17/07/05(水)00:57:14 【SS】... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1499183834139.png 17/07/05(水)00:57:14 No.437713681
【SS】ガールズ&パンツァーNEW GENERATIONS 前回まで su1925765.txt
1 17/07/05(水)00:57:39 No.437713747
「よし、それじゃあ全員注目!」 大洗女子学園戦車道演習場。そこで戦車を正面に並ぶ生徒達の前に立つ、青い短髪で鋭い瞳を持つ少女がいた。 その隣には、腰まで伸びる浅葱色の髪で片目を隠しているのが特徴的な少女が立っている。 青い短髪の少女は、居並ぶ生徒達に向かって大きな声で言った。 「俺は隊長の百華鈴(ひゃっかすず)だ! そしてこっちは、副隊長の弐瓶理沙(にへいりさ)」 「みなさん、よろしくお願いしますわね」 鈴に紹介され、理沙は微笑みながら生徒達に手を振るう。 しかし、理沙の柔和な笑みとは対照的に、居並ぶ生徒達の前列は緊張した面持ちだった。 それもそのはずである。今鈴と理沙の前に並んでいるのは、皆新入生だったからだ。 今日は、新入生にとって初めての戦車道の授業なのだ。
2 17/07/05(水)00:58:11 No.437713827
だが、そんな新入生の中で、唯一楽しそうな笑みを浮かべている生徒がいた。 なほだ。 「我が大洗女子学園へようこそ諸君。知っての通り、我が大洗は非常に戦車道に力を入れている。ゆえに、並大抵の訓練じゃあない。今まで戦車道をかじってきたやつもいるだろうが、今までの訓練とは質が違ってくるだろうから、覚悟するように!」 『は、はい!』 新入生が声を合わせて応えた。やはり殆どの生徒は、ガチガチに緊張しているようだった。 「それじゃあ早速戦車に触れてもらう。まずは適正を確かめたいからな。それじゃあ……」 「はい!」 そこで大きな声で手を上げるものがいた。 なほだった。 「私達、Ⅳ号に乗りたいです!」
3 17/07/05(水)00:58:29 No.437713887
なほは香織と腕を組みながら言った。 「えっとお前は……西住と武部だったか。どうしてだ?」 「Ⅳ号って昔おかーさん達が乗ってたって聞いたから! 同じやつなんでしょ? 乗りたい!」 それを聞くと、鈴は「ああ……」と納得したように手を打った。 「そうか、お前は西住選手の娘なのか……ということは戦車道は昔からやってるんだな」 「うん、そだよー!」 「ちょっとなほりん! 隊長さんなんだからもっと敬語とかをね……」 「あーいいんだいいんだ。俺もフランクなほうがやりやすいし。そうだな、ちょうどⅣ号にも欠員がでてたとこだし。えーと……五十鈴! 冷泉!」 鈴がそう言うと、生徒達の中から二人の生徒が出てきた。 その二人を見ると、なほはぱぁっ……と顔を明るくさせる。 「つぼみん! みどりん!」 「やっほーなほ! 香織! 久しぶり!」
4 17/07/05(水)00:58:49 No.437713953
つぼみんと呼ばれた少女――五十鈴つぼみが手をふる。 「まったく、あんたらかわってないねぇ」 そして、今度はみどりんと呼ばれた少女――冷泉翠がやれやれといった様子で笑いながら言う。 「おっ、なんだなんだ? お前ら知り合いか?」 「ええ隊長、うちら、子供の頃から親が仲良くて友達だったんですよ」 つぼみが嬉しそうに両手を合わせて言う。 「まったく昔から手のかかるやつらで、本当に困ったものでしたよ。まさか高校でも世話をすることになるとは……」 「ちょっとみどりん! それじゃ私達がいっつも迷惑かけてたみたいじゃないー!」 「みたいじゃなくて本当にそうでしょ! 手のかからなかったのはユリカぐらいじゃない! あれ? そういえばユリカは? いないの?」 「……ここに……」 すると、一年生の列の中から、静かな声をした少女がぬっと出てきた。 「おわっ!?」 「あっ! ゆりかっち! 久しぶりー!」 驚く翠に、元気よく対応するなほ。
5 17/07/05(水)00:59:04 No.437714006
「えーっと、秋山だったか? なんだ、お前も幼馴染なのか?」 「……はい……」 出てきた少女――秋山ユリカは、大人しい声で鈴に応えた。 「ちょうどいい。ちょうど五人いることだし、お前らにⅣ号乗ってもらうか。幼馴染なら、戦車の連携も悪くないだろう」 「やったー隊長話が分かるっ!」 なほはパチンと指を弾いた。 その様子に、香織と翠は頭を抱え、つぼみは楽しそうに笑い、ユリカはただなほを見つめるだけだった。 そうして鈴はⅣ号の乗員を決めると、次々に一年生に新しい戦車を振っていった。 大洗には潤沢に戦車があるため、一年生全体に新しい戦車を振り分けることができた。 そんな中で、二年生である翠とつぼみがいる戦車に乗っているのは、なほと香織とユリカだけであった。
6 17/07/05(水)00:59:20 No.437714052
「おし! それじゃあ未経験の一年生は基本的な理沙が操縦方法を教える。理沙、頼むな」 「ええ、任せておいてくださいな」 理沙は柔らかい笑みを見せ、未体験の一年生が固まっているところへと向かっていった。 「そして、経験者である一年生には一年生同士で模擬戦を行ってもらう。いきなり模擬戦でびっくりするだろうが、まあ実力を見てみたいからな。それじゃあ各々、位置につくように! それと、西住達Ⅳ号組はちょっと残れ」 『はい!』 鈴のその言葉で、一年生が各員別れていく。そして、なほ達は他の上級生と共に鈴の元に残った。 「隊長、私達を残した理由って?」 残ったなほ達を代表してつぼみが聞く。 「ああ、お前達は一年と二年の混合っていう特殊なチームだからな。だから特別に上級生の模擬戦に参加してもらう」 「えっ、上級生のですか!?」 香織が驚く。それに、理沙は「ああ」と言ってコクリと頷いた。 「西住……じゃ混同するか。なほは西住選手の娘ってことは、相当技量があるんだろう? それに付き合ってきたお前達も、結構な実力があると見た。その実力を実際に測ってみたい」
7 17/07/05(水)00:59:45 No.437714125
「は、はぁ……」 「いいじゃん! やろやろ!」 及び腰になる香織に対し、なほは実に嬉しそうに言った。 その様子をつぼみは同じく嬉しそうに見ており、翠は「やれやれ……」と口に出している。 ユリカはやはり黙ったままだ。 「それじゃあ、私達が一年の戦いを見届けてからになるが、よろしく頼むぞ、新人」 「はい!」 鈴の言葉になほは大きな声で応えた。 そうして、なほは鈴達と一緒に一年の模擬戦を観戦した。 大洗に来る経験者達は基本的に練度が高い。それは、大洗が戦車道で強豪校にあたるからである。 ゆえに、その模擬戦はなかなか見応えのある模擬戦だった。 「すっごーい。みんなうまーい」 「だねー」 「……うん」 なほ、香織、ユリカがそれぞれ言う。三人とも同じ新入生の試合に感心しているようだった。
8 17/07/05(水)01:00:01 No.437714156
「そうねー、でも上級生はもっとすごいんよ」 それに対し、つぼみが自慢するように言う。 「なんであんたがそんな自慢げなのよ」 「だって自分達のことだしぃ?」 「はぁ……まあそうだけど、もっと慎みというのをさぁ……」 つぼみに対し翠が呆れたとうに言う。それを見て、「ふふっ」となほが笑った。 「なほりん?」 「いや、こうしてみんなで集まって話すのも久々だなぁって」 その言葉に対し、四人はしみじみとした様子で頷く。 「……そうだねー。私となほりんはなほりんのママが世界中を駆け巡ってるからうちのママにお世話になってるせいで一緒にいるからそんな感じしないけど、他のみんなとは久しぶりだもんねー」 「……そうねー。うちらは二年だから先に入学して、それっきりだったもんねー」 香織の言葉に、つぼみが腕を組んでしみじみ言う。それに対し、今度は翠は両手を腹の横につけて「そうね」と呟いた。 「私は、面倒を見なきゃならない子がつぼみだけになったから楽だったけどね。これからあんたらの面倒もまた見なきゃならないと思うと憂鬱だわ」
9 17/07/05(水)01:00:18 No.437714197
「頑張れー」 「……ったく、他人事みたいに」 翠はなほの言葉にそう言いながら、苦笑いを浮かべた。 しかし、翠はそれはそれで楽しそうではあった。 「……翠、お母さんみたい」 「ちょ!? ユリカ!? 私そんな年じゃないから! ……まあ、我が家のお母さんが朝面倒だから、こういう性格になったのはある意味宿命みたいなもんだけどさ……」 翠はユリカの言葉に遠い目でどこかを見ながら言う。翠の母の冷泉麻子は、朝が非常に弱い。そのため、非常に面倒見の良い性格になっていたのだ。 「うちのおかんはその点しっかりしてるなぁ。まあ華道については厳しいのがたまにキズだけど。うち華道ってやりたくないんだよねーあんまり女子高生らしくないしー」 つぼみの母の五十鈴華は華道の大家である。そのため、つぼみにも華道を教えてはいるのだが、つぼみはあまり華道が好きではなかった。 もっと女子高生らしいことをしたいというのが、つぼみの本音だった。
10 17/07/05(水)01:00:40 No.437714258
「……つぼみは昔からそう」 「まーねー。でもユリカのおかんはその点うるさくなさそうでいいよねー」 「……そうでもない。戦車のことになると、少し面倒」 「まっ、そういう職業だしね」 ユリカの母、秋山優花里は戦車道の雑誌、月刊戦車道の記者である。そのため、ユリカは昔から戦車のことについて耳にタコができるほど聞いていた。 「……でも、嫌いじゃない」 「ハハっ、ユリカんちは仲いいもんねー」 「……そういう香織のところも、すごいラブラブ……」 「……ま、まーねー。でもたまに仲良すぎて困っちゃう。今でも二人で旅行とか行くんだよ!? ママ本当にパパのこと大好きなんだからー」 香織の母である沙織は、大学時代に結婚した旦那と非常に仲がよい。その仲の良さは、そろそろ結婚して二十年も見えてきたというのに未だに新婚のようである。 そんな二人に、香織は育てられてきた。 そのせいか、香織は「まるでお母さんの生き写しのようね」と沙織を知る人間から言われているのだ。
11 17/07/05(水)01:01:15 No.437714356
「ま、一番凄いのはうちのおかーさんだけどね!」 いつの間にか親自慢になっていた会話の中で、なほが胸を張って言う。 「だってうちのおかーさんは、世界的なスターなんだから!」 「はいはい、なほりんのママ自慢がまた始まったよー」 「まったく、いっつもなほはそれなんだから」 「ま、気持ちは分かるけどね」 「……うん」 「でしょー?」
12 17/07/05(水)01:01:33 No.437714413
なほはふん! と鼻息を吹かしながら言う。 彼女の母、西住みほは世界的に活躍している戦車道プロリーグの選手だ。ゆえに、家には殆ど帰れないため、娘のなほを親友である沙織の家に預けているのだった。 「……でも、たまには帰ってきてほしいんだけどね」 「ん? なほりんなんか言った?」 「おいお前ら! もう一年の試合終わったから次はお前達との試合だぞー! 準備しろー!」 聞き取れないほどの声でつぶやいたなほの言葉を香織達が聞き返す前に、鈴の大きな声が飛んできた。 なほ達はそれに「はーい!」と元気よく応え、すぐに鈴の元へ向かうのであった。 こうして、なほの大洗での戦車道生活が始まった。 つづく
13 17/07/05(水)01:07:48 No.437715460
来たのか!
14 17/07/05(水)01:11:45 No.437716164
娘たちの話っていいよな なんていうかこう 未来を感じれる
15 17/07/05(水)01:14:40 No.437716622
>娘たちの話っていいよな >なんていうかこう 未来を感じれる いいよね… 今までなかったのが不思議なくらいだ
16 17/07/05(水)01:16:11 No.437716871
>いいよね… >今までなかったのが不思議なくらいだ みぽりん達の物語を過去の終わった物語にしたくないからだよ
17 17/07/05(水)01:16:38 No.437716938
美帆とも接点ありそう 現状10年15年後って失明エリカとずっと倒されるために戦車道してるまほぐらいだよね
18 17/07/05(水)01:23:45 No.437717923
>今までなかったのが不思議なくらいだ 確か華さんとれま子の子供が大洗の生徒会やってるとこにみぽりんの姪が来てさおりんがまだ独身なやつがあったと思う
19 17/07/05(水)01:24:48 No.437718058
そういえばあったな沙織が先生やってたやつだよね?
20 17/07/05(水)01:25:24 No.437718136
そうそう最後にバレー部が来るやつだったと思う
21 17/07/05(水)01:29:17 No.437718637
まほが引退する話と、みほ先生の話があったっけ
22 17/07/05(水)01:29:27 No.437718664
ユリカ…そうか…iPS細胞で…
23 17/07/05(水)01:33:49 No.437719176
なほりんはまた3代続いて親子関係に闇を抱えていそうな…
24 17/07/05(水)01:37:17 No.437719646
蛙の子は蛙なのさ
25 17/07/05(水)01:39:19 No.437719903
あんこう幼馴染チームが仲良くてよかった…
26 17/07/05(水)01:47:23 No.437720873
ゆかりんの娘は多分銀髪だな…