17/05/21(日)00:10:41 昼に... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1495293041755.jpg 17/05/21(日)00:10:41 No.428352022
昼に感じていた学園艦独特の湿気と、春を過ぎたあたりの気温による不快感は、夜の帳が降りると一段落したようで、北国育ちのプラウダの生徒達は夜空の元で散歩などを楽しむのが春から夏の終わりにかけてのプラウダ生の楽しみの一つだった。 この日、いくつかの荷物を持って夜の散歩をしていたアリーナは、夜の散歩にしては焦っているクラーラを発見した。
1 17/05/21(日)00:11:05 No.428352168
「クラーラさーん。どうしたんですかー?」 「ア、アリーナさン!皆さんがいなくなって、いったいどうしたのかト…でも、見つけられてよかっタ。」 「ああ…そっか、クラーラさんはこの時期のプラウダは初めてでしたね!じゃあ一緒に行きましょう。」 そう言われると、何もわからないクラーラは片手に荷物を持たされてアリーナに手を引かれていく。
2 17/05/21(日)00:11:43 No.428352384
「アリーナさン?一体どこに行くのですカ?それにこの荷物ハ?」 「それはついてからのお楽しみです。それより見てください!夜なのにこんなに明るい。寮の明かりがあんなに遠くに!町からも遠く離れちゃいましたね。」 「確か二…星の明かりがきれいでス。それにしても学園からこんなに離れテ…」 「もうすぐですよ。目的地。」 そう言うとアリーナは歩を早める。クラーラは何もわからず手を引かれていくのだった。
3 17/05/21(日)00:12:59 No.428352825
明るい闇夜。青紫を黒で薄めた目の前の世界に黒い丘が現れる。プラウダ学園戦車道練習場に有る小高い丘は、闇夜の中でも自身の影によってその存在感を遺憾なく発揮していた。 「丘の上、KB-2ですカ?」 「かーう゛ぇーどぅーう゛ぁー?KV -2のことかぁ?」 「はイ。アリーナさん達の戦車でス。」 「へえ。2ってどぅーう゛ぁーっていうんだー。それはそうとあれが目的地ですよ。」
4 17/05/21(日)00:13:38 No.428353050
二人が丘を登っていくと戦車から知った声が聞こえてくる。 「アリーナーやっときたかー!カチューシャ様が機嫌が悪くなってきて…ってクラーラさんも一緒でねえか!」 その声を聴き戦車の上に小さな暴君の特徴的なシルエットが浮き上がる。 「アリーナ!遅いわもう喉カラカラ…あら?クラーラも一緒?ノンナが誘って一緒に来るって行ってたのに。」
5 17/05/21(日)00:14:28 No.428353281
「来る途中で歩いてたから連れてきちゃったんですー。そっち行って良いですかー?」 「早く来なさい!紅茶が冷めちゃうじゃない!ジャムも持ってきたわよね?」 「バッチリです。」 戦車の元によるとほかの戦車道のチームメイト達も集まっていた。そこでクラーラは丘を影の黒で染めた犯人を見つけたのだった。 「月、こんなに明るいんですネ。」
6 17/05/21(日)00:15:28 No.428353643
「そうよ。今日はクラーラが来てから最初の満月の散歩。だからカチューシャ達がここに集まってっからノンナに呼んできてもらおうと思ったの。でも自分で来ちゃうなんて、驚かそうと思ったのに失敗ね。」 「いえ…カチューシャ様、私とても驚いてまス。月ってこんなにもきれいだったのですネ。」 空には月と星々が輝いていた。辺りは月光による明るい闇に照らされまるで名も知らない異世界に迷い込んだのかと錯覚するぐらいだった。
7 17/05/21(日)00:16:15 No.428353941
いつの間にか、カスケーディアンカップに紅茶を入れたカチューシャが横にやってくる。どうやらあの荷物は紅茶とカップだったようだ。 「はい、クラーラの分。プラウダはね、この時期の夜に散歩する子が多いの。だから学園の寮も門限外遅く設定されているわ。そもそも寮母さん達もみんな散歩しに出て行っちゃうから寮からほとんどの人がいなくなっちゃうんだけどね。」 笑いながらクラーラ達が来た道の方を指さすとそこには車のヘットライトのような明かりが近づいてくるのが見られた。
8 17/05/21(日)00:17:52 No.428354454
「ノンナが来たみたいね。クラーラ知ってる?日本ではお月見は月見団子をお供えするの。でも、今日は用意出来なかったから…ついたみたいね。」 皆のいる小高い丘の頂上にGAZ-2330 ティーグルがやってくる。すると数人の生徒が車に寄っていき持ってきたお花見のセットを用意する。 「お待たせしましたカチューシャ。全員分の飲み物とお供え物、お茶菓子。ただいま到着しました。」
9 17/05/21(日)00:18:31 No.428354714
「ありがとうノンナ。さあ!みんな!このカチューシャがお月見をするのよ。楽しんでない子がでてみなさい!シベリヤ送り25ルーブルよ!」 その声とともに歓声が起こる。 「この日本風の四角い器に盛られたクリュークヴァはなんでピラミット型に盛られているのですカ?」 「コレは日本のお月見のスタイルです。本当は白くて丸い月見団子を供えるのですが、物が無かったのでカチューシャの指示でクリュークヴァを代わりに備えました。」 「カチューシャ様もいっていましタ。月にお供え物をするっテ。」 「本当は八月の十五夜でお供えするのですが、せっかくなので気分がでるように持ってきました。」
10 17/05/21(日)00:19:18 No.428354980
「素敵でス。楽しくってシベリヤ送りは免れそうでス。でも、シベリア送りって何ですカ?本当にシベリア二?」 「あれは、日の当たらない教室で補習のことですクラーラ。25ルーブルは二五日間。」 「そんな二!」 「それだけカチューシャは今日、クラーラと一緒にお月見を楽しみたかったのですよ。すこしでも早く、来たばっかりのクラーラにプラウダのみんなと仲良くなってほしいから。」
11 17/05/21(日)00:19:36 No.428355070
月明かりの下カチューシャがニーナやアリーナを相手に輪になって踊っている。 「ノンナー!ニーナじゃ振り回されてばっかりで面白くないわ!一緒に踊りましょ!」 「さあ、行きましょうクラーラ。」 「え、ハイ…。」 「あなたもプラウダの一員なのですから皆とそしてカチューシャと楽しみを共有する義務と権利が有ります。行きますよ。」
12 17/05/21(日)00:20:02 No.428355226
カチューシャ達が手を振り呼んでいる。先に向かいだしたノンナが振り返り手招きをする。クラーラは気がつくと皆の元へ駆けだしていた。 ああ、甘いクリュークヴァ。中のコケモモよ出てこないで。いつまでも表面の甘い砂糖がいつまでもいつまでも続けば良いのに…皆で笑いながらクラーラは思った。 そういえば、その日はシベリア送りになる不届き者は一人もでなかったそうだ。
13 17/05/21(日)00:27:57 No.428358158
普通の夜だと思ってたのに窓の外を見たらほとんど明かりが消えてるとか事情を知らなかったらかなりホラーだな…
14 17/05/21(日)00:28:27 No.428358307
カチューシャはただの暴君じゃなくて下の者にも気を配るのいいよね…
15 17/05/21(日)00:29:46 No.428358719
深夜に怪文書が慎ましく届くのもプラウダらしくていいと思います
16 17/05/21(日)00:30:23 No.428358929
よく考えると日の当たらない教室ってどういうことだろう 艦内なのかな
17 17/05/21(日)00:36:45 No.428361119
ロシアも明かりが少なくて月が綺麗な印象だけど曇ってることが多いのかな
18 17/05/21(日)00:42:35 No.428363177
>よく考えると日の当たらない教室ってどういうことだろう 自分のいっていた高校には地下教室があって一応窓があって窓の先少しは光が取り込めるように掘ってあるけど昼でも電気付けなきゃいけないほど暗かった それはそうとテキストですお納めください ss291134.txt