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17/02/15(水)20:10:34 ガルパ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1487157034510.png 17/02/15(水)20:10:34 No.409162169

ガルパンSS 西住と虎 第二話 前「虎と狼のフレンズ」 前話 su1752152.txt

1 17/02/15(水)20:12:02 No.409162456

 -1- 西住には虎がいる。 これは決して比喩的表現ではなく、彼の者達は本物の虎を自身の隣人として侍らせているのだ。 西住の者には一人につき一頭の虎がつく。 長女であるまほには母であるしほについていたヴィットマンという名の虎が傍に与えられていた。 このヴィットマンは賢さと勇猛さを秘め、そして静かな気性を兼ね備えており、正に主であるまほに良く似ていた。 いや、気性だけではなかった。 ヴィットマンはまほの虎である筈であったが、どちらかというとみほの傍にいる事の方が多かったのだ。 時間の割合的に言えばみほの虎という風に見えなくも無いが、西住の虎は主の忠実な友人でもあり相棒でもあり従者でもあるのだ。 そういった点から見れば、みほを守る為に傍にいるというのは主の意向を忠実に実践しているとも言える。 何せみほの傍にずっといて守っていたいのはまほ本人なのだから…。

2 17/02/15(水)20:13:16 No.409162689

一方でみほの虎はカリウスという若い虎であった。 いや、若いどころかみほが生まれてから一年に満たない程の間を空けて生まれたのだからみほとほぼ同年齢といっても良い。 このヴィットマンと同じ様にドイツの戦車乗りのエースで敵戦車を150輌を撃破したオットー・カリウスから名前を取られた虎は、ヴィットマンとは大きく性格が違っていた。 ヴィットマンもみほには懐いているが、みほよりも遥かに年上である事もあって傍から見れば妹か娘を愛する兄や父親の様な接し方であった。 其れに対してカリウスはまるで姉に懐く弟の様であった。 生まれて間も無いまだ小さな子猫の様な時から同じ様に小さな赤子のみほに纏わりついていたし、ベビーベッドでみほが寝ていればすかさず潜り込んでは横から抱きつくように一緒に寝るのだ。 その様子に西住の家の長老達は「昔から虎に好かれる者はよい武人になったという。きっとこの子は良い戦車乗りになるぞえ」と喜んで迎えたのだ。

3 17/02/15(水)20:14:04 No.409162827

かのように赤子の頃から一緒であったが、やはり西住の虎だけはあってその賢さは他の野の虎とは比較にならないものであり、カリウスもやはり赤子の頃からその爪や牙でみほに決して傷つく様な事はしなかった。 みほが這いずって移動出来る様になればその後ろをチョコチョコとついてきて、周囲の者の表情をにこやかに崩し、みほが歩けるようになればやはりその後を置いていかれぬようについていく姿に微笑ましいものを感じさせた。 みほが成長し更に活発になって行動半径が広まってもそれは変わらなかった。 付近の野山だろうと川だろうと何処へだろうと遊びに行く時もカリウスは必ずみほについていった。 唯一変わった点といえば後ろではなく横を歩く様になった事だろう。 尤もそれがカリウスの何らかの心境の変化を表したものなのか、それとも横を歩けばみほが無意識に空いた手で撫でてくれたりする事があったからなのかは解らないが。

4 17/02/15(水)20:14:43 No.409162970

無論、この一人と一頭だけではなく、みほは必ず遊びに行く時は姉を誘ったし、まほは妹の誘いを絶対に断らなかった。 もしこの子供三人だけであったら遊びに行くなどしほは絶対に許さなかったであろう。 許されなかった程度では諦めないのがみほではあるが、其れに加えて話術的にも行動的にもあらゆる面で一枚上手の菊代も阻止に動くので三人だけで遊びに行くのは不可能であった。 そこでこの三人にヴィットマンが加わる事になった。 ヴィットマンにしても主であるまほは勿論として、既に散々みほの面倒を見てきた彼がみほとカリウスが目の届かない所へ遊びに行くなどは許容できないものであったのだ。 故にこの四人組は何時も一緒に行動しており、特にみほが好んだ遊びである"冒険"ではみほをリーダーとした強固な絆のパーティーであった。 みほが笑いながら先頭を歩き、その横を同じ様に楽しそうにみほと一緒にはしゃぐカリウスが歩き、その光景を温かく見守るまほと後ろを静かに見守るヴィットマンという光景が良く見られたものであった。

5 17/02/15(水)20:15:15 No.409163081

「わたしがせんしゃちょー!おねえちゃんがそうじゅうしゅでカリウスがほうしゅでヴィットマンがそうてんしゅね! Ⅱ号戦車に乗る時は戦車長であるみほからそれぞれ通信手や操縦手や砲手の役目を拝命して動かしていた(本来なら鉄と硝煙の匂いを嫌うのが獣であるが、西住の虎は当然ながらそんな事は気にしていなかった)。 それをカリウスは嬉しそうに吼えて受け、まほも顔を綻ばせながら解ったと操縦席に収まり、ヴィットマンは一声鳴いて了承を伝えると速やかに自分の席へと動いた。 尤もⅡ号戦車は本来なら三人乗りで戦車長は砲手を兼任するものであるから、カリウスはもっぱらコマンダーであるみほの傍にいたが。

6 17/02/15(水)20:16:21 No.409163277

野山だけではなく人里もみほ達の遊び範囲内であった。 この辺り一帯の名主である西住の御嬢様と現代の今なお神獣として信仰深い虎の組み合わせはよく歓迎され、先祖代々住んでいた老夫婦の家庭からは特に可愛がられていた。 このみほとカリウスの関係性は4~5年程で成体となる雄虎であるカリウスが大きくなっても変わらなかった。 身体はみほよりも遥かに大きくなってもその甘えん坊なところは変わらなかったし、何時だってみほの良い子分であった。 のしのしとみほの横を歩き続けたし、みほがその名を呼べば嬉しそうに近寄ってみほの小さな胸の中に頭を擦り付けて甘えていた。 何処かへ遊びに行く時はみほが一声かければさっと伏せ、みほをその背に乗せて嬉しそうに駆けていった。 このより機敏な相棒を手に入れてからみほの活動範囲と内容は著しい広まりを見せ、よりヴィットマンとしほを苦労させたのだ。

7 17/02/15(水)20:16:41 No.409163327

このみほの忠実な相棒が始めてみほに叛旗を翻したのはみほが小学校に進学する様になってからであった。 即ち、それまでは寝る時でも一緒だった二人が始めて一日の内の数時間を離れ離れになってしまう事になったのだ。 勿論、みほも寂しかったが去年に同じ様に離れ離れになってしまった姉であるまほと同じ学校に通える事を嬉しく思っていたので其れほど反発しなかった。 一方でカリウスの方は絶対に認められなかった。 みほが登校しようとすれば服の端を噛んで引き止めたし、みほがこらっと叱ればクゥーン…と悲しそうな声を出しつつもその巨体で道を塞いだ。 みほの言う事を聞かないのは聞かないのはこれが初めてだったし、みほを困らせたのも初めてであった。 ただ二人の関係や絆は強固であり、その心は深い所で繋がっていたのだ。 「わたしとカリウスは離れていても離れていないよ。  だからさみしがることはないんだよ。  わたしのかえりをまっていてね」 みほはそっと優しくカリウスの頭をと背を撫でながら言った それだけでカリウスはクゥーンとまた一声鳴いて静かに道を譲ったのだ。

8 17/02/15(水)20:18:51 No.409163719

それからみほが学校に行っている間、カリウスはずっと正門前でみほの帰りを待っていた。 雨が降る日でも雪が降る日でも常にそこから動かず、道の先にみほの姿が見えればやはり嬉しそうに駆け寄って大きな体を精一杯縮こませてみほの小さな体に精一杯甘えるのが日常であった。 やがてみほが小学校を卒業し、中学へ進学する為に黒森峰女学院の学園艦に移る時に虎二頭も当然の様についてきた。 無論、これも通常の学園艦であれば問題であるが、熊本を本拠地とし西住によって創立された黒森峰女学院であるから遥か昔より代々の西住の関係者が虎を連れてくるのは公認されていた事であり、特に今回の事が特例であった訳ではない。

9 17/02/15(水)20:19:06 No.409163756

尤も、まほの進学にあわせてヴィットマンも艦にあがるのが道理であった筈であった。 これはまほが自分がみほの傍にいられない代わりにみほをよろしく頼むと命じた事もあって、ヴィットマンも残ったのだ。 ヴィットマン自身もこの自己完結して成熟している主人ならばともかく、あの何をしでかすか解らないみほが自分の目の届かないところにいるのが不安でたまらなかったのだ。 性格的な面で言えば昔の活発な頃から打って変わって大人しく控えめな性格になったが、ヴィットマンに思わせれば根っこの部分は変わっておらず、ここぞという時に"やんちゃ"をするのは何時までもヴィットマンの心配の種であった。 ……尤もヴィットマン自身は気づいていないだろうが、そういったみほの突発的な行動に手を焼かされる事をヴィットマンは決して嫌いではなかった。 そういった点からもこの主従は良く似ていると言えるだろう。

10 17/02/15(水)20:19:23 No.409163805

こうして学園艦に二頭の虎が乗り込むと生徒達は様々な反応を見せた。 西住流と関係が深い分家出身や西住流門下生は既に虎と出会った事もあるので特に驚かなかった。 地元出身であれば虎の事は当然知っており、時には神事に関する事で姿を見せるので知識としては知っていたが、いざ目の前にするとやはり平静で入られなく多少の動揺を見せた。 また九州という日本の端にある学園艦であるものの、戦車道の名門校であるから全国から優秀な戦車道を歩む者が集う学校である。 そういった地方から来た生徒は西住の虎について知らない者も多く、そういった生徒は虎を間近で見ては悲鳴をあげて逃げ惑うのであった。 その姿は実は学園艦に長くいる者にとっては性質が悪いが密かな楽しみである伝統行事の一つであった。 そんな多種多様な生徒達の中に一人の新入生がいた。 切れ目に宿る強い光が強い意思を秘め、まるで孤高の銀狼の様であった。 その女生徒の名前を逸見エリカという。

11 17/02/15(水)20:19:55 No.409163896

 第二話 後半へ続く

12 17/02/15(水)20:21:40 No.409164200

他の短編まとめ su1752169.txt 書いていたシリーズ su1752170.txt

13 17/02/15(水)20:22:59 No.409164433

幼女に甘える猛獣いいよね…

14 17/02/15(水)20:23:52 No.409164588

このみぽりんお姫様過ぎる…

15 17/02/15(水)20:49:01 No.409168910

すごーい!

16 17/02/15(水)20:51:54 No.409169412

じゃぱりパークのフレンズよりは遥かに頭が良さそう

17 17/02/15(水)20:52:09 No.409169464

いい…

18 17/02/15(水)20:54:41 No.409169912

カリウスの方はみほが黒森峰から出て行ったらやばそう

19 17/02/15(水)20:57:44 No.409170535

誰かと思ったらハーメルンで闇のエリみほ書いてた人か む…

20 17/02/15(水)20:58:35 No.409170702

なんかカタログでめっちゃ怖いんだけどなんだこれ

21 17/02/15(水)20:58:39 No.409170712

カリウスとみぽりんは車体番号で合わせてるのか

22 17/02/15(水)20:59:00 No.409170794

>誰かと思ったらハーメルンで闇のエリみほ書いてた人か 間違ってはいないけど 間違ってはいないけど

23 17/02/15(水)21:01:30 No.409171323

>なんかカタログでめっちゃ怖いんだけどなんだこれ 言われてみればそう見えなくも無い気がする

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