17/05/05(金)23:20:51 怪文書... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1493994051224.jpg 17/05/05(金)23:20:51 No.425243791
怪文書ですご注意ください 一応続きものですので前のも置いておきます su1850872.txt
1 17/05/05(金)23:21:31 [1/5] No.425243997
一回戦が近づく中、一日の練習を終えた私は操縦士として練度を上げようと課題点を洗い出す。 「あとは…砲撃から逃げる時に動き出すタイミングが気になるかな」 そう一人ごちてメモに書き、明日の練習前に西住さんに聞こうとページを閉じる。 よし、じゃあ私も帰ろう。そう思った所に駆け寄ってきた生徒から声をかけられた。 「小山先輩、また質問があるんですが。お時間は大丈夫ですか?」 山郷さんにそう話しかけられた私は笑顔で応える。 「ええ、ちょうど終わった所よ。じゃあまたいつものベンチに行きましょうか」 初めて質問をされ、昔の話をしてあげた場所。 話して決めたわけではないけれど、いつの間にか二人で話す時はこの場所になっていた。 二人で並んで歩き、自販機前のベンチに荷物を置く。 じゃあジュースでも、と思いバッグに手を伸ばす私を制する様に山郷さんは手を前に出していた。 「今日は私がおごります!先輩は座っててください」 「一年生におごってもらうなんて…」 「たまにはいいじゃないですか!気にしないでください」 楽しそうな山郷さんの表情を見て、私は押し切られる様に座り直した。
2 17/05/05(金)23:21:48 [2/5] No.425244079
ジュースを選ぶ山郷さんの後ろ姿を見ながら私は知り合ってからの彼女について考える。 ウサギさんチームに対しては澤さん以外全員が無邪気な、悪く言ってしまえば子供っぽさが残ったままという印象が強かった。 しかし、ふとした縁でじっくりと話してみた山郷さんは相手に合わせる気遣いをする人だった事を知る。 この子は別のチームだったらまた違う一面を見せるんだろうなぁ。 そんな風に各チームそれぞれに合わせた山郷さんをぼんやりと想像をしていると、ジュースを持った本人が戻ってくる。 「すみません、新しいジュースが入ってたのでどれを買おうか悩んじゃいました」 「いいのよ、急ぐわけでもないんだし」 そう答えると「なら良かったです」と安心した様に言いながらお茶を手渡してくれた。 「ありがとう。本当に奢ってもらっちゃってもいいの?」 申し訳無さを感じている私は念の為に確認をしておく。 「いいんですいいんです!いつも私がごちそうになってしまっていますから」 そう言いながら手をふる山郷さんがベンチに腰掛けるのを待ち、缶のタブを開けて一口飲む。 「それで、今回は何が聞きたいのかしら」
3 17/05/05(金)23:22:05 [3/5] No.425244173
「はい、今回は学園の戦車道についてです」 その言葉を聞いて、思わずドキリとしてしまう。 なるべく顔に出さないようにしながら、私は続ける様に伝えお茶を一口飲む。 「皆と…というより梓と話してたんですけど、この学校って長い間戦車道をやってなかったんですよね。 それなのにどうして急に復活させたのかなって気になってしまったんです」 お茶を飲んで潤したはずの喉がカラカラに渇いている気がしながら、私は人差し指を立てて言葉を選ぶ。 「…ごめんね。それは答えられない質問、かな」 おどけてみせるけれど、口から出る言葉はそれしかない。その答えは私達生徒会だけの秘密なのだから。 「あれだけ履修者を優遇するんだから何か裏があるのかなって思ったんですけど…」 「うーん…理由はあるけれど、今は教えられない事なの」 慕ってくれているこの子に嘘はつきたくない。でも、答えるわけにはいかない。 いつも通り、目線を逸らしつつ笑いながらの軽い返答。 これで大丈夫かな。そう思い逸らした目線を戻して山郷さんの顔を見ると、私の考えが甘かった事に気が付く。 「すみません!私調子に乗っちゃったみたいで…」
4 17/05/05(金)23:22:20 [4/5] No.425244258
謝る山郷さんと、別に悪い事じゃないと伝える私。 堂々巡りとなりつつあった会話を切り替えるべく、私は山郷さんの右手を取る。 私も小指を立て、驚く山郷さんに告げる。 「じゃあ、こうしましょう。指切りで約束」 「約束、ですか?」 まだ伏し目がちになりつつも、彼女は目線を上げてくれる。 「大会が終わったらかな。卒業する時までにはきちんと教えてあげる。だから、約束の指切り」 「いいんですか?小山先輩が言えないなら私も聞かない様にしますけど…」 小指を出しつつもまだ遠慮をしている山郷さんに対しけらけらと笑いながら、私の小指と結ぶ。 「そんな悲しそうな顔をしながら言わないの。大丈夫よ、その頃なら言えると思うから。興味があるって言ってた澤さんにもそう伝えてもらってもいいわ」 「そうですか…わかりました。じゃあその時を楽しみにしてますね!」 澤さんにも伝えて大丈夫。そう聞いてやっと顔が明るくなった山郷さんを見てほっと一息つきつつ小指を解く。 「今日はここまでにしよっか。今度はまた一年生の話を聞かせてね」 「はい、わかりました。うさぎさんチームの元気な姿をお届けしますね」 「うん、楽しみにしてるね」
5 17/05/05(金)23:22:36 [5/5] No.425244353
「私は飲み終えてから帰るね、今日はごちそうさま」 頭を下げてから帰って行く山郷さんを見送った私は、ベンチに腰をかける。 「どうして戦車道を再開したんですか、かぁ」 問いかけられた言葉を噛み締めながら、お茶を一口飲む。 もちろん私達生徒会を知っている。 でも、それを伝えられるとしたら道は二つ。 閉校が決まった後に伝える場合と、優勝して大会にかかっていた事を打ち明けられる様になった場合。 もちろん優勝なんて夢に近い事なのは理解をしている。 でも、この学園艦を守る為にはやらないといけない。 私は空き缶を捨て、課題点で埋め尽くされたメモ帳を手で触り気持ちを引き締める。 「その為にも、明日ちゃんと聞いて可能性を少しでも高くしないと」 山郷さんだけじゃない。戦車道を選んでくれたみんなやそれ以外の生徒たち。そして無理矢理に巻き込んでしまった西住さん。 最後にどうなるかはわからないけれど、私たちに出来る事はそれだけなのだから。 「でも、やっぱり笑顔で笑い話として教えてあげたいな」 誰にも打ち明けないそんな言葉を、私は独りごちてから家路についた。
6 17/05/05(金)23:23:44 No.425244730
珍しい組み合わせだな!?
7 17/05/05(金)23:27:41 No.425246044
指切りで約束いいよね…でもこれ桃ちゃんがみんなにバラしちゃうよね…?
8 17/05/05(金)23:28:00 No.425246133
桃ちゃんのおかげで酷いことになるのは分かる
9 17/05/05(金)23:33:59 No.425247787
続き来るとは思ってなかったからメッチャ嬉しい!ありがとう!
10 17/05/05(金)23:50:42 No.425252342
女の子同士の指切りっていいよね...
11 17/05/06(土)00:14:23 No.425257328
>怪文書ですご注意ください いちいち言わなくていいよ
12 17/05/06(土)00:15:19 No.425257551
というか怪文書じゃないよね…