンツァー NEW GENERATIONS 前回まで su1930214.txt

    1 17/07/09(日)00:36:16 No.438501575

    「…………」  西住みほは、ホテルの自室で携帯電話片手に固まっていた。  みほは何度も電話を掛けようと電話帳の画面を見ては、躊躇い動きを止めていた。  もう十五分はそうしていた。  それというのも、これから電話をかけようとしている相手が問題だった。相手は、自分の実の娘であるなほだった。  みほはなほとの約束を破ってしまった。そのことについて謝ろうと電話をかけようとしているのだが、いざ掛けようとすると、なほの気持ちを考えてしまいつい躊躇ってしまっているのだ。 「なほ、落ち込んでいるだろうなぁ……」  ――またなほとの約束を破っちゃった。もうどれほどあの子と会っていないだろう。今まで必要なことは時差を考えてメールで済ませてたから、こうして電話をかけるのも久々だなぁ……。……やっぱり、ちゃんと話して謝らないと駄目だよね……。  みほはとうとう意を決し、電話帳からなほの番号を選び、通話をかけた。 「…………」

    2 17/07/09(日)00:37:27 No.438501896

     ワンコール。ツーコール。スリーコール……なほが電話に出る気配はない。  時間帯に問題はないはずだった。大洗学園艦はちょうど今休日の昼にあたるはずだった。だが、電話は一向に反応がない。  もしかして電話を忘れてどこかに出かけているのではとも思い、もう少し待って反応がなければまたかけなおそうとみほが思ったときだった。 『……もしもし』  それは、みほが電話をかけて十六コール目だった。 「……あ、なほ? 私、お母さん」 『……そんなの、分かってる』 「……だよね、ごめん」 『…………』  なほの声には、いつものような元気さがない。  みほはやはり自分が行けなかったことが悪いのかと、みほは思った。 「……その、ごめんね。なほ」 『……何が』 「なにがって、その……決勝戦、行けなくて」 『…………』

    3 17/07/09(日)00:37:51 No.438502007

    「なにがって、その……決勝戦、行けなくて」 『…………』  なほから言葉は帰ってこない。みほはそのことを訝しみながらも、さらに謝罪を続けることにした。 「あのね、本当はちゃんと行こうって思ってたの。でも、本来試合するはずだったチームが急遽出られなくなっちゃって、それでその試合は穴開けられない試合で……」 『…………』 「それで、お母さんのチームが出なきゃいけないことになって……本当にごめん! 変わりと言ってはなんだけど、今度日本で試合があるからそのとき――」 『……母さんはさぁ』  みほの弁明の途中で、なほが口を開いた。その声は、普段のなほからは想像もできないほど重苦しかった。 『……母さんは、いっつもそうだよね。戦車のこと優先して、私のことはいつも後回し』 「……そ、そんなことは」 『そんなことあるよっ!』  電話越しから怒声が届いた。それまで静かだったために、その怒声はみほの耳に響いた。 『この前の集まりだって! 今年の入学式だって! 去年のクリスマスだって! お母さんそう言って来てくれなかった! 母さんはいっつも戦車戦車戦車! 私のことなんてどうでもいいんでしょ!』

    4 17/07/09(日)00:38:07 No.438502074

    「……ち、違……」  すぐさまに否定すべきだった。なほのほうが大切だと言ってやるべきだった。だが、みほはすぐにそう応えられなかった。自分のこれまでの行いを思い出して、そうじゃないと応えられる自信がなかったからだ。  それがまずかった。 「…………」 『ほら黙る! お母さん本当にそう! 都合が悪くなったらすぐ黙って! やっぱり、私より戦車の方が大切なんだ!』 「……ま、まって、なほ」 『嫌い! お母さんなんて、大嫌い!』  ツー、ツー、ツー……。流れてくる電子音。  それは、なほからの否定の意思だった。  みほは愕然としながら、携帯電話を見つめた。 「……違う、違うの、なほ……」  みほはもう話す相手のいない携帯電話に向かって、そう呟くしかなかった。

    5 17/07/09(日)00:38:45 No.438502248

       ◇◆◇◆◇  なほはそれからというもの、今までの元気さがすっかりなりを潜めてしまった。  口数も少なくなり、あまり友人達と話さなくなってしまった。  友人達は心配したが、殆どの友人達はなほに何があったのか分からず、声をかけられなかった。  また、事情を分かっている友人達も、事情が事情ゆえに、どうしていいのかイマイチ分からず手をこまねいていた。  そうしてなほがその明るさを失ってから、一週間ほどが経った。

    6 17/07/09(日)00:39:24 No.438502412

    「…………」  土曜日。なほはその日、ずっとベッドに篭っていた。  外に出る気分ではなく、起きて何かしたいとも思わなかった。  なので、ずっとベッドに篭っていたのだが、普段規則正しい生活を送っているなほは、あまり眠気が起きずに困っているのであった。 「……はぁ」  なほはため息をつく。  なほはどうすればいいのか分からなかった。胸の中のモヤモヤとした気分がずっと晴れない。それは、戦車を見ると特にそうだった。戦車道が嫌いになったわけではない。しかし、今は戦車を見たくはなかった。 「……お母さんの、バカ」  なほが、ベッドの中でそんなことを呟いたときだった。  ピンポーンと、インターホンが鳴り響いた。 「……?」  なほは誰かと思い、ベッドから起きて扉へと向かう。その動きは緩慢だった。

    7 17/07/09(日)00:40:01 No.438502553

     そのノロノロとした動きのまま、ゆっくりと扉を開ける。  そこにいたのは、見知った顔だった。 「や、やっほーなほりん」 「香織……」  そこにいたのは香織だった。香織はぎこちない笑みを浮かべている。 「……何」 「ほ、ほら前に約束していたでしょ? 今日はタンカスロンの試合観に行くって」 「ああ……」  なほは思い出した。確か大会を行っていた途中、鈴に誘われ、強襲戦車競技――タンカスロンの試合が寄港地で行われるため観に行こうと約束をしていたことを。  しかし、今のなほはそんな気分ではなかった。 「ごめん、今そんな気分じゃなくて……」 「そ、そんなこと言わずにさ! ね! 外出ようよなほりん! ね!」 「……でも」 「ねっ! ほら! きっといい気分転換になるよ!?」

    8 17/07/09(日)00:40:23 No.438502640

     香織は珍しく強引だった。普段の香織なら、最初の一言で諦めてもおかしくなかった。  なほは不思議に思いながらも、やはり断ろうと扉に手をかける。 「やっぱり、私……」 「――ああもうまどろっこしい!」  と、そこで別の声が聞こえてきたかと思うと凄い力で扉が急に開かれた。 「わっ!?」  なほは扉に引っ張られ、外に出てしまう。  そして、そのまま廊下に倒れ込む。 「いたた……」  なほは打ち付けた体をさすりながら上体を起こす。そして、上を見上げるとそこにいたのは、意外な人物だった。 「まどろっこしい! 行くと言ったら行くんだよ!」 「あらあら、強引なことで」 「た、隊長……。それに副隊長……」  香織の横には、鈴と理沙がいた。 「どうしてここに……」

    9 17/07/09(日)00:40:41 No.438502702

    「どうしてもこうしてもあるか! 最近のお前は見ていられないんだ! だから、タンカスロン見に行くぞ!」 「ちょ、話の前後が繋がってないよ!?」  混乱するなほの言葉を無視し、なんと鈴はなほを担ぎ上げた。 「ちょーーー!?」 「諦めなさい。こうなった鈴さんは誰にも止められないから」  理沙がうふふと笑いながらなほに言う。  香織はその光景をみてわたわたと慌てていた。 「ちょ、ちょっと待ってー! せめて着替えさせてー!?」

    10 17/07/09(日)00:40:56 No.438502748

     会場は多くの人でごった返していた。その観客席の最前列で、なほはむくれながら座っていた。 「な、なほりんー機嫌直してよー」 「だって、あんな無理矢理連れてこられて不機嫌になるなって言うほうが無理だよ!」 「ま、まあね……」 「おーい飲み物買ってきたぞー」  むくれるなほの元に、両手に飲み物を持った鈴と理沙がやって来た。近くに売店があるらしく、タンカスロンの場においても稼ぎ時を逃さないとする人々の商売っ気になほはある意味感心した。 「ほれ、コーラで良かったか?」 「……頂く」  なほは顔を膨らませたまま、コーラを受け取った。 「本当に機嫌悪いなぁ。まあ当たり前っちゃ当たり前なんだが」 「分かってるなら帰っていい?」 「それはダメだ」

    11 17/07/09(日)00:41:15 No.438502811

     ニヤつきながら言う鈴に、なほはさらに機嫌を悪くした。  ――どうして自分がこんなところにいるのか。正直戦車なんてあんまり見たくないのに。  そんなことを思いつつも、なほは最前列の席から離れようとはしなかった。それは一緒に着いて来てくれている香織の手前もあったが、少しだけ、タンカスロンというものに興味がある部分もあった。  なほはタンカスロンを見たことがなかった。昔から母の元で母なりの戦車道を教えられていたからだ。母以外には、祖母や叔母から西住流を教わってきた。  ゆえに、戦車道の道からある意味外れた位置にあると言えるタンカスロンには触れたことがなかったのだ。 「あら、そろそろ始まるみたいですわよ」  理沙の言葉で、なほはこれより戦場となる平原に目をやる。  そこには、軽戦車が三台ずつ並んでおり、その前にそれぞれ選手が並んでいた。片方はそれぞれ戦車の国籍はバラバラであり、もう片方はドイツのⅡ号戦車で固められていた。そこだけ見れば、普通の戦車道の試合と変わらなかった。 「あれ……?」  そこでなほはとあることに気づいた。 「あの選手、どこかで見たことあるような……」

    12 17/07/09(日)00:41:43 No.438502922

     遠目ゆえによく見えなかったが、なほは選手の一人に見覚えがあった。長いウェーブのかかった金髪に、眼鏡をかけているその少女を、どこかで見たことがあった。  だが誰かをはっきりと確認する前に、その選手はⅡ号戦車に乗り込み、配置についていった。  そうして、両チームの戦車が配置に着くと、高らかに試合開始の宣言が行われた。  試合は始め、静かに動いていた。  互いに互いの位置を確認し、出方を伺っている様子だった。  なほは、自分なら素早く偵察を出して状況を動かすのに、と思った。  やがて試合は動き出した。  ドイツ戦車側が、突如照明弾を空に打ち上げたのだ。 「えっ!? 何アレ!?」 「ああ……ありゃ挑発行為だな。タンカスロンじゃちょくちょくあるんだよ。硬直してきたからとっとと殴り合おうぜって意思表示だ」

    13 17/07/09(日)00:42:01 No.438502998

    「受けるかどうかは相手次第ですけどね。ただ受けなかったら後で相手側にそれを使って言葉で攻撃されたりしますね。『この臆病者共め!』って煽ったり」 「へぇー……」  驚くなほに、鈴と理沙が解説する。  なほはその戦車道にはない風習に、素直に感心した。  試合では、多国籍側がその挑発を受け、平原を横切り始めた。一方、ドイツ戦車側もそれを迎え撃つように進軍する。  やがて、正面から戦車同士がぶつかり合おうとしたときだった。  多国籍側の戦車の前方が、突如砲撃も無しに爆発した。 「な、何が起こったの!?」 「んんーなんだろうな……あ、あれか」  困惑するなほ達。そこで、双眼鏡を取り出した鈴が納得したように言い、なほに双眼鏡を渡す。  その双眼鏡を見て、なほは再び驚いた。 「えっ!? ダ、ダイナマイト!?」  そこには、よく見るとⅡ号から導線が伸びたダイナマイトが仕掛けられていた。  そのダイナマイトが再び爆発する。多国籍側はそれにより完全に足を止めた。 「ちょ、あれアリなの!?」

    14 17/07/09(日)00:42:18 No.438503067

    「うーん、タンカスロンだからありなんじゃねぇかなぁ。直接攻撃してるわけじゃねーし……」 「だからって……」  なほはイマイチ納得できない様子で互いの戦車を見た。  動きを止めた多国籍側に、ドイツ戦車側が突っ込む。  多国籍も素早く反応したが、一台撃破されてしまった。  その後は、二対三の激しい近接戦闘が繰り広げられた。  お互いが肉薄する距離で砲弾を掠め合わせた。  当たれば即大破な距離での戦闘。  その高度な戦闘に、なほは息を呑んだ。 「すごい……」  なほは借りていた双眼鏡を返すのも忘れて、その戦闘を食い入るように見つめた。  やがて、多国籍側の二車両が相手のリーダーが載っていると思しき車両を挟み込む。  ここまでか、と思われたそのとき。  挟まれた車両がその動きを読んでいたとしか思えない速度で、急後退した。  その直後、多国籍側の戦車は互いを打ち抜き、白旗を上げた。

    15 17/07/09(日)00:42:42 No.438503154

     ここに、勝敗は決した。 『チームアリゲーターの勝利!』  場内アナウンスが流れる。  どうやらドイツ戦車側のチーム名はアリゲーターと言うらしい。  試合が終わり、戦車が撤収し、観客達が帰り始める。  それでも、なほは興奮冷めやらずまだその場に残っていた。 「すごかったね、かおりん……」 「うん、なほりん……」  なほは香織と興奮を共有しあっていた。それは、その場から殆ど人がいなくなってもそうしていた。 「お、まだ残ってたか。ちょうどいい」  と、そこで鈴が二人に話しかけた。鈴と理沙は、試合が終わってから何処かへと席を外していたのだ。 「あっ、隊長。どこ行ってたの?」 「ああ、実はそれ絡みでな……おーい、こっちだこっち」  鈴は後ろに振り向き誰かに呼びかける。  すると、観客席の土手の裏から、一人の人影が現れた。

    16 17/07/09(日)00:43:13 No.438503273

     その人影は、なほも知っている人影だった。 「黒森峰の隊長さん……?」 「やっ。戦車道以外の場では初めてかな、なほちゃん」  それは、黒森峰の隊長である梨華子だった。  そしてなほは気づく。 「あっ!? さっきのタンカスロンの試合に出てたのって、もしかして……!?」 「そ、私。遠目だったからすぐには気づかなかったかー」  梨華子は笑って言った。  一方、なほは混乱とも言えるほどに驚愕していた。 「黒森峰の隊長さんなのにあんな戦い方をするなんて……」  黒森峰は伝統があり格式の高い高校である。そのため、梨華子もその枠組にいるものだと思っていたのだ。 「んーみんなそう言うんだけどね、私は戦車道というより純粋に戦車に乗るのが好きだから。そこで言うと、タンカスロンが好きってのがあるかなぁ」

    17 17/07/09(日)00:43:34 No.438503374

    「賞金稼ぐのも好きなんでしょう?」 「うっ、まあね……」 「中学の頃にドハマリしてたもんなー」  鈴と理沙に言われ、梨華子が図星をつかれたような顔をする。それだけのやりとりで、三人の仲がかなりいいことがなんとなく分かった。 「あの、お三方って仲がいいんですか?」  そこで香織がちょうど三人に質問した。それはちょうどなほも聞きたかったことなので、なほは心の中で親指を立てた。 「うん、私達、幼馴染なの」  梨華子があっけらかんと応えた。  それに対し、なほと香織は「へぇ」と頷いた。 「高校はそれぞれやりたい戦車道とかが違ったから別になったけど、それまでは今までずっと一緒に戦車道やってたんだよね」 「なるほど……」 「それで、どうだった? 私の試合」

    18 17/07/09(日)00:43:50 No.438503443

    「えっ」  なほは急に聞かれて戸惑った。なほは少しの間考える。そして、素直な感想を言うことにした。 「……楽しかったです。とても」 「そっか」  梨華子は笑った。その笑顔が、なほにはとても眩しかった。 「なほちゃんはさ、戦車道が嫌いになったわけじゃないんだよね」 「……うん」  その口ぶりから、なほの事情を梨華子は知っているようだった。  だが、なほはそのことについて聞かない。今は、梨華子の話を聞いていたい。そんな気がしたのだ。 「でも、お母さんが戦車道を優先するのが面白くない、と」 「……うん」 「……私さ。私のタンカスロンの戦い方って、前の隊長の影響ある部分があるんだ」  そこで、梨華子はゆっくりとなほの横に座った。 「……へぇ」

    19 17/07/09(日)00:44:13 No.438503565

     そして、梨華子の話に静かに相槌を打つ。 「前の隊長ってさ。戦車道では結構王道的な戦い方するんだけど、個人になるとかなりやりたい放題やるんだよね。そこが好きだなってなった部分があって。で、それを真似てるの。好きな戦い方を、他の人にも見てもらいたいって思って。……多分、なほちゃんのお母さんも、ちょっと似た部分はあるんじゃないかな?」 「……似た部分?」 「うん。なほちゃんのお母さんは、きっと戦車道が大好きなんだと思う。そして、なほちゃんが戦車道好きなのが嬉しいから、自分も戦車道頑張ってるんだと思う。自分の頑張ってる姿を人に見てもらいたいって、おっきな動機だからね。なほちゃんのお母さんは、なほちゃんが好きな人だからなほちゃんのために頑張ってるんだと思うよ?」 「わたしのために……」  なほは考える。  ――私はずっと、自分のことを見てもらいたいと思って戦っていた。でも、お母さんのことを見ようと思ったことはあっただろうか? 「……でも、やっぱり辛いです」

    20 17/07/09(日)00:44:28 No.438503626

     それも、なほの本音であった。  母親が自分のために頑張っているのはなんとなくは分かった。でも、それはそれと割り切れない部分はあったのだ。 「うん、だよね」  それに梨華子は頷いた。  そして、言った。 「だったら話せばいいんだよ」 「話せばって、そんな簡単に……」 「大丈夫、やり方はあるよ」  そう言って、梨華子は指を指した。その先には、戦車があった。 「まさか、戦車で……?」 「うん。そこは任せといて。さっきの話も、実は受け売りなんだけど……その話をしてくれた人が、とっても頼れる人だから」  梨華子はそう言って、人差し指を立ててウィンクをした。

    21 17/07/09(日)00:45:11 No.438503823

    「……お願いします!」  梨華子はその夜、携帯電話片手に土下座した。 『……はぁ。久しぶりに電話があったと思ったら、そんな無茶なこと……』 「無茶なのは承知してます。でも私もつい先輩面しちゃって……」 『……はぁ』  電話の相手は明らかに呆れているようだった。  だが、すぐさま電話の相手は穏やかな声になる。 『……ま、気持ちは分かりますけどね。しょうがないです、どうにかしましょう』 「本当ですか!?」 『ええ、あなたが頼んだってことは“アレ”に出場させて欲しいってことなんでしょう? まあ私もちょうどどうしようかなと考えていたことろですし、ね』

    22 17/07/09(日)00:46:25 No.438504151

     梨華子は心から電話の相手に感謝した。その気持ちを、梨華子は素直に口にすることにした。 「ありがとうございます、隊長」  梨華子が礼を言う。すると電話の相手は、こう返した。 『こら、もう隊長じゃないと言ったでしょう?』 「そうでした……ありがとうござます、東さん」 『そこは美帆でもいいんですけどね、フフッ』  梨華子には電話の相手――元黒森峰隊長であり、現プロリーグ選手、東美帆が、画面越しでウィンクしている姿が容易に想像できた。  続く

    23 17/07/09(日)00:48:32 No.438504697

    どげざぁっ!

    24 17/07/09(日)00:49:46 No.438504990

    親子対決くるのか…! 美帆りんが出てくるってことはこの世界線のエリカどうなってるんだ…

    25 17/07/09(日)00:50:00 No.438505047

    スレ画はなほちゃんの顔なの?

    26 17/07/09(日)00:56:24 No.438506678

    >スレ画はなほちゃんの顔なの? 怖いよ!?

    27 17/07/09(日)00:58:44 No.438507307

    ガンガンいこうぜの合図とかダイナマイトとか タンカスロンらしいって感じがする

    28 17/07/09(日)01:02:01 No.438508229

    >梨華子はその夜、携帯電話片手に土下座した。 できておる…

    29 17/07/09(日)01:02:48 No.438508452

    >美帆りんが出てくるってことはこの世界線のエリカどうなってるんだ… これはあれかな みほエリで練習場にいた美帆りん拉致った世界線かな

    30 17/07/09(日)01:23:14 No.438513755

    いい先輩達だ…

    31 17/07/09(日)01:24:27 No.438514070

    拉致世界線だとあれだな どこで知り合ったのかって聞いたなぽりんがみぽりんに例の三人で撮った記念写真見せられて私と一緒にこんな写真撮ってくれたことない…ってまた曇るやつだな

    32 17/07/09(日)01:28:34 No.438514996

    みほ生存エリカ失明せず そんなルートがあっても良いじゃない

    33 17/07/09(日)01:29:14 No.438515095

    母と娘のすれ違い良いよね

    34 17/07/09(日)01:30:47 No.438515380

    >母と娘のすれ違い良いよね いい…