17/02/25(土)06:57:05 西住S... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1487973425574.jpg 17/02/25(土)06:57:05 No.411048815
西住S! お待たせしました、この前あげたのの続きです! su1764465.txt←これが今までのね? 前回までのあらすじ! 杏会長のところに話を聞きに行ったわたしは、会長と欠住の関係を知る 欠住にはなにか秘密がまだありそう その帰り道、偽住と再会したわたしは、ちょっとした賭けに出た。わたしだって西住みほなら、きっとスーパーアンコウを呼べるはず! 果たして現れたスーパーアンコウは、キラキラと人の形を作り出した 『わたしは過去未来世界全ての西住みほを記録する調停者にして観察者。 古今東西住(アカシックレコードずみ)です。 改めて、ベタ住さん。この世界は、狙われている』 これからいったいどうなっちゃうの!?
1 17/02/25(土)06:58:04 No.411048857
キラキラ輝く”わたし”の姿を、わたしたちは口を開けて見ていた。 「神々しい……」 偽住の言葉にわたしも頷く。 「うん……まるでわたしじゃ無いみたい」 『わたしはあなた。あなたはわたしの一部。わたしは全ての記録を持つ者』 もう一度彼女、古今東西住(アカシックレコードずみ)は繰り返すとスーパーアンコウごとキラキラと輝く! そしてピンクの戦車は消え失せて、白い羽衣に身を包んだわたしが立っていた。 「あなたが全ての西住みほの根源?」 わたしの質問に、古今東西住は顔を横に振った。 『いえ。わたしはあなたたちの全てのバックアップです。始まりから終わりまで全てを知る者』 わたしは偽住の顔を見て、互いに頷いた。これはまたすごいことになっちゃったぞ。 「じゃああなたは私たちがこれから何をするのかも分かっているんですか?」 偽住の質問に古今東西住は、いいえ、と応えた。
2 17/02/25(土)06:58:24 No.411048869
『わたしはあなたたちの思考を読み取ったり、未来を確定したりする能力は持ちません。だからベタ住さん。あなたが何故わたしの正体を見破ったのか分からないのです』 なるほど。 「記録はされているけれど、自分から選択して引き出すことが出来ないのね?」 『はい。あなたが見た、ESP研究会と同じです』 光り輝くわたしは優しく笑う。 「偽住。彼女はわたしたちの知っていることを使って語りかけてくる。ESP研の子たちがミニ四駆に自分たちのESPAをのせてるのと同じ。 自律するための自我であるESPAを乗せて、車を肉体の代わりとしている」 『もちろんわたし個人の思考もありますよ。その点だけはESP研究会の方々と異なりますね』 そっと差し出された手を取ると、彼女の優しい光の感触がした。偽住もそっと手を出すと、古今東西住は微かにためらった後でそっと偽住に触れた。なんだろう。触れたくなかったっていうんじゃなくて、触れちゃいけないものに触れた、みたいな。
3 17/02/25(土)06:58:53 No.411048892
『さあ、ベタ住さん。何故あなたはわたしが偽住さんと回線を交えていたと気づいたんですか?』 「それは、七つの回線が、あのバレーボールの試合で伸びていたと知ったからです。 闇住、if住、鬱住、ナポリン、わたし、そして西住みほ(オリジナル)。あとの一つが偽住に伸びるはずが無い。でも、偽住には確かに繋がっていた。誰か仲介者が居たはずです」 「え? でも私、試合には出なかったよ」 怪訝な顔をする偽住をわたしは肘で突いた。 「練習はしてたじゃない! あれはちゃんと磯辺さんの動きだったでしょ」 『なるほど』 古今東西住は納得する。 『だからさっき、欠住が自分のESPAの回線を作っているかどうか確認していたのですね』
4 17/02/25(土)06:59:11 No.411048903
「はい。偽住が同じ遺伝子を持っていないと知ったとき、どうして七つの回線が繋がったのか疑問に思いました。 もし欠住さんが別にESPAを持っていたら、わたしのESPAに繋がった可能性もありますけれど。 でも彼女は会長のアバターを使っていましたから不可能です。 わたしが磯辺さんのデータを皆に伝えるハブになっていたのと同様、偽住に情報を伝えるもう一つのハブがあったはず。それもわたしと同じ遺伝子を持った人」 「何故、呼ばれるまで私たちの前に現れなかったんですか?」 偽住が尋ねた。その声はもしかすると少し震えていたかもしれない。ふんわりと古今東西住は笑った。
5 17/02/25(土)07:00:00 No.411048937
「それは理由が二つ。 一つはわたしは、誰かに認識されるまでは姿を現すことが出来ません。情報そのものですから。 次に、情報をそのまま形に変換できる力を持っている人でなくては、わたしの存在に気が付いてもわたしが実体化出来ないんです。 そのためにベタ住さんの力が必要でした」 あ、と偽住が声を上げた。 「そうか。あんたか! あんたが私を呼んだのか!」 「え? どういうこと、偽住」 「大学選抜との戦いが終わった後、寝ていた私のところに声が聞こえたんだ……。 わたしに気づいて。わたしを見つけて、って声。 導かれるままに外に出ると、そこにピンクのⅣ号戦車があった。 はじめは、優花里さんやウサギさんチームのいたずらかと思ったんだ。 でも違った。中に入ると、思いもよらない内装が施されていて、それで」
6 17/02/25(土)07:00:21 No.411048953
『あなたはオリジナルの元に運ばれた。 そうですね。酉住美穂(とりずみよしほ)さん』 はあ、とため息をついて偽住が目を細めた。 「それはベタ住に、自分から伝えたかったな」 「え? どういうこと?」 『こういう字を書くの』 いたずらっ子っぽい表情で古今東西住が指で書くと。酉住美穂の文字が空中に浮かび上がった。わあ、便利! ……じゃなくて。 「余計なことするのはやめなさいよ! 人のプライベートに立ち入ってくるのはレギュレーション違反よ!」 怒ったわたしに古今東西住が首を横に振った。 怒ったわたしに古今東西住が首を横に振った。 『美穂は自分のことはいつも秘密なの』 あ、偽住うぐぐって顔してる。きっとこれは本当なんだ。 どうやら偽住に助け船をだすなら、話題を変えた方がいいみたい。質問を変えて、輝く“わたし”に話しかけた。
7 17/02/25(土)07:00:44 No.411048969
「あなたが皆を連れて旅に出たのね?」 『その通りです。 今世界は危機に瀕しています』 偽住が尋ねた 「危機っていうけれど、一体何が。影住のこと?」 『影住はわたしの影です。ありとあらゆる可能性を否定する影』 「じゃああなたが消えれば、影住は消えてしまうってこと?」 『そう。そしてすべての世界が消えうせる』 この辺は判らないでも無い。だって今まで影住はスーパーアンコウ狙ってきてたものね。でもそうすると新しい疑問が出る。 「どうして? 西住みほの根っこは西住みほじゃないの?」 わたしの質問に古今東西住は少し考えるような顔をした。どこまで話してわかって貰えるか、という顔だ。
8 17/02/25(土)07:01:05 No.411048987
『わたしは西住みほの全ての記録であると同時に、可能性の証明なのです。 それは西住みほが存在する証明も含まれる。もちろんオリジナルが消えても同じですけれど、オリジナルが今まで紡いできた歴史は消えない。わたしは記録そのものですから、オリジナルの存在も危うくなるんです』 あわわ。それはまずい……。 でも、それじゃあオリジナルよりも古今東西住の方が重要なんじゃ……。 「わたしは未来も保証する西住みほですから、オリジナルが消えたらわたしは存在していなかったことになるんです。情報の母体はあくまでオリジナルですから」 影響し合っているってのは判るけれど、どこまで影響が及ぶのか判らないのかな、ってちょっと思った。なんだろう。なんかひっかかる。 わたしが腕を組んで考えているあいだに、偽住が次の質問をしていた。 「影住はあなたの影って言ったね。つまりあなたが影住に力を与えているんじゃないのかい?」 偽住の質問に古今東西住は首を横に振る。
9 17/02/25(土)07:01:23 No.411048998
『いえ。影住は可能性の否定なんです。 そして否定だからこそ、自分たちの存在も肯定できないもの。だから彼らそのものには力は無いんです。 影住に力を与える誰かがいます。 そしてその人物は、ベタ住。あなたの世界に目をつけた。 ここは精神が新たな肉体を得られる実験をする場所だから』 「精神が実体化するってこと?」 いやいやいや、とわたしは慌てて首を横に振った。そんな都合のいいものこの世界に無いから! 反論しようとするわたしに、古今東西住は微笑した。 『でも求めているでしょう? 仮想空間を通してダイレクトに現実世界とコンタクトをとる方法を。 いえ、もう一つの実体を作る方法を』
10 17/02/25(土)07:02:16 No.411049049
「どういうこと?」 偽住が尋ねる。わたしは答えた。 「……確かに、データを物理的に再現して、もう一つの新しい肉体を作り出す研究はされている。 もう一つの自分を、現実に作り出すの。それが成功すれば、データさえ残れば不死が現実化するという」 「じゃあ、精神が実体化するって古今東西住の話も納得じゃないの?」 「違うのよ!」 偽住の疑問にわたしは力を込めた。 「現時点で、身体の一部を再現することだって出来ないのよ? クローンみたいな肉体そのものの生成は別の分野だし、機械工学では信号の受信に対してプログラムが動きを代行するだけ。 人の身体であって、人の身体で無く、人の身体以上の代用品が必要なの。 今の技術は全然足りていないの!」 『そう。現時点ではね』 優しい口調に、思わずわたしは「じゃあ、近いうちにそれが?!」と思わず叫んでいた。 だってだって。それって、大ニュースだよ!!
11 17/02/25(土)07:03:13 No.411049095
「物理ホログラムが完成したの?! あ、それはちょっと未来すぎか……。じゃあ人工ニューロンかな。結局人工四肢にデータを反映させるには、誤差の無い神経が必要で……っていっても現状の機械でどこまで出来るやら……うーん」 「……ベタ住。早口になりすぎ」 は! はずかしい! そうだ、ここに判ってる人が一人いるんだから、直接聞けばいいんだ。 ねえ、どういうシステムなの? 『……残念ながら、わたしは現時点のあなたが理解できる情報しか共有できないんです』 「なにそれ! 役に立たないじゃん!!」 わたしの突っ込みに、古今東西住はぷうと頬を膨らませた。拗ねてる。 『ベタ住がわたしのデータを引き出せないんです。それはわたしの責任じゃないもの』 それからちょっと得意げに付け加えた。 『ただ、その兆しを伝えることは出来ます』 「きざし?」 廃工場前の広場を、虹色の風が通り過ぎた。ほわほわほわほわほわん、ほわほわほわんっていう効果音のようなのが聞こえる。あの、アニメとかでよく流れるようなアレ!
12 17/02/25(土)07:05:05 No.411049180
古今東西住は厳かに語り始めた。 『我が風を覚えしとき。 我が己の内より輝きしとき。 災いが空よりふりかかるであろう』 厳粛なオーラが徐々に薄れて、そのまま古今東西住も薄れ始めた。え? なに? ちょ、ちょっと! 『未来のことは語ると、かなりエネルギーを消費してしまうんです。少し休みます』 「なにそれ――」 『予言は曖昧な言葉でしか伝えられないんです』 「いや、まだ話半分でしょ!」 突っ込みを入れるわたしをぐいと横に押しのけて、偽住が早口で尋ねる。 「欠住は何故向こうの味方を?」 偽住の質問に古今東西住がうなずいた。
13 17/02/25(土)07:05:29 No.411049198
『それは欠けているから。 ――あとは、わたしは口にしない方がいい。 あなたがたが信じる道を行けばいい。 あなたたちは、運命の奴隷ではないんだから』 足下がほとんど透明になった古今東西住に、偽住が声を上げた。 「待って! 今までのことなら、全てわかっているって言ったよね!」 『はい』 「みほは……、私のこと、どう思っていた?」 「え?」 思わずわたしが問い返していた。古今東西住はちょっとだけ寂しそうな顔をした。偽住は彼女の肩に手を置いて食い下がった。 「みほは死ぬ前に、私のことをどう思ってた? 見捨てられたとか、思ってなかった? いや、私のことはいい。苦しくなかった? 悲しくなかった? もし魂があるとしたら、私が大洗のために戦うのどう思った? みほのことをすっかり忘れて、生徒会から西住みほって間違えられたのを利用した私を、どう思ってた……!」
14 17/02/25(土)07:06:03 No.411049238
「偽住!」 わたしは偽住の腕をつかんでいた。偽住の両頬から、涙がつたっていた。わたしは首を横に振った。 「ダメだよ。それはきっと、尋ねちゃいけない質問」 「……どう……して?」 「だって古今東西住には全ての可能性があるんでしょ? わたし……西住みほなら、恨んだり呪ったりだってきっとあったはず。 だって、わたしだって、そんな神様じゃないから」 「ベタ住……」 「でも、絶対、嬉しいとか好きだったとか、そういう気持ちもあった! それは全部混ざっているんだよ。 だから、きっと聞いちゃダメ、なんだと思う。 偽住が前を向いて歩いていくなら。それに――」 「それに?」 怪訝な顔をする偽住にわたしは慌てて言った。 「ううん、なんでもない!」
15 17/02/25(土)07:06:31 No.411049262
『皆さんはきっと、思わぬ真実に戸惑うでしょう』 古今東西住が優しい声で言った。 『いえ、あるいは予想できている人もいるかもしれません。 でも、一つだけ信じて欲しい。わたしたちはこの世界を、全ての世界を愛しているということに――』 すうっと光が消えて、後はもうただの廃工場だけが残った。 「偽住」 うつむいた彼女に話しかけると、偽住は顔を上げた。顔をごしごしっとこすって、涙は無かった。まだ目は少し潤んでいたけれど。 「さて、これで私たちが何をすべきかわかってきたぞ」 元気を取り戻しつつある偽住の腕につかまってわたしは尋ねた。 「世界を救うってこと?」 「それは結果さ」 偽住は人差し指をチチチと動かす。 「オリジナルと、――欠住を取り戻す」 「それでこそ偽住よ!」
16 17/02/25(土)07:07:22 No.411049301
バンバンと背中を叩くと、いったいなあ! と偽住がわたしをヘッドロックにかけた。痛い痛い、ギブギブ。 でも取り戻すって、どうやって? 「そこは皆目見当がつかない」 あらら。 「とりあえずは報告だ。いったん家に帰ろう」 差し出された偽住の手を握る。 そうだ。一緒に還ろう。わたしの家へ。 わたしたちの家へ! 「ただいまー」 部屋の中に入ると、うざ住が難しい顔をしてダンボールの前に座っていた。手には何か銀色の円柱状のものを持っている。段ボールにもいっぱい。 ペンライト? うざ住がけだるい声を出した。 「おかえり」
17 17/02/25(土)07:07:46 No.411049316
「みんなは?」 「ボコのBD借りに行ったよ」 顔を上げたうざ住は何気ない口調で「戻ったのか」と言った。 「ああ」 「……鬱住に殴られたよ」 「すまない」 「でも謝らないぞ」 「いま謝ったじゃんか」 「うざ住が殴られた分の話さ」 「そんならそこも謝るなよ」 なんだ、仲悪くないんだ。 ほっとしてわたしはお茶の支度をする。じきになぽりんたちも帰ってくるだろうから、その分も用意しておこうか。 「ところでそれなーに?」 「ネットにコネクトしないでも、ESPAに意志を送信できる装置だって。お姉ちゃんが作った」
18 17/02/25(土)07:08:01 No.411049327
「ふーん……」 何気ない声を出したけれど、ちょっとだけドキッとした。西住研究所が動いたってことだ。 「お姉ちゃんは、意識のネットワーク網をこれで作り出せるはずだって言ってた。 ベタ住たちがバレーボールの時にやってたやつだね。 ただ、能力を共有するってよりは、ライトを持っている人の居場所を知らせるアンテナみたいな効果になるんじゃないかって」 「そうなんだ」 心の中から興味が湧いてきたけれど、わざと知らん顔してみせた。うざ住が付け加える。 「感情なんかも共有しちゃう不具合を直したって言ってたよ」 「どういうこと?」 わたしの質問に、うざ住が肩をすくめた。
19 17/02/25(土)07:08:18 No.411049335
「そう言うことだよ。そのまんまのこと」 「もしかしてお姉ちゃんとエリカの事?」 うざ住は応えない。 お姉ちゃん、西住まほは、逸見エリカといつのまにか恋人になっていた。 二人がキスするのをわたしは見てしまっていた。 エリカの恋人はわたしだったのに。その想いから。 憎かった。腹立たしかった。悲しかった。 それが全部、実験の結果だとしたら。 「ずるいなあ、そういうの」 思わずそんな言葉が口から漏れていた。そうだよ。ずるい。そしたらうざ住がため息をついた。 「仕方ないでしょう。 二人なら感情の相互作用だけれど、三人で混じったら、ちょっとした地獄だよ」 「ああ」 「エリカだって元々お姉ちゃんに想いがあったわけだし、それを三人で共有しちゃうとなるとね。それはちょっとまずいでしょ」 「まあ――わかるよ」
20 17/02/25(土)07:08:34 No.411049347
うん。判る。 元々エリカの憧れがお姉ちゃんに向いていたのも、わたしがエリカを好きだったのと同じように、お姉ちゃんもエリカが好きだったことも。 そしてわたしたちは、三人で一つの友達だったことを。それは同じに見えて少しずつ違って。きっかけ次第で幾らでも変わっていくもので、それが今回は、お姉ちゃんの実験だったってだけ。誰も悪くない。 お茶を入れる音が部屋に響く。湯飲みを三つ置いたら、偽住がおどけた声を出した。 「あれ? ベタ住随分おとなしいね。 もっと「そんなんずるいよ」とか怒ると思った。 新しい恋は古い恋を癒やすとかさー。 もしかして他に好きな人出来た?」 うざ住が言った。 「ベタ住殴ってもいいぞ」
21 17/02/25(土)07:08:50 No.411049360
「じゃあ遠慮無く」 ごちん。 「ちょっと、なんでだよ……。いきなり痛いよ!」 ふん! 知らない! 重い一撃を頭に見舞って、わたしは再びうざ住に尋ねた。 「ところでそれはなんて名前なの?」 うざ住が弄っている小さなライト。彼女はためつすがめつ見ながら応える。 「オーアライト。 とりあえずみんなに持たせろって」 「携帯電話とか使えなくなったときの用心にって。いざとなったらベタ住のところに集まれるように。 ほら、意志を繋げられるから」 「え? 意志を? ネットを経由しなくてもいけるってこと?」 「お姉ちゃんは天才だからね」 まるで自分のお姉ちゃんみたいにうざ住が自慢した。
22 17/02/25(土)07:09:33 No.411049398
殴られて倒れていた偽住ががばっと起き上がる。 「珍しい。うざ住がそんなこと言うなんて」 「失礼だな。お姉ちゃんは天才だよ。 ただ、わたしはそれを超越しているだけ」 「ハイハイ」 また始まった、と偽住が苦笑すると、うざ住は思案げに呟く。 「いや、越えているっていうか、完璧な道筋が判っちゃうんだ。無理を押し通せる方法を」 「うざ住?」 わたしって、こんな顔出来るんだ、ってくらい年取ったみたいな顔でうざ住が考え込んだ。 「未来が判るっていうか……そんなことありえないんだけど……」 それからぽつりと。 「会ったんだろ? ベタ住、偽住。 オリジナルとは別の……」
23 17/02/25(土)07:10:01 No.411049430
ドキッとした。わたしの推理とは別の感触から、うざ住は真実にたどり着いている。それについて説明しようと、わたしと偽住が話そうとした瞬間、バタンと玄関のドアが開いた。 「ただいまー!」 「いやーすごいねここではボコ大人気だ」 「……まさか勝っちゃうとはね」 「いいじゃん! そーかいなの大好き!!」 闇住、if住、鬱住、なぽりんがニコニコ顔でTYUTAYAの青い袋を幾つも持ってきた。ま、まさかどれもこれも全部同じボコのDVDとかBDじゃないよね? っていうか、そもそもどうやってそれ借りたの? 「お姉さんびっくりしてたな」 「そりゃ、本人確認の時びっくりするでしょ。っていうか、闇住のせいでわたしは借りれなかったし!」 「……闇住とif住は大洗生だからね。わたしは珍しく黒森峰の学生証が役だった」 「わたしは借りれなかった!」 「……なぽりんは生徒証忘れたからでしょ」
24 17/02/25(土)07:10:20 No.411049451
ま、まさかこいつら、この世界で自分用のTYUTAYAのカード作ったの!? 全く同じ顔の四人が、別々の身分証を取り出した時の、店員のお姉さんの心境が忍ばれる。 うざ住が鼻で笑った。 「じゃまが入ったね」 「え?」 「?」 頭にはてなマークが浮かんだわたしと偽住にうざ住がお手上げの仕草をした。 「事の真相を探ろうとするとこれだ。いつも邪魔が入る」 ニヒルな表情のうざ住にわたしは首を横に振った。 「違うと思う」 「……ベタ住?」 珍しく真剣な表情を浮かべるわたしに、うざ住は首を傾げた。神妙なわたしの様子に気づいた西住Sが立て膝で座る。逆にわたしは立ち上がった! 「これはきっと、話を先に進めろってことなんだよ。説明のタイミング……。 よし、みんなを集めよう。 わたし、話をする!」
25 17/02/25(土)07:16:51 No.411049771
次回予告! みんなを呼び集めて、わたしが知った事実を伝えたけれど、結局みんな半信半疑! うーん、わたしだって判らないよ。オーアライトも、ごく普通のペンライトみたいに見えるし。アイドルかっての! そんななか、?マーク付きでも協力を申し出てくれる人が出て…… そして驚愕の真実! 「え? 敵をボコボコにするからボコじゃないの?!」 次回西住S!『世界は、とても美しい炭素』 ごめん。今週のは『古今東西住』が題名だったよはっはっは これが今回のtxt→su1764474.txt
26 17/02/25(土)07:23:18 No.411050105
きたのか! きたのか!
27 17/02/25(土)07:28:46 No.411050395
来週にって言ったのに一ヶ月ぶりになってすまない……
28 17/02/25(土)07:30:43 No.411050499
住s久しぶりすぎる… >『我が風を覚えしとき。 > 我が己の内より輝きしとき。 > 災いが空よりふりかかるであろう』 そしてDreamRiser邦訳&空耳版でダメだった
29 17/02/25(土)08:29:03 No.411053967
きたのか!
30 17/02/25(土)09:06:31 No.411056843
この時間にいるとは予測できんよ・・・
31 17/02/25(土)09:16:11 No.411057733
わーい!きたー!
32 17/02/25(土)09:25:38 No.411058580
>「え? 敵をボコボコにするからボコじゃないの?!」 どっちにしろ碌でもないキャラ過ぎる…