虹裏img歴史資料館

1 17/02/03(金)00:32:05 No.406618030

「磁石がくるっているんじゃない？こっちじゃないかも？」 「冬の大三角形は天の川が間にあるそうです。あれが天の川なので…あ、ありました。」 指をさす私にカチューシャが文句を垂れる。 「どれ？わかんない！もういい！寒いし終わりにしましょ！」 私が指さしても見れなかったのが悔しいのか拗ねて部屋に入っていってしまうカチューシャについて私も一緒に室内に戻りました。

2 17/02/03(金)00:33:09 No.406618212

この話を聞かされたクラーラ、ニーナ、アリーナは困惑していた。 「ノンナさン？その話は今日の秘密会議と何の関係があるのですカ？」 クラーラがすごくまっとうな疑問を投げかける。 「星を見に行っているそうなのです。その後もカチューシャは。」 「そういやあ夜に外ありげば、隊長、空見てたから、聞いてみたら星探してるって。」 「アリーナはからこしゃぐでよ、隊長の邪魔してきもやぐぞ。」 「お二人ともすいませン。日本語でお願いしまス。」

3 17/02/03(金)00:33:34 No.406618288

ニーナとアリーナの青森弁（南部弁）を聞き頭にクエスチョンマークを浮かべる私たちにもう一度、標準語（イントネーションなどあやしいが）で説明してくれた。 「私が外を歩いていた時、隊長が空見上げているから聞いてみたら星を探しているって。」 「アリーナは何にでも首を突っ込見ますね。隊長の邪魔をしたら怒られるぞ。」 「「と話してました」」 私は重いのほか情報の入っていない二人の会話を聞きながらカチューシャが星を探していることを確認した。 「同志アリーナ。カチューシャが星を探していたのはいつ頃ですか？」 「この前晴れていた時、隊長が寮の庭先で空見上げてたから声かけたんです。三日ほど前かな？」

4 17/02/03(金)00:34:13 No.406618421

今度は標準語で話してくれたアリーナに感謝しつつ私は皆に告げた。 「同志一同、聞いてください。星を作ります。」 「ノンナさんが壊れた…」 「ノンナさン？しっかり説明してくださイ。星を作るっテ？」 ニーナとクラーラが頭にクエスチョンマークをつけている横でアリーナが私に聞いてくる。 「プラネタリウムですか？」 「はい。それを作ります。」 一同の顔に驚きの色が見える。そんなにおかしいことを言ったのだろうか？

5 17/02/03(金)00:34:35 No.406618486

「プラネタリウむ、作ったことあるんですカ？」 「ありません。ですが作れないものでもないでしょう。」 私の発する得体のしれない自信に三人は今一度驚いた顔を見せる。 「それにもう作ってあります。」 さらに驚く三人。 その三人の前に中ぐらいのジャムの空瓶を出す。 その中に銀紙を入れ小型のLEDライトを入れる。 「どうですか？」 「作れるのはわかりましたけど…」 アリーナが恐る恐る口を開く。 「誕生日のプレゼントがこれじゃあ隊長がっかりしてしまうんじゃあ…」 「それにこれじゃあノンナさんのプレゼントでス。戦車道履修者全員のプレゼントじゃあないじゃないですカ。」 皆のこの反応を待っていた私は一笑し本題の説明に入る。 「なので、皆には一芝居打っていただきます。」

6 17/02/03(金)00:35:47 No.406618686

カチューシャの誕生日当日。 「カチューシャ。誕生日おめでとうございます。」 「ありがとうノンナ。」 隊長室で書類とにらめっこしていたカチューシャは嬉しそうに答えた。 私は部屋の電気を消し、手作りのプラネタリウムを取り出し明かりをつけた。 「あら綺麗ね。ノンナが作ったの？」 「はい。今年のカチューシャの誕生日は訳があって盛大に祝えなくなってしまいました。」 私の考えた作戦では、ここで祝えないと言いながらカチューシャの気をひきつけて、その間に三人が本当のプレゼントを運び込む作戦だった。

7 17/02/03(金)00:36:36 No.406618806

「そうね。カチューシャの力不足ね。ごめんなさいノンナ。迷惑かけてしまって。」 予想以上にしんみりしてしまうカチューシャ。 「わかっているわ。大学選抜との試合に駆け付けた時、思ったよりお金かかっちゃったものね…苦労かけるわねノンナ…」 「いえ…違うのですカチューシャ。それはそんなに…確かに予算をやりくりするのは大変でしたが…その…下げて上げると言いますか…」 私は内心泣きそうになりながら三人を待つ。

8 17/02/03(金)00:37:09 No.406618910

部屋に明かりがつく。 「カチューシャ様やりすぎでス。」 「そうですよ隊長。ちょっと困った顔が見たいって話じゃあないですか。」 「やりすぎてノンナさん泣きそうになってら。」 三人が打ち合わせと違い思い思いのことを言って入ってくる。 「三人とも打ち合わせと違う…困った顔が如何したんですか？」 私は泣きそうな顔を必死に隠しながら問いただす。 「三人はね。」 嬉しそうにカチューシャが口をはさむ。 「カチューシャにプレゼントを運んでいるのを見つかってしまったおまぬけさんなの。でもかわいそうだから私の願いを聞いてもらったのよ。」 「カチューシャの願い？」 「最近ノンナが私に対して言うこと聞いてくれなかったり少し意地悪だったり、だから少しノンナを困らせることにしたの。」 「酷いですカチューシャ…」

9 17/02/03(金)00:37:27 No.406618969

膝をつき、思わず涙がこぼれる。 それを見たカチューシャは罪悪感が出たらしく「ごめんなさいノンナ…少し困らせすぎたわね…。」 そう言うとカチューシャは私の頭を小さな胸で包み込む。 「意地悪しすぎちゃってごめんなさい。ノンナの困った顔見てたら楽しくてつい…本当にごめんなさい。」 「ダメです。許しません。」カチューシャの体温を感じながら答える。 「今日のこの後のパーティはずっと一緒にいてもらいます。」 そしてカチューシャを肩車で担ぐ。 それを見ていたクラーラが「うらやましイ」といったが私は聞かなかったことにした。

10 17/02/03(金)00:37:56 No.406619040

「そういえばまだ誕生日プレゼント見て無いのだけど、なんだったの？」 頭の上でカチューシャが聞く。 私はプレゼントの包みを開けてカチューシャに見えるように自分の目線の少し上に持ってくる。 「プラネタリウム！これってちょっと高いんじゃあないの？」 「カチューシャのために奮発しました。」 はしゃぐカチューシャに私も少しづつ機嫌が直ってくる。 「パーティ会場で使いますか？」 「そうね早速使いましょ。そうだ、冬の大三角形教えてあげる。」 「見つけられるようになったのですか？カチューシャ？」

11 17/02/03(金)00:38:18 No.406619105

「もう完璧よ。そうだノンナ？冬の大六角形って知ってる？」 「六角形ですかわかりません。」 それを聞くと嬉しそうに鼻を鳴らすカチューシャ。 「じゃあ教えてあげるわ。一緒に探しましょう。」 パーティ会場に向かう途中カチューシャが耳元でつぶやく。 「ありがとうノンナ。」 私もカチューシャに聞こえるか聞こえないかの声で答える。 「こちらこそ生まれてきてくれてありがとうございます。カチューシャ。」 テレからか、クラーラたち三人に気付かれないくらい小さく二人は笑った。

12 17/02/03(金)00:43:32 No.406620057

らぶらぶ過ぎる…

13 17/02/03(金)00:46:45 No.406620576

いい…

14 17/02/03(金)00:48:25 No.406620864

一週間前から書き始めてカチューシャの誕生日前日に恐ろしいぐらいのスランプになってしまい遅くなりました すいません言い訳です ss284771.txt テキストですお納めください

15 17/02/03(金)00:51:34 No.406621388

ロシア人の日本語識者の人も直接話すことがある漁師さんとか輸入業者は訛りがあって 内陸で本と教師相手に勉強して身に付けた人は標準語とかそういう差があったりするのかな…

16 17/02/03(金)00:57:23 No.406622320

肩車されながら体屈めて耳元に言っちゃうんだ… それは細いカチューシャならではかもしれない 普通の体型でも年相応に育っていれば耳は太ももで塞がれちゃうかもしれないから

17 17/02/03(金)01:14:37 No.406625239

星を二人で眺めるのっていいよね >重いのほか 思い！

18 17/02/03(金)01:27:31 No.406627274

>思い！ ごめん！ でもノンナさんの愛は重いから…

19 17/02/03(金)01:29:36 No.406627532

一緒に星を見られるように何度も探すのいいよね… カチューシャはたしかに努力タイプだと思う