17/04/02(日)00:29:38 怪文書... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1491060578931.jpg 17/04/02(日)00:29:38 No.418323604
怪文書ですご注意ください
1 17/04/02(日)00:30:17 [1/5] No.418323757
年度の始まりに騒げるきっかけをくれる、そんなエイプリルフール。 イベントを愛する私達アンツィオ生達もその日を楽しみにしていた。 とはいえドゥーチェを中心に戦車道履修者で何かをしようにも三人しかおらず、予算の足しにしようと周囲に混ざって出店で稼ぐチャンスと捉える事くらいしか出来ない。 「来年はたくさんの生徒で騒げたらいいッスね」 私と同じ気持ちなのか、ペパロニさんがそう言いながらフライパンにオリーブオイルを垂らす。 「…言っておくが来年は私はいないからな?」 店の奥からは呆れたドゥーチェの声が返ってくる。 「えー、そりゃないっスよ姐さん。もう一年楽しんでいきましょうよ」 「アホ!その頃には卒業だ!」 その言葉にちくり、と胸の痛みを感じながら私は茹で上がったパスタを上げる。 「ペパロニさん、パスタがあがったのでソースお願いします」 「あいよー!」と景気のいい声とともにナポリタンが作られ、私はすぐに盛り付ける鉄板を用意する。 「これに盛って…鉄板ナポリタンあがったよ!」 私達三人はチームワークを発揮しつつ、盛況な店の切り盛りに勤しんだ。
2 17/04/02(日)00:30:48 [2/5] No.418323888
比較的計算が得意な私が売上と在庫を確認し仕入れをし、二人が移動販売車の清掃をする。 これが私達三人が取り決めた店仕舞いの段取りである。 にぎやかな二人の声を聞きつつ計算をしていると、賄いを兼ねたナポリタンが運ばれてくる。 「お疲れ。材料で偏りがちな物があれば言ってくれ」 「はい、大丈夫ですよ。ペパロニさんがバランス良く使ってくれてますから」 「そうか、あいつは考え無しだと思ってたがきちんと考えていたんだな」 「ひどいなぁ、いつだってちゃーんと考えてるんスよ?」 そう言いながら、自分の分を持ったペパロニさんも席につく。 「じゃあいただきます!カルパッチョも書き仕事は後にして先に食べちゃおうよ」 私は二人よりも食べることが遅い自覚もあるので、その誘いに素直に応じる事にした。 「わかりました。伸びちゃうのももったいないですしね」 「ソースで汚さない様に気をつけろよ」 「はい、ありがとうございます」
3 17/04/02(日)00:31:16 [3/5] No.418324016
三人での食事を終え、自分が食べた皿を洗いながらふと思い出した私は会話を切り出す。 「そういえば、イタリアではエイプリルフールを”四月の魚”と言うらしいですね」 「ああ、嘘をつくだけじゃなくいたずらをするらしいな。私も先生から授業の合間に聞いたがやんちゃすぎるのも困ったもんだ。他の人に迷惑はかけるなよ?」 私達、と言うよりもペパロニさんに告げる様にドゥーチェはジト目になりながら言う。 「あっ、いけね!ドゥーチェ!私まだ嘘つけてないっス!」 聞いているのかいないのか、ペパロニさんは別方向に話を持っていく。 「…そうか、ついてこい」 「やだなぁ!ドゥーチェにつくんすよ!」 「嘘をつく前に宣言をするな!こっちもどうしていいかわからないだろ!」 「あーそっか、じゃあいいかなぁ。何かしたかったなぁ」 私は皿を片付け、呆れるドゥーチェと悔しげに伸びるペパロニさんに声をかける。 「洗い物が終わりました。そろそろ行きましょうか」
4 17/04/02(日)00:31:38 [4/5] No.418324115
寮に戻る道すがら、私は二人の少し後ろを歩きながらバッグの中をゴソゴソとまさぐる。 あった、目当ての物だ。 私は緩む頬を押さえつつ、ポンと二人の背中を軽く叩く。 「おわっ、急にどうした」 「なになに、スキンシップ?」 戸惑う二人を追い越し、私は背中を向けたまま話を切り出す。 せっかくのいたずらなのに、顔を見られてはすぐにバレてしまう。 だから背中を向けておかなければいけないのだ。 「さっきの話ですけれど、授業の後に先生に聞いたんです」 「あー?四月の魚の話か?」 「はい。いたずらと言ってもどんな事をするのか気になりまして」 「ああ、確かにやりすぎて怒られるのは駄目だからな。確認は大事だ」 うんうん、と頷くドゥーチェ。 私は人差し指を立てて話を続ける。 「先生がおっしゃるにはよくあるいたずらとして、借りた本に魚の絵を挟んだり気付かれない様に背中にその絵を貼り付けたりするそうです」
5 17/04/02(日)00:32:06 [5/5] No.418324235
「へぇー、そうなんだ。じゃあ今から用意しないといけないね」 「んー?うん、今その話ってまさか…」 「よし、私は先に失礼するっス!絵を描いてきます!」 走り出したペパロニさんの背中を見て、ドゥーチェも自分の背中に手を回す。 「やられた!ちくしょうカルパッチョにやられるなんて!おいペパロニ待て!背中だ背中!」 急に言われて慌てたのか、背中を見ようとくるくると回るペパロニさん。 悔しそうに、でもイベントそのものを楽しむ様に笑っているドゥーチェ。 「すみません、私もイベントを楽しみたいアンツィオ生ですので」 舌を出してそう伝えると、回っていたペパロニさんも足を止めて笑い出す。 私は背中に魚の絵が張り付いた二人に両肩を組まれつつ、一緒に笑いあいながら寮へと戻る。 「今回はカルパッチョの一人勝ちだな。よし、今年の春からはもっと多くの履修者と大騒ぎをしようじゃないか」 「そうっスね。今度はカルパッチョに負けないよ」 この楽しさを三人だけで分け合うのはもったいない。多くの人と一緒に騒げれば楽しみだって膨らむだろう。 きっと、私達ならまた生徒を増やせる。そう感じ合える春先のひとときだった。
6 17/04/02(日)00:34:57 No.418324946
このほのぼの感いい…
7 17/04/02(日)00:35:07 No.418324979
めっちゃ良い…3人の仲良し感がとてもいい…
8 17/04/02(日)00:35:53 No.418325167
タイミング的にドゥーチェが3年になった年の4月か
9 17/04/02(日)00:36:24 No.418325276
カルパッチョ可愛いな…
10 17/04/02(日)00:46:02 No.418327426
久しぶりに遭遇できたけど今回もとてもいいものだった…
11 17/04/02(日)00:50:15 No.418328383
穏やか…