17/03/05(日)02:49:53 怪文書 ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1488649793727.png 17/03/05(日)02:49:53 [su1773930.txt] No.412682864
怪文書 さおまこ はなさお そどまこ風味 声優ネタ多数なのでご注意ください
1 17/03/05(日)02:51:00 No.412682989
「やめろ沙織……今日は日曜だぞ……なんで起きなきゃいけないんだ……」 「練習があるからだよう!」 冷泉麻子は布団をかぶる。武部沙織は布団を掴む。綱引きの形となった。お互いに引っ張り合って、我慢比べ。 「ゃぇぉぅ……」 ひとときの死闘ののち、弱々しく麻子が音を上げた。布団を引き剥がした勢い余って、沙織がドンと尻もちをつく。 「いたっ!」 布団を手放した麻子は目を開けて、悲鳴をあげた沙織を一瞥する。顔をしかめ尻をさすってはいるが、大事はないようだった。沙織の無事を確認した麻子は寒そうに体を縮こまらせ、布団もなしにこの朝何度目かの眠りにつこうとする。 「もう、強情なんだから! そっちがそのつもりならこっちにだって考えがあるんだからね、」 沙織は枕元に言い訳がましく置いてある目覚まし時計を掴んだ。つまみをぐりぐりと力一杯回して時間を合わせ、アラームを鳴らしはじめる。けたたましく騒ぐ時計を、麻子の耳元に近付けていく。
2 17/03/05(日)02:51:17 No.412683033
「ぅるさぃ……」 目を閉じたまま、手探りで時計をつかもうとする麻子。沙織はその手の届かないすこし先に目覚まし時計を置いた。 麻子は音だけを頼りに、手を突き出してじりじりと進もうとする。その間も目は開けようとしない。頑なに起き上がることを拒否している。 沙織はそれをみて溜息をつくと、テレビのリモコンを掴んでスイッチをいれた。日曜朝の子供向けアニメが流れ始める。チャンネルはどこでも良かった。ボリュームを段々と上げていく。 目覚ましとテレビの音に苦しめられて、うう、と麻子が呻き声をあげる。 「そど子もいるのか……二人がかりなんてひきょうだぞ……」 「えっ? いないよ?」 「いるだろ……そこに……」 『出る出る、おなら出るへボ!』 耳から入ってきた情報が麻子を瞬時に覚醒させる。弾かれたような勢いでがばり起き上がる。 「そど子が狂った!」 目と口を大きく開けたまま、異変の原因を探そうと、麻子はきょろきょろとあたりを見回す。 あのそど子が。どうしたことだ。なにが起こった。 「あれ? そど子いない……」 「どうしたのよ急に」
3 17/03/05(日)02:51:32 No.412683082
『心のネジを締めて行こうぜ!』 「テレビ……? テレビからそど子の声がするぞ……?」 「えっ、ああ、これ? うーん、たしかに似てるかも」 「ぉぉぅ……なんだこれ……」 テレビに映る子供向けギャグアニメ。そのマスコットキャラクターの声は、風紀委員園みどり子の声にひどく似ていた。 ほう、と溜息をもらして、麻子はテレビの前へ這って行く。 テレビの中では園みどり子に似た声でしゃべるロボットが、子供向けアニメ特有の破天荒な動きと台詞で暴れ続ける。 麻子は不思議そうに二度三度、モニターをぺちぺちと叩くと、テレビの間近で座り込んだ。 アニメに夢中になる幼い子供のようなその姿に、沙織は呆れたように笑うと目覚まし時計を止める。 「くふっ……そど子がおならしてる……ふふっ……お下品……風紀を乱してる、いけないぞ、そど子……」 麻子はくつくつと楽しそうに笑って、またテレビにかじりつく。 「ほら、早く準備しなさいってば」 「んー、もうちょっとー」 もう、起こしてもなかなか起きないその次は、アニメに夢中で返事も上の空とは。まったく手間のかかる。 沙織はふるふると頭を振って嘆息する。
4 17/03/05(日)02:51:54 No.412683118
それに、せっかく起こしに来てあげたのに。私よりそど子さんが気になって起きるだなんて。まったく、ひとのことをなんだと考えているのだろう。 「似てる声の人もいるもんだな、沙織」 画面には登場人物が勢揃いして踊るエンディングが映し出されている。ようやくテレビから目を離し振り返った麻子は、沙織の表情を眺めて首を傾げる。 「どうした沙織? いつもより膨らんでるぞ」 「ひどい!」 「で、どうしたんだ」 「なんか納得いかないんだよね」 「なんだよ」 「私が起こしに来てるのにさ、そど子さんの話してー」 その言葉に、麻子は一瞬ぽかんとした気の抜けた表情を見せたが、すぐになにかに思い当たったのかくすくすと笑い始める。 「それ、ヤキモチか、沙織」 「え?」 「そど子にヤキモチ妬いてるのか」 沙織の顔がだんだんと紅潮していった。麻子はそれを見てまた笑う。大袈裟に手を振って否定する沙織。 「そそ、そんなんじゃないよ! わざわざ来てあげたのに麻子ってば失礼じゃない? って話だよ!」
5 17/03/05(日)02:52:09 No.412683139
「ふうーん。嫉妬する女はモテないらしいぞ」 にやにやとした表情のまま茶々を入れる麻子。幼馴染をからかえるのが心底楽しくて仕方がないらしい。沙織はよりいっそう頬を膨らせて反論する。 「だーかーらー! 嫉妬とかじゃなくてさー、ほら、麻子のためにこう」 「尽くしてるのに?」 「違うってば!」 「自分は尽くす女だからモテるって、こないだ自慢してたじゃないか」 口元を歪めたままで麻子はからかう。そうしておどけたように続ける。 「沙織に尽くしてもらうのもいいな。毎朝ご飯つくってもらおう」 「やだよそんなのー、毎朝起こすの大変そうじゃん!」 「今もそんなもんだろ」 「大変だってわかってるんなら起きなさいよ!」 ぎゃあぎゃあと騒ぐ沙織を制するかのようなタイミングで、ピンポンとチャイムの音が響いた。 「あ! ほら、みぽりんたちだよきっと! 早く準備しないと!」 「そど子かもしれないぞ」 「もー! だからやめてってば!」
6 17/03/05(日)02:52:38 No.412683193
「ごめんくださーい、麻子さーん、沙織さーん?」 五十鈴華の、鈴の音のような声が遠くから聞こえてくる。日曜の朝の出来事だった。 それから数日の後。 「そど子、今日はオナラしないのか? ネジは? ネジはいるか?」 「何言ってるのよ冷泉さん」 「あらまあ、麻子さん、そど子さんと仲がおよろしくて」 「やめなよ麻子ぉ、そど子さん困ってるよぉ」 「あなたたちまでそど子って呼ばないで! そーのーみーどーりーこ、なんですけど!」 大洗女子学園、校門の前。登校する生徒たちと、それを待ち受け服装のチェックを行う風紀委員たち。その一角では、珍しく多少の余裕を持って登校した麻子が、風紀委員長である園みどり子に絡んでいた。その側ではともに登校した沙織と華が様子を見守っている。 肩に手を回し、にやにやといやらしい笑いを浮かべながら、麻子はそど子にとって理解不能な単語を並べる。
7 17/03/05(日)02:52:59 No.412683227
「くくっ……くくく……そど子……今度スーツ着てくれ……捜査官……髪型も似てるんだ……ヘボ美……」 「私、パゾ美です……ヘボ美なら……」 同じく風紀委員の金春希美が口を挟む。カモさんチームを務めるそど子、パゾ美、ゴモヨの三人はその似通った外見から間違われることも多い。自分たちの名前には敏感なのである。 「ああ、すまないパゾ美……お前のことじゃないんだ……パゾ美も似てるんだけどそど子が激似なんだ……ふふっ……ふふふふ……羊たちの声はまだ聞こえるかい……?」 「なんなのよ! 珍しく朝から元気だと思ったら気持ち悪いわね!」 「頭のネジを締めていこうぜ、な、そど子」 ぽんぽんと頭を叩く麻子の手を忌々しげに払って、そど子は同行していた沙織に噛み付いた。 「武部さん、なにがあったのよ! あなた保護者でしょ! 教えてちょうだい!」 「ええー!? わ、私!?」 「あら、沙織さん保護者でしたの?」 「はやくして、やくめでしょ!」
8 17/03/05(日)02:53:31 No.412683310
「それがね、朝のアニメに出てる子が……」 血相を変えて詰め寄るそど子に、しどろもどろになりながら慣れぬ説明をはじめたところだった。 「すっごく似てるんですよそど子センパイに!」 「桂利奈ちゃん!?」 ウサギさんチーム操縦手、阪口桂利奈が、沙織に助け舟を出す。 「話はだいたいわかりました!」 一部始終を聞いてでもいたのだろうか、と沙織は思う。 なんにしろ、助かった。 「おお、阪口さん。録画したやつありがとう、最高の仕事だ」 「どういたしまして!」 親指を立てる麻子に、敬礼で返す桂利奈。 桂利奈はアニメ、特撮に深い知識量を持つ。いわゆるオタクである。 沙織は預かり知らぬことではあるが、問題のアニメについて麻子がまず尋ねたのが桂利奈であった。すると桂利奈もそのアニメを好んで視聴していたことがわかり、録画を麻子に貸すことになった。ハマったきっかけは偶然だが、それを補強したのは桂利奈である。当然、ロボットがそど子に大変似た声をしていることついては諒解している。
9 17/03/05(日)02:53:49 No.412683355
「アニメに出てくる主人公の相棒ロボットが、そど子さんの声にそっくりなんです!」 「いやーそど子みたいな声の人って、いるもんなんだな、他にもあんな声いるのかな」 「なによ私の声が変ってこと!? 失礼ね!」 そど子がすごい剣幕で麻子の肩をがくがくと揺らす。麻子はにやにや笑いをそのままに、させるがままにさせていた。よっぽどそど子を『いじれる』のがうれしいらしい。沙織はそう感じた。 「いますよ! そど子先輩みたいな声といえばー、猫耳の魔女ですよ!」 「あら『ネコ』ですか」 「え、猫耳? かわいいー! どんなのどんなの? 私ちょっと興味あるかも!」 知識を披露できるのが嬉しいのか、興味を示した華と沙織に、桂利奈は得意げな笑顔を見せる。
10 17/03/05(日)02:54:07 No.412683401
「エンディングで拷問にあってるの、すっごくかわいかったです!」 「え……拷問?」 反応に困る予想外の返答。 一同を、数瞬の間が支配した。 「拷問と言いますと、その、ドラム缶に詰めたり、ペンチで爪を……」 「いや、華、なんで詳細に聞こうとするの。そこじゃないって。ねえ、桂利奈ちゃん、その……何を見るかは自由だけど、一度ちゃんとお話ししようね……」 「え? でも武部先輩って、いも」 なにかを言いたげな桂利奈であったが、そど子の大声がそれを遮る。 「そうよ! そんな残酷なアニメみちゃだめよ! 風紀の乱れにつながるわ!」 「えー、もっとざんこくなのもあるのに! ざんこくさと作品のげいじゅつせい? は関係ないと思いますー。ざんこくでもいいアニメはありますよ! ほら、あの魔法少女が」
11 17/03/05(日)02:54:39 No.412683466
「あ! 知ってる!」 沙織が自らの知っている話題に食いつく。 「流行ったよねー! 私、好きだよあのアニメ!」 魔法少女と魔女のアニメ。すごく流行っていたので観たのだ。最近はアニメ好きなイケメンも多い。そういう男子といつか会話するため、抑えておかねばと思って観て、意外にも号泣したことを覚えている。映画まで観に行った。自動車部のツチヤさんや広報部の王大河さんも好きだとかで盛り上がった。あれば確かによい作品だ。 「肉体言語でかたりあうのとか!」 「なにそれしらない」 予想外の発言。肉体言語? なんだそれは。奇跡と魔法もある話ではなかったのか。知らない。そんな話は知らない。
12 17/03/05(日)02:54:57 No.412683511
「同じ監督なんですよ!」 「監督って……?」 不可解な発言を続ける桂利奈。今日の彼女の発言はよくわからないものが多い。そういえば、猫耳の魔女。私、どこかで……。沙織は眩暈を覚える。なんだろう。これ、この、記憶。 「それ以上、いけない」 ぽつりと、小さな、だが不思議と耳に残る声がした。肩に軽い衝撃。振り向くと桂利奈のチームメイト、丸山紗希が沙織の肩を叩いていた。 「「「「紗希がしゃべった!?」」」」 その後ろからぞろぞろと、残るウサギさんチームの四人が現れる。 「あ、紗希ちゃん! みんなも! おはよー!」 ハイタッチしたり、ハグしたり、ウサギさんチームが騒がしく挨拶を交わす。沙織は先ほどまでの眩暈が嘘のように消えていることに気づいた。 「その話より……そど子さんの……話……」 「そうだそうだ」 紗希の発言に麻子が口を開く。 「ショッキングだぞ……くくっ、そど子が、そど子が……」 「そのアニメー、優季ちゃんと五十鈴センパイも似た声の人出てるんですよ!」 「あら、そうなんですの?」
13 17/03/05(日)02:55:21 No.412683549
「五十鈴センパイはー、えーと? お姫様? で、優季ちゃんはウサギさんなんだよ!」 「えー? すごーい! たのしそー!」 「うん、それはウサギのフレンズってか、違うアニメのけものだね!」 「やだー! けものって~、ウサギってぇ、そういうことぉ?」 「ええい! なんの話をしてるのよ! 宇津木さんも! なんだかよくわからないけどその発言は風紀を紊乱してる気がするわ!」 「ひどーい! びんらんってぇ」 なにかを勘違いしている。ウサギさんチームが間違った方向に進んでいる。沙織はやはり一度話し合う必要があると感じた。 「そうだ! 今度みんなで一緒に見ましょうよ! 日曜の朝練習の前に!」 「おお、面白いなそれ」 「え! ちょっと麻子ってば起きれるの?」 沙織の予想に反して、桂利奈の提案に麻子が乗り気だ。 朝起きるなんて、絶対に拒否すると思ったのに。そんなにあのアニメが。そど子さんが気になるのか。 「そど子に嫌がらせするためなら起きられるかもしれない……!」 やっぱり、そういうことか。なんだか、面白くない。 「あらあら、なんだか随分ご執心ですね」
14 17/03/05(日)02:55:37 No.412683589
「ふふふ、私だってやるときはやるぞ」 華の声。そう。ご執心。それは面白くない。いまも、麻子はそど子を見つめて笑っている。面白くない。 沙織は無意識に頬を膨らませていた。 「なによ人の顔観て笑うのやめなさいよ! あとそど子って言わないで! いいわ! 日曜日ね! 私も観るわ! それであまりにひどかったら禁止よ禁止! 風紀委員の名において禁止してやるわ!」 「規則は縛るためにあるんじゃないぞ」
15 17/03/05(日)02:56:26 No.412683687
ながいのでつづきはテキスト su1773930.txt ペケットが出てくる前に投げなければという使命感に襲われた
16 17/03/05(日)03:02:02 No.412684304
きたのか!
17 17/03/05(日)03:02:53 No.412684423
なにこの…なに?
18 17/03/05(日)03:06:36 No.412684791
心のネジが締まってきた!
19 17/03/05(日)03:10:27 No.412685096
>親友の思考パターンを想像して、麻子は怒りを覚えた。 ここ麻子じゃなくて沙織かな?
20 17/03/05(日)03:13:21 No.412685317
怪文書なのにまこさおしてる…
21 17/03/05(日)03:13:54 No.412685368
よく分からないが心のネジを締めていこうぜ!というメッセージは確かに受け取った
22 17/03/05(日)03:16:37 No.412685587
悲鳴に反応して一瞬だけ起きるのいいよね…
23 17/03/05(日)03:18:15 No.412685699
私は絶対譲らない もう早起きはいたさない こんなに眠いよ ねえ凄く眠いの
24 17/03/05(日)03:21:17 No.412685947
>「肉体言語でかたりあうのとか!」 大魔法峠…?
25 17/03/05(日)03:24:35 No.412686197
>私は絶対譲らない シンフォギアじゃねーか!
26 17/03/05(日)04:00:41 No.412688183
さおりんに似た声の子も歌ってるからシンフォギアでもいいよね!