虹裏img歴史資料館

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17/03/29(水)02:00:20 私は備... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1490720420761.jpg 17/03/29(水)02:00:20 No.417552346

私は備前藤原の弟子に這入った。私は窯場の陰に机を置いて、その上で土を揉んだ。私は師だけを頼りにし、又崇拝して弟子になった。 師には孫娘があった。師が出かけて行って、私は孫と二人になった。大方晩飯だろうと思う。孫がお給仕をしてくれた。いい女だと思った。 暫らくそうして坐っていると、女は、 「皿鉢小鉢てんりしんり、慌ててはいけません。私がいいようにして上げますから落ちついているといいわ」と云った。 そう云いながら、私を抱き締めた。私は身もだえしたけれど、女は中中離さなかった。そうして、胸から顔を離して、私の顔を仰ぎ見た。私は女の美しい顔に見入って、他の事を忘れかけた。 すると、いきなり表の格子戸が開いて、師が帰って来た。私は、女を突き離す様にして、襖の方へ逃げ出した。 師は、にじりよって、私を睨んだ。「士農工商、云ったって駄目だ。君の様に頼み甲斐のない人はいない」と云った。 私は、とうとう、備前藤原の所を追い出された。 泪を一ぱいに流して、泣いていると、解った。師は、私と孫を恋仲にしたかったのである。けれども、師が、どうしてそんなに私を気に入ってくれていたんだか、それはわからない。

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