17/05/08(月)01:27:41 【SS】... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1494174461180.png 17/05/08(月)01:27:41 No.425759529
【SS】参上!その名は星凛!
1 17/05/08(月)01:28:06 No.425759603
「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ! 悪を倒せと私呼ぶ! 私は正義の戦車乗り! プラウダ二年星凛!」 T―34の上で、一人の小さな少女が大声で啖呵を切りながらポーズを取っていた。手に乗りそうなほどに小さな体だ。そして、その小さな体の上から下まで届くほどの長い金髪を靡かせており、その髪には星の髪飾りが留められている。 そして、戦車の上でポーズを取っている手には、黒い手袋が嵌められていた。 『おおー……』 その少女――星凛が立つ戦車の周りには、多くの生徒が集まっていた。 全員入学したての一年生である。 皆、凛をマジマジと見つめている。 「というわけで、今日皆を指導する私が凛ちゃんだよー! みんなよろしくねー!」 『よ、よろしくお願いします!』 集まった一年生達は凛の声にビクリと体を震わせる。 だが凛はそんな一年を前にあっけらかんと笑ってみせた。 「ハハハ、そんな緊張しなくていいよー! 凛ちゃんはいつでも元気満点! 細かいことは気にしないんだからー! 肩の力抜いていこー!」
2 17/05/08(月)01:28:47 No.425759691
凛はそう言って笑うも、イマイチ一年生達からは力が抜けないようだった。 それもそのはずである。数日前に一年生達は隊長のカチューシャから上下関係の絶対性を教え込まれていたからだ。 これも、上下関係を試す試練なのでは、と思っている一年生も少なくなかった。 「うーん、イマイチみんなノリが悪いぞー? 凛ちゃん寂しー」 凛はそんな一年生を見てがっくり肩を落とす。凛にはそんな算段などなく、心の底からの言葉を先程から言っているのである。 それが伝わらず、凛は少し悲しい気持ちになった。
3 17/05/08(月)01:29:07 No.425759731
「……んーまーいーや!」 しかし、それも僅かの間のこと。 凛はすぐさま機嫌を直し、再びポーズを取る。 「よし! んじゃーさっそくいろいろ教えちゃうよ! みんな覚悟してねー凛ちゃんの指導は甘くないよーカチューシャ様の足手まといにならない程度には、いやカチューシャ様を見事にお助けできるぐらいの優秀な戦闘員にみんなを改造しちゃうよー!」 『は、はい!』 「それじゃ全員、搭乗!」 凛の言葉で一年生達が次々戦車に乗っていく。 そして凛も戦車の中に潜り込み、無線で一年生の乗っている戦車に指示を飛ばした。 「それじゃあいくよー……発進!」
4 17/05/08(月)01:29:34 No.425759797
「みんな、おつかれー!」 二時間後、凛はハッチがら飛び出ながら言った。 周りには、ぐったりとしている一年生達の姿があった。 「はぁ……はぁ……」 「ふぅ……」 「うーん、みんなお疲れ?」 凛は人差し指を顎に当てながら言った。 一年生達が疲れていることは、火を見るよりも明らかだった。 「はい……凛先輩の訓練、とっても大変で……」 「んーでも凛ちゃんの訓練そんな大変なほうじゃないよー? プラウダじゃこれぐらい普通だよー?」 「こ、これが普通……」 代表して口を開いた一年生は、顔を真っ青にした。 それに対し、凛はケロリと平気な顔をしている。それが、一年と二年の練度の差を示しているように一年生達には思えた。 「よくしごいているようじゃないの、リン」
5 17/05/08(月)01:30:16 No.425759882
と、そこへ凛の名を呼ぶ甲高い声がした。 凛はその声を聞くと、満面の笑みでその声の方に向く。 「その声は……カチューシャ様!」 そこにいたのは、プラウダの隊長であるカチューシャだった。カチューシャは副官であるノンナに肩車されている。 凛はカチューシャの姿を見ると、元気そうにノンナとカチューシャの側に駆け寄った。 「どしたんですかカチューシャ様! 今日は凛ちゃんが一人で頑張る予定でしたよね? あっもしかして凛ちゃんの様子見に来てくれました!? 嬉しーですー!」 凛は顔を赤くし、両手で頬を抑えながらブルブルと頭を振った。
6 17/05/08(月)01:30:32 No.425759927
「んーそれなんだけどね、今日は途中からノンナと交代してもらうわ。早めにノンナの手腕を一年生に見せたほうがいいと思ってね。リン、あなたはそうね……こっち来なさい。カチューシャ様が直々に戦術を教えてあげる。あなたは有望だからね」 「本当ですか!? ありがとございますー!」 そう言うと、カチューシャはノンナの頭から降り、凛を先導するように学校の方へと歩いて行く。 そしてその場には一年生と、ノンナが残された。 「さあ、少し休んだら訓練を再開しますよ。言っておきますが、私は凛よりも厳しいですよ……?」 ノンナのその言葉に、一年生の顔が引きつった。
7 17/05/08(月)01:30:48 No.425759962
「……それで、ここは数で押すの。わかった?」 「はい! 分かりました!」 凛はカチューシャから直々に教鞭を振るわれていた。 ホワイトボードに描かれた戦車や地形の図を、凛は細かくメモしていく。カチューシャはそんな凛の姿を見て、満足げに笑った。 「ふむ、さすが飲み込みが早いわね。さすがこのカチューシャ様が見込んだだけのことはあるわ」 「そんな……カチューシャ様の教えが見事なだけで、凛ちゃんはまだまだですよぅ」 「あら、私があなたを素晴らしいと評価してるのよ? それを否定するなんて、いい度胸してるじゃないの」 「あっ!? い、いえ! そんなつもりはなかったです! ごめんなさい!」 凛は大慌てで頭を下げる。そんな凛を見て、カチューシャは不敵な笑みを見せる。 「ふん、分かればいいのよ。いいリン、私の言うことは絶対、このことを忘れちゃだめよ?」 「はい、それはもう! 凛ちゃんは、カチューシャ様に人生を捧げていますから……」 凛はそう言いながら、そっとはめている手袋を脱ぐ。
8 17/05/08(月)01:31:08 No.425760016
そこに顕になったのは、大きなやけどをした手の平。その火傷痕はひどく、一生治らないだろうということが見るだけで窺い知れる。 そんな火傷痕を見ながら、凛は思い出す。 鉄をも焼く業火。 熱に消え入る悲鳴。 血肉を焼く音と走る激痛。 そして、すべてを諦めたときに現れた、小さな暴君――
9 17/05/08(月)01:31:33 No.425760071
「その心意気やよし! だわ」 凛の回想を打ち破るように、カチューシャがはっきりと言い放す。 「そのことを常に心がけていなさい。そうすれば、あなたも偉大なるプラウダの一員として勝利の美酒を味わうことができるのよ」 「はいっ! カチューシャ様! 凛ちゃんは、カチューシャ様のためなら突っ走りますよ、空も飛びますよ! 凛ちゃんはエレクトロファイヤーですよ!」 「なにそれ、意味わかんない」 そう言いながらも、カチューシャは笑っていた。 凛もまた笑った。 カチューシャと同じく笑えることができることが、凛には嬉しかった。 こうして、プラウダの小さな隊長と、これまた小さな忠臣の時間は、ゆっくりと過ぎていく……。 おわり
10 17/05/08(月)01:34:45 No.425760500
仕事が早いな…!
11 17/05/08(月)01:37:02 No.425760854
まじできた 速いよ大将!
12 17/05/08(月)01:37:41 No.425760939
さっきの雑談スレ見て一目惚れして書きました 読んでいただきありがとうございました su1854160.txt 過去作もよかったら ・シリーズもの su1854162.txt ・短編集 su1854166.txt
13 17/05/08(月)01:43:09 No.425761706
雑談スレの子だ!
14 17/05/08(月)01:44:58 No.425761933
ストロンガーで吹いてしまう
15 17/05/08(月)01:49:30 No.425762489
明るい 小さい 金髪 手袋 ストロンガー
16 17/05/08(月)01:51:21 [す] No.425762693
なんだかアホの子みたいになったけど許してくれるかな許してくれるねありがとうグッドトリップ
17 17/05/08(月)01:54:18 No.425763069
星北凛奈を思い出した俺は確実におじさん
18 17/05/08(月)01:58:07 No.425763489
身長の低さにノンナさんもにっこり
19 17/05/08(月)02:00:25 No.425763733
大丈夫? この子星凛は自分で考えた戦車ネームだったり土呂築さんを退学に追い込んだりしない?
20 17/05/08(月)02:03:39 No.425764033
これは…指導者の器ですね
21 17/05/08(月)02:05:34 No.425764213
本名は岡田澄子かもしれない
22 17/05/08(月)02:08:58 [す] No.425764535
先陣は切ったので「」もどんどん凛ちゃんを書いて欲しい
23 17/05/08(月)02:11:53 No.425764814
フムン…星だからきらりんにもなるんだな…
24 17/05/08(月)02:39:50 No.425767148
よくわからないけど可愛いってことだけは分かった!