虹裏img歴史資料館

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17/02/15(水)04:49:25 「今年... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1487101765503.jpg 17/02/15(水)04:49:25 No.409068126

「今年のバレンタインデーは禁止よ!」 プラウダ全艦に衝撃が走った。 2月が近づき寒さが増す中、北方の乙女達がそわそわし始め、きたるべきイベントへ向け艦内の雰囲気が温まってきていたある日の事だった。 小さな暴君が、うかれる可憐な花畑に、無慈悲な榴弾を叩き込んだのだ。

1 17/02/15(水)04:50:28 No.409068176

プラウダの頂点に君臨する同士カチューシャの言葉は絶対である。 普段は遠くから見つめるだけのあの方へ、想いを届ける勇気をくれるバレンタイン。その絶好のチャンスを無残に焼き払われた生徒達は途方にくれてしまい、ある者は真冬の熊のように自室へ引きこもり、ある者は凍りついたサーモンの様な目で艦内を徘徊し、ある者はノンアルコールウォッカに溺れていった。

2 17/02/15(水)04:51:43 No.409068219

この事態を重く見たノンナとクラーラは、禁止令を撤回させるためカチューシャに詰め寄った。 「艦内の風紀が乱れてきっています。どうかもう一度考え直してください、カチューシャ」 「そうです、カチューシャ様。どうか寛大なご対応をお願いします」 「ふんっ!何度言ってもダメなものはダメよ。もう決めたんだから!」 二人がカチューシャの元へ訪れてから小一時間、何の進展も見られず、不毛なやりとりが繰り返されていた。

3 17/02/15(水)04:52:53 No.409068268

「そもそも女子校にバレンタインデーなんて必要無いのよ!チョコレート会社の陰謀に乗せられて浮れるなんてどうかしてるわ!そんなにお祭り騒ぎしたいならノンアルコールウォッカを浴びていた方がマシよ!」 凍りついた大地の様にカチューシャは頑として譲らない。 ほとほと参った表情のクラーラは、傍に並ぶノンナに問いかける。

4 17/02/15(水)04:57:25 No.409068424

『なぜカチューシャ様はここまで意固地になられるのでしょうか?』 『実は原因に心当たりがあるのです』 「ちょっと!あんた達!日本語で喋りなさいよ!」 突然ロシア語で会話を始める二人にカチューシャは怒声を上げる。

5 17/02/15(水)04:58:34 No.409068459

ノンナは「申し訳ありません」と日本語でうやうやしく詫びてから、ロシア語でクラーラとの会話を再開する。 『昨年の事です。私とカチューシャが二年生だった時、私達は下級生からチョコを貰ったのです』 『それは、よくある事なのでは?』 戦車道において、優秀な戦車の乙女は下級生の憧れの的である。少女が上級生に想いを寄せてプレゼントを渡す事は珍しくも無く、それは何処の国でも大差無い事はクラーラもよく知っていた。

6 17/02/15(水)04:59:57 No.409068509

ノンナは沈痛な面持ちで言葉を続ける。 『私がダブルスコアで勝ってしまったのです』 『嗚呼、なんて事でしょう』 所詮は戯れのチョコ。本気の想いに比べれば、価値の無い数であると、ノンナもクラーラも、当然カチューシャも理解している。それでもカチューシャのプライドは、数で大敗した過去を引きずっているのだ。

7 17/02/15(水)05:01:07 No.409068547

「ちょっとノンナ!クラーラ!何をこそこそ話してるのよ!」 「申し訳ありません、カチューシャ」 ノンナは目を伏せ口元を手で覆い、悲しげな表情で「ですが……」と続ける。そしてクラーラを一瞥する。 その時、クラーラからはノンナの口元に笑みが浮かんでいるのがハッキリと見えていた。

8 17/02/15(水)05:02:33 No.409068597

「私も今聞いたのですが、クラーラの元居た学校ではバレンタインデーが禁止されていたそうです」 カチューシャは「え?」と眉根に皺を寄せる。 クラーラは即座に、ノンナの言葉に続いた。 「はい、その通りです。カチューシャ様」

9 17/02/15(水)05:03:46 No.409068642

「様々なイベントが禁止されており、それは味気無い校風だったそうです」 「それが当たり前なのだと思っていました。ですが今は違います」 「偉大なカチューシャに出会ってしまったクラーラは、バレンタインデーを心待ちにしていたのです」 「このカチューシャ様への想いをチョコレートなどでは到底表しきれません。ですが貴重な表現の場を是非私にお与えください」

10 17/02/15(水)05:04:59 No.409068679

書き込みをした人によって削除されました

11 17/02/15(水)05:06:09 No.409068730

二人の大柄な少女が目を潤ませながらカチューシャに迫る。二人はそれぞれ、カチューシャの小さな左右の手を握りしめて懇願する。その迫力にカチューシャは圧倒され戸惑いながらも声を張る。 「ま、まあ、そういう事なら仕方ないわね。あ、あなた達に免じて今回は撤回してあげるわ」 ノンナとクラーラは感謝の言葉を並べながら、ここぞとばかりにカチューシャの柔らかな手の感触を堪能した。

12 17/02/15(水)05:07:14 No.409068762

部屋を後にした二人はどちらからともなく、カチューシャの余韻が残る手で固く握手を交わす。 『助かりました、クラーラ』 『私こそ、ノンナ様』 これでカチューシャへの愛を込めたチョコレートを渡すことができる。 しかし、彼女達の真の目的はそこではなかった。 『これでカチューシャからチョコが貰えます』 『楽しみです』 『それでは、あとは計画通りに』 『ええ』

13 17/02/15(水)05:08:20 No.409068795

バレンタイン当日、プラウダ校は特別な熱気で溢れていた。人気の無い区画、薄暗い部屋で二人の少女は密かに計画を実行しようとしていた。 『首尾は?』 『もちろん完璧です』 溶かして形作っただけの簡単な物だが、間違いなくカチューシャの愛情が込められた、彼女達だけのチョコレート。 二人はチョコの半分は自室で堪能し、残り半分はまだ残している。

14 17/02/15(水)05:09:42 No.409068839

『では始めましょうか』 大きな実験用机の上にはカセットコンロに鍋がかけられている。その側にはまな板と調理器具と持ち寄ったチョコ、そして赤褐色の液体が入った小瓶。 クラーラはその瓶を覗き込み感嘆の声を漏らした。 『これが……』 『カチューシャの経血……』

15 17/02/15(水)05:10:45 No.409068876

存在して当然の物なのだが、二人にとっては矛盾を孕んだ幻想の様に感じられた。 この日のために二人が協力して集めていた奇跡の雫。 少女達は微笑を湛えながら、瞳に紅い煌めきを映す。 揺らめくコンロの炎が感情を沸き立たせてゆく。 かくして、チョコの湯煎が開始された。

16 17/02/15(水)05:13:10 No.409068954

その日の夜、二人は鼻血で血まみれになり、腹痛に悶えてのたうち回っていた所を発見された。 この凄惨な事件は原因不明の食あたりとして処理されたが、「血のバレンタイン」という都市伝説として語り継がれる事になる。 そして、第一発見者のニーナとアリーナには強いトラウマを刻み込んだ。

17 17/02/15(水)05:16:28 No.409069052

>『カチューシャの経血……』 最低過ぎる… 集めていたって…生理用品を…?回収して?絞り集め…? そりゃ腹壊すわ…

18 17/02/15(水)05:20:28 No.409069168

ひどい…

19 17/02/15(水)05:25:04 No.409069302

唐突にひどい話になってひどい

20 17/02/15(水)05:28:51 No.409069419

カチューシャが作り出したチョコレートとカチューシャが生み出した経血 その二つを混ぜ合わせ身に取り込むことでカチューシャと一体となることができるのです

21 17/02/15(水)05:31:15 No.409069495

えっ カチューシャってもう来てたの?

22 17/02/15(水)05:32:39 No.409069546

あったり前でしょ!

23 17/02/15(水)05:41:24 No.409069796

>そして、第一発見者のニーナとアリーナには強いトラウマを刻み込んだ。 あのポストカードだったかでクラーラを憧れの視線で見ていた二人が…

24 17/02/15(水)07:14:51 No.409072530

いい話なのかと…

25 17/02/15(水)08:03:58 No.409074838

突然ドーンと来た…

26 17/02/15(水)08:50:21 No.409077511

ノンアルコールウォッカってただの水では……

27 17/02/15(水)08:52:48 No.409077675

ヒッ…てなったよ…

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