虹裏img歴史資料館

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17/05/27(土)00:17:45 ガルパ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1495811865379.jpg 17/05/27(土)00:17:45 No.429597392

ガルパンSS 「如何にして西住まほは無関心な戦車道に対して意義を感じる様になるか」 これまでの話 su1878797.txt (前回の3話前半部分に書き足しあり) 前回のシリーズ su1878799.txt

1 17/05/27(土)00:21:33 No.429598428

簡単なあらすじ 昔の様に活発で自由なみほにもどってもらいたかったまほ 黒森峰に入学して母親の目が届かない事を好機として徐々にそうなるように画策していくが、決勝戦で自分が望んでいた筈の「予測もつかない行動」をとるみほは水没した戦車を助けるために川に飛び込み、意識不明の重態となって病院に運ばれる まほは自分の行いを後悔しながら妹の解放を祈るが…

2 17/05/27(土)00:22:23 No.429598638

-5- 祈りが通じたのか、次の日にみほは意識を取り戻し、幸いにも目立った傷害も意識の混濁も特に無かった。 それを聞き、面会が許されればまほは恥も外聞も関係ないと言わんばかりにみほの胸元に飛び込み、まるで赤子の様に泣き続けた。 そして胸元で泣きながら「ごめんね… ごめんね…みほ!」と繰り返す姉の頭をみほはそっと優しく撫で続けた。 まほは時が経っても一向にみほの元を離れず泣き続けたが、流石に戦車道の試合の後も休む事無く祈り続けた事とみほの無事を確認したことで身体と精神が限界を迎えたのか、そのまま妹の胸元で寝入ってしまった。 それに気づいた後もみほはこの泣きながら眠る姉の頭を撫で続けた……。

3 17/05/27(土)00:22:43 No.429598738

意識が戻った事により見舞いの面会が許可され、斑鳩やエリカ達をはじめ、かわるがわるに黒森峰の生徒達が見舞いに来た。 事前に隠されること無くみほの生命の危機と障害の可能性を伝えられていた事もあって、ほぼ例外なく全ての見舞い客がみほの無事を確認しては喜び、そして安堵したからか涙を流しながらみほに抱きついた。 中でも斑鳩や浅見に赤星と逸見の四人は強く感情を露にした。 特にあの斑鳩がみほを泣きながらとは言え声高く叱責するという光景は誰もが始めて見る光景であった。 尤も、当のみほは斑鳩から見舞いにとプレゼントされた白黒のパンダカラーのボコのヌイグルミを抱えながら少し嬉しそうに受けていたのだから、その叱責も如何程の効果があったか疑わしいが。 こうして沢山の人間がみほの病室を訪れた。

4 17/05/27(土)00:23:18 No.429598909

…しかし、みほの母親……西住しほはとうとう現れなかった…。 その後、みほは検査を終えて後遺症が無いことを確認してから退院した。 障害も何も残らなかったことにまほは安心したが、仮にどのような障害が残ってもまほは世話も介護も全て自分がするつもりであった。 ……もしかすると心の奥底の何処かでそうなる事を望んでいたかもしれないが。

5 17/05/27(土)00:23:45 No.429599044

そして、一つの困難を乗り越えた事によって次の困難が見えてきた。 そう、決勝敗退である。 まほにとってはもはやそんな物は糞食らえだ!という心境であったが、世間の…それも西住流の家や支援者からすればそうも行かないのが現実であった。 特に敗因の直接の理由が西住の娘がフラッグ車を放棄したと言うのが彼女等に納得しがたい理由の一つになっていたのだ。 勿論、それは大多数の人間にとっては緊急時における救助活動の上なのだから仕方が無いのではという感想では有ったが、西住流といっても一枚岩ではない。 無条件で上の立場の失態を望んでいる者もいればいれば、単に常日頃から反感を抱いている者もいる。 また現家元もまだ年若くその権威も隅々まで行き届いているとは言えないのが現状であった。

6 17/05/27(土)00:24:00 No.429599113

ある意味では格好の攻撃材料を得た者達は巧みにみほの責任をついていった。 例としては「素人の救助の必要などなく、大会の救助が来るのに任せていればよかった。現に水没した戦車に乗っている人員は全てが無事で、素人にも拘らず飛び込んだ副隊長だけが重症であったではないか」と言った感じである。 実際に現場の状況を完全に把握している者などそういないのだからそう繰り返されればそうであったかもしれないと思い始めるのが人間であり、嘘も声高く100回繰り返せば真実の一部になるというのは歴史上何度も繰り返されたことである。 無論、それでもそういう影響は小さな物であったが、そうは言っても何時までも無視出来るものでもなかった。 それを受けてか、家元である西住しほはまだ病み上がりの娘を呼びつけ、その真意を問いただす事となった。 しかし、真意を問いただすといってもそれが実質的に尋問の場である事を同席を命じられたまほは良く理解していた。

7 17/05/27(土)00:24:38 No.429599309

「で、でも!ああしなければ…」 「勝利に犠牲は付き物なのよ。  人は何であれ勝つ為に何かを犠牲にしている。  それは時間であったり労力であったり、勝利につぎ込まなければもっと何か他の事に費やせた事を」 「……そんなに勝つ事って大事かな…」

8 17/05/27(土)00:25:30 No.429599540

「勝利よりも重要なものがあると? その事に関しては西住流の其れとは相入れませんが貴方は納得しないだろうから一先ずその事については置いておくとしましょう。 ですが貴方自身の価値観との相違については貴方自身に帰依する事。 貴方のその価値観は他の人と共有しているものでは無い。 10連覇の為に三年間心血を注いで血反吐を吐く様な努力していた者、それの礎を築いた卒業生、それを支援していた系列校、援助していた支援者。 貴方は援助しているのは余裕のある富裕層や企業ばかりと思っているかも知れないけれど、一般生活を送っている卒業生やプロや社会人チームに在籍している門下生が決して少なく無い負担を背負いながら好意としてお金を出している方が大勢いるのよ。 貴方の同輩達も年頃の貴重な青春の中で他にも色々できただろう時間も何もかもを費やして注ぎ込んで勝利を目指していた。 全ては自分の母校の、自分の流派の誇らしい姿を見る為。 貴方は自分の価値観を押し通して満足かも知れないけれど、その人達には何と言って詫びるの?」

9 17/05/27(土)00:25:46 No.429599619

それが完全な正論であるかどうかはまほには断言出来なかった。 人命が関わる事である以上、それが何よりも優先順位の最上位にあるべきだと言う主張を否定する事は難しいからだ。 しかし、実際にその”大勢”に対する責任を背負っているのは西住しほである。 当事者ではない者がどれだけ綺麗な主張をしても、責任無き主張には説得力がある訳が無かった。 「でも……私には人を見捨てて勝利を優先させる事はできないよ…」 その返答は不味いとまほは僅かに顔をしかめた。 母は理論立ててどう責任を取るのかと聞いているのだ。 それに対して無茶であっても現実的でなくとも何らかの責任の取り方を提示すべきであっだろうし、そうでなくとも考えが及ばなかったと謝罪するのがベターであっただろう。 しかし、みほはただ変わらない自分の主張を繰り返しただけである。 机の下で己の母親が拳を握る手に力を込めてギチィと音が鳴るのがまほには聞こえた。

10 17/05/27(土)00:26:03 No.429599713

「貴方は…」 「解ってるよ!!」 みほは突然立ち上がると初めて怒声を響かせた。 初めて…そう、みほがこんな風に声を荒げて叫ぶのを聞いたのは生まれてこの方初めての事であった。

11 17/05/27(土)00:26:19 No.429599793

「解ってるよ……私の行動でお母さんがどれだけ苦労しているのか。  他の人にどれだけ迷惑をかけたか……。  ……お母さんは入院している私のお見舞いにも一度も来なかったよね?  でも…それを私は悲しんだりしていない。ないがしろにされたなんて思ってない。  少し寂しかったけど……でもお母さんは本当なら来てくれていたって信じてる。  だけど……来れなかったんだよね?私の不始末の為に色んな所に謝りに行って頭を下げに行ってて……。  私のお見舞いに来れない位、忙しかったんだよね…?  だから……お母さんが姿を見せてくれない事に申し訳なく感じていたの……それだけ私は迷惑かけたんだなって……」

12 17/05/27(土)00:27:30 No.429600155

そのみほの吐露をしは黙って聞いていた。 しかし、横にいたまほにだけしほが再び膝の上で拳を握り締めるのが見えた。 其れは先程見せた怒りによる締め付けではなく、もっと何か……様々な感情が篭められている様に感じられた。 娘に真意を理解されていた事による嬉しさなのか、それとも親としての不甲斐無さなのか、それはまほには解らなかった。

13 17/05/27(土)00:27:53 No.429600273

「だけど…私には無理だよ……。  目の前で危ない目にあってる人を見捨てるなんて……。  理屈で他にどんな大儀があると解っていてもできないよ…」 「…反省も後悔もしていないと?」 「反省は行動を振り返って問題点を探す事。  後悔は取った行動をしなければ良かったと思う事。  ……私は同じ場面、同じ状況になったら同じ事をするよ。  だから反省も後悔もしていない」

14 17/05/27(土)00:28:11 No.429600338

「貴方は…!!」 しほは怒鳴り声を上げながら立ち上がった。 みほと違い母の怒声は数少ないが幾度かはあったが、ここまで激しいのを聞くのは、これもまほには生まれて初めてであった。 「貴方は死ぬ所だったのよ!?  呼吸が止まって……脈だって止まってて…  私がそれを聞いた時にどんな気持ちだったか……  命の危機が去ったと聞いて安心して、今度は障害が残る可能性があると聞いた時、私がどんな気持ちだったと思うの!?  貴方は……貴方は!!」 泣いていた。 目を真っ赤にして、瞳から涙を流しながらしほは泣いていた。

15 17/05/27(土)00:28:27 No.429600403

「お母さん……」 それに対してみほは黙って俯いているだけであった。 そして重苦しい空気が場を支配し、無言の時間が続いた。 その間、まほは苦心していた。 この場に同席する事をしほに申し出たのはまほである。 それは本来であるならばみほの擁護をする為であった。 しかし、まほにはそれができなかった。 いや、正確に言うのであればできないのではなく、しなかったのだ。 決勝戦までは母のみほに対する指導を母の視野の狭さや狭量に依存するものだと軽視し、みほの本来の資質を開花させようとした結果がこれなのだ。 だからここでは母の言葉に賛同していたし、残念であるがまた"元の"みほに戻ってほしかったのだ。

16 17/05/27(土)00:29:51 No.429600724

「……それで貴方はどうするの?」 しほは息を整えると静かに腰を下ろし、問いかけた。 それを受けてみほはちらりとまほを見た。 それはまほが幾度も見た事があるような表情でもあり、始めて見る様な表情でもあった。 昔はよくこんな風に姉を頼るような表情を見せてくれた。 今までこんな風に縋り付く様な目で姉を見てきた事は無かった。 その視線を受けてまほは……何も言えなかった。 何もできなかったのだ。

17 17/05/27(土)00:31:24 No.429601134

どれだけの間か、もしかすると一瞬であったかもしれない間だけまほに視線を向けていたみほは諦めたかの様にその視線を外し、俯きながら言った。 「……戦車道をやめます」 みほのその宣言を聞いた時……、まほは暫しの間、茫然自失していた。 (続く)

18 17/05/27(土)00:33:20 No.429601694

しぽりん…

19 17/05/27(土)00:35:58 No.429602411

>ある意味では格好の攻撃材料を得た者達は巧みにみほの責任をついていった。 だから大人はッ…!

20 17/05/27(土)00:36:27 No.429602541

理解のない母親と思っていた母親が一番娘を思っていたのいいよね…

21 17/05/27(土)00:36:46 No.429602618

一話はどこだ

22 17/05/27(土)00:37:35 No.429602827

他で書いていた短編 su1878829.txt 約一年前に投下して直ぐに流れた怪文書 su1878832.txt

23 17/05/27(土)00:37:46 No.429602871

子を愛さない親などいない!

24 17/05/27(土)00:41:12 No.429603748

>一話はどこだ ほんとうだ…あげなおした su1878836.txt

25 17/05/27(土)00:44:12 No.429604516

>約一年前に投下して直ぐに流れた怪文書 そんな前だっけ?

26 17/05/27(土)00:45:28 No.429604826

>>約一年前に投下して直ぐに流れた怪文書 >そんな前だっけ? ファイル更新日時がそれくらいだった

27 17/05/27(土)00:50:11 No.429606077

妹様が…

28 17/05/27(土)00:55:57 No.429607442

パンダ好きな斑鳩さん

29 17/05/27(土)00:57:16 No.429607777

お母様…不器用な人…

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