虹裏img歴史資料館

1 17/01/30(月)10:32:59 No.405936756

　エリカの忍耐力は限界だった。 　みほがシャワーを浴びて、次はエリカが。洗面所で髪を乾かしてから覚悟を決めるようなメイクをし、戻ってきたところで眼球を情欲に撃ち抜かれた。 　紫の、ガーターランジェリー。それもナイロンやサテンのような安いテリ感ではない。おそらくはシルク。黒い糸の縫い取りが、いっそ毒々しさすらあるほど性的だった。 　隠す気も無く、乳房の下半球は、まろやかな曲線を惜しげも無く晒している。上半分を、薄い布地が申し訳程度に覆っている。 　その肌色の丸みを撫ぜるように視線を泳がせてしまった瞬間、視界の端にみほの得意げな口元が見えて、エリカは必死で目を逸した。 　それでも、重なる布地に浮き出た、既に固く屹立した先端の影は目に焼き付いていた。 「どうしたの？ エリカさん。来ないの？」 　試すような問いかけに、エリカは小さく息を吐いて気を引き締め直す。 　みほに視線を向けないように注意しながら、ベッドに腰掛けたみほの隣に座った。 「……随分、らしくないものを選んだじゃない」

2 17/01/30(月)10:33:23 No.405936791

　エリカの言うとおり、その衣装はみほのセンスからはかけ離れていた。黒と紫だなんて、露悪的なほど性的が過ぎる。 　だからこそ、みほの素朴な雰囲気とのギャップを煽り立て、果てしなく猥褻だった。 　セックスのための衣装。 　そんなセンテンスがエリカの頭をよぎり、ゾクリと背筋が震えた。 「うん。沙織さんに選んで貰ったんだ。――エリカさんが、我慢できなくなるようなのを、選んで欲しいって」 　その言葉にハッと気を取り直すエリカ。同時に、ギリリと奥歯を食いしばった。 　まだ、なにも始まっていないということを思い出させられたのだ。おそらくはわざと。 　挑発に乗りやすいエリカを煽ったのだろう。だが、それは逆に露骨すぎて彼女に落ち着く時間を与えさせた。 　エリカはフッと鼻で笑うと、皮肉げに返す。 「そっちには、いいセコンドが付いてるみたいね」

3 17/01/30(月)10:34:02 No.405936845

　みほは、自分の目論見が失敗したことの悔しさも滲ませず、あっさりと「そうだね」と返した。 　そこから、静かな時間が流れる。 　エリカが体に纏ったバスタオルからは、未だほのかに湯気が立ち上っていた。 「……えっと、来ないの？」 　ずっと、みほから目を逸していたエリカだったが、流石に無視しきれず視線を送る。 　不安げに両手を胸元の前で握り、上目遣い。使い古されたあざといポーズ。何度も、エリカはあっさりとこれに落とされてきた。でも、もう今までの自分ではない。 　エリカはそっと、ベッドに並んで腰掛けるみほとの距離を詰めた。 　ほぅ、と熱っぽい吐息を漏らす傍らの彼女に、問いかける。 「覚悟は、できてるんでしょうね」 「……もちろん」 　不遜にすら聞こえる答えに、エリカはそっと微笑んだ。

4 17/01/30(月)10:34:43 No.405936906

「じゃあ、こっちも我慢しなくていいわよね」 　みほは頷かなかった。それをしてしまうと、自分の負けになるとわかっていたからだ。 「どうかな？ 我慢しないんじゃなくて、できないんじゃない？」 　エリカのペースになり始めた室内の空気を塗り替えるように、みほは挑発的な声色で問い返す。 　それに悔しく感じたのは、ただ挑発されたからではない。みほの言うことが、全くもって的を得ていたからだ。 　そして、それでもエリカは毅然と言い返す。 「それでも、先に動かせて貰うわ。あなたに任せたら、またいつもみたいにやられっぱなしだもの」 「……へえ」 　それは、今までのエリカとは全く違うものだ。 　素直にこれまでの敗北を認めた。つまり、これまでと同じ失敗は繰り返さないということだ。

5 17/01/30(月)10:35:22 No.405936962

　みほは何度も、エリカの精神の弱さに漬け込んできた。気持ちの高ぶりやすさを利用して、手のひらの上で転がして来た。 　でも、今日はやはりそうはいかないようだ。 「うん。じゃあ、いいよ、エリカさん」 　みほはベッドに身を乗り上げると、迎え入れるように両手を広げた。 「……本当に、癪だわ」 「えっ？」 　だが、エリカはその誘いにやすやすとは乗らなかった。いや、乗った上で、みほの予想を上回ったというべきか。 　抱き合おうとするみほに付き合わず、ぐいっと彼女の顎を引くと、頭を抱え込んで唇を貪った。そこで、みほは驚く。 　みほの舌を絡め取り、混ざり合うエリカの舌使い。その動きが、以前より向上していた。 　口内に溜まる唾液を音を立てて啜り、エリカは唇を舐めて顔を離す。得意げな顔。そこで自分が完全に流されていたことを理解し、みほは悔しげに濡れた唇を噛んだ。

6 17/01/30(月)10:36:20 No.405937046

「……上手く、なってるね」 　負け惜しみじみた声音。 「そうでしょう？」 　それに返す得意げな声は、はっきりと自分が優位に立っていることを自覚していた。 「隊長と、練習したのよ」 「お姉ちゃんと？」 「ええ」 「……でも、お姉ちゃんって……」 「……ええ」 　まほはどネコだった。

7 17/01/30(月)10:37:02 No.405937113

　エリカにとって最も身近なキスの練習ができる相手として教えを請うたが、逆にあっという間に蕩けてしまう。 　はじめのうちは拙かったエリカのキステクでもすぐに目を潤ませて、「え、えり、かぁ……もう、我慢、できないんだ」と求めてしまう。 　何度もその誘惑に負けて、二人で濡れ縺れ合っては後悔した。しかし、その過程でエリカは別の力を身に着けた。 「……だからね、もう、あなたの誘惑で落ちるような私じゃないのよ」 　ここに来てようやく、みほは自分から窮地に身を躍らせたことを理解した。 　即座に自分の頭を抱え込んでいる腕を取り、エリカの後ろに回り込みながら捻り上げようとする。 「その動きは、お見通しよっ！」 　エリカはベッドの上で前転すると、逆にみほの腕を掴んで後ろを取った。 　ついに、エリカのバスタオルが肌蹴ける。 「……っ！ エリカさん、それは……！」

8 17/01/30(月)10:38:17 No.405937221

　彼女がタオルの下に纏っていたもの。それは、シンプルな黒のショーツ。 「……最もゴージャスな、コスチューム」 「そうよ。小細工なんかしない、体つきとテクニックだけで魅せつけることを、誓う衣装」 　それが、この黒のＴバック。 　首を回してエリカの姿に見入っていたみほの目が、戦車の上にいるときの毅然としたものにスッと変わる。 「エリカさん、本気なんだね」 「当たり前じゃない。あなたと戦うとき本気じゃなかったら、いつ本気出すっていうのよ」 　エリカはみほの膝裏を足で押して、ベッドに跪かせた。 　いまだ後ろ手に拘束したまま、エリカはみほの耳元に囁きかける。 「今日という今日は、絶対に負けないんだから――！」

9 17/01/30(月)10:38:57 No.405937280

　それはもう囁くっていう声量では無いんではないか、などと突っ込む野暮天は、白いベッドのジャングルには誰ひとりとしていなかった。 　なにせここは既に、一対一の果し合いの場。 　全国戦車道大会を表の戦車道とすれば、これは戦車道女子の裏の祭典。プロレズリンピック第二回戦なのだ。 「はい、というわけで視聴者の皆さんこんにちは。実況の赤星です。ついにこのクイーン・オブ・スポーツ、プロレズリングの祭典プロレズリンピック、その一回戦最後の試合が開始されました。本日は、解説に前年度レズリンピック覇者のノンナさんをお招きしております。よろしくお願いします」 「よろしくお願いします」

10 17/01/30(月)10:40:01 No.405937384

続きは塩　su1730794.txt

11 17/01/30(月)10:51:02 No.405938299

うん、バカかてめえは！最高だよ！

12 17/01/30(月)10:55:59 No.405938734

月曜日の午前中だぞ！？ ありがたい…

13 17/01/30(月)11:04:27 No.405939569

レズリンピックの語感の良さで駄目だった

14 17/01/30(月)11:16:53 No.405940742

これはいいものだ… だが何故月曜の午前中に！？

15 17/01/30(月)11:17:40 No.405940828

馬鹿だろ！馬鹿じゃねえの！ 最高だよ！！

16 17/01/30(月)11:19:55 No.405941068

>迷わずイケよ　イケばわかるさ ああ炎のファイターってそういう…

17 17/01/30(月)11:20:17 No.405941103

ありがとーーー！

18 17/01/30(月)11:23:46 No.405941453

よかったけどひどい

19 17/01/30(月)11:24:40 No.405941533

紅茶の園会場場外２０カウントは何があったの…

20 17/01/30(月)11:28:26 No.405941867

>レズ強者番付横綱 プロレズ横綱審議委員会メンバー誰だよ！

21 17/01/30(月)11:35:16 No.405942481

アリサ対麻子がすごく気になる…

22 17/01/30(月)12:09:39 No.405946117

お昼休みに股間をふっくらさせるようなモノお出ししてきてどうするつもりだ！ 強者の敗北すげぇイイじゃねーか！！